『新しいミズノの「Mizuno Pro 241」、「Mizuno Pro 243」、「Mizuno Pro 245」は、“ゴルフクラブデザインにおける革新的飛躍”を遂げている。』

正直こうしたメーカーの謳い文句には、耳を塞ぎたくなる。消費者は素直に受け止めるだろうが、何年も数多くのクラブ性能テストを行っている我々は、メーカーの謳い文句に疑問を感じることがあるのだ。

だが、新しい「Mizuno Pro」アイアンは、“精度、クラフトマンシップ、鍛造の美しさに対するミズノの尽力の証”であり、“ミズノのクラブ開発陣と広島にある伝説的な「グレインフローフォージド工場」との積み重ね”の成果と言える。

ミズノによると、その積み重ねた関係性があるからこそ、“ますます複雑化するデザインを完璧に完成品に組み込むことができる”そうだ。

「ミリ単位の誤差と微妙な曲線にも細心の注意を払い、ゴルフクラブ設計の未来を形作る。」

こんな美辞麗句を並べて、信じてもらえるメーカーなんて他には無いのだが、どういうわけかミズノだけはやって見せてくれている。


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これが「ブランディング」ってもんだよね。

というわけで、「Mizuno Pro 241」、「Mizuno Pro 243」、「Mizuno Pro 245」アイアンのパフォーマンスが、こうした言葉の裏付けとなるかはまだ分からない。しかし、これまでの実績を見れば、それもあり得ないわけではないはずだ。


「Mizuno Pro 241」、「Mizuno Pro 243」、「Mizuno Pro 245」は古臭くない

このシリーズが2022年に発売されてからというもの、ミズノは「Mizuno Pro」の表現方法を慎重に選んできた。“クラシック”、“古風”、それに“芸術性”といったフレーズは、仮に使われるとしても控えめな表現だが、その代わりとして、“精密さ”、“複雑なデザイン”、“飛びのテクノロジー”といった文言が活用されている。

「新しい『Mizuno Pro 241』、『Mizuno Pro 243』、そして『Mizuno Pro 245』アイアンは、テクノロジーはもちろん、よりスリム化されたデザインからそのプレー特性に至るまでの全てが、限界まで追求されている」と語るのはミズノのプロダクトディレクター、クリス・ボーシャル氏。「それぞれのモデルが、それぞれの役割に応じてより向上しているのだ」。


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ここで当たり前と言える疑問がある。それは、「鍛造アイアンの技術的はどこまで限界に挑めるのか?」ということだ。

ミズノによると、その答えは「かなり」らしい。

「我々は、鍛造におけるボール初速の壁をいくつも打ち破った」とMyGolfSpyに語ってくれたボーシャル氏。「素材、そして工程で多くある鍛造の限界を超えてきた」。

何を持って“鍛造”なのかということは曖昧になってきているが、完全な鍛造アイアンは「ボール初速が劣る」傾向にある。これに対しての対策として、各メーカーがフェースに初速アップできる素材を使って対応している。

こちらの方が、シングルピースまたはマルチピースの完全鍛造アイアンよりも、「COR(反発係数<基本的にはフェースのトランポリン効果>)」と「ボール初速」がアップするのだ。ところが、ミズノではこの問題を解決したと考えている。

「今回のアイアン全てに『グレインフローフォージド』が、少なくともフェースかネック、それ以外で採用されている」とボーシャル氏。「高CORクラブを部分的に鍛造しているのではなく、クラブにCORを鍛造しているのだ」。


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曰く、“ミズノっぽさ”は感じられないが、これからはミズノが「COR」、「飛び」、「鍛造のテクノロジー」について語るのを耳にする機会は増えそうだ。


「Mizuno Pro 241」:さらに小ぶりになったヘッド

マッスルバックの「Mizuno Pro 241」に対するボーシャル氏の言葉はこうだ。「当社アイアンで最も小ぶりなブレードとなっている。これまでも常にコンパクトさを追求しているが、まさに今が気合を入れる時だと思っている」。

「MP」アイアンと「Mizuno Pro」は、数作前からそれぞれ前作よりも小ぶりになっておりトップラインも薄くなっているが、「Mizuno Pro 241」でもそれは変わらない。


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ブレードの場合、扱えるウエイトには限度があり、ヘッドを小さくしていくとたとえ少しであっても余剰重量は増えることになる。「Mizuno Pro 241」では、打点の真後ろによりウエイトを配置している。実際こうすることで、余剰重量のせいでちょっとだけアイアン自体の厚みは出るが、トップラインが薄いことでアドレスでの見た目はより薄く感じるというトリックが演出できるのだ。

また「Mizuno Pro」シリーズは全てコンボセットとしてセッティングできる。具体的に言うと、ブレードを含めた全モデルで、よりソールのバウンス角が大きくなっている。そうすることで、ロフト角の調整が簡単になり、スムーズな番手間シフトが実現するというわけだ。

「『Mizuno Pro 241』、『Mizuno Pro 243』、『Mizuno Pro 245』をコンボセットにすると、スコアリングアイアン(ショートアイアン)をストロングロフトにすることになる」とボーシャル氏。「ロフトを立てるとバウンス角が減るので、そもそもバウンス角を少し大きめにしている」。

なお、ロフト角は今で言うと伝統的という感じで、7番で34度となっている。


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「打音」の分かれ目

ご存知の通り、「打音」と「打感」は共依存の関係にある。ショットした際の「打感」は、聞こえた音に直結しているからだ。

「Mizuno Pro 241」に加え「Mizuno Pro 243」、「Mizuno Pro 245」は、ミズノの『ハーモニックインパクトテクノロジー』が特徴だ。ミズノでは、「8,000Hz」付近の音圧がクラブの「打音」の分かれ目ということを解明しており、「8,000Hz」より高い部分にピークがあれば、「打音」はカチカチと不快としたものに感じるという。


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つまり「8,000Hz」付近にピークを和らげることで、ミズノではシリーズ全体の「打音」をミュートし、前作よりもソフトでより静かなものにしている。


「Mizuno Pro 243」:強烈なコンパクト化

3モデルある「Mizuno Pro」アイアンのうち「Mizuno Pro 243」が一番前作と変わっている。果敢に見直されたと言って良いだろう。

「全体的にかなりコンパクトになっている」とボーシャル氏。「ヘッドの長さ、ヒールからトゥまでが非常に短くなった。またボール初速が向上している一方で、非常にコンパクトで薄くなっている」

「小ぶりなのに飛ぶようになったのだ」


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前作の「Mizuno Pro 223」同様、この「Mizuno Pro 243」もロングアイアンとミドルアイアンは初速重視で、スコアリングクラブでは「正確性」を重視。4番から7番は「クロモリ素材」と同社の『グレインフローフォージド』製法を採用し、『マイクロスロット構造』が特徴になっている。

そしてミズノは、同社の鍛造技術の飛躍ぶりをアピールしているが、「Mizuno Pro 243」のフェースの厚みにはそれが鮮明に表れている。ミズノでは、フェースの極薄化に成功しており、『マイクロスロット構造』と合わせることで、さらなるフェースの柔軟性とボール初速が向上。結果としてフェースの大部分における「COR」が向上し、理論的には、「Mizuno Pro 243」の「寛容性」も若干アップしている。


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一方、8番からGWまでは“1025E”の『グレインフローフォージド』だ。またミズノでは、「Mizuno Pro 223」の7番から8番の流れがソール幅の差が原因で微妙だったことを認めつつ、ボーシャル氏は以下のように述べている。

「我々はその部分に対応し、ソール幅をより一定になるようにした。また、ソール全体のグラインドの『一貫性』も増すようにしている」。

このモデルの全体的なスペックは、「上級者(競技志向者)向け飛び系」の部類に入ると言えなくもないが、7番アイアンでロフト角34度はこの部類としてはウィークロフト(ロフトが寝ている)と言えるだろう。


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「Mizuno Pro 245」:小さくなった人気者

新しい「Mizuno Pro 245」は前作に比べて、コンパクトな見た目でヒールからトゥまでが短くトップラインが薄い。真面目な話、これ以上薄くしたらカミソリになるよ(笑)。

そして「Mizuno Pro 245」は小ぶりになったとはいえ、その役割は非常に重い。

「『Mizuno Pro 225』が強烈だった」とボーシャル氏。「『Mizuno Pro 22』シリーズは、市場シェアが4~5%あるが、全てを凌駕し続けているのが『Mizuno Pro 225』だ」。


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「Mizuno Pro 225」の性能は、我々のクラブ性能テストでスコア100点中の97.53点だった(『2022年ベスト上級者(競技志向者)向け飛び系アイアンランキング』総合1位)。つまり、「Mizuno Pro 245」の使命は、“しくじるな”ってことになるわけだ。

今回も基本的な構造は変わっていない。中空ボディの2番から8番は、「431ステンレススチール」を背部に採用し、フェースとネックは『グレインフローフォージド』のクロモリを搭載。9番とGWはいわゆるセミ中空で、フェースとボディは「1025E」の『グレインフローフォージド』で、背部には「17-4ステンレススチール」が採用されている。


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「鍛造が必要な部分には鍛造製法を採用している」とボーシャル氏。「市場には、実際にボールが当たる部分が鍛造仕上げになっていない鍛造クラブが数多あるけどね」。

また、このモデルは多層になっているフェースの主要部分、特にフェース下部が薄肉化されている。2番から8番アイアンには、これに47gのタングステンを組み合わせることで初速アップを実現しているのだ。


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「Mizuno FLI-HI」

「好調が続いていると言えばこのクラブ」と「Mizuno FLI-HI」ユーティリティアイアンについて語るのはボーシャル氏。「予想以上に売れている」。

もうここまでの話の流れで十分と思うかも知れないが、ミズノのアップデートされた「Mizuno FLI-HI」は、コンパクトな形状でトップラインが薄く、全体的に薄く見えるようになっている。

今回の新しい「Mizuno FLI-HI」は、実のところ、全面的に素材の見直しが行われている。前モデルは、「ステンレススチール」ボディと「マレージング」単体のフェースが特徴だったが、今回のモデルは「Hot Metal」で使われているものと同じ独自の「ニッケルクロモリ」が採用されているのだ。


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「このモデルは、ボディではなくフェースに熱処理が施されている」とボーシャル氏。「熱処理することで剛性が向上するが、ボディは熱処理していないので柔軟性が増している」。

新しいマルチピース(複合構造)のフェースは、単に薄いのではなく「L字構造」になっている。このフェースカップはリーディングエッジまでカバーされており、ソールで溶接。これにより、特にクラブ下部でのインパクトに対してさらにたわむようになっている。

またこのモデルの「打音」と「打感」は、「Mizuno Pro」シリーズよりもやや硬く感じられるはずだが、これは意図的にそうなっている。


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「今回のモデルは『真のドライビングアイアン』となっているだけに、8,000 Hzのより高い音圧を目指した」とボーシャル氏。「『Mizuno Pro』で実現する、素晴らしく抑えられたフィーリングを目指したわけではない。ただ『打音』はしっかりしているが、決して硬くはなっていない」。

なお、新しい「Mizuno FLI-HI」ユーティリティにもミズノのブラックイオン仕上げがラインナップしている。


「Mizuno Pro 241」、「Mizuno Pro 243」、「Mizuno Pro 245」の価格と発売時期


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<日本での価格および発売>


「Mizuno Pro 241」


シャフト:「ダイナミックゴールド HT(HT:ヒートトランスファー)」 スチールシャフト付

硬さ:S200

バランス:D2(PW:D3)

グリップ:ゴルフプライドM31ラバーグリップ(ミズノオリジナル)

価格:単品(No.3、4)¥24,200(税込)、6本組(No.5〜9、PW) ¥145,200(税込)

素材:マイルドスチール(S25CM)精密鍛造 / 1025E 

仕上げ:ニッケルクロム銅下メッキ・サテン仕上げ


「Mizuno Pro 243」


シャフト:「ダイナミックゴールド 120」スチールシャフト付

硬さ:S200/

バランス:D2(PW・GW:D3)

グリップ:ゴルフプライドM31ラバーグリップ(ミズノオリジナル)

価格:単品(No.4、GW)¥25,300(税込)6本組(No.5〜9、PW)¥151,800(税込)


シャフト:「N.S.PRO モーダス3 ツアー105」スチールシャフト付

硬さ:S

バランス:D1(PW・GW:D2)

グリップ:ゴルフプライドM31ラバーグリップ(ミズノオリジナル)

価格: 単品(No.4、GW)¥25,300(税込)6本組(No.5〜9、PW)¥151,800(税込)

素材:(No.4~7)クロムモリブデン鋼(SCM420)精密鍛造 / 4120

素材:(No.8~GW)マイルドスチール(S25CM)精密鍛造 / 1025E

仕上げ:ニッケルクロム銅下メッキ・サテン仕上げ EFバッジ・TPU複合バッジ


「Mizuno Pro 245」(左用あり)


シャフト:「ダイナミックゴールド 95」スチールシャフト付

硬さ:S200

バランス:D1(PW・GW:D2)

グリップ:ゴルフプライドM31ラバーグリップ(ミズノオリジナル)

価格:単品(No.4、GW) ¥25,300(税込)6本組(No.5〜9、PW)¥151,800(税込)


シャフト:「N.S.PRO モーダス3 ツアー105」スチールシャフト付

硬さ:S

バランス:D1(PW・GW:D2)

グリップ:ゴルフプライドM31ラバーグリップ(ミズノオリジナル)

価格:単品(No.4、GW) ¥25,300(税込)6本組(No.5〜9、PW)¥151,800(税込)

素材:No.4~8 クロムモリブデン鋼(SCM435)精密鍛造 / 4135

素材:No.4~7 ソフトステンレススチール(SUS431)精密鋳造、キャビティ部:タングステンウエイト

素材:No.8 ソフトステンレススチール(SUS431)精密鋳造

素材:No.9~GW マイルドスチール(S25CM)精密鍛造 / 1025E

素材:No.9~GW ソフトステンレススチール(SUS431)精密鋳造

仕上げ:ニッケルクロム銅下メッキ・サテン仕上げ


「Mizuno FLI-HI」


シャフト: 「OT Iron 95」カーボンシャフト付

硬さ:S

バランス:D2

グリップ:ゴルフプライドM31ラバーグリップ(ミズノオリジナル)

価格:単品(No.3、4)¥38,500(税込)

素材:フェース部 / ニッケル・クロムモリブデン鋼精密鋳造

素材:本体 / ニッケル・クロムモリブデン鋼精密鋳造 キャビティ部 / タングステンウエイト

仕上げ:ニッケルクロムメッキ・サテン・ブラックIP仕上げ

4モデルともに、現在発売中。


※これより下記内容は、アメリカ価格と発売状況となっている。

「Mizuno Pro 241」は3番からPWまでの右利き用と、4番からPWはレフティモデルもラインナップ。ボーシャル氏はこれについて「ずいぶん長い間、レフティのブレードはラインナップしていなかった」とコメントしてくれている。また、純正シャフトは「KBS TOUR」(S)で、グリップはゴルフプライド「MCC」のブラックとグレーが純正だ。

「Mizuno Pro 243」は右利きのみで、純正シャフトは日本シャフトの「Modus 120」(S)と「Modus 105」(R)。純正グリップは「MCC」が装着されている。

「Mizuno Pro 245」は「Dynamic Gold Mid 115」と「Dynamic Gold Mid 105」が純正シャフト(S、R)。こちらも純正グリップは「MCC」だ。また2番と3番は右打ちのみ。残りの番手はレフティモデルもラインナップしている。

「Mizuno Pro」シリーズは1本200ドル。これまで同様、追加料金なしのシャフトとグリップも豊富に取り揃えている。

一方、「Mizuno FLI-HI」ユーティリティは、ロフト角16.5度、19度、21.5度がラインナップ。「SteelFiber HLS 880」のF4とF5が純正シャフトで、「MCC」が純正グリップとなっている。各ロフト角ともに右打ち、左打ちモデルがあり、価格は1本250ドルだ。

北米での先行発売は1月8日からで、店頭には1月25日に並ぶ予定。

詳細はミズノのウェブサイトでチェックして欲しい。