スピン量が多いウェッジほど「寄る」と思ってない?
ウェッジのスピン量は、ゴルファーにとって気になる数字のひとつだ。
たとえば、弾道計測器で2本のウェッジを打ち比べ、一方が7,200rpm、もう一方が6,800rpmだったとする。
数字だけを見れば、「7,200rpmの方がスピンが多いから、グリーン上でもコントロールしやすい」と考えたくなる。
しかし、ウェッジショットの目的ができるだけピンの近くにボールを運ぶことなら、スピン量だけでは性能を判断できない。
MyGolfSpyが実施した『2026年のウェッジテスト』では、15モデル、合計11,400ショットを計測した。
テストしたのは、フルショットに加え、50ヤードからのドライ条件とウェット条件でのショットだ。
その結果から見えてきたのは、ウェッジを選ぶときに「最もスピンがかかるモデル」を探すだけでは不十分だということ。
では、ピンに寄せるためには、スピン量以外に何を見るべきなのか。
スピン量が多ければ、ピンに寄るとは限らない
50ヤードのドライ条件で最も多くのスピンを記録したのは、Performance Golf「ONE.1」だった。
そのスピン量は7,217rpm。
一方、New Level「SPN V3」は、それよりわずかに少ない7,062rpmだった。
しかし、ピンまでの距離を見ると結果は逆になる。
「SPN V3」は、50ヤードから打ったショットが平均6.9フィート(約2.1メートル)まで寄り、2026年のテストで最も正確性の高いウェッジとなった。
「ONE.1」は、同じ50ヤードのドライ条件で、平均すると「SPN V3」より約10インチ(約25センチ)ピンから遠かった。
もちろん、25センチは大きな差ではない。
重要なのは、ほかの距離を含めたテストでも、最もスピン量が多いウェッジが、必ずしも最もピンの近くに止まったわけではなかったことだ。
つまり、スピン量という数字だけを見ても、そのウェッジでどれだけピンに寄せられるかまでは分からない。
ウェッジには、スピンだけでなく距離と方向を安定させることも求められる。
狙った方向に打てても、ショートしてしまえばピンには寄らない。十分なスピンがかかっていても、キャリーが毎回変われば、あるショットは手前、次は奥というようにばらついてしまう。
そこで重要になるのが、「キャリーのばらつき幅」だ。
たとえば、毎回ほぼ50ヤードをキャリーするウェッジと、ショットによって47〜53ヤードまでばらつくウェッジがあったとする。
後者がどれだけ多くのスピンをかけられたとしても、狙った距離を安定して打つという意味ではコントロールが難しくなる。
だからウェッジを比較するときは、スピン量というひとつの数字だけではなく、「キャリーがどのくらい安定しているか」も見る必要がある。
濡れた状況では、スピン性能が大きく変わることもある
乾いた状態で計測したスピン量だけを見てウェッジを判断すると、さらに見落としやすいことがある。
水分の影響だ。
Performance Golf「ONE.1」は、50ヤードのドライ条件で7,217rpmを記録した。
ところが、水分が加わったウェット条件では3,506rpmまで低下した。
一方、Vokey「SM11」はどうだったのか。
ドライ条件では6,857rpm、ウェット条件では6,860rpm。
ほとんど変化していない。
こうした異なる条件での性能もあり、「SM11」は2026年のテストでスピン部門トップのウェッジとなった。
重要なのは、水分によって変わる可能性があるのは、スピン量という数字だけではないことだ。
スピンや打ち出しが変われば、キャリーも変わる可能性がある。ボールの飛び方やグリーンへの落ち方、さらに落ちてからの反応まで変わってくる。
乾いたきれいなフェアウェイから打ったときと、朝露などで芝が濡れているときでウェッジの性能が大きく変われば、ショットの結果を予測することは難しくなる。
だからこそ、ウェッジの性能を見るときは、「乾いた状態でどれだけスピンがかかるか」だけではなく、「条件が変わっても性能が安定しているか」も重要になる。

ウェッジの設計から見ても「スピン量だけ」では決まらない
Vokey「SM11」は、その分かりやすい例だ。
「SM11」では、ロフトによって溝の設計が異なっている。
なぜなら、すべてのウェッジに同じ役割が求められているわけではないからだ。
ピッチングウェッジやギャップウェッジでは、安定性や距離のコントロールをより重視する。
サンドウェッジでは、フルショットだけでなく、グリーン周りなどで距離を調整するショットとのバランスも必要になる。
そしてロブウェッジでは、グリーン周りでのスピン性能がより重視される。
つまり、すべてのロフトで「できるだけ高いスピン量を出す」ことだけが目的ではない。
フルショットで打つピッチングウェッジに必要なスピンと、30ヤードから打つロブウェッジに必要なスピンは、必ずしも同じではないからだ。
どちらにも共通して求められるのは、単純なスピン量ではなく、打ち出し、キャリー、そしてグリーンに落ちてからの止まり方を予測しやすくすること。
ウェッジの役割が違えば、求められる性能も変わるということだ。

ウェッジを試打するとき、何をチェックすればいい?
もちろん、スピン量はチェックしたい。
自分が求める弾道や、グリーンに落ちてからの止まり方を実現するには、十分なスピンが必要だからだ。
ただし、スピン量だけで判断しないこと。
ウェッジを試打するときは、まず50ヤードなど狙う距離を決めて複数球を打ってみる。
そこで確認したいのが、キャリーのばらつきだ。
ベストショットの1球だけを見るのではなく、打ったボール全体がどこに集まっているかを見る。毎回似た高さで打ち出せているか、ミスしたショットを含めてもターゲットから大きく外れていないかも確認したい。
可能であれば、フェースやボールなどに水分がある状態で性能がどう変わるかを確認できれば、それも有益な情報になる。
最もスピン量が多いウェッジが、自分に合う一本になることもある。
しかし、そうならないこともある。
本当に探したいのは、スピン量が最も多いウェッジではない。
打ち出し、スピン、キャリー、そしてピンへの寄り方まで含めて、結果を予測しやすいウェッジだ。



