ゴルフ用品には、地域限定商品がつきものだ。職人技を絶賛するあまり、機能性を試すことなく日本製クラブに熱狂するゴルファーもいる。セベ・バレステロスは、試合の場所に応じて使用するアイアンのブランドを変えていたし、ヘンリク・ステンソンはキャロウェイの日本モデル、Legacy Black のアイアンセットを使っていたと記憶している。

近年のゴルフ用品市場は、「日本を含むアジア地域」と「その他の地域」の2つに分かれている。ヨーロッパ(アフリカと中東を含む)だけを対象とした限定商品は非常にまれだ。これに関しては、ミズノだけが例外といえる。

ではなぜ今回、キャロウェイはヨーロッパ限定の新商品を発売するのだろう。

その答えを一言で言うなら、「価格」である。

Epicは、キャロウェイにかつてない成功をもたらした。Rogue も後続のヒット作だが、この2つ共通点は非常に高い価格設定である。2017年にヨーロッパで販売された400ポンド以上のドライバーのうち、70%はキャロウェイだった。しかし、実際に売れたドライバーの約70%は、400ポンドを大きく下回っていた。つまりキャロウェイは、多くの販売機会を逃したということだ。

 

 

キャロウェイのXR16は大成功し、功績を収めたにもかかわらず、後継モデルをスケジュールどおりにはリリースしなかった。新しいXR SPEEDラインが、XR16の後継モデルだ。キャロウェイによれば、ジェイルブレイクが搭載されていないドライバーの中では、新XRは最高のドライバーだとしている。果たして本当だろうか。

では、新XR SPEEDにはどんな特徴があるのだろう。キャロウェイを代表する最高技術のジェイルブレイクを排除したことは分かった。キャロウェイによれば、XR SPEEDのボールスピードは、RogueやEpicと比べ0.4~0.7m/s遅いが、それでも他社のドライバーより速いという。この点は、MyGolfSpy の Most Wanted ドライバーテストとの結果とは異なるかもしれない。

 

 

新XR SPEEDには、Rogueと同じX Face VFT が採用されている。X Face VFT は、従来のドライバーのフェースに比べて軽く、薄く、柔軟性があると言われている。フェース全体で、ボールスピードを上げる設計である。今回は、XR16で使用されたものより45%軽い「3軸カーボンクラウン」を使うことで、CG(重心位置)を下げ、より高いMOI(慣性モーメント)をもたらす。

空気抵抗を改善するために、「Speed Step Crown(スピードステップクラウン)」を採用した。そして最後に、調節可能なホーゼルである。キャロウェイの調節可能ホーゼルには、8種類のロフトとフェース角のオプションがあり、業界で最も汎用性が高いと言われている。

Project X Hzrdus(プロジェクトXハザーダス) グラファイトシャフトが標準仕様で、これは「プレミアム」と宣伝されているが、実際にはEpicのHZRDUS  T800(ハザーダスT800)の焼き直しである。シャフトのアップグレードは可能だ。

新XR SPEEDは、Rogueに比べわずかにドローバイアス、高スピンになるように設計されている。いかなるゴルファーもスイートスポットを狙えるのだ。ソールプレートのデザインとブルーの配色は、かつてのSteelHead Plus と Hawkeye ウッドを思い起こさせる。

フェアウェイウッドも販売予定で、フェースの特徴や、Diablo Edge Tour のような全体の形状は共通している。ティーアップなしでもショットしやすい、Hawkeye のソールが特徴である。前出の「Speed Step Crown(スピードステップクラウン)」は、空気抵抗を改善し、「Hyper Speed Cup(ハイパースピードカップ)」はパワーを生み出す。

 

確かに、まずまずのパフォーマンスは期待できそうだ。しかし、市場にある数々のドライバーの中からXR SPEEDを選ぶかどうかは疑問だ。テーラーメードがM3/M4を同時期に発売する可能性があるが、彼らのマーケティング戦略では、それぞれの調節機能による順応性についての比較はするものの、M3とM4のどちらがより優れているとは言わない。

だがキャロウェイは、自社のドライバーに明らかな優劣を付けている。どうやらXR SPEEDの魅力は「価格」だけのようである。果たしてそれだけで十分な購入理由になるだろうか。

XR SPEEDは3月8日より、9度、10.5度、13.5度のロフトオプションで発売開始。小売価格は339ポンド。フェアウェイウッドは3番、4番、7番で、229ポンドで発売される。