その「シークレットウェポン(秘密兵器)」とは、PXG初のミニドライバーであり、近年注目を集めているこのカテゴリーに新たに参戦したモデルだ。

他社のミニドライバー情報が少ない中、2025年に登場する他のミニドライバーとの本格的な比較はもう少し先になりそうだが、PXGは一風変わった仕掛けで早くも一歩リードしている。それは“ヘッドカバーのデザイン”だ。


PXG「シークレットウェポン」ミニドライバーとヘッドカバーの並び。特徴的なスカルロゴとPXGロゴがデザインされたヘッドが並ぶ。

「え?性能じゃないの?どうでもいいよ!」なんて思わず、見て!「あ~確かにいいかもね!」って思うでしょ?好みはあるけど、よくできているよね(笑)

だけども、アンシテクダサイ!!肝心の性能面でも、「シークレットウェポン」ミニドライバーは、他のPXGメタルウッドと肩を並べる仕上がりとなってマスヨ!


構造

PXG「シークレットウェポン」ミニドライバーのソール全面。PXGロゴと重量調整ウエイトが配置されている。

「シークレットウェポン」ミニドライバーは、チタン製フェースと複合素材クラウンを組み合わせた設計。これは、現在のキャロウェイモデルとも共通する特徴だ。

さらに、PXGの「シークレットウェポン」には、弾道調整が可能な『可変ウェイトシステム』が搭載されている。

このシステムは、2つの15グラムウエイトと2つの2.5グラムウエイトを組み合わせた4ウエイト構造で、高いMOI(慣性モーメント)を維持する設定や、ドロー、フェードバイアスの調整も可能だ。

注目すべきは、PXGが2.5グラム刻み(2.5~20グラム)で交換可能なウエイトを用意している点だ。

これにより、スイングやヘッドの重量を細かく調整したいゴルファーにとって、非常に高いカスタマイズ性が提供される。これだけの幅広い調整オプションは、個々のプレーヤーに合わせた最適なパフォーマンスを引き出す助けとなるだろう。

また、PXG独自の『調整可能ホーゼル』が搭載されており、ロフト角やライ角の細かな調整が可能だ。

さらに、他のPXGクラブ同様、ロボットによるポリッシュ仕上げが施されており、部品ごとの一貫性と精密さを高めている。これによって、パフォーマンス面でも安定した品質が保証されている。


PXG「シークレットウェポン」ミニドライバーのクラウン部分全体。カーボン素材とアライメントラインが確認できる。

シークレットウェポン:主なスペック

ミニドライバーカテゴリーの面白いところは、その設計の自由度にある。このカテゴリーでは、「少し大きめのフェアウェイウッド」から「やや小さめのドライバー」まで、幅広いバリエーションを展開できる可能性がある。

各ブランドがこのカテゴリーの中でどのように独自のモデルを位置づけ、特徴を打ち出してくるのかは非常に興味深いポイントだ。


・フェアウェイウッド的な飛距離特化型?

フェアウェイからでも飛距離を狙えるモデル設計か。

・ティーショットでのコントロール重視型?

ドライバーよりも操作性を重視し、狙ったラインに打ちやすい設計か。

・飛距離とコントロールのバランス型?

これは多くのメーカーが追求する理想形だが、現実的にはその成功度には差が出ることが少なくない。


PXGは「シークレットウェポン」を「多用途(Versatile)」と表現しており、これはデザインにおいてバランスを重視していることを示唆している。

性能面でこれがどう影響するかは後ほど詳しく見ていくが、このカテゴリーにおいては、特にサイズと形状が多用途性を左右する重要な要素となっている。

PXG「シークレットウェポン」のヘッドサイズは300ccだ。参考までに比較すると、これは間もなく登場予定のタイトリスト「GT280」よりわずかに大きく、テーラーメイド「BRNR」(304cc)よりも少し小さい。

そして、キャロウェイ「パラダイムAiスモークTi340ミニ」に比べるとかなり小ぶりだ。


PXG「シークレットウェポン」ミニドライバーのヒール側に刻まれた「SECRET WEAPON」の文字クローズアップ。

サイズだけで言えば、個人的にはテーラーメイドの「SLDRミニ」(260cc)がお気に入りだ。しかし、ミニドライバーの性能は、ヘッドの体積がどのように配分されているかによって大きく左右される。

フェアウェイウッドのように浅いフェースなのか、ドライバーのように深いフェースなのか、それともその中間的な設計なのか?この違いがプレーに大きな影響を与えるのだ。

簡単な測定によると、PXG「シークレットウェポン」のフェース高はテーラーメイド「BRNR」よりやや浅く、キャロウェイのモデルとはほぼ同じ高さになっている。

PXG「シークレットウェポン」の特徴は、タイトなリーディングエッジによる優れた汎用性にある。

この設計により、ティーショットでドライバーの代わりとして使えるのはもちろん、フェアウェイからのショットでも十分なパフォーマンスを発揮する。フェース幅が「ブラックオプス」3番ウッドより44%大きいにもかかわらず、その適応力は際立っている。


PXG「シークレットウェポン」ミニドライバーのフェース部分クローズアップ。フェースラインが鮮明に見える。

比較的浅いフェースとコンパクトな形状を持つ「シークレットウェポン」は、個人的にはフェアウェイからのショットにも使いやすそうに見える。ただし、それが実際にどう感じられるかは、また別の日に議論すべき課題だろう。

その他の仕様について触れると、標準シャフト長は43.75インチで、これはドライバーより約2インチ短い。この短さが高いコントロール性能に寄与している。

ヘッド重量は210グラムで、ロフト角は13度のみの設定。ただし、PXG独自のホーゼル調整機能により、実際のロフト範囲は11.5度から14度の間で調整可能だ。

PXGは「シークレットウェポン」を高MOI(慣性モーメント)モデルとして位置づけているが、これはあくまで相対的な話だ。

ミニドライバーはその小型ヘッドという特性上、フルサイズドライバーのMOI(慣性モーメント)には及ばないのが現実だ。

しかし、重要なポイントは、「シークレットウェポン」がPXG「ブラックオプス」3番ウッドと比較して、MOIが6%向上している点だ。この向上の大半はX軸(上下方向)で実現されている。


PXG「シークレットウェポン」の性能について

PXG「シークレットウェポン」ミニドライバーとヘッドカバーの並び。特徴的なスカルロゴとPXGロゴがデザインされたヘッドが並ぶ。

性能を評価するために、PXGは「シークレットウェポン」と「ブラックオプス」ドライバーおよび3番ウッドとの比較データを提供している。

このデータにより、「シークレットウェポン」がどのような位置づけにあるのかがより明確に示されている。

PXGの社内テストによると、「シークレットウェポン」は3番ウッドより約1.34m/s初速が速く、ドライバーより約2.46m/s遅いという結果が出ている。

打ち出し角は、ドライバーや3番ウッドより約1度低かったが、ドライバーよりもかなり寝たロフト角であることを考えると興味深いポイントだ。

スピン量はドライバーと3番ウッドの中間に位置し、特に3番ウッドよりも300rpm少ないスピン量が記録された。これにより、ミニドライバーとしての汎用性とパフォーマンスが証明されている。

飛距離に関して言えば、約2インチ短いシャフトを使用しているミニドライバーは、さすがにドライバーには及ばない。テスト結果では、ドライバーより20ヤード飛距離が短かったが、3番ウッドよりは10ヤード飛ぶという結果が出ている。

このバランスにより、「シークレットウェポン」は「飛距離」と「コントロール性能」の両方を求めるゴルファーにとって魅力的な選択肢となっている。

ここで注意すべき点は、これらの結果がすべてロボットによるテストデータであるということだ。

ロボットテストはスイング条件を一定に保つため、クラブ性能を比較する上で有用だが、実際のプレーでは個々のゴルファーのスイングや打ち方によって結果が異なる可能性がある。したがって、このデータはあくまで参考値として捉えるのが良いだろう。


PXG「シークレットウェポン」ミニドライバーのヘッドとスカルロゴ入りヘッドカバーの組み合わせ。

プレーヤーによる実際のテストからのフィードバックでは、「シークレットウェポン」は現実のラウンドにおいて、ドライバーや3番ウッドに比べてより優れた性能を発揮することが確認されている。

特に、ロボットでは再現が難しい「完璧でないスイング」の際に、その真価が発揮されるという。これにより、ミスショットへの「寛容性」や「安定性」が評価されており、実際のプレー環境でのパフォーマンスが高いこと証明されている。

ちなみに、「ショットスコープ」のデータによると、ゴルファーは3番ウッドを使用してもドライバーと比べて特に「正確性」が向上するわけではないことが分かっている。

そうなると、ミニドライバーが3番ウッドよりも「飛距離」を伸ばしつつ、「正確性」と「弾道のばらつき」を改善できるのであれば、バッグにミニドライバーを入れる選択肢が現実的になってくる。

特に、フェアウェイからも打ちやすいモデルであれば、その魅力はさらに増すだろう。

要するに、「シークレットウェポン」の売り文句はシンプルだ。

ドライバーよりも「コントロール性」が高く、フェアウェイウッドよりも「飛距離」が出る。いわゆる“中間的なクラブ”であり、多くのゴルファーにとってメリットをもたらす可能性が高いと言える。


PXG「シークレットウェポン」ミニドライバーのクラウン部分に施されたカーボンパターンと「X」のアライメントマーク。

今後の展開に注目!

2025年は、ミニドライバーが豊作の一年になりそうだ。もっとも、このカテゴリー自体がまだニッチなため、断言するには少し早いかもしれない。しかし、現状の動向を見れば、その兆しが確実に現れているのは間違いない。

各ブランドが新モデルを続々と投入していることからも、この流れが今後さらに加速していく可能性が高い。面白い年になりそうな気がする。

今言えるのは、夏のゴルフシーズン本番を迎える前に、これまでより多くのミニドライバーが登場するということだ。とはいえ、これまでのミニドライバー市場には選べるモデルがせいぜい2種類程度しかなかったわけだから、選択肢が広がったとしても迷って困るってほどではないんだけどね。

PXGは「シークレットウェポン」で先陣を切った。タイトリストも「GT280」をどこかで控えているようだ。

テーラーメイドの「BRNR」はサイクルに入ってからほぼ2年が経過。そして、キャロウェイもこれまでにミニドライバーを手がけた経験があり、また新たに動き出すのではないかと予想している。

そして、トレンドを追いかけるのが得意な他の多くのブランドについては、まだ触れていない。

2025年のミニドライバー新作数について、私は「6.5本」というラインを予想している。これは面白い展開になりそうだ。楽しみにしていてほしい。


PXG「シークレットウェポン」ミニドライバー用ヘッドカバー全体。ロゴと「SECRET WEAPON」の文字が確認できる。

スペック・販売・価格

PXG「シークレットウェポン」ミニドライバーは、13度のロフト角で右利き用・左利き用の両方が用意されている。

販売価格は¥ 77,000(税込み)、現在発売中。

詳細情報は、PXG公式サイトをご覧ください。