「ZELOS(ゼロス)」:重要ポイント

・軽量スチールは、基本軽量カーボンのウェイトと同等。

・日本シャフト「Zelos」は、シャフト界で最も軽量な定重量スチールシャフト。カーボンのような軽さと、スチールのようなプレー性能を備える。

・独自のスチール素材と熱処理により、軽さと耐久性の両方を実現。

1959年の創業以来、日本シャフトは「Steel For Life(永遠にスチールを)」を掲げている。同社は1999年の「950 GH」を機に、「軽量スチール」の開発に乗り出した。業界初の100グラム未満の定重量スチールシャフトとして注目を浴びた。

それ以来、多くの軽量商品を世に送り出している。軽量シャフトへの探求は、2013年に発売された「Zelos」ライン(販売市場で最も軽いスチールシャフト)で最高潮に達した。

同時に「Zelos」の登場によって、多くの疑問が生まれることになった。1つ目は明らかで、軽量を使いたいなら、『カーボン』を選べばいいのではないか?という疑問。

さらに追及すると、どんどん興味深い疑問が出てくる。68~84グラムのスチールシャフトはどのようなフィーリング、プレー性能を持つのか?プレミアム軽量カーボンシャフトと機能的に異なる点は?

そして、度重なる負荷に耐え得る軽量スチールシャフトをいかに作ることができるのか?

ごもっともな質問に、日本シャフトが回答してくれた。興味深い答えが見つかると思う。

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日本シャフト:アンチ ヘビーメタル

「950 GH」は、同社にとってゴルフを変える画期的な商品となった。

前述のように、104グラムのXフレックスから94.5グラムのRで、当時最も軽量な定重量シャフトだった。

950モデルが成功したため、さらに軽い「850 GH」(R:87グラム、X:91グラム)、そして最終的には「750 GH」(R:79グラム、S:83グラム)まで一気に軽量化を推し進めた。

「軽いといっても通常の軽量シャフトのプレー性能とは異なり、実際にはかなり硬いフィーリングだ。」とは、日本シャフト営業及びマーケティング部門長である福田氏。

スチールシャフトを軽くするのは比較的簡単なことで、外壁を薄くすればいい。しかし、それには限界がある。なぜなら軽くて薄すぎると耐久性の問題が発生し、750モデルでは実際にそれが起こった。

そこで、日本シャフトはグラファイトフィラメントを手元に巻きつけ溶接することで、シャフトに強度を加えることに成功した。

「グリップ部分にもう少し耐久性を与える必要があった。このシャフトは非常に軽量で薄いため、円周強度を高めなければならなかった。」(福田氏)

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「750」「850」「950」モデルの発売以来、同社は4千万本以上のシャフトを販売している。同社はその様子をただ眺めるだけでなく、使用人口の属性の変化を新たなチャンスと捉えている。

つまり、「950」の利用者の大部分が20年前にスチールシャフトを使っていたゴルファーだ。そこから長年の月日が経ち、彼らにはさらに軽量ウェイトオプションがある。

すなわち、「Steel For Life」であり「Zelos」だ。



「Zelos」の誕生

ギリシャ神話では、Zelos(ゼロス)はTitan Pallas(タイタンパラス)と彼の妻であるOceanid nymph(オセアニア・ニンフスティックス)の息子だった。

彼は献身と競争心の神であった。因みに、彼の兄弟は、Kratos(強さ)、Bia(力)、Nike(勝利)。英語の「zeal(熱心)」は「Zelos」という名前に由来している。

もしかしたら、もっと軽いスチールシャフトをという日本シャフトの“熱意“が「Zelos」につながったとも言えるかもしれない。

これも、重要なポイントだ。

「『750』と『850』は軽量だが、かなり硬い。これらは、プレミアム軽量カーボンシャフトのプレー性とは異なる。このウェイトに対してはかなり頑丈なので、それが後の『NS Pro Zelos』シリーズにつながった。」(福田氏)

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「Zelos」の目的は、パフォーマンスの差を生み出すだけの軽さを実現しながら、耐久性や強度に優れたシャフトを作ること。そこで必要だったのは、全く新しい素材だ。

そのために、ゴルフのノウハウに親会社のスチールの専門知識や、スチールサプライヤーの冶金技術を応用することが不可欠だった。

「『750』よりも軽くて柔らかい製品を開発するためにネックとなったのは、スチール材そのものだった。車に使う品質のスプリングスチールを基に、新配合を開発するのに約5年の月日を要した。そして、『NZNS60』※1では、必要な耐久性と引張強度が完成した。」(福田氏)

※1:新開発の高強度材料

日本シャフトの最初の「Zelos」モデルである「Zelos 7」(R:74グラム、S:77.5グラム)は、『Wrap Tech(ラップテック)』を搭載した「750 GH」よりも5グラム軽量に仕上がった。

「これは、素材自体が十分に強度に優れているため、(『750』のように)耐久性の向上のために素材を巻く必要がなかったためだ。」(福田氏)

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独自素材と熱処理

先に述べたように、日本シャフトは1959年に設立された。その工場はもともと、親会社であり世界最大の自動車用スプリングサプライヤーであるNHKスプリング社の熱処理施設だった。

「当社の資材供給先は、実際には世界最大のスプリングスチールプライヤーでもある。彼らとの長年に渡る共同開発を通して、『Zelos』モデルの原料配合を考案し、さらなる引張強度と耐久性を実現させたのだ。」(福田氏)

日本シャフトの熱処理に関する専門性は、「NZNS60」を目的以上の品質へと導いた。彼らの熱処理とは、単なる加熱と冷却だけに留まらない。

正しく行えば、原料の分子骨を再編成し、十分な軽さと強度に到達できる。そして、ゴルフシャフトは本質的にスプリング(バネ)であると福田氏が言うように、自動車スプリング技術の豊富な経験が生かされている。

「エンジンバルブスプリングを想像してみてほしい。エンジンのRPM※2を維持するためには、かなりの耐久性がなければならないが、同時にスプリングに十分な柔らかさが必要。それこそが、日本シャフトが独自性を発揮できる理由。私たちのシャフトの外壁は非常にしっかりしているが、コアはバネの力を発揮するだけの柔らかさがあり、時々シャフトに感じるわずかな振動の減衰機能も備える。」(福田氏)

※2:1分の間での回転数

「実際に、顧客からも日本シャフトの製品のフィーリングは柔らかいとの声をいただいている。日本シャフト製というのもあるが、それは使う素材と熱処理が大きく関係していると思う。」(福田氏)

思い込みは捨てよう

では、軽すぎる場合もあるのか?例えばアグレッシブスインガーの場合、もっと滑らかにテンポを改善した方が良いと有能なフィッターなら忠告するだろう。そうしないと、早めのリリースや、ボールを打ち出すのに苦労し、トップしやすくなるからだ。

「このような人が軽量シャフトを使うと、スイングしにくくなるかもしれない。どんなゴルファーでも、理想的なシャフトのウェイトがあり、全員が軽量シャフトからメリットを得られるとは限らない。しかし、私が目にするほとんどのアマチュアは重めのシャフトを好んでいて、このようなゴルファーはほんの少し軽めのシャフトか、『Zelos6』や『Zelos7』のような思いっきり軽いシャフトに変えるだけで改善できる可能性がある。」

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明らかに「Zelos」のターゲットは、シニア、ジュニア、そして女性だが、重要なのはヘッドスピードなので性別は関係ない。「これは、重い物よりも軽い方が速く振ることができる、という基本的な物理の原理なのだ。」と福田氏。

また、思い込みによって合わないフレックスでプレーしてしまうことがあるが、軽量ウェイトに変えることにより得られる本来のメリットさえも遠ざけてしまう可能性がある。

「思い込みは間違いなくゴルファーのメンタルから来る。しかし、ほとんどのゴルファーは、パフォーマンスの違いや改善が見られれば、それを試してみるだけではなく、これまで使用してきたシャフトが少し重すぎたことに気づくだろう。」(福田氏)


スチールとカーボンの違い

すでに軽量シャフトに魅力を感じ始めたかもしれないが、ところで軽量スチールとカーボンの違いは何だろうか?

まず、カーボンには明確な振動の減衰機能が備わっている。一方のスチールシャフトは、全体的に少し硬めに感じるが、上級プレーヤーが求めるフィーリングが手に入る。

「当社の『Zelos』シャフトは、アイアン向けプレミアムカーボンシャフトと同じような柔軟性が特徴。明確なフレックスポイントやキックポイントはないので、スイング時のフィーリングの点で言えば似ている。しかし、大きな違いはインパクト時の打感にある。」

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おそらく関節炎や怪我があり、より振動を抑えてくれるカーボンを好む場合は、スチールを選ぶ必要はない。しかし、福田氏によると、ゴルファーやフィッターは同社のシャフトラインは最も柔らかいフィーリングだと評価しているそうだ。

「以前にツアープレーヤーからフィードバックをもらったのだが、前に使用していた「Sensicore」※3インサート搭載のシャフトをやめて、日本シャフトの製品に切り替えたプレーヤーが何人かいた。」(福田氏)

※3:シャフト内の中心部に振動衝撃吸収ポリマーコアを挿入しスチールシャフトの衝撃を吸収する素材

さらに、スチールにこだわってきた人のために、日本シャフトは今もハイブリッド、フェアウェイウッド用スチールシャフトを販売している。

「これらはハイブリッドにスチールシャフトを搭載した数年前に開発された。これらは今でも人気商品で、アメリカよりも特に日本とアジアで人気がある。」(福田氏)

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最近のハイブリッドはほとんどカーボンシャフトだが、軽量のスチールを使うとアイアンからハイブリッドまでスムーズにウェイト移行できるという利点がある。

「一部のアマチュアは、ハイブリッドをアイアンの代用ではなく、ウッドの代わりと認識している。だからこそ、ロングユーティリティアイアンやハイブリッドを好む人にスチールが役立つのだ。」(福田氏)


ZELOS:ウェイトの限界

最後にもう1つ疑問がある。スチールシャフトは現実的にどの程度軽量になるのか?

「68.5グラムの『Zelos6』は、ウェイトの点だけを見れば決して限界ではない。さらに軽量の商品を見たことはあるが、これらが商業的に可能かどうかという点が重要になる。」

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E・トン・ウッズ※4は、時間が過ぎても無敵であると言ったことがある。たとえ60、70歳になっても、適切な軽さである限り、軽量ウェイトという魅力的なオプションがある。

ジュニアや初心者の女性ゴルファーも軽量シャフトの恩恵を受けるかもしれない。それには、実際に試してみて、可能であればフィッターに相談することが重要だ。

※4:Eldrick Tont Woodsはタイガー・ウッズの本名、1996年にミドルネームをTigerに改名

さらに、上級ディスタンス系、中級向け、初級向けカテゴリーごとに軽量シャフトが用意されていることは嬉しい。繰り返すが、基本的に物理の法則に従っているだけだ。

さて、読者の皆さんは、どう思っただろうか?軽量シャフトを試したことは?「軽量スチール」と「軽量カーボン」の違いを理解できただろうか?


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