・テーラーメイドが「ステルス2」ドライバーシリーズを発表

・「ステルス2プラス」、「ステルス2」、「ステルス2HD」は前作よりも「寛容性」が向上

・メーカー希望小売価格は「ステルス2プラス」が…、「ステルス」、「ステルスHD」が…

・先行販売中、店舗での販売は2月17日から


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テーラーメイド「ステルス2」ドライバーについては、話を一年巻き戻して始めることにしよう。

昨年発売の「ステルス」ドライバーは、正確に言うとテーラーメイド史上初のカーボンドライバーではなかったが、同社が“20年の旅”とした重要な節目のモデルとなった。

その一年後を“また最初から”と考えるか“21年目”とするかはどうでもいいけど、20年目と21年目の間で起きた“進歩”は、過去の20年間で起きた進歩ほど大きくないことは、誰が見ても明らかなんだよね。

だから、「ステルス2」は、「ロケットボールズ」の“ステージ2”の時のように、初代ステルスをちょっと進化させたものと想像できるし、私もそう考えていた。だが今回の新モデルは「ステルス2」というより「ステルス2.25」とか「ステルス2.5」・・くらいの立ち位置ではないかと思っている。

とはいえ、皆さんに分かりやすくするために、“小数点”は切り捨てて「ステルス2」としておこう。


「ステルス2」ドライバー – 質が違うスピード

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初代「ステルス」のデザインは初速重視だった。テーラーメイドのテストでは、平均0.49m/sの初速アップという結果。“平均”だからつまりそれ以上やそれ以下というのもあっただろうけど、「ステルス」は紛れもなく売上的に成功したクラブだった。

それだけではない。PGAツアーでも実績がある。PGATOUR.comでチェックできるデータによると、テーラーメイドの契約プロは、21年に使用したクラブに比べて「ステルス」で平均0.94m/sのボール初速アップに成功したのだ。

ダスティン・ジョンソンは、約0.45m/s ほど遅くはなったが(LIVゴルフに乗り換える前までのデータ)、ローリー・マキロイは0,58m/sのアップに成功。明らかに他のプロも大幅に初速アップしている。


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ツアーでの初速アップは、初代「ステルス」ドライバーのデザインがフェースセンターでのインパクトを重視していたということを物語っているが、「ステルス2」におけるテーラーメイドの目的は、シリーズ全体を通じてオフセンターヒット時での初速アップと「寛容性」の向上を実現しつつも、センターヒットの初速もキープすることにある。

テーラーメイドが今回キャッチコピーにしているような、“Fargiveness=Far+Forgiveness”どこまでも遠くへどこまでもやさしく”という表現になるわけだ。

そして今回テーラーメイドは、「ステルス2」ドライバーを、初代よりも“Fargiveness”にするためにカーボンフェース構造と全てのパーツをホールドするシャーシに注目すべき改良を加えている。


フェースデザインを改良

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まずはフェースから始めるよう。ポイントは改良した「60層カーボンツイストフェース」が2g軽量化されたことにある。軽量化はドライバーデザインにつきものだけど、それだけで初速アップするということはない。基本的には、カーボンフェースと形状を変えることで、初速アップを生み出しているのだ。

より詳しく言うと、今回テーラーメイドでは、カーボンファイバーをフェースに重ねる方法を変更し、初速をキープする『インバーテッド・コーン・テクノロジー』に改良を加えた。

元々はフェース周囲が4.3mmでフェースセンターが4.7mmだったのに、新作のフェースはエッジが3.6mmにまでスリム化。中央部は少し厚みがあるが、テーラーメイドによると、エッジが薄いため厚めのフェースセンターにおけるボール初速は前作と似た状態になっているという。

60層ものカーボンファイバーが重なっていることで、スイートエリアが20%拡大した。ちなみに分かりやすくするために、フェースの反発係数(COR)が0.810を超える部分をスイートエリアとしておく。


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写真左から「ステルス2プラス」、「ステルス2」、「ステルス2HD」


繰り返しになるが、テーラーメイドがオフセンターヒット時の初速を向上させた方法については、特に不思議な部分はない。

他の新テクノロジー(特に新フェーステクノロジー)と同様、市場でのテストが進むにつれて、メーカーもパフォーマンスの耐久性という点で自信を深めることになる。そしてテクノロジーの採用がより積極的になっていくのだ。

実際のところ、これは「ステルス2」でも垣間見られる。

簡単に言うと、「ステルス」では3モデルに対して同じフェースデザインを採用していたが、「ステルス2」では、各モデルともデザインに最適化された独自のフェースが採用されている。

初代のフェースは「ステルスプラス」にも採用されていたが、今回スタンダードの「ステルス2」と「ステルス2HD」には独自のフェースが使用されており、これらのモデルにはさらなる改良が施されているというわけだ。


ステルス2 - 高MOI

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「ステルス2」に関する話の2つ目は、素材とシャーシの構造の改良により高MOIを実現させたということだ。

大部分が「SIM2」を継承している一方で、「ステルス2」のトレーディングエッジの素材は別物。「SIM2」では「アルミニウムのリング」がチタンのシャーシと繋がっていたが、「ステルス2」では、このリングに「射出成形のカーボン素材」が採用されている。

耐久性が高いことに加えて、カーボンリングは「SIM2」のチタンよりも軽量だったアルミニウムリングより2g軽いことが特徴だ。

カーボンリングは、カーボンクラウンとカーボンソール、そしてカーボンフェースがチタンシャーシと結合。バックウエイトが搭載され完成形となっている。

このデザインは、テーラーメイド初の「チタン」よりも「カーボン」の方が多いドライバーという点で注目に値する。これは、最終的に後方に配置するウエイトを確保するためで、シリーズ全体を通じて、「寛容性」を示す業界標準の指標である高慣性モーメント(MOI)を実現できるのだ。


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写真左から「ステルス2プラス」、「ステルス2」、「ステルス2HD」


「ステルス2」ドライバー - その他の注目改良ポイント

その他の注目ポイントとしては、新規のものと改良されたものがある。

ナノテクスチャーのアウターレイヤー(層)の下にあるカーボンフェースの赤色が濃くなっている。目立つし、より映像映えしやすくなった感じだ。

私の目には、今回のモデルの方がクラウンとボディの接合部分がよりクリアに見えるが、これは新しい光沢のあるクラウンのせいなのかも知れない。

ツアープロとフィッターの両方からクラウンに指紋がつくというクレームがあったことで、マットなクラウンにはしなかったというわけ。そうなんだよ…本当に何度も言われたらしい。

「ステルス2プラス」は、クラウンが比較的すっきりしているが、「ステルス2(スタンダード)」と「ステルス2 HD」ドライバーは、トレーリングエッジに沿った赤いリングが見える。

このデザインはハンディキャップが中程度以上のゴルファーには人気があった。また、ほとんどのツアープロはクラウンがすっきり見えた方が良いようだが、タイガー・ウッズやスコッティ・シェフラーは赤いリングも気に入っていたという。

では共通点を抑えたところで、「ステルス2」ドライバーシリーズの3モデルをチェックして行こう。


テーラーメイド「ステルス2プラス」ドライバー

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ここまででも「プラス」モデルがどのようなものか少し触れてきたが、前作の「プラス」同様、「ステルス2プラス」は「ステルス2」シリーズで最も低スピンを実現するドライバーとなっている。

従って一番「寛容性」が少ないとも言える。テーラーメイドは具体的にはしていなかったが、シリーズ全体を通じてMOI(慣性モーメント)が7〜9%ほどアップしたとしても、5,000MOIを大きく下回りそうだ。

つまり、やさしいモデルではない。

多くのゴルファーにとっては問題にはならないだろうし、だからこそテーラーメイドでは「ステルス2」シリーズを3モデルラインナップしている。


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これまで説明したいくつかの改良により、トラックウエイトにはさらに5gを追加(これで15g)。これにより、前方に配置されたヒール・トゥの前後に調整可能な『スライディングウェイト』の弾道調整の度合いが大きくなるようだ。

注目すべきは、今回テーラーメイドが「ステルス2」ドライバーでライ角を2度フラットに設定したことだ。これでパフォーマンスという点で、自然とややフェードがかかりやすくなるはず。テーラーメイドのアダプターにフラットのセッティングがないことを考えると、この変更は理にかなっていると言える。

「ステルス2プラス」では、事実上、フラットなライ角がデフォルトで、必要に応じてアップライトになるアダプターが用意されている。


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最後に「ステルス2プラス」では、ツアープレーヤーのフィードバックを受け、アドレスで「ツイストフェース」を見えにくくするために、トップラインを真っ直ぐにしてトゥが下がっている。

「ステルス2プラス」のロフト角は、9度と10.5度がラインナップ。

価格は649ドル(約84,000円)だ(こっそり教えてくれた)。


テーラーメイド「ステルス2」ドライバー

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「ステルス」シリーズの主力ということもあり、スタンダードの「ステルス2」はそれほど変わっていない。

このモデルは、最適化されたフェースデザインに加え、後方の25gのウエイトを搭載したことでMOI(慣性モーメント)がアップ。重心がより後方部に寄ったことで、「ステルス2」のMOIは5,000前半になっているはずだ。

毎度のことだが、テーラーメイドが高MOIの最高クラスに入ることはない。これはブランド哲学が主たる理由で、ドライバーというカテゴリーにおいて同社は伝統的に何よりも初速を重要視しているからだ。


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そして、それは賢い方法だと思う。「ステルス2」が、MOI向上により「寛容性」の高いドライバー群の一員になることはないだろうが、初速がそこまでなければどんな「寛容性」でもメリットにはなる。

また「寛容性」アップに加え、このスタンダードモデルは少しだけドローバイアスになっている。

スタンダードの「ステルス2」ドライバーのロフト角は、9度、10.5度、12度がラインナップ。価格は599ドル(約78,000円)だ。


テーラーメイド「ステルス2 HD」ドライバー

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「ステルス2」シリーズの中で初代と一番異なるのが「ステルス2 HD」だ。

テーラーメイドのHD(ハイドロー)モデルはこれまで圧倒的に「寛容性」が高いわけでもなく、もっと言うと、かなりのドローバイアスでもなかった。

我々のテストによると、ドローバイアスはほどほどという程度。故に「ステルス2 HD」は高打ち出しとある程度のスライス軽減を求めるゴルファーに最適で、とんでもないスライサーには必ずしも適していなかった。

しかし今回テーラーメイドでは、スタンダードと「HD」をより差別化しようと考えたようで、「HD」のMOIを向上させており、ドローバイアスを高めつつスピンも200rpm程度アップさせている。


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MOIが5,000台前半から半ばになり、5〜10ヤード以上も左に飛ぶようになるとのこと。市場の上位には挑めないが、テーラーメイドの基準では非常に「寛容性」の高いモデルとなっているのだ。

興味深いのは、ドローバイアスのドライバーは通常、シリーズで一番「寛容性」が大きいというわけではないということ。ゴルファーはドローバイアスと“やさしさ”を同一視するものだけど、物理学では通常そうはいかない。ラインナップの中間に位置するドライバーが、普通は一番「寛容性」が高いのだ。

とはいえ、業界には、ドローバイアスのドライバーの「寛容性」をより高める傾向があるようで、30gのリアウエイトでスタンダードモデル以上のMOIを実現するテーラーメイド「ステルス2 HD」は、まさにそれに当てはまる。


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さらに、「ステルス2 HD」ドライバーの純正シャフトの長さは、「ステルス2プラス」とスタンダードの「ステルス」よりも短くなっている。シャフトが短ければ、よりフェースのセンターに当たりやすい。

メーカーは飛距離を二の次にすることに消極的であることが多いが、テーラーメイドはシャフトを短くすることで1、2ヤードを放棄していることは認めている。それでも、「寛容性」を求めるゴルファーに向けてドライバーを短くすることは、ある意味、ゴルフメーカーが常にするとは限らない賢明な判断だ。

これについてはテーラーメイドに感謝すべきだろう。

「ステルス2 HD」のロフト角は、9度、10.5度、12度がラインナップしている。


テーラーメイド「ステルス2」ウィメンズ

ウィメンズは、違うカラーリング(シルバー)で重さはやや軽量、性別に関わらず軽量モデルを求めるゴルファーにとっては最適なオプションとなっている。


テーラーメイド「マイステルス2」

最後になるが、テーラーメイドでは「マイステルス2」カスタムプログラムでも「ステルス2」を用意する予定だ。今回は、8色のフェースカラー(ピンク、パープル、ブラック、ライトブルー、ダークブルー、イエロー、グリーン)から選択できる。

カーボンリングは5色(ブラック、ホワイト、シルバー、ガンメタル、ゴールド)から選択可能。

トップラインはブラックかホワイトでペイントが可能となっており、クラウンはグロスかサテンがある。アドレスで余計なものを見たくなければ、テーラーメイドの“T-Bug”ロゴなしの「マイステルス2プラス」をオーダーできる。

「マイステルス2」は「ステルス2プラス」のみ限定で、ロフト角は9度と10.5度(右打ち用と左打ち用)がラインナップ。

「マイステルス2」ドライバーの価格は729.99ドル(約95,000円)となっている。


テーラーメイド「ステルス2」ドライバー – 純正シャフト

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テーラーメイド「ステルス2」ドライバーの純正シャフトは以下の通り。

・フジクラ「スピーダーNX」- 高打ち出し

・フジクラ「Ventus TR(ベンタスTR)」- 中打ち出し

・ディアマナ「Kai’Li(カイリ)」- 低打ち出し

十分に分かっているだろうが、「ステルス2」に装着されている「Ventus TR(ベンタスTR)」が“ベロコアなし”のシャフトということを言わないわけにはいかない。つまり“本当の”「Ventus(ベンタス)」ではないということだ。

どうしてフジクラが「Ventus」ブランドの価値を落とそうとし続けているのか理解できないので、上記のことについては言うだけ無駄だと思い続けている。

というか、600ドル(約78,000円)ちょっとじゃ非常に人気があるアフターマーケットのシャフトは手に入らないということ。本当にそんなシャフトが欲しければ、テーラーメイドが喜んで譲ってくれるだろう(同社は“本物の”Ventusも数多く販売している)。


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テーラーメイド「ステルス2」ドライバーシリーズの先行販売は1月10日にスタート。店舗での発売は2月17日からとなっている。