ゴルフボールランキングは比較には便利だ。だが、本当の特性はひとつのモデルを掘り下げてこそ見えてくる。
ブリヂストン「TOUR B RX」は、長年にわたり“中ヘッドスピード帯”のゴルファーを主なターゲットとしてきたプレミアムウレタンボールだ。ツアー品質の打感とコントロール性を求めながらも、過度な高コンプレッションを必要としない層に向けた設計アプローチを採っている。
『MyGolfSpy 2025ゴルフボールテスト(UNRL協賛)』のデータを基に、ドライバー、アイアン、ウェッジそれぞれの挙動を整理する。最大飛距離ではなく、再現性という視点から「TOUR B RX」の立ち位置を検証する。
ブリヂストン「TOUR B RX」とは?
ブリヂストン「TOUR B RX」は、ヘッドスピード約47m/s未満のゴルファーを想定したプレミアムウレタンボールだ。ツアーレベルの打感とコントロール性を求めつつ、過度な高コンプレッションを必要としない層に向けた設計アプローチを採っている。
コンプレッションは、より硬めのブリヂストン「TOUR B X」より低く、打感はソフト寄り。打ち出しはやや高めの方向で設計されている。
主なテクノロジー:
『REACTIV iQ ウレタンカバー』:インパクト強度に応じて素材特性が変化する設計。高初速域では硬く反応し「ボール初速」を確保しやすく、低初速域では柔軟に作用してスピン量とコントロール性を維持することを意図している。ドライバーではスピン量の最適化、アプローチでは距離感の再現性を重視した設計アプローチだ。
『グラデーショナル・コンプレッション・コア』:中心部は柔らかく、外側へ向かって徐々に硬くなる構造。エネルギー伝達効率を高めながら、ドライバーでのスピン量を抑える役割を担う。
『デュアルディンプル設計』:風の中でも弾道がラインから外れにくい安定性を意識した空力アプローチ。過度な吹き上がりを抑えつつ、伸びのある弾道につなげる狙いがある。
『シームレスカバー構造』:ディンプル配置の均一性を高めることで、弾道と飛距離の「再現性」を確保するための設計だ。
ドライバーでの性能
ブリヂストン「TOUR B RX」は、ドライバーにおいて低スピン×中打ち出しを軸とした特性を示す。中ヘッドスピード帯のゴルファーが吹き上がりを抑えながら「キャリーの飛距離」を確保することを意識した設計アプローチだ。
『MyGolfSpy 2025ゴルフボールテスト』では最長飛距離モデルではなかったものの、各ヘッドスピード帯で距離のばらつきが小さく、飛距離の予測がしやすい挙動を示した。最大値よりも「再現性」を重視するタイプの特性と言える。
ヘッドスピード別データ
高ヘッドスピード部門
平均トータル飛距離315.8ヤード(平均キャリーの飛距離284.5ヤード)、平均スピン量2,673rpm。スピン量は比較的低めに収まり、強めで伸びのある弾道傾向を示した。もともと打ち出し角が高いプレーヤーは、スピン過多を抑えやすく、「トータル飛距離」と「ショット範囲(左右のばらつき)」の安定につながる可能性がある。
中ヘッドスピード部門
平均トータル飛距離286.9ヤード(平均キャリーの飛距離251.5ヤード)、平均スピン量2,550rpm、打ち出し角は約12度。設計ターゲットに近い数値帯で、過度なスピン増加を抑えながらキャリーと直進性のバランスを保っている。
低ヘッドスピード部門
平均トータル飛距離219.4ヤード(平均キャリーの飛距離187.5ヤード)、平均スピン量3,170rpm。適度な滞空時間を確保しつつスピンが増えすぎない特性が見られた。一方で、ドライバーの「トータル飛距離」では上位モデルほどの伸びは示していない。
アイアンとウェッジでの性能
ブリヂストン「TOUR B RX」は、アイアンおよびウェッジにおいて中打ち出し×中スピンの特性を示す。弾道は安定しやすく、番手ごとの距離階段を崩しにくい傾向が見られる。
打ち出しは確保しやすく、アプローチではキャリーと落下後の挙動が読みやすい。一方で、同カテゴリーの中で最も高いスピン量を発生させるモデルではないため、最大限の止まりやすさを求めるゴルファーには物足りなさが残る可能性もある。
アイアン・ウェッジ詳細データ
高ヘッドスピードアイアン
平均スピン量約5,700rpm、打ち出し角19度。距離は確保しつつ、スピン量は中程度に収まる。グリーンを狙うには十分な「落下角度」を確保するが、より硬めのブリヂストン「TOUR B X」や「TOUR B XS」と比べると、強く止める性能では一歩譲る。
中ヘッドスピードアイアン
平均キャリーの飛距離144ヤード、平均スピン量約5,700rpm。高さと距離のバランスが取りやすく、番手ごとの距離階段を崩しにくい傾向が見られる。中ヘッドスピード帯では再現性の高い挙動を示した。
低ヘッドスピードアイアン
平均キャリーの飛距離117.8ヤード、平均スピン量4,438rpm。打ち出しは高めで滞空時間を確保しやすい。ラインから大きく外れにくい弾道傾向が見られ、球を上げたいゴルファーには扱いやすい特性だ。
ウェッジ
フルショット時の平均スピン量は約9,200rpm、35ヤードのピッチショットでは平均5,693rpm。実戦で距離を合わせるには十分なスピン量だが、プレミアムカテゴリーの中で最大級のスピン量を発生させるモデルではない。
評価できる点と検討すべき点
ゴルフボールには必ず設計上のバランスがある。ブリヂストン「TOUR B RX」が評価できる点と、他モデルと比較した際に検討すべき点を整理する。
評価できる点
✅ ドライバーでのスピン量が抑えられており、「トータル飛距離」を伸ばしやすい傾向がある。結果として「ショット範囲(左右のばらつき)」が安定しやすい特性が見られる。
✅ ヘッドスピード帯を問わず飛距離のばらつきが小さく、「キャリーの飛距離」と「トータル飛距離」の再現性が安定している。
✅ 中〜低ヘッドスピード帯でも打ち出しを確保しやすく、硬めのツアーボールで起こりがちなキャリー不足が出にくい。
✅ コンプレッションが抑えられているため、プレミアムウレタン特有の打感とコントロール性を維持しながら扱いやすさを確保している。
検討すべき点
❌アイアンおよびウェッジでのスピン量は中程度に収まる傾向があり、プレミアムカテゴリーの中で最も高いスピン量を求めるゴルファーには物足りなさが出る可能性がある。
❌高ヘッドスピード帯では弾道がやや抑えめになるため、もともと打ち出しが低いタイプの場合、「キャリーの飛距離」を最大化しにくいケースも考えられる。
❌価格帯はプレミアムツアーボールと同水準に位置するため、コスト重視で選ぶ層にとっては検討材料となる。
こんなゴルファーにおすすめ
ブリヂストン「TOUR B RX」は、次のようなタイプに適している。
・ヘッドスピード約47m/s未満で、過度な高コンプレッションを必要とせずにプレミアムウレタンの打感とコントロール性を求めるゴルファー。
・ドライバーでのスピン量を抑え、「トータル飛距離」と「ショット範囲(左右のばらつき)」の安定を重視するゴルファー。
・番手ごとの「キャリーの飛距離」のばらつきを抑え、距離感を安定させたいゴルファー。
・打ち出しを確保しやすく、結果を予測しやすいプレミアムウレタンボールを探しているゴルファー。
一方で、グリーン周りでより高いスピン量を求めるゴルファーや、高ヘッドスピード帯で弾道の高さとスピンコントロールを重視するプレーヤーは、ブリヂストン「TOUR B XS」や「TOUR B X」のほうが特性として合う可能性がある。
まとめ表
| ヘッドスピード | ドライバーパフォーマンス | アイアン/ウェッジパフォーマンス | 総評 |
|---|---|---|---|
| 高 |
合計315.8ヤード 低スピン(2,673rpm) 低めの打ち出し |
中スピン(約5,700rpm) 抑えめの弾道傾向 |
飛距離と安定性は確保。 最大級の止まりやすさを求める場合は他モデルが候補。 |
| 中 |
合計286.9ヤード 低スピン(2,550rpm) 中打ち出し |
中スピン(約5,700rpm) 高さを確保しやすい |
キャリーと再現性のバランスが良い。 一貫性を重視する層に適した特性。 |
| 低 |
合計219.4ヤード 中〜低スピン(3,170rpm) 中〜高打ち出し |
約4,400rpm 高めの弾道傾向 |
打ち出しを確保しやすい。 キャリー不足を感じる層に適する特性。 |
総評
ブリヂストン「TOUR B RX」は、ドライバーでの低スピン傾向と打ち出しの確保を両立しやすい設計アプローチを持つプレミアムウレタンボールだ。特にヘッドスピード約47m/s未満のゴルファーにとって、過度な高コンプレッションに頼らずに「キャリーの飛距離」と再現性を安定させやすい特性を示している。
一方で、グリーン周りで最大級のスピン量や強い止まりやすさを求める場合は、ブリヂストン「TOUR B X」や「TOUR B XS」が候補となる。
飛距離の最大値よりも、直線的な弾道傾向と予測しやすい挙動を重視するゴルファーにとって、「TOUR B RX」はバランスの取れた選択肢といえる。




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