テーラーメイドがGhostシリーズラインのパターを発表した時、それにはストーリーがあり、それはそれまでとは全く違うものだった。

視覚の専門家や、パター指導者であるデイブ・ストックトンからの意見も得て、Ghostはやさしいパターだと証明された、とテーラーメイドは主張した。パターは科学的な理由で白がほとんどだったが、新TPレッドパターは赤だ。なぜなら、ジェイソン・デイがレッドパターを造ってほしいと言ったからだ。

少し皮肉に聞こえたら申し訳ないが、レッドパターの人気にあやかって、真似する製品が次々に出てきている事には、正直飽き飽きしている。ジェイソン・デイがレッドパターを求めてきたのは、単に彼自身が赤が好きだったからだ。たったそれだけの理由でこのパターが生まれたのだ。

セルジオが、シーズン中試打した212本のパターの中からレッドスパイダーを選び、最終的にマスターズで勝利を収めた。一方のジョン・ラムはスパイダーを使ってスーパースター気取りでパットを沈め、見る人を楽しませた。

プロゴルファーというのは面白い人たちで、一部の人はジェイソン・デイの成功をレッドスパイダーと結び付け、それに刺激される。誰もが忘れているのが、デイがGhostホワイトスパイダーをぼこぼこになるまで使った上での成功だったということだ(ちなみに彼は最近その新モデルを試している)。

ジェイソン デイは、彼の世代で最もパットが上手い選手の一人だ。彼が素晴らしいパッティングを見せることは、パターの色が赤であることとは何の関係がないが、狙いを定めやすいし、ゴルファー達も気になっているようだ。だから、全体的に色つきのパターが最近のトレンドになっているのだ。

パターの進化とはそういうもので、オデッセイは、今では至る所にある7番ファングモデルを含むWorks Redパターシリーズをすぐさま発売した。知られるとおりフェアプレーに一気に方向転換したことで、テーラーメイドは自身のファングモデルを打ち出した。ご想像の通り、色は赤だ。おそらくオデッセイから刺激を受けたのではなく、単なる対抗心で、「模倣品をコピー」しただけのことだ。

テーラーメイドはどんな新技術をもたらしたのだろうか?正直に言うと、つまらないと言わざるを得ない。

全ての新パターにおける特徴は、6061純アルミニウムロールが使用されていることだ。溝設計を埋めているのはポリマーで、本質的にはテーラーメイドがここ10年行ってきたことに大差はない。テーラーメイド曰く、溝構造がボールをしっかりつかみ、トップスピンを与え、高速回転を生む、という。柔らかい打感で回転も良いが、3.5°のロフト角では、テーラーメイドは現代のグリーン上では少し後れをとっているという意見もある。

各パターは移動/調整可能ウェイトを搭載しており、別途販売もされている。また、好きか嫌いは別として、Super Pistol GTR 1.0グリップの在庫も揃えている。今回の新シリーズは、技術面では6つの新モデルとなっているが、実質的には2.5モデルである(いくつかのバリエーションはあるが)。

 

TP RED ARDMORE

初めは、Ardmoreだ。フルマレットデザインであり、オデッセイのVラインのようなクラシックな形をしている。センターシャフトのArdmore CTRもある。発売されている。大多数のゴルファーにフィットする設計ではないが、これが合うゴルファーにとって、大手ゴルフメーカーのラインナップにこれらが登場したのは嬉しいことだろう。

 

TP RED ARDMORE 2

Ardmore 2はオデッセイ#7に敬意を払っている。Ardmoreから中心部分を取り除き、Ardmore 2の出来上がり。シンプルに整列したターゲットラインをはじめ、フェースバランスや、ダブルベント、アンサー(ピン)スタイルのL字ネックを特徴としている。

Ardmore 3は、キャビティ―の内側にターゲットラインが入っていて、ジェイソン・デイによって人気が出たショートネックを特徴とし、重心角も大幅に大きい。

 

TP RED CHASKA

最後は、Chaskaの紹介だ。ゴルフブランドは、ネーミングの慣例に従うことはよく知られており、デザインも踏襲されるが、アンサーは常にアンサーである。だから、2010年以来デザインが定まらなかったCorzaが、今なぜChaskaと呼ばれるようになったのか、とても不思議である。

 

ボーナス: TP SILVER COLLECTION

新TPライン以外では、TPシルバーコレクションでにおいて2つのリニューアルがあった。2回目に登場になるCorza、いやChaskaだ。そして、Balboaも同時に発売された。パンチの利いた名前だ。度々「No.9」と呼ばれるパターで、オデッセイとフィルミケルソンが人気に再び火をつけた、ヒール側にシャフトを差した小さなマレット型デザインである。目利きのゴルファーであれば、元々テーラーメイドのモデルで、80年代からあるTPA XVIIIをベースにしていることに気付くだろう。

決して悪いパターではない。実際、Ardmoreモデルは、アドレス時に特に格好良く見える。ただこれらのモデルには、独創性が感じられない。テーラーメイドは長きに渡り安全圏で勝負しているだけだ。正直、クラブに色を付ける以外の何か革新的なものを新パターに見たかったと思う。TMAG時代のパターの最終モデルのように、次回パターをリリースする時には、正統な技術のストーリーを聞かせてもらえることを期待したい。

 

価格と販売状況

全パターの小売価格は、Superstoreグリップ付きで$219.99、TP Silver ChaskaとBalboaはLamkinグリップで$199.00にて販売中。