コブラ「RADSPEED」フェアウェイウッドおよびハイブリッド〜主な注目点~

・2021年、コブラは「RADSPEED」モデルのフェアウェイウッド3モデルとハイブリッド2モデルを発売

・「RADSPEED Draw」フェアウェイウッドは、コブラが主要商品としては初めて手掛けた「つかまる」フェアウェイウッドとなる

・小売価格はフェアウェイウッドが$279、ハイブリッドが$229。2021年1月29日発売

「RADSPEED」ドライバーと同様に、「RADSPEED」フェアウェイウッドとハイブリッドは、非常に優れた「ウエイトシステム」と大胆な「設計工学」によって成り立っている。

まあ、私はコブラが開けた扉を通り抜けているだけだから。

1980年代の「レキシコン(※訳注:古典語の辞典、用語集)」はさておき、「RADSPEED」フェアウェイウッドとハイブリッドは、「RADSPEED」ドライバーの技術的プラットフォームと美学をかなりの部分で継承している。

しかし、最も重要な土台となるのは基軸である「ラディアルウエイト(慣性半径)」だ。

結局のところ、RADは“そのため”にあるのだ。


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コブラRADSPEEDフェアウェイウッド

たいていの場合、ドライバーに当てはまることは、フェアウェイウッドやハイブリッドにおいても大部分は正しい。

基軸となる技術、素材、美学、命名規則などがその例だ。少なくとも大部分はそうだ。

我々は未だにドライバーを中心に考えがちで、消費者は同じシリーズのフェアウェイウッドとハイブリッドを両方選ぶことが当たり前のようになっている。誤った“等価関係”とはいえ、ゴルファーの気持ちは理解できる。

自分自身、もし最高に合うドライバーを見つけられて、そしてフェアウェイウッドとハイブリッドがかなりの部分で同じテイストだった場合には、そのシリーズを選ぶ可能性はある。

しかし、フェアウェイウッドとハイブリッドは、ファーストフードのセットにおける“同列のサイドメニュー”ではない。したがって、消費者はそれぞれを別々に評価するのが賢明だろう。


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コブラRADSPEEDフェアウェイウッド

「RADSPEEDシリーズ」のフェアウェイウッドには3つのモデルがある。厳密に解釈するなら、実際には3.5モデルと言うべきだが。

「RADSPEED」は、バランスのとれた性能を求めるゴルファーの大半にフィットする、最多層に向けたモデルだ。

「RADSPEED Draw」は新たな領域を切り開き、コブラの主力商品としては初の「つかまる」フェアウェイウッド。

より上級者向けには、「RADSPEED Tour」と「RADSPEED Big Tour」モデルが用意されている。

では、それぞれのモデルについて詳しく見てみよう。



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3種類のモデル

繰り返しになるが、シリーズ全体に共通しているのは「ラディアルウエイトシステム」だ。これは、基本的には重心に対するウエイトの戦略的な配置についての“聞こえのいい呼び名”だ。

「重心」はどのクラブにもある。多くのエンジニアが重心以外のことに集中すればするほど、そのウエイトがパフォーマンスに影響を与えることになる。少なくとも、理論的にはそうなっている。

「CNCミルド」加工されたフェースは、今ではコブラのメタルウッド技術の定番となっている。コブラによると、ミルド加工は手磨きに比べて「5倍も精度が高い」という。

また、フェースのより大きな部分で、より安定したCT値が得られる。その結果、番手間の一貫性が向上し、オフセンターヒットにおけるボールスピードの低下を抑えることが期待できる。

「CNCミルドフェース」は3つのモデル全てに搭載されているが、コブラの「インフィニティフェース」が搭載されているのは、スタンダードモデルの「RADSPEED」と「RADSPEED Draw」のみ。

コブラは、ツアープレーヤーからの要望とアライメント上の問題を理由に、「RAD Speed Tour」と「RAD Speed Big Tour」から「インフィニティフェース」を取り除いた。


コブラ「RADSPEED」のクラウンとレール

クラブデザインにおいて、ウエイトとは、つまり“通貨”のこと。エンジニアが操作して性能を変化させる、限りある資源であり、「見つけ出して再配分するゲーム」だ。

「RADSPEED」フェアウェイウッドでは、「薄層カーボンクラウン」(30%薄く6g軽い)と「中空スプリットレール」を採用することで、貴重な「戦利品(=余剰ウエイト)」を作り出すことができる。

さらに、「中空スプリットレール」には、フレックスを稼げるという付加価値もある。コブラによると、PGAツアーの平均スイングスピード、49.17m/sの場合、「ホットスポット(別名スイートスポット)」が70%増となる。

それに比べると、ほとんどの人にとって恩恵はだいぶ少なくなるとはいえ、多少でも何もないよりはマシというものだ。念のために数値好きのために言っておくと、中空レールは10gの余剰ウエイトを作り出す。

機能的には、中空レールはスキーチップのような役割を果たす。インパクト時により効率的なボールとクラブの相互作用をもたらすため、多少ダフってもボールスピードへの影響が抑えられる。たまたま私はその手のショットの専門家であるがゆえ。

「RADSPEED Big Tour」だけが例外で、以前の(より手頃な価格の)「SpeedZone Big Tour」と同じ「フェイクレールデザイン」を採用している。


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RADウエイトを散りばめて

総裁量ウエイトは23g。そして予想に違わず、コブラはターゲットゴルファーの特性に見合った重量配分をしている。

「RADSPEED Tour」と「Big Tour」では、23 g全てがフェース(中央手前)に向かって配置されている。これにより、重心位置を少し前に押し出すことが可能になる。

「RADSPEED Big Tour」の場合、重心はまだかなり低く、中立軸の真上(もしくはその少し上)に位置している。

その結果「RADSPEED Big Tour」は、3つの「RADSPEEDモデル」の中で、最も“打ち出し角が高く”、最も“スピン量の少ない”モデルとなっている。

スタンダードの「RADSPEED」フェアウェイウッドでは、7gのウエイトがクラブヘッドの低い位置/後方に、8gのウエイト2個がフェースに近い位置に配置されている。

3つのモデルの中で最もニュートラルなウエイト配分だ。

「RADSPEED Draw」では、エンジニアは23gのウエイト全てを低く、ヒールに向かって押し込んだ。

全ての条件が同じであれば、クラブのヒール側に重量があると、(右利きのプレーヤーにとって)ボールを右から左に動かしやすくなる。逆もまた然りだ。

コブラは、飛距離について強引な主張をしたり屁理屈を並べたりはしない。

我々が暮らす今の世の中では進歩は徐々に起こるもので、つまり急激な飛躍や二桁ヤードの飛距離増ではなく、一歩ずつの上達やちょっとした飛距離の話をしているわけだ。


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コブラ「RADSPEED」の純正シャフトおよびロフト角

「RADSPEEDシリーズ」の純正シャフトは以下の通り:

・高打ち出し角/中スピン量:Project X EvenFlow Riptide Blue

・中打ち出し角/中スピン量:フジクラ Motore F3

・低打ち出し角/低スピン量:フジクラ Motore F1


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コブラ「RADSPEED」ハイブリッド

コブラはそうは言わないだろうが、「RADSPEED」のハイブリッドはなんとなくリセットされているように見える。

数世代前までさかのぼってみると、「F9」モデルはアイアンの同等品よりも短かったし、一応言っておくと、短いものは売れない。

さて今回のコブラは、「超低重心・超低スピン」をコンセプトにしている。歴史的にコブラはハイブリッドの設計に関して、後方重心のメーカーだった。

しかし、今回の「RADSPEED」ハイブリッドでCOBRAはその方向性を変えようとしている。

ウエイトを前方に置くことで、重心をより低く、よりフェースに近づけてシフトできる。

具体的には、コブラはスタンダードのRADSPEEDフェアウェイウッドと同様のウエイト構成を採用。ハイブリッドでは低/後方に7gのウエイトを1つ、前方に6gを2つ使用している。

内部テストの結果では、「RADSPEED」は割引価格の「SpeedZone」ハイブリッドよりも5ヤード、主要な競合他社の製品よりも4〜9ヤード飛んでいる。

これは、より最適な打ち出し条件によって飛距離が伸びたという単純事例だ。

コブラ「RADSPEED」フェアウェイメタル同様、「RADSPEED」ハイブリッドは「中空スピードレール」を採用しているが、フェースは「CNCミルドフェース」ではなく「鍛造インサート」になる。

スタンダードの「RADSPEED」ハイブリッドとワンレングスの「RADSPEED」ハイブリッドは、どちらも固定ロフト角(無調整)。

スタンダードモデルは17°、19°、21°、24°(右利き用/左利き用)のロフトラインナップ。ワンレングスも17°、19°、21°、24°(右利き用/左利き用)だ。


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コブラ「RADSPEED」の価格および発売時期

コブラ「RADSPEEDシリーズ」のフェアウェイウッドとハイブリッドは、2021年1月15日に先行販売開始。全店舗での販売開始はその2週間後になる。

小売価格はフェアウェイウッドが$279、スタンダードおよびワンレングスのハイブリッドが$229。

「RADSPEED」の陳列スペースを確保するために、先代の「SpeedZone」のフェアウェイウッドは大幅に値引きされている。

ドライバー3モデルとアイアンセット2モデルの新製品も「RADSPEED」のラインナップに含まれている。