アイアンショットを打つなら、本当は芝の上から打ちたい。
芝は、ダフリをごまかしてくれないからだ。クラブがボールに当たり、そのあと地面に入る。ボールを先にとらえたのか、それとも手前から入ったのか。その違いが結果にはっきり表れる。
しかし、多くの打ちっぱなしでは、人工マットから打つことになる。だからといって、マットでの練習に意味がないわけではない。
問題は、人工マットと芝から同じ情報が得られると思ってしまうことだ。
人工マットでは、ボールの手前からヘッドが入っても、クラブがマットの上を滑ったり跳ねたりして、それなりの球が飛んでしまうことがある。
「今日はアイアンの調子がいい」と思って練習場を後にしたのに、コースでは最初のアプローチからダフる。そんなことが起こるのは、人工マットがミスを隠していたからかもしれない。
だから、人工マットで練習するときには、芝とは少し違う見方が必要になる。
ここからは、いつもの打ちっぱなしをもっと意味のある練習に変えるための、5つのポイントを紹介しよう。
1. ボールの行方より、まず「打音」と「打感」を確認する
人工マットでは、ボールの飛び方だけを見ているとミスに気づかないことがある。しかし、打音や打感にはミスのサインが残りやすい。
アイアンでボールをクリーンにとらえたときは、比較的シャープな打音になる。一方、ボールより先にマットを叩くと、ボールが飛び出す前に「ドスッ」という鈍い音や衝撃を感じることがある。
ボールがそれなりに飛んだからといって、ナイスショットだったと判断しないこと。 人工マットがミスを助けてくれただけかもしれない。
もっと分かりやすく確認したいなら、ボールの7〜8cmほど後ろに薄いタオルを置いてみよう。
まずはピッチングウェッジのハーフスイングから始める。タオルには触れず、ボールを打ってからクラブがマットに触れるようにする。
何度もタオルに当たるなら、ボールがきれいに飛んでいたとしても、スイングの最下点がボールより手前になっている可能性が高い。
安定してタオルに触れなくなってから、少しずつボールとの距離を縮めていこう。
2. フェースに「証拠」を残す
「今のはいい当たりだった気がする」
それだけでは、練習の判断材料としては十分ではない。
クラブフェースに打点確認用スプレーを吹きかけるか、インパクトテープを貼って5球打ってみよう。そして、1球ずつではなく5球全体の打点を見る。
5球ともフェース中央付近の狭い範囲に集まっているならいい。
しかし、1球だけ中央に当たり、残り4球がヒールからトウまでバラバラなら、「打点が安定している」とは言えない。たまたま1球だけうまく当たった可能性がある。
次に、その打点と実際の球筋を照らし合わせる。
トウ寄りやヒール寄りの打点は、ボールの飛び方にも影響する。そのため、ボールが曲がったからといって、すべてを同じスイング軌道の問題だと決めつけないことだ。

3. 毎回同じライだからこそ「比較実験」に使う
人工マットでは、毎回ほぼ同じライから打つことになる。
コースのさまざまな状況を再現するという意味では弱点だが、何かを比較したいときには、むしろメリットになる。
まず普段通りのアドレスで3球打つ。
次に、ボール位置、アライメント、スイングの大きさなど、どれかひとつだけを変えて、さらに3球打ってみよう。
クラブとターゲットは同じにしておく。
6球打ち終えたら、2つのグループを比較する。打点の安定性や球筋のばらつきに、どんな違いが出たかを確認しよう。
変える条件はひとつだけ。3球ずつの結果を比べる。
そうすれば、何が結果に影響したのかを判断しやすい。
避けたいのは、1球打つたびに何かを変えることだ。1球目のあとにグリップを変え、次はバックスイング、その次はボール位置……。これでは何が結果を変えたのか分からなくなる。
せっかく毎回ほぼ同じ条件から打てるのだから、そのメリットを比較に活かそう。
4. マットの線にアドレスを決めさせない
人工マットの縁、打席の仕切り、ゴムティー。
練習場には、方向を意識させる直線がたくさんある。そのため、気づかないうちにマットの線に沿って構えてしまうことがある。
しかし、その線が自分の狙っているターゲットを向いているとは限らない。
ボールの外側15〜20cmほどの位置に、実際のターゲットラインと平行になるようアライメントスティック(方向を確認するための棒)を置いてみよう。
5球打ったら別のターゲットを選び、もう一度アライメントを取り直す。
ポイントは、ターゲットを変えるたびに自分で狙い直すことだ。
コースに出れば、足元にターゲットときれいに平行な四角いマットは用意されていない。
5. 最後の12球は「練習」ではなく「ラウンド」にする
人工マットでの練習で避けたいのが、残ったボールを同じクラブで次々と打って終わることだ。
むしろ最後の数球ほど、1球ずつ集中して打ちたい。
そこで、最後の12球で4ホールの仮想ラウンドをしてみよう。
1ホールにつき、
ティーショット → セカンドショット → ウェッジまたはショートゲーム
の3球を打つ。
4ホールで合計12球だ。
ショットごとにクラブとターゲットを変え、一度打席を外してから、普段コースで行っているルーティンで次の1球を打つ。
そして、そのショットが実際のコースなら次のプレーにつなげられる範囲に収まったかを判断する。
気に入らない球が出ても打ち直してはいけない。仮想ラウンドにも「なかったことにしてもう1球」はなしだ。
最後に、12球のうち何球が自分の合格ラインをクリアしたか記録しておこう。次回は、その数字を上回ることを目標にする。
人工マットだからできる練習もある
人工マットでは、本物の芝をクラブがどう抜けたのかは分からない。ラフやバンカー、傾斜地からボールがどう飛ぶかを再現することもできない。
それは、コースや芝の上で確認すればいい。
一方で人工マットでも、打点を確認する、アライメントをチェックする、ひとつの変更による違いを比較する、そして少しプレッシャーをかけて1球ずつ打つことはできる。
人工マットから得られる情報は、しっかり練習に活用しよう。



