皆さん注目!コブラ曰く「スコア改善型(初・中級者向け)」アイアンの「DS-ADAPT」は、「初速」、「飛距離」、そして「寛容性」がいい感じに融合しているらしい。

コブラはほんの11ヶ月前の「DARKSPEED」でもほぼ同じことを言っていた気がする。
でもそれがダメってことじゃない。
実際、コブラのアイアンの進化は世間にちゃんと評価されていないからね。3Dプリントの「LIMIT3D(リミテッド)」なんてそのいい例でしょ。
これでも十分だと思うけど、「KING TOUR」、「CB」、「MB」などは競技志向者向け(上級者向け)のアイアンの中でも打感が最高だし、競技志向者向け(上級者向け)飛び系の「KING Tec」もMyGolfSpyのテストで、毎度のように良い結果を出しているからだ。
一方、スコア改善型(初・中級者向け)アイアンのテストでは、コブラは当たり外れがあった。
2023年の「AEROJET(エアロジェット)」と「AEROJET」ワンレングスこそ、その年のアイアンテストで2位と3位にはなったけど、去年の「DARKSPEED(スタンダードとワンレングス)」のパフォーマンスはボチボチという感じだった。ところが今年は一味違う。コブラ「DS-ADAPT」アイアンには面白そうなアップデートがあるものの、一番の注目ポイントは性能ではないということだ。
ブライソン・デシャンボーのプロになって依頼初めて、コブラはスコア改善型(初・中級者)アイアンのラインナップからワンレングスを除外した。
マジかよ。

ワンレングスではない??
コブラはアイコンプレイヤーとしてブライソン・デシャンボーをプロ転向後からフル活用してきた。2017年に「F7」ワンレングスをリリースしてから、ワンレングスのスコア改善型(初・中級者向け)アイアンは55,000セット以上販売している。
ところが、2025年の「DS-ADAPT」からワンレングスが消えてしまった。コブラがこの秋にワンレングス仕様の「KING Tec-X」アイアンをリリースし、これを「競技志向者向けのスコア改善型」とカテゴライズしたこと以外、ちゃんとした説明はない状況。
もし今年、スコア改善型の新しいワンレングスアイアンを期待していたのなら、残念だがワンレングス不在の状況に「ADAPT(適応)」するしかない。
コブラ「DS-ADAPT」アイアン:何が新しいのか?
テーラーメイドやキャロウェイと同じように、コブラも毎年、初・中級者向けと言えるスコア改善型アイアンをリリースしている。となると、一年で各社のアイアンがどのくらい進化しているか疑問に思うのもごもっともだろう。
もちろん、2024年1月の「DARKSPEED」発売後すぐに「DS-ADAPT」の開発が始まったわけではない。アイアンのテクノロジーは常に進化していて、製造技術が良いタイミングになったところで新たなアップデートが追加される。
そういう意味で、今回の「DS-ADAPT」には、注目すべきテクノロジーが少なくとも2つ採用されている。
ただ一つ問題もある。それは、どちらも外からは“見えない”内部の改良ってことだ。
コブラのスコア改善型(初・中級者向け)アイアンは、3つあるベーシックな機能を軸にしている。まずは、中空ボディに内蔵されている、できる限りの低重心化を目指したウエイトシステム『PWR-BRIDGE(パワーブリッジ)』。
2つ目が『SPEEDSHELL(スピードシェル)』カップフェース。そして3つ目が、同社が『H.O.T FACE』と呼ぶ『バリアブル・フェース・シックネス(可変厚フェース)』だ。これら3つのテクノロジーは、ほぼ全てのメーカーがスコア改善型のアイアンに採用しているテーマをコブラ流にアレンジしたもの。
重心を低くしたり、フェースのたわみを大きくしたり、スイートエリアを大きくする仕組みになっている。そして徐々にではあるが、それぞれをいい具合に微調整しているわけだ。2025年モデルでは、内部の『パワーブリッジ』の部品が改良されており、『スピードシェル』カップフェースも改善。この2つは大きな進化と言えるだろう。

どこまで重心を低くできるのか?
スコア改善型アイアンには2つの特性がある。一つは大型でワイドソール、そしてオフセットのついたヘッドを採用することで、中/高ハンディキャップのゴルファーでも打ちやすくすること。
そしてもう一つは、飛距離不足な場合が多いこうした層が、少しでも遠くに飛ばせるようにすることだ。ストロングロフト化も特性に含まれるけど、一部に過ぎない。周辺重量配分と低重心化により、ボール初速がアップし、スピン量が減り、そして打ち出し角が高くなる。さらにフェースのたわみを大きくすることで、ボール初速が加速するというわけだ。
また、コブラの『パワーブリッジ』ウエイトシステムがボディと一体化(以前は別々だった)したことで、さらなる低重心化も実現。
「『パワーブリッジ』ウエイトシステムによりバックフレームが強くなっている」と話すのはコブラの研究開発担当バイスプレジデントのトム・オルサフスキー氏。「ヒールトウ、前後までカバーしている」。
この『パワーブリッジ』は設計要素の一つに過ぎない。新たに再設計された360度『パワーシェル』カップフェースと組み合わせることで、コブラの直近のスコア改善型アイアン2モデルと比べ、フェースのたわみが最大23%もアップ。
このカップフェースはコブラ史上最大で、トウ全体からソールにまで広がっていることが特徴だ。
「全体的に大きくなりました」とオルサフスキー氏は説明。「形状を少しはっきりさせることができるようになったので、打感を損なうことなく鋳造することが可能になった」という。

フォームを積極注入
中空ボディにするとフェースがたわむようになり、結果的に「飛距離」も伸びる。問題は、中空ボディアイアンは打音が微妙になる場合があるということ。
そこでコブラでは、音の問題を改善し、どんどん薄肉化しているフェースを破損させないようにするために、「マイクロスフィア・フォーム」を積極的に使用している。「調節はなかなか大変だけどね」と語るのはオルサフスキー氏。「素材が反応する周波数を合わせることも大切だ」
フォームを注入すると打音と打感がかなり改善されるけど、フェースのたわみに支障が出る可能性もある。フォームはフェースの破損を防ぐ一方で、たわみにくくなってしまうのだ。

「ウエイトを軽減するためにフェースを薄肉化し初速アップできても、それをフォームで補う必要がある。フェースで得られる効果は大きいけど、フォームがその効果をやや落としてしまうこともある」と語るにはオルサフスキー氏だ。
また、コブラ「DS-ADAPT」には、その他メーカーのスコア改善型アイアン同様、「番手別設計」が採用されている。4番から7番アイアンには、完全にアップデートされた『パワーブリッジ』、新しい『スピードシェル』カップフェース、そしてフォームを注入した中空ボディと最新テクノロジーを搭載。
8番アイアンからPWも中空ボディになっているけど、フォームの量が少なめで『スピードシェル』カップフェースはなし。またセットに対応するGWとSWも中空だけど、フォームは注入されておらず『スピードシェル』も採用されていない。ロフトに関して言うと、「DS-ADAPT」アイアンは7番のロフト角が27度になっているように「スコア改善型カテゴリーの中ではややストロングロフト気味だ。飛びが必要な人が飛距離アップできるように超低重心・高打ち出し設計になっているんだから仕方ないこと。
ただ、これは「自分の7番アイアンの方が、ロフト角33度の7番より飛ぶ」ってことを自慢させたいからじゃない。恐らく、ターゲットとなるゴルファーはそこまで飛ばせないだろうし、やや易しくて、もう少し飛ぶ7番になっているだけ。
コブラ「DS-ADAPT MAX」
コブラ「DS-ADAPT MAX」は、ご想像の通り「『DS-ADAPT』と同じテクノロジーを搭載し、大きくなっていることだけが違う」。
オーバーサイズアイアンで、高MOIを実現するための要素が詰まっているアイアンだ。ブレード長が長くなっており、トップラインは厚めでソールはワイド、またオフセットも大きくなっていることも特徴だ。また業界全体に広がっているスコア改善型のさらに上(超スコア改善型)のアイアンのトレンドに合わせ、同種の「スコア改善型(初・中級者向け)」アイアンよりもロフトがウィーク(寝ている)。繰り返すけどウィークロフトで、番手ごとに2度寝ている。
オルサフスキー氏によると「『コブラアイアンは飛ぶ』というのが、これまでいただいたユーザーからの感想ではあるが、業界内ではフィッティングの質が向上している。
フィッターたちからは、「スコア改善型(初・中級者向け)」アイアンのフィッティングのうち30〜50%がロフトを寝かせるようにしている」ようだ。
コブラでは、そんなフィードバックを元に主要なフィッターとトライアルを実施したところ、フィッティングしたプレーヤーの30%がウィークロフトのヘッドでパフォーマンスが向上したのだとか。
対象者は基本的にヘッドスピードが遅く、ボールを上げることと、滞空時間を伸ばすためのスピン量が必要な層となっている。そしてコブラによると、新しい「DS-ADAPT MAX」アイアンは、前作モデルに当たる「AIR-X」と比較して、打ち出し角が1.6度高くなり、スピン量は550rpmアップ。また落下角度が2度スティープ(鋭角)になり、8ヤードのドローバイアスになった他、少しだけ飛距離も伸びたようだ。

コブラ「DS-ADAPT」アイアン:スペック・価格・発売時期
コブラがリリースする「DS-ADAPT」アイアンは3モデルあり、スタンダードモデルと「DS-ADAPT MAX」、そしてレディースモデルの「DS-ADAPT MAX」だ。
「DS-ADAPT」と「DS-ADAPT MAX」は5番からSW。
シャフトはフジクラ「SPEEDER NX for Cobra (S、R)」、日本シャフト「N.S.PRO 950GH neo(S、R)」。レディースモデルのシャフトは、フジクラ「SPEEDER NX for Cobra (L、A)」がラインナップ。
・「DS-ADAPT」は、5本SET (6I-PW) ¥132,000 (税込)/単品(5I,GW,SW)1本¥26,400 (税込)*左用は展開なし
・「DS-ADAPT MAX」は、4本SET (7I-PW) ¥105,600 (税込)/単品(5I,6I,GW,SW)¥26,400 (税込)*左用は展開なし
発売日は2025年3月8日(予定)。
※下記はアメリカのスペック
「DS-ADAPT」と「DS-ADAPT MAX」は4番からGW、あるいは5番からSWのセット。
純正スチールシャフトはKBS「Tour Lite(S、R)」で、純正カーボンシャフトは「KBS PGI(S、R、A)だ。またカーボンのコンボセットもラインナップしており、番手はハイブリッドの5番、6番アイアンからGWとなっている。
レディースモデルの「DS-ADAPT MAX」はカーボンシャフトのみのラインナップで番手は5番からSW。コンボセット(5H、6H、7番からSW)もあるが右打ちのみとなっている。
スチールシャフトモデルの価格は999ドルで、カーボンシャフトモデルは1,099ドル(コンボセットを含む)。
発売は1月10日となっている。
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