・PING(ピン)「2023パター」シリーズは全10モデル、新作に加え再構築されたクラシックモデルも登場

・フェース加工は「ミルド」と「PEBAXインサート」の2種

・9月13日予約開始、希望小売価格300ドル


PINGは2023年モデルのパターで変化球を投げてきた。とは言っても、パター自体が特に変わっているわけではない。今回のリリースに通ずるテーマが“変わり種”なのだ。あるいはテーマの欠如、と言うべきか。

新作パターのリリースでは通常、シリーズに共通するいくつかの新しい技術が紹介されるものだ。何かしらの新しい仕掛けなり技術なりを開発して、それを中心にパターを作るわけだ。何年にも渡ってあらゆるメーカーがそうやってパターを生み出してきた。

例えばオデッセイでは全てに『Stroke Lab(ストロークラボ)』シャフトが装着され、テーラーメイドではほとんどのパターに『PureRoll(ピュアロール)』インサートが施されている。最後に丸いソールウエイトのないスコッティキャメロンのパターを見たのは…いつだったかもう思い出せないだろう。

当然のことながら、PINGには、革新的なパター設計と、その革新性を体現する長い歴史が存在する。

近年では「Heppler(ヘプラー)」の『フラットフェース』、「Sigma 2(シグマ2)」の『アジャスタブルシャフト』と複数モデルに採用されている『TR溝』があり、それぞれのモデルが“核となる技術”から構築されていることがわかる。

しかし2023年、PINGのデザインチームは異なるアプローチをとった。シリーズに共通するような何かひとつの技術ではなく、それぞれのパターそのものに注力することを選んだのだ。


PING(ピン)“名無し”の2023年パターラインアップ

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2023年モデルのPINGパターは何か違うぞと気づく最初のヒントは、そのラインナップに正式な“名前がない”ということだ。もちろんモデル毎にそれぞれ個別の名前はあるが、シリーズ自体は名無し。マーケティングの観点からするとこれは危険な賭けだろう。

果たして、キャッチーな名前なしでオンラインや実店舗で消費者にアピールすることは可能なのだろうか?

PINGのような技術の開発ありきのメーカーにとって、シリーズ名がないのには何か理由があるはず。PINGの創業者カーステン・ソルハイムさん、どうか私たちに教えてくれないか。

「今回の新モデルで最もエキサイティングなのは、それぞれのモデルがどのくらい異なっているかということだ。技術者たちは、全てのモデルに 1つの共通技術を施すのではなく、実証済みの革新技術を様々なヘッドに適用し、人気の高いパターの性能を向上させるとともに、新作モデルまで導入した」と、PINGのCEO兼社長、ジョン・K・ソルハイム氏。

つまり、PINGの「2023パター」には共通するテクノロジーがなく、それ故に共通する名前がないということ。共通の物理的特徴から分岐するのではなく、共通の機能に収束していると。そう、“たったひとつの技術革新”にはとどまりませんよと遠回しに言っているわけだ。

PINGの名無しの「2023パター」シリーズの目標は、どのヘッドにおいてもパットが入る確率を最大限にすること。これを実現するために、PINGは“核となる技術”の解釈ではなく、個々のヘッドにアプローチしたのだ。

前述したように、これは発散的ではなく収束的なアプローチであり、ゴルフメーカーではあまり見られない、いや、全く前例のないやり方だ。


PING(ピン)「2023パター」シリーズにおける技術:フェース

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10種類のPING「2023パター」に共通するデザイン要素はないかもしれないが、共通の機能はいくつかある。中でも最もわかりやすいのは「フェース構造」だ。

デザインの中には、シャローミルドのメタルフェースもあれば、長方形の「PEBAXインサート」を備えたものもある。機能的には「ミルド」と「インサート」の違いはわかりやすい。ミルドフェースはポリマーインサートよりもインパクト時にしっかりとした手応えを感じる。

例を出すとミルドフェースの「ANSER(アンサー)」は、「PEBAXフェース」の「アンサーDS」よりもはるかに硬い。「カチッという音とドスンという音」の違いとでも言おうか。


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では何故「アンサー」ではミルドフェースで、「アンサーDS」はインサートなのか?PINGのエンジニアはこの問いに答えるべきだ。「このシリーズのテーマからすると、「アンサー」はミルドフェースの方がいいし、「アンサー DS」はインサートの方がいいから」、みたいな身も蓋もないことを言われるとは思うけど。


PING(ピン)「2023パター」シリーズにおけるテクノロジー:タングステン

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「2023パター」の半分は「タングステンウエイト」を備えている。個人的にはずっとPINGのタングステンプラグをユニークなデザインの特徴と考えていたので、これは大歓迎。

何年もの間、タングステンプラグを装備していたのはPINGのプロ用パターと「PING WRX」のカスタムオーダーだけだったから。小売用のパターシリーズでこういう緻密なデザインの細部を見られるなんて幸せなことだ。

私のようなパター愛好家は見た目の美しさからタングステンに執着するが、PINGのエンジニアはただ必要という理由で「2023パター」にタングステンを搭載した。例えば「DS72」ヘッドを見て欲しい。センターシャフトの「DS 72 C」はフェースにタングステンが入っているが、ヒールシャフトの「DS72」には入っていない。何故だ?

それはおそらく、最適なパフォーマンスを得るために「DS72 C (370グラム)」は「DS72 (365グラム)」よりも少々重くあるべきだという結論に至っただけなのだろう。


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すべてのパターにタングステンを搭載すれば視覚的に統一感のあるシリーズになっただろうが、PINGは必要なところにのみ採用することを選んだ。このシリーズで見られる他の技術についても同じことが言える。

あるモデルはカーボンシャフトだが、別のモデルはスチールシャフトを。また大型マレットはアルミニウム製だが、それ以外はすべて「304ステンレススチール製」を使用など。それは何故か?

アルミニウム製の「アンサー」は、完全ステンレススチール製の「Tomcat 14(トムキャット14)」のように機能させるには軽すぎる可能性があるからだろう。

ある時点で、このテーマのないリリースのテーマは見逃しようがなくなる:すなわち、それぞれに必要なものを使い、ベストな状態に仕上るということ。


PING(ピン)「2023パター」各モデル


PINGは、「2023パター」シリーズで幅広いモデルを展開している。クラシックモデルの「ANSER(アンサー)」はもちろん、カーステン・ソルハイム氏によるもうひとつのオリジナルデザインである「CUSHIN 4(クッシン4)」。また、「TOMCAT 14(トムキャット14)」や「PRIME TYNE 4(プライムタイン4)」など新しめのヘッドもある。

さらに新作「TYNE G(タインG)」は、「TYNE(タイン)」と「FETCH(フェッチ)」が結ばれてできた子供のようなもの。そして、こちらも新作「MUNDY(マンディー)」マレットは、PINGの初代ビジネスマネージャーであり長年勤めたジャック・マンディー氏にちなんで名付けられている。

PINGの「2023パター」シリーズには、「ストレート」、「スライトアーク」、および「ストロングアーク」というストローク軌道に合うモデルが用意されている。異なるアークバリエーションで注文できるヘッドもいくつかある。


モデル比較図

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上のチャートは、様々なストロークテンポに対するPINGの推奨モデルを示している。自身のテンポの正確な値はわからなくても、速いか遅いかの見当はつくだろう。

テンポはパター選択で真っ先に検討する項目ではないかもしれないが、もしかしたら理想的なフィッティングに必要な最後のピースなのかもしれない。

とにかく多種多様なパターのラインナップだ。ありがたいことに、そのうちいくつかを事前に手にすることができた。以下はその見解だ。


PING(ピン)「2023 ANSER(アンサー)」


「アンサー」の検分は、その年のPINGのパターリリースを占う最初のポイントとなる。PINGを象徴するそのデザインは、新年度に向けてどのように生まれ変わったのか?

2022年はPINGが小売、カスタム、限定デザインを含むPLDプラットフォームを立ち上げたことで、「アンサー」にとって重要な年となった。今回の新しい「アンサー」は果たしてその路線を継続したのだろうか?

2023年モデルの「アンサー」は、「PLD」 の先代モデルから逸脱したユニークなデザインとなった。ゆるやかな切削加工は似ているが、なにしろ2色使いのコントラストが際立っている。

昔のオデッセイ「Versa(ヴァーサ)」パターほど大胆ではないものの、この2色のコントラストが、ターゲットに対して垂直に狙いやすくしてくれる。

私はPINGのカーボンパターシャフトの感触がとても好きだ。なぜ好きなのかを定量的に説明するのは難しいが、敢えて言うならスムーズにストロークできるところ。とにかく自分のスイングにしっくりくる。PLDカスタムの「アンサー」をPINGに送り返して導入してもいいかもしれない。

とにかく、ミルドフェースとタングステンウエイト、そしてこのカーボンシャフトの組み合わせは「アンサー」の愛好家にぜひとも試してもらいたいものだ。


PING(ピン)「2023 ANSER 2D(2023 アンサー 2D)」

やったぜ!トニー・フィナウのパターがついに小売りで手に入るんだ。今年、彼が素晴らしいプレーを見せてくれたことをとても嬉しく思う。良い行いをすると良いことが返ってくるものだな。

それはさておき、「ANSER(アンサー)」から「ANSER 2D(アンサー2D)」への転換こそが、PING「2023パター」シリーズのすべてを言い表している。

PINGは「アンサー」のミルドフェースを「アンサー 2D」ではインサートに替えたが、タングステンとカーボンシャフトはそのまま残した。これは明らかに、エンジニアが「アンサー 2D」に最適と判断したのだろう。


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グリーン上での「PEBAXインサート」の打感はとてもソフトだ。但し、もう少し耳で感じる音の響きを好む自分には、ちょっと静かすぎるとも感じたが、ボールの転がりはとてもよかった。

実際、私がテストした4つのモデルの中で、あまりに結果が良くて最も頻繁に使用したのはこの「アンサー2D」だった。距離感がしっくりくるのであれば、たとえ“静かすぎる”パターだとしても私は選ぶ。


PING(ピン)「2023 DS72 C」


なんだこれは!もしやセンターシャフトのパターなのか?「DS72 C」のテストは、センターシャフト信者たちを喜ばせるためだけのテストになった。2023年になってもPINGは信者のことを忘れていなかったようだ。

前述のように、PINGは単なる「DS72」のシャフト違いではなく、独自のヘッドとして「DS72 C」に取り組んだ。このヘッドを最適化するために必要だったのは、タングステンフェースプラグと、キャビティに記された今まで見た中で最も小さなPINGロゴだった。

確かにセンターシャフトのパターは私好みではない。アドレス時に何かが私の目と平衡感覚を狂わせるのだ。とはいえ、「DS72 C」はスイング中に非常に安定しており、ヘッドスタイルの確固たる例だといえよう。

冗長になって申し訳ないが、ここでもPINGが個々のデザインにいかに気を配っているかが改めてわかる。


PING(ピン)「2023 MUNDY(2023マンディー)」


「Ketsch(ケッチ)」の登場以来、PINGの新しいアルミ製マレットには細心の注意を払うことを学んだ。「ケッチ」がリリース時にあまり話題にならなかったせいで、我々はこれまでに製造された最高のマレットのひとつを見落としてきた可能性がある。

「マンディー」はアドレス時、特にアライメントスキームが「ケッチ」と似通っている。個人的にはボールの後ろにぴったり収まる3本ラインがお気に入りだ。

「マンディー」はまた、別の歴代PINGマレット、2018年限定版「PLD3」にも似ている。サイトラインは1 本だったが、「PLD3」は「アルミニウムボディ」とステンレススチールの「ソールプレート構造」を特徴としていた。

確かに、「PLD3」のプレートに施された見事なトーチ模様は「マンディー」にはないものだ。

「マンディー」のフェースは、フェース全面ミルドだった先代モデルとは一線を画している。「PEBAXインサート」により、「マンディー」は「ケッチ」のミルド加工された『TR溝』よりもはるかにソフトな打感となった。「アンサー2D」同様、「マンディー」のインサートはボールの転がりを助けてくれる。

「マンディー」が「ケッチ」の優位性を受け継げるかどうかは、2023年の『ベストマレットテスト』でチェックすることになるだろう。


PING(ピン)「2023パター」シリーズにおける最終的な考察

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当初はまとまりのないPING「2023パター」シリーズがどうまとまるのか見当もつかなかった。そのためにはまず常識的な視点を変換させる必要があった。

確かに、単一の技術でパターに統一性をもたらしているわけではない。代わりに、PING「2023パター」シリーズは、各ヘッドデザインに個別にアプローチするという理想によって統一されている。

シリーズの名前がないことが消費者にとって障害になるかもしれないと今でも思っているが、店頭に並べばこれは大した問題にはならないはずだ。買い物客はパターコーナーで気になるモデルを手に取り、そしてボールを転がすだけ。

その時点で、シリーズに名前がないという事実はほとんど意味を持たなくなる。そもそも「PING(ピン)」という名前はパターにおいて最も重みのある名前なのだから。

PING「2023パター」シリーズは9月13日から予約受付中で、9月29日には店頭に並ぶ予定。希望小売価格は 300ドル。全モデル、右利き用と左利き用の両方が用意されている。