「トゥーロン・スモールバッチ・ピッツバーグ」は、ジョニー・ミラーが1973年の全米オープンでオークモントを制した際の偉業を称えた限定パターだ。
全米オープンの週は、個人的にゴルフの中で一番好きな週。マスターズはもちろん特別だけど、やっぱり全米オープンのほうが上だ。
正直に言うと、その理由はちょっと意地悪な楽しみがあるからかもしれない。
全米オープンのコース設定は、過酷さで知られている。ツルツルのグリーンと容赦ないラフに打ちのめされる世界トップの選手たちを見て、少しだけニヤリとしてしまうちょっとサディスティックな私がいる。
勝者が“偉業を成し遂げた”と胸を張れるほどの難易度であってほしい。やっとのことで誰よりも高く上り詰め、足元に横たわった他のプレーヤーたちの“屍の上に立って”こそ、本物の栄光は更に光り輝く。
全米オープンは、まるで“コナン・ドイルの小説”のようにスリリングな展開こそが真の味わい。ただし、もっと多くの“犠牲者”が出る。
ジョニー・ミラーの伝説の“サンデー63”

「トゥーロン・スモールバッチ・ピッツバーグ」は、1973年全米オープン最終日、オークモントでジョニー・ミラーが記録的な「63」を叩き出し、歴史に残る逆転優勝を飾った際に使用していた「ブルズアイパター」からインスパイアされたモデルだ。
ミラーは最終日を首位と6打差でスタート。しかし、序盤からいきなり4連続バーディを奪取。そのまま突き進み、終わってみれば「63」のビッグスコアで大逆転優勝。トロフィーを掲げた。

全米オープン最終日の「63」は、完璧なる伝説。もう一度、同じような光景を見られることはあるのだろうか?
スペック|トゥーロン「スモールバッチ・ピッツバーグ」パター
• 素材:904Lステンレススチール + タングステン
• 製法:CNC精密削り出し
• 仕上げ:ブリリアント・ミッドナイトブラックPVD
• フェース:ウルトラファイン・ダブルフライミル
• ロフト角:3°
• ライ角:70°
• ヘッド重量:343g
• シャフト:クローム・ステップレススチール
• ヘッドカバー:ジョニー・ミラー仕様の限定スモールバッチデザイン(ピッツバーグ)
• グリップ:トゥーロン・ピストル(ミッドサイズ/ピッツバーグイエロー)
• 限定数:世界限定75本
• メーカー希望価格:1,800ドル
現代に蘇る“ブルズアイ”

「トゥーロン・スモールバッチ・ピッツバーグ」は、ジョニー・ミラーが使っていたパターをそのまま再現したものではない。1973年の優勝モデルをベースにしつつ、現代仕様へとアップデートされた“進化系ブルズアイ”だ。
当時とは違い、いまのグリーンは格段に速くなっている。トゥーロンは、そのスピードに対応できるようにデザインを現代のコースに合わせて調整した。実用性とパフォーマンスの両立を図った、まさに“現代版ブルズアイ”と言える1本だ。
USGA(全米ゴルフ協会)が「スティンプメーター」を正式に導入したのは1978年前後とされているが、1970年代当時のグリーンスピードは、現在の基準で見ればスティンプメーターの値で「10未満」だったと考えられている。
一方、今週のオークモントでは、スティンプ15に達するとも予想されており、グリーンの速さはまさに“別次元”だ。

トゥーロンは、ミラーのパターの全体的な形状は維持しつつも、現代の高速グリーンに対応できるよう重量を増す必要があった。そこで、初代「ブルズアイ」の内部をくり抜き、60グラムのタングステンを内蔵している。
かなりの量のタングステンだ。
ヘッド内部をくり抜いたことで、トゥーロンは重量配分にも自由度を持たせることができた。ヒールとトウ側により多くの重量を配置することで、「ピッツバーグ」の慣性モーメント(MOI)を高めている。
これは、1973年当時の一体型ブラス(真鍮)パターでは実現できなかった設計だ。スティーラーズ魂を感じる1本

オークモントCCがピッツバーグ郊外にあることにちなみ、「スモールバッチ・ピッツバーグ」はNFLスティーラーズを思わせる配色で仕上げられている。ブラックボディに映えるイエローの差し色が、地元チームの熱狂的な応援“テリブルタオル”を思わせるデザインだ。
スティーラーズファンなら、試合中にこのパターを振り回したくなるかもしれない。もっとも、スタジアムへの持ち込みは禁止だろうが。
確かな情報はないが、「トゥーロン・スモールバッチ・ピッツバーグ」は右打ち・左打ちの両方に対応しているように見える。
あるいは、ひとりのゴルファーがラウンド中に右手・左手を交互に使う…なんて使い方も、理屈の上では可能かもしれない。

U.S.オープンの週を象徴する、まさにぴったりな言葉をテリー・ブラッドショーが残している。
「全員を黙らせる唯一の方法。それは、勝つことだ。」
来週の日曜までには、きっと多くのゴルファーが「オークモントCCはとにかく難しかった」とこぼしているだろう。
スコアが悪かった理由としては、グリーンが速すぎた、ラフが深すぎた、リスがボールを奪っていった。そんな言い訳が飛び交うはずだ。
それでも結局、誰かが優勝トロフィーを掲げることになる。
ミラーのように最終日に「63」を叩き出すかもしれないし、2オーバーで十分だった…なんて展開もあるかもしれない。
全米オープンでは、“偉業”は与えられるものではなく、自らの手でつかみ取るものだ。
その瞬間が訪れるのが、待ちきれない。「トゥーロン・スモールバッチ・ピッツバーグ」は ToulonGolf.com でチェックできる。気になるなら今すぐ手に入れてほしい。
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