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HONMA「T//WORLD」は何が変わった? 新アイアン&ウェッジ、3つの注目ポイント

BY JOHN BARBA

September 11, 2026

HONMA「T//WORLD」の新アイアン&ウェッジは何が変わったのか。「Tour V」「Tour Vx」「Tour Px」の設計思想から専用シャフト、ウェッジのソール設計まで、注目したい3つのポイントを紹介する。

日本のゴルファーにとって、「HONMA」の名前は説明するまでもないだろう。

しかし、北米市場でのHONMAの立ち位置は、日本とは少し事情が違う。

かつては北米でメジャーブランドの一角に食い込もうとしたものの、思うようなポジションを築くことはできなかった。何度かの仕切り直しを経て、現在は限られた層に向けた高級ブランドとして、改めて存在感を打ち出そうとしている。

少なくとも、「誰もが手にするためのゴルフブランド」を目指している価格ではない。

ただし、今回の話はそうした高価格帯のモデルについてではない。

2027年に向けてアップデートされたHONMA「T//WORLD」のフォージドアイアンとウェッジが登場した。

現時点では、まだ実物を手にしてはいない。だから、打感や性能についてここで結論を出すつもりはない。

ただ、これまでHONMAが送り出してきたクラブを振り返れば、ひとつ言えることがある。北米での市場シェアの小ささと、クラブそのものの品質や性能は、ほとんど別の話だ。

HONMAはこれまでも、品質が高く、しっかりと性能を備えたクラブを継続的に送り出してきた。

そして、もうひとつHONMAらしいのが、ときどき他社とは少し違ったアプローチを持ち込んでくることだ。

「なぜ、ほかのメーカーもこれをやらないのか?」

そう思わせるアイデアが、新しいT//WORLDにもいくつか盛り込まれている。

今回は、新しいT//WORLDのフォージドアイアンとフォージドウェッジから、特に気になった3つのポイントを見ていこう。

ポイント1:モデル名は同じでも、設計思想は大きく変わった

新しい「T//WORLD」アイアンは、モデル名こそこれまでと同じだが、中身には見逃せない違いがある。

「Tour V」と「Tour Vx」は、ともに一体鍛造。「Tour V」はセミキャビティバック、「Tour Vx」はよりオーソドックスなキャビティバック形状で、内部にタングステンウェイトを配置している。

一方、「Tour Px」は2ピース構造を採用。ロングアイアンには高強度の『Lカップフェース』を採用し、フェース厚にも変化を持たせながら、鍛造カーボンスチールボディと組み合わせている。カテゴリーとしては、いわゆる「上級者向け飛び系アイアン」に位置するモデルだ。

ただし、今回注目したいのは、単に構造が変わったことではない。

新しいモデルをこれまでと分けるポイントは、その設計思想にある。

「Tour V」と「Tour Vx」では、HONMAが日本シャフトと共同で、それぞれのアイアンに合わせた専用の「N.S.PRO MODUS³」シャフトを設計している。

つまり、既存のシャフトから相性の良いものを選んで組み合わせた、という話ではない。ヘッドとシャフトをそれぞれ別々に考えるのではなく、最初から組み合わせて設計しているところが今回のポイントだ。

「Tour V」は、インパクトでロフトを立て、強めのダウンブローで打ち込むゴルファーを想定したソールバウンスを採用している。

組み合わされる専用シャフトが「N.S.PRO MODUS³ Black」だ。HONMAと日本シャフトによれば、その特性は「N.S.PRO MODUS³ 120」に近く、中高弾道・中スピン。コントロール性を持たせながら、硬すぎるフィーリングにならないよう設計されているという。

大きな違いは重量で、「N.S.PRO MODUS³ Black」は108gだ。

一方、「Tour Vx」は「Tour V」よりもソールバウンスを大幅に抑え、入射角が浅いゴルファーを想定している。

こちらに組み合わされるのが「N.S.PRO MODUS³ Red」。重量は106.5gで、中調子となっている。

HONMAによれば、その性能特性は日本シャフトのラインナップでも特徴的な、より重量のある「N.S.PRO MODUS³ 130」に最も近いという。また、この重量帯でありながら、「N.S.PRO MODUS³ 120」よりも高弾道・高スピンになる傾向があるとしている。

少し意地悪な見方をすれば、「メーカー純正用に性能を落とした専用シャフトなのでは?」と思うかもしれない。

しかし、少なくとも今回については、その見方には無理がある。

HONMAは以前から独自シャフトを手掛けてきたメーカーだ。それに、日本シャフトが純正採用向けだからといって性能を落としたシャフトを作っている、あるいはそうした方向を目指していると考える根拠もない。

専用シャフトだからといって、何か裏があると考える必要はない。今回は、そのまま「それぞれのヘッドに合わせて設計されたシャフト」と受け取ってよさそうだ。

ポイント2:鍛造だけではない、「熱処理」も大きなポイント

HONMAは以前から、クラブづくりにおける職人技と鍛造技術を強みとしてきた。

前述したように、新しい「Tour V」と「Tour Vx」は、ともに「S15Cカーボンスチール」を使用した一体鍛造。「S15C」は、米国規格の「1015カーボンスチール」に相当する日本の鋼材だ。

今回、大きく変わったのが、HONMA独自の新しい『熱処理』だ。

HONMAによれば、この熱処理によってヘッド全体の剛性を高めているという。

その狙いは大きく2つある。ひとつは、一体鍛造アイアンでは得にくいボール初速を引き出すこと。そしてもうひとつが、インパクト時の振動を抑え、打感の向上につなげることだ。

つまり、新しい「Tour V」と「Tour Vx」では、鍛造素材だけでなく、その後の熱処理まで含めてヘッドの性能を作り込んでいる。

一方、「Tour Px」は2ピース構造を採用している。

5番から8番アイアンには、高強度クロムモリブデン鋼を使った『Lカップフェース』を採用。スコアリングアイアンには、同じ素材を使ったフラットフェースを組み合わせている。

このクロムモリブデン鋼は、Mizunoが採用するクロモリ鋼と組成が非常に近い素材だ。薄肉化しやすく、フェースに厚みの変化を持たせながら、ボディに支えられないフェース面積を広く取ることができる。

多ピース構造では、これによってフェースをより大きくたわませ、ボール初速につなげることができる。

ただし、薄く、たわみやすいフェースには別の課題もある。設計上、剛性が低くなるため、余分な振動が発生しやすくなることだ。

そこでHONMAは、バックフェースに振動を吸収する『リアバッジ(バックフェース側に配置した振動吸収パーツ)』を配置。ボディ内部にはフォームなどの充填材を使わず、このバッジで振動への対策を施している。

HONMAは、これによってインパクト時に心地よい打感が得られるとしている。

新しい「Tour Px」をまだ実際に打っていない以上、その打感について断定することはできない。ただ、従来の「Tour Px」がHONMAらしい打感を備えていたことは、これまでの経験から分かっている。

ポイント3:ウェッジ選びは、選択肢を減らしてシンプルに

新しいウェッジでは、HONMAは「T//WORLD」という名称を使わない。

名前はシンプルに「HONMA Wedge」だ。

そして、シンプルになったのは名前だけではない。

選べるソールグラインドは、基本的に「Cソール」と「Sソール」の2種類。

ウェッジ選びを簡単にしたいなら、そもそも選択肢を増やしすぎなければいい――。HONMAの考え方は、ある意味とても分かりやすい。

厳密にいえば、ソールグラインドは3種類ある。ただし、ゴルファーが実際に選ぶことになるのは2種類だけだ。

46〜52度には、HONMAが「Iソール」と呼ぶソールを採用している。「I」はおそらく「Iron(アイアン)」の頭文字だろう。これらのロフトはフルショットで使われることが多いため、HONMAのアイアンに近いソール設計となっている。

そして、54〜62度で選択できるのが「Sソール」と「Cソール」だ。

「Sソール」は、フルソールをベースにトレーリングエッジ側をわずかに削った形状。フェースをスクエアに構えたフルショットや3/4ショットに適しており、入射角が中程度から急なゴルファーを想定している。

フェースをあまり開いたり閉じたりせず、スクエアに使うことが多いなら、こちらが選びやすい。

対する「Cソール」は、ヒール側とトウ側を大きく削った形状で、ソールを下から見ると文字どおり「C」のように見える。

このリリーフによって、フェースを開いてもリーディングエッジが浮きにくい。フロップショットやカットスピンをかけるショット、繊細なピッチショット、タイトなライからのショットなど、フェースを操作してさまざまな打ち方をしたいゴルファーには「Cソール」のほうが対応しやすい。

その一方で、ミスヒットに対する寛容性は「Sソール」よりやや低い。また、深いディボット(ショット後に芝を大きく削り取る跡)を取るようなタイプのゴルファーには向いていない。

さらに、新しいHONMAウェッジには、HONMAが『HMSS(Honma Soft Stainless)』と呼ぶ素材が使われている。

「T//WORLD」アイアンとは異なり、このウェッジはステンレス鋼を使った鋳造だ。

HONMAによれば、鋳造でありながら十分にソフトな打感が得られるという。

さらに興味深いのが、ノーメッキ(Raw)仕上げについても「錆びない」としている点だ。

まとめ:新しい「T//WORLD」で見るべきポイント

北米市場でHONMAが他の大手ブランドから大きなシェアを奪う存在になるとは考えにくい。それでも、クラブそのものが注目に値しないということにはならない。

むしろ今回の新しい「T//WORLD」で興味深いのは、単に新しい素材やテクノロジーを追加したことではなく、それぞれのモデルで「どんなゴルファーが、どうクラブを使うのか」まで踏み込んで設計している点だ。

「Tour V」と「Tour Vx」では、入射角の違いに合わせてソールバウンスを変え、さらにそれぞれのヘッドに合わせた専用シャフトを日本シャフトと共同設計している。

「Tour Px」では、薄くたわむフェースによってボール初速を狙いながら、そこで生じる振動には『リアバッジ』で対応する。

ウェッジも同じだ。フェースをスクエアに使うことが多いなら「Sソール」、フェースを開くなど操作して使うなら「Cソール」と、選択肢そのものを絞ることで選び方を分かりやすくしている。

新しい「T//WORLD」を見るとき、モデル名や見た目だけで選ぶのではなく、自分の入射角やフェースの使い方まで考えてみる。

そこに、今回のHONMAが提示したクラブ選びの面白さがある。

日本では、「T//WORLD Tour V」「T//WORLD Vx」「T//WORLD Px」および「HONMA WEDGE」が2026年モデルとして本間ゴルフ公式オンラインショップで販売されている。

価格や各モデルの詳しいスペック、シャフト設定については、本間ゴルフ公式サイトで確認してほしい。

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著者情報

JOHN BARBA

ゴルフジャーナリスト
ゴルフ、ゴルフトラベル、そしてゴルフ文化を長年取材してきたジャーナリスト。
ニューハンプシャー州を拠点に活動し、現在も熱心なゴルファーとしてプレーを続けている。競技ゴルフだけでなく、コースの歴史や旅先で出会うゴルフの魅力、人々のストーリーに強い関心を持つ。
特にクラシックなゴルフ用品や伝統的なゴルフカルチャーへの造詣が深く、最新ギアから名器まで幅広い視点でゴルフを語ることができるのが持ち味だ。
ジョンにとってゴルフはスコアだけを競うものではない。人との出会い、旅、そして人生を楽しむための存在でもある。
「ゴルファーに本当に必要なのは、もっと長い日照時間だ。」
― ベン・ホーガン

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