PGAツアープロにとっては、グリーン周りのバンカーショットの方が、ラフから打つよりもよっぽど簡単だと感じる場合が多いらしい。
しかし、我々一般的なアマチュアゴルファーにとってはどうだろう?ボールがバンカーに落ちる音は、何度聞いても嫌なものだ。競技志向者(上級者)にとって、バンカーはパーを拾うには十分なチャンスがある場所だ。
しかし、アマチュアゴルファーにとってはまるで蟻地獄。はまったら最後、もがけばもがくほど深みにハマり、みるみるうちにスコアが膨れ上がっていく。ツアープロと、砂地で悪戦苦闘するアマチュアゴルファーとの差を完全に埋めることはできない。
しかし、新たに登場する「BunkR(バンカー)」は、アマチュアゴルファーがバンカー地獄から脱出できる可能性を大幅に高めてくれるクラブだ。
「ChipR」の成功から生まれた、バンカー専用クラブ「BunkR」
PINGのこれまでの“お助けクラブ” を使ってきたゴルファーなら、「BunkR(バンカー)」の登場にも“ピン”とくるはずだ。
「チッパーの成功を受けて、特定の状況に特化したクラブがどれほどアマチュアゴルファーの助けになるかを改めて考えた」と語るのは、PINGのプロダクトデザインディレクター、ライアン・ストッケ氏。
その発想をバンカーショットにも応用し、PINGは“バンカー専用のクラブ” 開発に踏み切った。
もちろん、「BunkR」や「ChipR」のような特定の状況に強いクラブをバッグに入れるなら、他のクラブを1本外す必要がある。
とはいえ、特定のショットでずっと苦戦しているなら、その悩みを解消するためにクラブを1本入れ替えるのはスコア改善に有効な選択肢となるだろう。

スクエアフェースがカギ!バンカーショットをもっとシンプルに
すでにお気づきかもしれないが、「BunkR」はバンカーショット専用に設計されたクラブだ。
しかし、PINGが目指したのは、ただの“お助けクラブ”ではない。バンカーに苦手意識を持つアマチュアゴルファーの“意識”そのものを変えることだった。従来のバンカーショットは、フェースを開いて打つ高度なテクニックが必要で、少しのミスでボールがグリーン奥まで突き抜けてしまうこともある。
しかし、「BunkR」は、そんな高度なテクニックを必要とせず、スクエアフェースのまま使えるように設計されている。これにより、アマチュアゴルファーは違和感なく、いつもの構えやスイングでバンカーショットに対応できる。
フェースの開閉やクラブを入れる角度、砂をどれくらい取るかといった細かい調整を気にせず、シンプルにスイングとインパクトに集中できるのが大きな特徴だ。トップやダフリといったバンカーでの苦い経験を繰り返すうちに、多くのゴルファーは“とにかく脱出すること”を最優先にするようになる。そして、バンカーショットの成功率にはムラが生まれてしまう。
「BunkR」は、そんなアマチュアゴルファーの悩みに応えるため生まれたクラブだ。
バンカー脱出に特化した設計。「BunkR」の構造と形状とは?
一般的なウェッジとは異なり、「BunkR」はロフトバリエーションがなく、64度のみの設定となっている。
また、PINGはバウンス角をクラブに明記していないが、公称値としては14.5度。そのままスクエアに構えれば、バンカーからスムーズに脱出できるよう設計されている。64度というロフト角は、アゴの高いバンカーでも越えられる十分な高さを生み出し、14.5度のバウンス角がクラブが砂に刺さりすぎるのを防いでくれる。
ソール形状には、PINGの象徴的な「Eye 2(E グラインド)」の要素が取り入れられている。
バンカーショットに適したソール形状に加え、細めのホーゼルデザインを採用することで、砂の抵抗を抑え、ヘッドスピードを落とさずに振り抜きやすい構造になっている。
検証!「BunkR」でバンカー成功率はどう変わるか?
どんな“お助けクラブ”でも、気になるのは「本当に今使っているクラブよりも結果が出るのか?」ということだ。
その疑問に対し、「BunkR」は明確な答えを示している。テストでは、ハンディキャップ10以上のゴルファーを対象に、20ヤードのバンカーショットを実施。
グリーン上のカップを中心に、直径20フィート(約6m)のターゲットエリアを設定し、「BunkR」とPING「S159」60度Eグラインドウェッジの比較を行った。気になる結果は?
・バンカーから出せなかったショットの数が大幅に減少
・ターゲットエリア内に収まるショットの割合が大きく向上
アベレージゴルファーに「BunkR」が“効く”理由
多くのアベレージゴルファーにとって、ラウンド中に数回は訪れるバンカーショットの結果はあまり良いとは言えない。
実際、PINGのオンコースデータによると、ハンディキャップ20のゴルファーがバンカーから約1.8メートル(6フィート)以内に寄せられる確率はわずか8%しかない。この数字を見れば、答えは案外シンプルかもしれない。
もし、ほとんど使わないフェアウェイウッドやウェッジを1本抜くだけで、絶望的なバンカーからパーを狙える状況に変えられるとしたら、あなたならどうする?
「ChipR」の成功が示すように、多くのゴルファーはその選択をしてきた。そして「BunkR」も、同じように支持されるはずだ。

技術を磨くか、ミスを減らすか「BunkR」が問いかけるゴルフ観
ゴルフの伝統を重んじるプレーヤーにとってみれば、「BunkR」はスキルの向上というゴルフの醍醐味からさらに一歩遠ざかるものと映るかもしれない。
しかし、多くの週末ゴルファーにとっては違う。「BunkR」は、バンカーショットの恥ずかしさやフラストレーションを減らし、苦手だったショットを楽しみに変えてくれる可能性もある。
PINGのプロダクトデザインディレクター、ライアン・ストッケ氏はこう語る。
「バンカーから安定してグリーンに乗せられるようになれば、それだけで彼らのゴルフ人生は変わる。プレースタイルそのものが変化するんだ。」
「誰しも一度は、バンカーに入った瞬間から崩れていくゴルファーを見たことがあるだろう。ライを見て、『もうダメだ』とネガティブに決めつけてしまうんだ。」
「『BunkR』は、そんなバンカーショットへの苦手意識を成功イメージへと変えていく道具だ。『BunkR』を使えば、まるで手でボールを拾ってグリーンに投げるような感覚になる。」そして、その“投げるようなショット”も、ルール適合クラブで行っている限り、何の問題もない。

価格と発売情報
PING「BunkR」:
ロフト角64度、バウンス角14.5度、標準クラブ長35インチ。
シャフト:Z-Z115(スチール)
標準グリップ:360 DYLAWEDGE LITE AQUA(バックライン無し)
発売価格:¥34,100(税込)左用あり
発売:2025年4月10日
詳細はPINGホームページをチェック!
※下記はアメリカのスペック
PING「BunkR」ウェッジの販売価格は179ドル。標準シャフトは、PING Z-115(スチール)とPING Alta CB(カーボン)の2種類がラインナップされている。
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