ゴルフ用チッパーは、たとえそれが正当かどうかは別として、長年あまり良いイメージを持たれてこなかった。
しかし、その流れが変わったのが2022年。PINGが「ChipR(チッパー)」を発売したときだった。
それをきっかけにチッパーは一気に受け入れられ、今ではあらゆるレベルのゴルファーに支持される存在となっている。
チッパーとは?
チッパーとは、パターとウェッジを組み合わせたようなゴルフクラブのこと。そのロフト角は、パターとウェッジのちょうど中間あたりに設定されている。
このクラブは、特にグリーン周りでの安定したアプローチ。つまり「チップショット」を助けるために設計されている。
効果を発揮するのは、50ヤード以内の距離。フルスイングで使うクラブではなく、あくまでコンパクトな動きでコントロールするのが基本だ。

「チッパー」をキャディーバッグに入れるべきか?
では、どんなゴルファーがチッパーを使うべきなのか?
・芝が薄いライから、ボールをうまく拾えないゴルファー
・グリーン周りでダフリやトップが頻発するゴルファー
・チップショットのあと、いつもタップインパットとはいかないゴルファー
そんなプレーヤーにとって、チッパーは非常に頼れる1本だ。
チッパーは「安定性」「寛容性」「正確な距離感」を高める設計が施されており、ミスのリスクを抑えながら確実にピンに寄せるチャンスを広げてくれる。チッパーの使いどころ
チッパーは、サンドウェッジやピッチングウェッジほどロフト角が大きくない。一般的にロフトは30〜45度ほどで、どちらかというと“転がし寄せ”向きのクラブだ。
つまり、チッパーで打つと「ふわっと高く上がるピッチショット」にはならない。
(だからこそ、“ピッチャー”とは呼ばれないんだろうね)
チッパーが活躍するシチュエーション:・グリーン周りのフリンジで、パターかウェッジか迷うとき
・グリーンそばの軽いラフで、ピンまで転がせる状況のとき
・20〜40ヤードのアプローチで、ボールとカップの間に障害がないとき

チッパーはルール上使ってもOK?
結論から言うと、チッパーはルールに適合していれば「合法(ルール適合)」なクラブとして使用できる。
ただし、以下の条件を満たす必要がある:
・打球面は1つだけであること
→ 両面にフェースがあるチッパーや、裏面にパターのフェースがついているものはルール不適合となる。
・ロフト角が10度を超えていること
→ ロフトが10度以下だと、パターと見なされチッパーとしては使用できない。
また、長さ・形状・デザインなど、その他すべてのクラブ規則にも適合していなければならない。
たとえば、PINGの「ChipR」はルール適合クラブとして使用可能だ。
とはいえ、キャロウェイやミズノといった大手メーカーがチッパー市場に本格参入している様子はなく、タイトリスト「ボーケイ」シリーズのチッパーなんてものも、今のところ登場する気配はない。
ヘッド形状は間違いなく個性的で、すべてのゴルファーにとって“万能なウェッジ”というわけではないのも確かだ。
チッパーのロフト角とは?
一般的なチッパーのロフト角は30〜40度程度。たとえば、PINGの「ChipR」は38度のロフトを採用している。
さらに「ChipR」には、地面に刺さりにくいように設計された丸みのあるソール(『キャンバードソール』)が搭載されており、ライ角も68〜70度と、パターに近い角度になっているのが特徴だ。
チッパーのロフト角は、アイアンセットの仕様にもよるが、8番や9番アイアンとほぼ同じ。
では、なぜわざわざチッパーを使うのか?
確かにロフトは似ていても、クラブの役割や操作感はまったく異なる。
チッパーは、パッティングのようなストロークで打つのが基本。ボールはわずかに浮いて、すぐに転がり始め、ターゲットに向かってスムーズに寄っていく。
このシンプルな動きによって、ミスのリスクが大幅に減るのが最大のメリットだ。

チッパーのライ角とは?
チッパーのライ角は、おおよそ68〜70度が一般的。これはパターのライ角に非常に近く、パッティングのような構えとストロークが取りやすい設計になっている。
このようなライ角により、アプローチでもパター感覚でシンプルに打てるのがチッパーの大きな特徴だ。
チッパーの使い方は?
すべてのチッパーは少しずつ設計が異なるため、ロフト角やクラブ全体のフィーリングに合わせて使い方を調整する必要がある。
基本的な使い方は以下の通り:
・チッパーは、アイアンを握るときと同じグリップで握るのが基本。
・フルスイングのときよりもボールに近づき、スタンスは狭めに構えるのがポイント。
・手首のコックや体重移動は使わず、振り子のようなシンプルなスイングで打つ。
・スイング軌道の最下点でボールをとらえ、クラブヘッドをターゲット方向へしっかり振り抜く。
・ボールは1〜2回バウンドしたあと、転がりながらカップへ向かっていく。
おすすめのチッパー一覧
「チッパーが自分に合うかも」と感じたなら、ぜひチェックしておきたい注目モデルがいくつかある。
PING 「ChipR」

グリーン周りのコントロール性と精度を高めるために設計された高性能チッパー。
低重心設計と大きめのフェースが特徴で、安定した転がりを実現。クラシックなPINGらしい洗練された見た目を保ちつつ、ブレード型ウェッジとは異なる独自のスタイルに仕上がっている。
マゼル ゴルフチッパー
手頃な価格ながら汎用性に優れたチッパーで、初心者にも人気のモデル。
グリーンを行ったり来たりするようなアプローチミスに悩んでいる人にとって、頼れる一本になってくれるはずだ。

クリーブランド「Smart Sole C」
クリーブランドの「Smart Sole C」は、非常に広いソールとやわらかい打感が特徴のチッパー。ショートチップで安定したパフォーマンスを発揮し、再現性の高さが魅力。
アマチュアゴルファーに定評のあるクリーブランドのウェッジテクノロジーが、ここにも活かされている。

ウィルソン「Harmonized(ハーモナイズド) チッパー」
コストパフォーマンス重視のゴルファーにおすすめのチッパー。
高級感のあるルックスにはこだわらないけれど、チッパーの効果をまず試してみたいという人にはぴったりの1本だ。

アリアス「ゴルフ カナダTB-30」
カナダの小規模メーカーが手がけるチッパーで、最大の特徴は「ゼロオフセット」設計。
現在、MyGolfSpyフォーラムでテスト中の注目モデルで、個性的なデザインと手頃な価格が魅力の高コスパチッパーだ。
まとめ
多くのアマチュアゴルファーにとって、ロブウェッジよりもチッパーのほうが実戦的で効果的かもしれない。
もしあなたが、7番・8番・9番アイアンを使って距離に応じたチップショットを安定して打てるなら、チッパーは必要ないかもしれない。
しかし、アプローチでショートしたりオーバーしたり、ダフリやトップが続くようなら、チッパーは安定感をもたらし、ピンに寄る確率を確実に高めてくれる。
チッパーをもっとクールな存在にしよう。だって、ピンそばのタップインに寄せるチップショットほど、ゴルフでカッコいい瞬間ってそうそうないでしょ?

FAQ
なぜチッパーを使う人が少ないのか?
チッパーは長年、「初心者向けのクラブ」というイメージがつきまとい、“カッコ悪い”という先入観から敬遠されがちだった。
確かに、ソールグラインドのバリエーションがなかったり、トップラインがやや厚めだったりと、見た目やカスタマイズ性では他のウェッジに劣る部分もある。
それでも、ショートゲームに悩むゴルファーにとっては強い味方になり得るクラブであることに変わりはない。実際に使ってみれば、その実用性に驚く人も少なくないはずだ。
PING ChipRのロフト角は?
PING「ChipR」のロフト角は38度。
両面チッパーは違法?
USGAおよびR&Aの規則によれば、チッパーはパターではなくアイアンと同じ規定に従う必要がある。
そのため、フェースは1つだけでなければならず、「両面チッパー」はゴルフ規則上、使用が認められていない。
プロゴルファーはチッパーを使うの?
ルール適合のチッパーであれば、プロゴルファーも使用可能だ。ただし、現在ツアーで実際にチッパーを使っているプロは確認されていない。
その理由は、プロにとってはスピン量のコントロールや操作性のほうが重要だから。チッパーが持つような高い寛容性を、プロはそれほど必要としていないのが実情だ。
チッパーにスピンはかかるの?
チッパーは、強いバックスピンをかけるタイプのクラブではない。ロフト角が低く、打ち出しも低めな設計のため、主に“転がし寄せ”向けに設計されている。
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