さあ、「Qi35」に注目!2025年春のドライバー市場で、テーラーメイドが見せる新展開は、ゴルファーたちの心をつかむだろうか?
確かに、「エアロダイナミクスの改良」や「新素材の採用」といった目を引く革新的な技術が詰まっているが、この「Qi35」シリーズの真価は、これまでの常識を覆すようなアプローチにある。しかも、それがテーラーメイドから生まれたというのだから驚きだ。業界のトップブランドが、自らの枠を超え、新たな地平に挑む姿勢には興奮しかない。というわけで、暫くお付き合いを。魅力的な内容が詰まっているけど、まずは基本から。

「Qi35」の“35”はどんな意味?
極端な慣性モーメント(MOI)が今回もネタの一つになっている。しかし、ネタの中心ではない。
ゴルファーたちが店頭で「Qi35」を手に取る際には気にも留めないような“内輪ネタ”だとは思うけど、実はこのネーミングには、テーラーメイドの最新ドライバーの背景やコンセプトを簡潔に伝える意図が込められている。
具体的に言うと、「Qi35」の名前の由来は、“3つの柱”と“5つのフィッティング”から成り立つ「Qi 3+5」って考えてみたらどうだろうか。
となると、気になるのは“3つの柱”と“5つのフィッティング方法”の中身だろう。具体的にどんな要素が詰まっているのか?
では、ここから紐解いて行く。
テーラーメイド「Qi35」ドライバー:Form=デザイン

最初に触れておくべきことは、テーラーメイドの“3つの柱”はすべて「F」で始まるという点だ。
そして、その最初の柱は「Form(フォーム)=デザイン」。これは、目に見える細かいデザイン全般のことで、各モデルのストーリーを視覚的に伝える手がかりにもなるが、これに気がつくのは観察力の鋭い人だけかも知れない。
新しいカラーリング

「Qi35」で最も目立つアップデートは、新しいカラーリングだろう。テーラーメイドはここ数シーズンでデザインを大胆に変更している。
「ステルス」の印象的な赤いフェースから、「Qi10」の爽やかなブルーとシルバーへ、そして今回「Qi35」でまた新たなデザインが登場した。「Qi35」のメインカラーは、テーラーメイドが「クロミウムカーボン」と呼ぶ色だ。このデザインは、かつての「SIM」で用いたカラーと似ているが、全体的に少し落ち着いたトーンに仕上がっている。
「Qi35」シリーズ全モデルには、カーボンの折り目が目に見える形で施されているが、それ以上に注目すべきなのは、テーラーメイドが今でも業界で最も多い複合素材構造を採用している点だ。
「Qi35」では、チタン、タングステン、カーボンファイバー、アルミニウム、スチールといった素材が使用されている。さらに細かく言えば、これらを接着するエポキシも含まれる。素材の「てんこ盛り」とでも言うべきか。だが、この多彩な素材が集結することで、テーラーメイドらしい高性能が実現されている。
モデル判別のヒントになっているデザイン

「Qi35」ドライバーのデザインは、ひと目で分かるものから、思わず見逃してしまいそうなものまで、さまざまな要素が詰まっている。たとえば、フェースに刻まれた「CARBON」の文字は誰でもすぐに気づく。
一方で、「Qi35 Max」のソールに控えめにデザインされた“10 kg-cm²” というMOI値は、気づけばちょっとした発見になるかもしれない。また、ソールに配置されたグリーンフラッグによって、各モデルのウエイトがわかるようになっている。「Qi35 MAX」は後方に、主力の「Qi35」は中央、「Qi35 LS」では前方に配置され、それぞれの特性をひと目で理解できる。
同様に、「フラックスキャパシタ」と呼ばれる三角形のパターンでもウエイト配置が分かる。「Qi35 MAX」と主力モデルの「Qi35」では、周辺重量配分(高MOI)が採用されている、一方で「Qi35 LS」はウエイトがより中央に集まった設計だ。
それぞれのモデルの特徴がひと目で伝わる仕組みになっている。
こうして、一つの見方ではあるけど新デザインは優れているし、ほとんど気づかれないとはいえデザインが各モデルの特徴をさりげなく示しているのは素晴らしいと思う。
とはいえ、特にブラック以外のカラーリングでは、カーボン繊維の模様が見えるデザインを好まない人もいるだろう。
同社のシームレスな「インフィニティクラウンデザイン」により、特に「Qi35 MAX」のような大型ヘッドだとクラウンが大きく見える。このデザインは、これまで以上にドライバーのクラウン部分にカーボン繊維が採用されていることを示している。もちろん、艶のあるブラックばかりでは物足りないと感じる人もいるだろうし、今回のデザインが「ちょっとやりすぎ」と感じる人もいるだろう。それでも全体的に見れば、デザインの完成度は高いと言える。

さらに、カーボン模様が気に入らないという人のために、テーラーメイドでは「デザイナーシリーズ」を再び展開する予定だ。このシリーズは、クラシックなデザインを好むゴルファーにも魅力的に感じるはずだ。
あなたはカーボン模様が際立つデザインが好き?それともクラシックな仕上げの方が好みかな?
テーラーメイド「Qi35」ドライバー:Function =機能
「Form(フォーム)」は目で見えるデザイン要素を指す一方、「Function(ファンクション)=機能」は、主に内部の仕組みや性能といった、目に見えない部分を表している。
この話をする前に、まずはテーラーメイドドライバーの主力テクノロジーについて伝えておこう。
カーボンフェース

テーラーメイドは「Qi35」でも引き続き『カーボンフェース』を採用している。カーボンフェースが一部のゴルファーにとって最初から敬遠されがちなデザイン要素になっていることは、もちろんわかっている。
はっきり言って、3世代を経た今、カーボンフェースが静かにフェードアウトしても特に驚かなかっただろう。テーラーメイドはこのテクノロジーに拘るだけでなく、この素材からさらなるパフォーマンスを引き出そうとし続けている。
確かに、テーラーメイドの失敗をディスるのは簡単だ。実際、これまで何度か同社をネタにした冗談をいくつか飛ばしてきた(これからもする予定)けど、これもまた「革新」にはつきものってところだろう。
カーボンは今でも比較的新しいフェース素材で、テーラーメイドもリリースごとにこの素材を学習している段階だ。
同社もその過程にあることを認めているし、未知の部分があるのは避けられない。インパクト素材としてのカーボンフェースは未開拓の領域だが、テーラーメイドはカーボンフェース設計のあらゆる側面で改良を重ねてきた。その中には、より安定したカーボン積層プロセスの確立や、フェースとヘッドを結合するプロセスの年々の大幅な改善が含まれている。カーボンフェースが完全にトラブルゼロになるのは難しいかもしれない。しかし、テーラーメイドのドライバーを選ばない理由として「カーボンフェース」を挙げる人は、もっと少なくなっていくだろう。
結論を言えば、カーボンフェースの技術が導入されてから4年が経ち、「チタンに回帰しない」というテーラーメイドの本気度が感じられるようになってきたってこと。
みなさんがどう感じるかは自由だけど、これが現実ってことだ。
改良された重心

テーラーメイドの「Qi35」のプレゼンで“10Kは重要じゃない”という見出しが表示され、そして同じスライドに、「適切な打ち出し条件が揃わない限り」という補足も添えられていた。
テーラーメイドは、基本的にゴルファーにできるだけ「寛容性」の高いドライバーを使わせたいと考えているようだ。ただし、それが「飛距離」を犠牲にするようでは意味がない。
2024年のモデル(特に「MAX」)では、慣性モーメント(MOI)の10Kを追求するあまり、スピン量の調整が少し行き過ぎたという見方もある。そこで「Qi35」シリーズでは、慣性モーメントの維持、あるいはさらに向上させながらも、他の性能を犠牲にしないことを目標に掲げたようだ。だからこそ、各モデルにどのような改良が施されたのかを詳しく見ていくのは理にかなっている。
テーラーメイド「Qi35 MAX」ドライバー

「Qi10 MAX」は、確かにスピン量が多すぎたと思う。だから冗談で、「Qi35」の“35”を“スピン量を35%削減” したって意味じゃないかと言ったこともある。
ただ、実際はそこまでではないけど、重心位置を変更によって、「Qi35 MAX」のスピン量は「Qi10 MAX」と比べて約200rpm軽減されている。個人的には、あと数百rpmほど減らして欲しいところだけど、スピン量が必要なプレーヤーもいることは理解している。それぞれのプレースタイルに合わせたバランスが重要だよね。
ここで注目すべきは、テーラーメイドがロフトスペックを変更しなかった点だ。MOIをキープしつつロフト角を立ててスピン量を減らすのは簡単だけど、テーラーメイドはあえてその道を選ばなかった。

巧みな形状の見直し、複合素材構造、接着技術のさらなる向上、そしてカーボンフェースで得た軽量化をより効果的に活用することで、テーラーメイドは重心をさらに低くすることに成功した。
実際、「Qi35」シリーズ全体で、テーラーメイドは過去10年間で最も低い重心位置を実現している。
具体的に数字を挙げると、「MAX」モデルの重心は、「CGプロジェクション」から3ミリ以下の位置にあり、「Qi10」と比較して約0.5ミリ低い。さらに、「MAX」は前モデルよりも1グラム軽量化されている。「CGプロジェクション」って何?

ここでは、『CGプロジェクション』または『ニュートラルアクシス』と呼ばれるものの概念について簡単に触れておこう。
『CGプロジェクション』とは、フェースセンターからクラブヘッド後部に向かって、ロフトに対して垂直に引かれた仮想ラインのことを指す。
多くのドライバーは、この「CGプロジェクション」上、あるいはそれより下に重心位置があることはほとんどない。もし重心がニュートラルに近くなったり、場合によってはそのラインより下に位置すると、重心より上に位置するフェース部分の割合は大きくなる。これにより、インパクト時のエネルギー効率が向上しやすくなる。テーラーメイドは、重心より上に位置するフェース部分を「可能性の領域」と呼び、ゴルファーが最適なパフォーマンスを引き出せるフェース上の理想的なエリアを指している。このエリアでボールを捉えると、スピン量が減り、結果的に飛距離が伸びるというわけだ。
ラインナップ全体を低重心にすることで、テーラーメイドはスピン量を抑え、より大きな飛距離を生み出す可能性をゴルファーに提供している。
補足すると、重心位置が3ミリというのは『CGプロジェクション』に対して極端に低重心とは言えない。
ただ、過去にあったハイスピンモデル(例えばナイキの「Covert」)は約7ミリ程度だったことを考えると3ミリという数値は相当優れている。特にMOIが10Kを超えるドライバーとしては十分に立派な数値だ。
話を戻して…
他の「Qi35」ドライバーとは違い、「Qi35 MAX」には調整可能な『アジャスタブルウエイト』が搭載されていない。その代わり「Qi35 MAX」には固定された34gのバックウエイトが採用されており、USGAの規定を超えるMOIになってしまうリスクを回避している。
悪くないよね。
また、テーラーメイドによると、「Qi35 MAX」は高MOIに加え、ややドローバイアスの設定になっているが、これはターゲットユーザーを考えればよく理解できることだ。
見た目は存在感のある大きなヘッドサイズだが、その形状はスコア改善型(初・中級者向け)っぽさが強すぎるわけではない。大型ながらも「Qi35 Max」は洗練されたデザインに仕上がっている。
「Qi35 MAX」ドライバー スペック
ロフト角: 9度、 10.5度、 12.0度
シャフト:Mitsubishi「Diamana Blue TM50– S / SR / R」
グリップ:Lamkin「Crossline 360 47.5g」
価格:¥99,000(税込)
発売日:2025年2月7日予定
※下記はアメリカのスペック
テーラーメイド「Qi35 MAX」ドライバーは、ロフト角9度、10.5度、12度のラインナップ。純正シャフトは三菱ケミカルの「Diamana T+ 60」とフジクラ「AirSpeeder 25」がある。
テーラーメイド「Qi35 MAX LITE」ドライバー

テーラーメイドでは「Qi35 MAX LITE」もラインナップしている。ネーミングを見れば分かるが、「Qi35 MAX」の軽量モデルで、24gのバックウエイトを採用することで軽量化を図っている。
軽量化されていることでこのモデルは10Kに届かないが、全てを考慮すれば9Kでも十分というところ。「Qi35 MAX LITE」ドライバー スペック
ロフト角: 9度、 10.5度、 12.0度
シャフト:Fujikura「AIRSPD TM S / SR / R」
グリップ:Lamkin「Crossline 360 33.5g」
価格:¥99,000(税込)
発売日:2025年2月7日予定
※下記はアメリカのスペック
純正シャフトは三菱ケミカルの「Vanquish 4」で、グリップはこちらも軽量のゴルフプライド「Z-Grip(43g)」だ。
ちなみにロフト角は10.5度と12度がある。
テーラーメイド「Qi35」ドライバー

テーラーメイドのスタンダードモデル、いわゆる「コアモデル」は、2025年1月に発売される新しいドライバーの中で個人的に最も興味深い存在だ。
その理由は、テーラーメイドがスタンダードの「Qi35」で達成したと言う重心位置と慣性モーメント(MOI)にある。
「Qi35」の2つある調整可能な『アジャスタブルウエイト』のうち重い方を後部に配置すると、テーラーメイド曰く、重心位置が『CGプロジェクション』からわずか1.6ミリ上になるとのこと。この数値は、明らかに低スピン設計を意識したデザインだと言える。
さらに、この重いウエイトを前方にシフトさせると、重心位置はさらに低くなり『CGプロジェクション』からわずか0.3ミリ上まで下がるという。この設計は、テーラーメイドがさらなる低スピン性能を追求していることを示している。
忘れないでほしいのは、ここで話しているのは「LS」モデルではなく、「Qi35」シリーズのスタンダードモデルだということだ。
さらに注目すべきは、テーラーメイドが「Qi10」よりもMOIを向上させながら、これらの重心位置を実現したことだ。

このことについてはフィッティングのところで詳しく触れるけど、「Qi10」とは違って「Qi35」シリーズの主力モデルは、前後のウエイトを組み合わせることで調整が可能となっている。
テーラーメイドは、重いウエイトを後方に配置した場合の合計MOIは9,000、前方に配置した際は約8,100としている。これらの数値は、テーラーメイドのスタンダードモデルとしては史上最高のMOIを記録している。
この数値は、必ずしもそうとは言い切れないが、「寛容性」(正確にはMOI)を最大化したいプレーヤーが、形状や低スピン性能を理由にしてスタンダードモデルを選ぶ動機の一つになり得るだろう。
普段から「LS」派の私としては、理論上のこの数字が可能になるという点には興味がそそられる。(フェース下部に当てるクセを直せればの話だが)。
「Qi35」ドライバー スペック
ロフト角: 9度、 10.5度、 12.0度
シャフト:Mitsubishi 「Diamana Black TM60– S」/「Diamana Silver TM55– S」/「Diamana Blue TM50– SR / R」
グリップ:Lamkin「Crossline 360 47.5g」
価格:¥99,000(税込)
発売日:2025年2月7日予定
※下記はアメリカのスペック
テーラーメイド「Qi35」ドライバーは9度、10.5度、12度のロフト展開。純正シャフトはフジクラ「Ventus Blue」(VeloCoreなし)と三菱ケミカル「Diamana T+ 60」で、標準グリップは52gのゴルフプライド「Z-Grip」が装着されている。
テーラーメイド「Qi35 LS」ドライバー

テーラーメイドでは、スタンダードモデルではスピン量を抑えるのが難しいゴルファーのために、今年も主力ドライバー「Qi35」の「LS(ロー・スピン)」バージョンをライナップ加えている。
今年の「LS」は大きな変更点がいくつかあり、中でも注目すべきは、テーラーメイド独自の『スライディングウエイトシステム』を廃止し、ピンポイントで配置された3つのウエイトを採用したことだ。
この施策は基本的にコブラやPXG、その他の競合が採用しているアプローチと大きな違いはないが、特にこれを問題視する必要もないだろう。というのも、この3つのウエイト(13g、2g、2g)は、ヘッドの構造)をかなりシンプルにし、無駄な重量を削減する一方で、バックポジションでのフィッティングの柔軟性が高めるという点で、優れた施策と言えるからだ。
また、後部に重めのウエイトを配置すると、高い打ち出し角と高スピンが想定されるものの、重心位置が『CGプロジェクション』からわずか0.8ミリ上に位置しているため、高MOI(約7,700まで)程度でも比較的低スピン性能が得られる。

一方、重めのウエイトを前方のいずれかに設定すると、テーラーメイドが「ビーストモード」と呼ぶ状態になる。
この「ビーストモード」では、『CGプロジェクション』が基準線より0.2ミリ下に位置し、スピン量の大幅軽減とさらなる初速アップが期待できる。6,800という合計MOIは決して多い数値ではないが、超低スピン系としては、数年前と比べてかなり多い数値と言える。そして、「Qi35 MAX」とスタンダードモデルが、テーラーメイド曰く“高慣性モーメント形状”を採用しているのに対し、「Qi35 LS」ドライバーは伝統的な形状を特徴としている。
以前の「LS」モデルとは少し違うが、小ぶりなデザインで、あんまり言いたくないけど「見た目」からして速そうに見える。でも実際にどれだけ速いのか、試してみないとわからないけどね…。理性ではスタンダードモデルが気になるけど、気持ち的にはやっぱり「LS」が良いかな。
「Qi35 LS」ドライバー スペック
ロフト角: 8度、 9度、 10.5度
シャフト:Mitsubishi「Diamana Black TM60– S」 / 「Diamana Silver TM55– S」
グリップ:Lamkin「Crossline 360 47.5g」
価格:¥99,000(税込)
発売日:2025年2月7日予定
※下記はアメリカのスペック
「Qi35 LS」ドライバーはロフト角が8度、9度、10.5度というラインナップ。純正シャフトは、三菱ケミカル「Kaili Blue DarkWave CB 60」と「Kali White DarkWave 60」。純正グリップは52gのゴルフプライド「Z-Grip」だ。

テーラーメイド「Qi35」ドライバー:Fitting =フィッティング
最後となるのが、3番目の柱「フィッティング」だ。
もし6週間前に、「2025年に向けて最も興味深いフィッティングの提案をしてくれるブランドはどこ?」と聞かれていたら、テーラーメイドだとはまず答えなかっただろうね。
正直言って、テーラーメイドがフィッティングに本気で力を入れていると感じたことはこれまでなかった。それどころか、フィッティングの新たな可能性を切り開くようなリーダーになるとは想像もしていなかった。
これから話す内容の中には、聞き覚えのあるものもあれば、これまでのフィッティングに関する話として全く違うと感じるものもあるだろう。
ヘッドファースト

聞き覚えのあるものから言うと、テーラーメイドの「Qi35」ドライバーのフィッティングはまずヘッドから始めるべきだと考えていることだ。
ヘッドを選ぶ際には、ボール初速、打ち出し角、落下角度、スピン量といった、いわゆる従来のフィッティング指標を向上させることが目的になる。
4つのモデルがそれぞれしっかりと差別化されているおかげで、どんなゴルファーにも適したヘッドが見つかるはずだ。また、それぞれのモデルにわずかに重なる部分もあるため、好みに基づいて選ぶ余地も残されている。
ヘッドの次にシャフト

テーラーメイドがヘッドからフィッティング始めて、その次にシャフトを選ぶという流れ自体は、特に珍しいわけじゃない。けれど、シャフトを選ぶ方法が、これまでのフィッティングの常識とは全く違うアプローチなんだ。
ゴルファーが「Qi35」ドライバーに最適なシャフトを見つけるため、テーラーメイドが注目しているのが「クロージャーレート」というデータポイントだ。
この指標は、ヘッドデータで確認できるフォーサイトの数値で、“シャフトに対するクラブヘッドのヒールからトウへの回転する速度を示している。この速度は、シャフトを基準に1秒あたりの回転角度(度/秒)またはrpmで測定される。これまで何年も「クロージャーレート」については疑問を感じていたが、それをフィッティングの一部として活用する方法を聞いたのは、今回が初めてだ。
これについては追ってもっと深掘りしたいと思うけど、現状では「クロージャーレート」をスイングのDNAの一部だと考えて欲しい。
このデータは、クラブをどのようにスイングしているかを反映したものだが、そこに良い悪いは特になく、ただそれが自分のスイングに合ったものかどうか、という話。ただ一般的な傾向としては、「クロージャーレート」が高いプレーヤーは先端が柔らかいシャフトの方が良い結果になり、「クロージャーレート」が低いプレーヤーは、先端が硬いシャフトの方が合うとのこと。

とはいえ、テーラーメイドのツアープロをはじめとする世界トップレベルの選手たちでも「クロージャーレート」が高い人もいれば低い人もいて、その中間の人もいる。
繰り返しになるが、「クロージャーレート」に良い悪いはなく、それぞれのスイングにおいて自然とそうなっているだけだということらしい。「クロージャーレート」をチェックする目的は、その数値を変えたりいわゆる理想的な「クロージャーゾーン」に近づけるシャフトを見つけることではない。
重要なのは「一貫性」だ。テーラーメイドによると、より一貫した「クロージャーレート」を実現できるシャフトは、コースでより安定した結果を生み出す可能性が高いらしい。もう少しシンプルに言うと、「ヘッド」はボール初速や打ち出し角などの従来の指標に影響する一方で、「シャフト」はインパクトの一貫性を高め、最終的に弾道のばらつきの範囲を小さくする役割を果たしているということだ。
テーラーメイドは、「クロージャーレート」を、最適シャフトを見つけるための指針として活用している。
同社によれば、ツアープロを含む多くのゴルファーが自分に合わないシャフトを使っているとしており、それだけに、テーラーメイドの契約プロの一部が今季、新しいシャフトに変更しても、特に驚くことではないだろう。「トラックマン」について

お伝えしたように、「クロージャーレート」はフォーサイトの計測データであり、現時点ではフォーサイトの弾道測定器にしか搭載されていない。
もちろん、「Qi35」ドライバーをフィッティングする全員が「GCクワッド」を使ったフィッティングを受けるわけではない。そのため、テーラーメイドでは「トラックマン」と連携し、設計データを「トラックマン」に統合したという。これにより、「トラックマン」でクラブヘッドの正確な形状データを初めて取得することができるようになった。それによって、より正確なヘッドスピードのデータを提供するだけでなく、「クロージャーレート」の妥当な近似値も算出することも可能になった。
現状、これはテーラーメイドだけの取り組みだが、他のデザインも「トラックマン」のシステムに統合されるようになれば、業界全体にとっても大きなメリットとなるはずだ。
また同様に、テーラーメイドではシャフトのデータベースも構築中だが、今のところ同社の「MFE(My Fitting Experience)」というソフトを利用するテーラーメイドのフィッティングアカウントだけがアクセス可能となっている。
これについては少し残念に思うが、競合もこれをチェックするようになれば、その価値が明らかになるだろうし、そうなれば、もっとこうした情報が一般化される可能性もある。
そして、フィッターがヘッドとシャフトを決めたら、仕上げは調整機能(ホーゼルの設定やムーバブルウエイト)を使って全てが最適化できればOKってことだ。
ちょっと待った!もっとある(ヘッドが)
今回、冒頭で「Qi35」の“5”は、“フィッティング方法”を指していると説明したことは覚えているだろうか?テーラーメイドの数字周りは少し微妙なところもあるが、今回は市販ヘッド4モデルと「SelectFit」ヘッドがラインナップされている。
厳密に言うと各モデルに「SelectFit」があるので、「Qi“38”」という表現が正しいのかもしれないが、ここでは重箱の隅をつつくようなことはしないことにしよう。「SelectFit」ヘッドは市販モデルとほぼ同じだけど、小さくも重要な違いが一つある。それは、「SelectFit」フェースを採用していることだ。このフェースには6つの「フォーサイト・リフレクティブフィッティングマーカー」が配置されている。

市販モデル(写真)と違い、「Qi35」の「SelectFit」フェースには、フォーサイトの弾道測定器で正確にヘッドをトラッキングするための長方形型の「フォーサイト基準マーカー」6つが組み込まれている。
留意事項:
・このフィッティングマーカーは、テーラーメイドのカーボンフェースのポリマー層の下にあり、外側に貼るステッカーではない。これはチタンフェースでは実現できない施策となっている。
・基本的に、フォーサイトはステッカー4枚でヘッドのデータをキャプチャする一方、テーラーメイドはフォーサイトとともに6ステッカーのシステムを開発。
これにより、ヘッドの一貫性、具体的に言うと「クロージャーレート」のデータの精度が向上する。この最新トラッキングシステムは、「GC クワット」ソフトの最新版でも使うことがきる。・市販ヘッドにはフォーサイトのマーカーは組み込まれていないものの、ステッカーを貼る場所がしっかり分かるようになっているので、フォーサイトの弾道測定器を使用する全フィッター(とゴルファー)がヘッドデータを精度に計ることができる。

「SelectFit」バージョンを市販すべきだと以前テーラーメイドに提案したことがある。
その理由は単純に「自分が欲しいから」というものだったけど、フォーサイト(さらには恐らくブッシュネルのシステム)の普及が拡大していることを考えると、このテクノロジーを一般向けにも提供するメリットを感じるのは自分だけではないはずだ。さらに、これによって、自分的にはどのメーカーでも設計上でフォーサイトのマーカーを適切に配置する仕組みを導入するべきではないかとも考えている。
皆さんはどう思うだろうか?

まとめ
今回のテーラーメイド「Qi35」ドライバーシリーズは、フィッティングの話だけでも、2025年初頭に市場に投入されるモデルの中で一番注目されるラインナップの一つであることは明らかだ。
さらに重心位置の改良、多くのモデルにおける高MOI、そして(誰にでも好まれるとは限らないけど)目を引くデザインを考えると、この「Qi35」は、近年のテーラーメイドの中で一番優れたシリーズだとはっきり言える。テーラーメイド「Qi35」ドライバーシリーズの詳細は、テーラーメイドホームページで。
発売時期と価格

※下記はアメリカの発売時期と価格
テーラーメイド「Qi35」ドライバーは先行販売中。店舗での発売は1月30日から。
価格は「Qi35」、「Qi35 MAX」、「Qi35 MAX LITE」が599.99ドルで、「Qi35 LS」は649.99ドルとなっている。
また、テーラーメイドでは、光沢のあるブラックデザインに控えめなグリーンアクセントが特徴の「デザイナーシリーズ」もラインナップ。「Qi35」、「Qi35 MAX」、「Qi35 MAX LITE」ヘッドは、純正とカスタムで展開される。こちらの価格は649.99ドルだ。
昨年モデルもお忘れなく

「Qi35」も素晴らしいモデルだけど、600~650ドルという価格はハードルが高い。多くの最新テクノロジーを搭載したモデルをお得に手に入れたいなら、昨年の「Qi10」ドライバーが499.99ドルにディスカウントされている。
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