ミズノ「ST-MAX 230」ドライバーには、我々が今季語ってきた新基準とされる「10K」や他のモデルのような「MAX」さが感じられない。

それもそのはず、今回のミズノ「ST-MAX 230」ドライバーは何かの後継モデルではなく、昨年秋にリリースされた「ST-G」同様、シリーズの拡張モデルだからだ。当然ミズノ「ST230」シリーズの「X」と「Z」は現行モデルだし、すぐにフェードアウトってこともない。

そしてご存知の通り、ミズノは全ての製品シリーズで商品サイクルを長めにしている。(「ST-G」や「ST-MAX 230」でミズノが実施したように)リリースの時期をずらすことで定期的に新作を投入できる一方、開発サイクルを長くすることで、ゴルファーにより著しい改善をもたらすことができるってわけだ。


ミズノ「ST-MAX 230」ドライバーについて

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とはいえ、ミズノ「ST-MAX 230」は他のミズノ製品とは全く違うものなので、その点では新しい時間軸のスタートと考えることができる。

ミズノは、「ST-MAX 230」ドライバーでMOI(慣性モーメント)を向上させつつも、ミズノのクリス・ボーシャル氏が“ツアー対応”と表現するようなドライバーにしたかったようだ。

これまでもお伝えしているように、機能的限界にMOIを近づけることに犠牲がないわけではない。MOI向上に向けては、かなり大きい投影面積が必要であり、見方によっては本当に大きいものから、間抜けな見た目になるものまである。

実際、同等のロフト角では、基本的に高スピンを避けることができず、投影面積が大きいほど音響的な課題も残る。

これについて開発陣がこうした課題を軽減しようと努力することはできるが、それでもある程度は避けられないのが現状だ。


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“ツアー対応”の背景にある考え方は、平均以上の「寛容性」を備えたデザインにしつつも、ツアーモデルらしい他の全ての要素をキープし、ツアープロが何の手を加えることなくミズノ「ST-MAX 230」を使えるドライバーであるということ。

そして鍵は上記の「手を加えることなく」にある。

「10K」の商品サイクルはスタートしたばかりで、最高クラスのモデルとして10Kはいくつか見られるが、こうしたモデルを“ツアー対応”にするのに、“どの程度手を加える(軽量のバックウェイトや熱溶接など)”か、疑問に思うのは当然のことだ。

その点ミズノは「ST-MAX 230」ドライバーのMOIを9,000台前半にしている。同社が切り上げて10Kにする意思はないが、とはいえ十分に「寛容性」があるといえる。


ミズノ「ST-MAX 230」ドライバーのデザイン

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ミズノ「ST-MAX 230」はUSGAルールの最大許容サイズに近いデザインになっている。大型ボディにより、クラウンとソールにより多くの複合素材を活用することが可能になっているのだ。

これでどうなるか分かるだろう。

こうした軽量化によりさらに余剰重量が生まれ、「MAX」というネーミングからして、余剰重量の大部分がMOIを向上させるためにドライバーの後部に再配分されていることは間違いない。

ミズノ「ST-MAX 230」ドライバーは、クラブの一番後ろに54gのウエイトを活用。その内の45.5gはヘッド内部にあり交換できないが、その他の8.5g分は外部に固定されており、「スイングウエイト」変更を目的に交換することが可能となっている。

また「ST-MAX 230」は、『コアテックチャンバー』のサイズも大きくなっている。昨季リリースの「ST-X 230」と「ST-Z 230」ドライバーの『コアテックチャンバー』は、フェースをまさに初速アップさせる前方配置のウエイト(反発エリアがトウ側)が特徴の革新的デザインだった。

しかし、今回はさらに高初速エリアを拡大するため、「ST-MAX 230」では『コアテックチャンバー』の長さがヒール側のレンチを差し込むクイック・スイッチ・ポートまで長くなっている一方で「スロット」がフェースに近づいている。

大抵は、何かがフェースに近くなると、結果として初速アップする…あるいは少なくともフェースの広範囲に渡って初速がより安定するようになるのだ。

そしてフェースと言えば…


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「ST-MAX 230」ドライバーには、新しいベータリッチの「フォージドTi-LFS」素材を採用している。「LFS」は、“Light(軽い)、Faster(速い)、Stronger(強い)”の略で、βチタンより“軽くて速く強い”のが特徴だ。これにより、ミズノではドライバーのヒールトウ部分をさらに薄くすることが可能になった。

結果としてこの素材が使われた「新コアテックフェース」により、「ST-MAX 230」はミズノの「ST」シリーズ史上、最も大きなスイートエリアを実現した。つまり、インパクトの位置がど真ん中ではなく、たとえトウ側やヒール寄りにヒットしようが初速アップが期待できるというわけだ。


長めのシャフト

ミズノは同社の日本モデル以外で長めのシャフトを採用することに抵抗があったが、「ST-MAX 230」では純正シャフトの長さは45.75インチ。長いシャフトに対応するためにヘッド重量を軽くしMOIをやや犠牲にしなければならなかったが、これにより初速アップが可能になっている。

短くしたり重くしたりすることは自由。これで「10K」になることはないがMOI(慣性モーメント)は向上するはずだ。


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スペック、価格、発売時期(※日本)

ミズノ「ST-MAX 230」ドライバーのロフト角は10.5度(±2)。

純正シャフトは、「TOUR AD GM D」 カーボンシャフト(S/SR/R)。

グリップは、Sticky1.8 ブラック バックライン無し(ミズノオリジナル)口径 M60/44g。

本体価格は¥81,400(税込)で、発売は2024年3月8日予定となっている。


スペック、価格、発売時期

(※ここより下記はアメリカ版)

ミズノ「ST-MAX 230」ドライバーのロフト角は9.5度、10.5度、12度。9.5度モデルのみ左打ち用がある。

純正シャフトは、UST「LIN-Q Red」、UST「Helium NanoCore」、三菱ケミカル「Kai’li Blue」、そして「Project X HZRDUS Smoke Green」。

価格は500ドルとなっている。

ウソのような価格を求めているなら、ミズノでは現行モデルにも関わらず「ST 230 Z」と「ST 230 X」を399ドルに値下げしている。

さらにミズノでは、「ST-Z 230」ドライバーの限定版ホワイトバージョンをリリース予定。ロフト角は9.5度と10.5度で右打ち用のみがラインナップ。純正シャフトは「HZRDUS Smoke Blue PVD」となっており、追加オプションはカスタムで対応している。

価格は499ドルだ。