1953年偉大なプロゴルファー、ベン・ホーガンは4大メジャーの内3つの勝利を手中に収めた。残りのひとつはプレーしていなかったとしたら?

そして、ベン・ホーガンと同じように、ミズノは2019 MyGolfSpy Most Wanted(ランキング)アイアン4タイトルのうち3つを獲得した(初級者向けアイアンを獲得できれば全制覇だった!)。

では次に期待するのは?もちろん、2020年ラインナップだ。

まずは先日アップしたミズノの新作MP-20アイアンに関する記事にざっと目を通してほしい。

そして今日紹介するのが、Most Wanted勝者であり、2017年 Most Wanted Wedge(ウェッジ部門ランキング)1位のT7の後継モデルであるT20ウェッジだ。

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ウェッジの調律

ここ2年、ミズノは全商品のラインナップをさらに合理的に調整をかけてきた。

そして今、モダンでテクノロジーを中心としたJPXラインや、クリーンでシンプル、かつクラシックなMPライン、他に類をみないST/GTメタルウッドシリーズと大きく分類している。

通常、ミズノは毎年新ウェッジをリリースし、大きめのフェースが特徴のSシリーズか、よりコンパクトなTシリーズを繰り返していたが、2015年はその構図ががらりと変わった。

その秋、ミズノはMP-25とMP-5アイアンに合わせてS5ウェッジを発売した。

他のウェッジよりもわずかに大きくやさしいウェッジだが、Sシリーズ(後の後継モデルはRシリーズ)はJPXラインに合理的にフィットしている。

そのような調整が続けられ、2016年秋に発売されたT7は、MPラインの方が確実に適切だったはずだが、JPX 900に合わせて発売された。ある時点で、ウェッジをアイアンシリーズに合わせる方が合理的だとの判断に至ったのだろう。

そのため、JPX 919が昨年発売された時、T7のアップデートというより、S18にBule Ionモデルを加えてラインを一新することを選んだ。

一方でT20は、MP-20発売のタイミングまで延期する形となった。

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「会社の売上を考えると、厳しい選択だ。ミズノのウェッジシェアは、通常おおよそ5.5~6%と予測できる。ところが、基本的に新作ウェッジが発売されても前モデルのウェッジを抱えているため、シェアは3.5%ほど落ち込んだ。このような状況は予測がついたが、919シリーズが根強い人気を誇っているため我慢するしかないと考えている。」(ミズノゴルフ ブランドマネジャー クリス・ヴォーシャル氏)

それでは新T20モデルの目玉は何だろうか?「ハイドロフロー・マイクログルーブ」はゴルファーの心を掴むのか?



 

安定性はグルーブから

「このウェッジの特技は、いかなるコンディションでも安定したショットをもたらすこと。それが一番の目的だ。気候や湿気が違えば、打ち出しは驚くほど異なる。」という。

デシャンボーが、ボールに水をかけて、どれくらいウェッジパフォーマンスに影響するのか確認するのを見て笑うかもしれないが、決して間違ってはいない。

水に濡れた状態では、スピン量が30%以上減り、驚く程打ち出し角が大きくなる。Glideウェッジ発売時に、「疎水性」というゴルフ用語を初めて持ち出したのはピンだった。

疎水性とは、水分を飛ばす仕様のことをいう。それ以来、グルーブの主な役割は水分を発散させることになった。グルーブと疎水性がキーワードと分かれば、ミズノが便乗したのも納得である。

そこでミズノはウェッジフェース底部にスコアラインを加えた上に、水分をコントロールするためのフェースミーリングを増やして「ハイドロフロー・マイクロ・グルーブ」を作った。

T7とS18は、繰り返し行われるフェースミーリングが特徴で、クリーブランドのRotexミーリングに似ているが、一方のT20にはインパクトの場所に垂直のミーリングが追加されている。

「タイヤのダイレクショナルトレッド機能に似ている。表面を粗削りして摩擦を生じさせるが、物理的には水の流れを止める作用がある。」(ミズノ ボーシャル氏)

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では、「ハイドロ・マイクロ・グルーブ」の効果はいかほどか?ミズノによると、かなりの効果が期待できるという。

「テストでは、グルーブなしで30ヤード、60ヤードショット共に相当のスピン量が落ちるという結果が出ている。マイクロ・グルーブがあると、ドライコンディションと変わらないスピン量を維持できる。」

競合品との比較テストを行った結果、T20ウェッジは大健闘を見せた。

今回、ボーケイとクリーブランドを使い、ドライ・ウェットコンディションでのスピン量と打ち出し角を比較した。

SM7とRTX4と比べて、ドライコンディションでのT20のバックスピン量は少なかったが、ウェットコンディションでのスピン量の減少は最小限に抑えた。

「フェアウェイの真ん中から打った時のスピン量だけをみたら、SM7の方が優れているかもしれないが、ボールを打つ時のコンディションは常に変わることを認識しなければならない。このような状況下で役立つのが、マイクロ・グルーブだ。」

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ここでの問題が、マイクロ・グルーブの耐久性だ。

T20ウェッジは、前モデル同様グルーブの寿命を保つボロン鋼仕様の1025カーボンフォージドだ。マイクロ・グルーブ自体は、耐久性と保護工程に入る前にフェースにエッチングを施す。

「実際の目で見ても、マイクロ・グルーブ自体は確認できない。


 

グラインドゲーム

表示上のバウンス角と、実際に得られるバウンス角にどれくらいの差があるのか?

TS20の開発にあたり、ミズノは従来の競合ウェッジ(ボーケイ SM5・SM6・SM7、クリーブランドRTX3)の打ち出しを測り、興味深い不一致を発見した。

ミズノのテストによると、クリーブランド60度ウェッジのバウンス角を実際に計測すると、表示より3度から4.5度大きい。よりグラインドが強いボーケイMグラインドの実際のバウンス角は、2度~6.5度高く、FやKグラインドは表示バウンス角より小さい。

これは然程驚くべきことではない。

ゴルファーが虚栄心から自分に適したロフト角より小さいドライバーを購入することがよくあるが、それと同じように必要以上に小さいバウンス角のウェッジを使う傾向があるためだ。

バウンス角は、ゴルファーにとって切っても切り離せない関係だ。

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ミズノは、T20のバウンス角は正確だと断言する(サンプルを確認する必要があるが)。さらに、グラインドはMP-20アイアンに合うように設計されている。

ロフトの小さいウェッジは、主にフルショットで使うため、標準ソールを採用しているが、ロフトの大きいウェッジはコースコンディションやショットタイプ、スキルに合わせられるようにMグラインドか、より強いCグラインドを特徴とする。

さらに、T20はロフトごとに大きくなる進化版ティアドロップヘッドを特徴とし、アイアンセットとの相性も抜群だ。

ミズノによると、T20のスイートエリアはT7よりも大きく高めの設定で、非常に素晴らしい打ち出しと安定したスピンが得られるという。

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スペック・価格・販売予定

ミズノT20ウェッジは、2度ごとのロフト設定で46度~60度まで揃う。56度から60度は、MグラインドかCグラインドで、右利き、左利き用共にサテンクロム仕上げだ。

ブルーイオン仕上げは、右利き用のみ。

また、特注すればノーメッキバージョン(右利きのみ)も可能。注意するべき点は、仕上げがないためハイドロ・マイクロ・グルーブが仕上げありのバージョンより耐久性が弱くなる。

私の経験では、ブルーイオン仕上げはソールからすり減りやすいが、フェースは比較的よく保つ。

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シャフトはDynamic Gold Tour Issue Wedge、グリップはGolf Pride フルコードZグリップを装備。従来通り、有料・無料共にアップグレードシャフトやグリップが豊富に用意されている。

価格は、150ドル。9月5日より事前販売、9月20日より販売開始。