3世代に渡る「Titleist Speed(TS)プロジェクト」を経て、タイトリストのメタルウッドシリーズが新しい名称になった。タイトリスト「GT」ドライバーの「GT」は、「Generational Technology=世代を超えたテクノロジー」の略で、世代を超えた素材、構造、パフォーマンスを示している。

念の為に言っておくが、これまでにお伝えしてきたドライバーの記事と今回の記事の軸は同じではないが、似たように感じるかもしれない。また「GT」を見て、モデル名以外は何も変わっていないと思うかもしれない。


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とはいえ、同時に「GT」を見て“いつも通りのタイトリストだ”とまとめられると、私はちょっぴり引いてしまう。

見た目で判断できない部分があるからね。

中身(そしておそらく外側も)が大きく進化しているこのタイトリスト「GT」ドライバーは特にそう言える。

むしろ「GT」が「TSR」に似ているという事実は、タイトリストがナンバー 1 ドライバーに貢献した要素を変えることなく、「ツアーでナンバー 1 ドライバー」をより良くするための課題を乗り越えるだけの力があったという証でもある。

ゴルファーが「GT」ドライバーのいずれかのモデルでパフォーマンスが向上したとなれば、タイトリストが上機嫌になることは間違いないだろう。そしてアベレージゴルファーとツアープロたちの第一声が「見た目は今まで使っていたものと変わらないのに…」ともなれば、開発陣たちが“どや顔になることは間違いない。

そしてその感じた言葉通り、「GT」が“いつもと同じタイトリスト”に見えるなら、それはデザインの影響だ。


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何も変えずに進化させる

タイトリストの開発チームのブレない使命は、“何も変えずに進化したドライバーを生み出す”ことだ。このミッションは何があっても、“しくじってはいけない”。

これは“掟”のようなものだが、「見た目」や「打感」は絶対に変えてはいけないのだ。

こんな一見不可能に思えることに取り組むより簡単な方法はあるだろうが、タイトリストの哲学(そしてその哲学こそトッププレーヤーを魅了し続ける理由)は、“一つの改善では満足しない”ということ。

タイトリストは、新製品発表ごとに、「ボール初速」、「弾道」、「一貫性」を向上させる努力をしており、全ゴルファーが「GT」の性能を最大限発揮できるようにするためのフィッティングツールも備えている。

そして、発売周期が2年なのには意味がある。

当然、これだけで「GT」が「TSR」(または今使っているクラブ)より優れたドライバーというわけじゃない。その実力(あるいは実力がないか)はあなたが試してみなければ分からないが、ここで大切なことは、「GT」の“見た目はあまり変わらない”にしても、クラブ全体は「TSR」の発売から2年で“大きく変わった”ということ。

では、「GT」は「TSR」より優れているとタイトリストが信じるワケを明らかにしていこう。


エアロダイナミクス(空力特性)が向上

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エアロダイナミクス…?「見た目」の内容からかけ離れたように思うだろうが、エアロダイナミクスの改良は、ドライバー形状の変更を意味する。

では、実際にドライバーの形状を変えることなく、どうやってその形を変えるのだろうか?

「TSR」を使ったことがある人なら、アドレスでは何も気付かないだろう。重要なことは全てヘッド内部で起きている。それでも、カラーやデザインの違い以外気が付くことはあまりないかも知れない。


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「TSR」の時と同様、タイトリストは、ソールに派手な装飾を施したいという衝動を抑え、エアロダイナミクス(空力特性)効率を最大化させることを選んだ。今回のモデルに、不必要なグラフィックやアグレッシブな凸凹はない。こうしたものは一見カッコよく見えるが、スイングでクラブが動く時の空気の流れを乱す可能性があるのだ。

パフォーマンスファーストで、ビックリするようなソールデザインは2の次…、あるいは全くないってことだ。


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「GT」ドライバー(これは「GT3」)の後部は、「TSR」のそれよりも相対的に盛り上がっている。


鋭い人なら分かるかも知れないが、今回のドライバーは後部(タイトリストが「ボートテール」と呼ぶ部分)が「TSR」に比べ相対的に盛り上がっている。これにより、空気の流れがヘッドに沿うようになり、空気抵抗が減ってさらに初速アップする。

そして後部が盛り上がっているのは、「GT2」と「GT3」の話で「GT4」はそうなっていないが、この話はまた後ほどお伝えする。

また、どんなゴルファーがエアロダイナミクス(空力特性)の恩恵をより受けるのかということについては、その法則は変わっていない。

“ヘッドスピードが速い”ゴルファーが最も恩恵を受けるが、ツアーの平均ヘッドスピードが53.64m/sに達し、私が時折レッスンを受けるスタジオに出入りするジュニアのほぼ全員が44.7m/s以上でスイングしていることを考えると、エアロダイナミクスがこれまで以上に大切であるということは当然だろう。

それでもこの記事を読んでいる人の中には、改良されたエアロダイナミクスからほぼ何の恩恵も得られない人もいるという事実はあるが、タイトリストがヘッド形状をキープすることができたことで、ヘッドスピードがそれほど速くないゴルファーでもスイングを速くすることが可能ともいえる。


スプリット マス コンストラクション

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タイトリスト「GT」ドライバーのスプリット マス コンストラクション


『スプリット マス コンストラクション』はドライバーの前方、後方、下部、そして周辺部へと適切に重量を配置するタイトリストの手法だ。

コブラ「RADSPEED」の「Radius of Gyration(回転半径)」を覚えているだろうか?基本的な思想は同じと言える。

ドライバー設計の世界では、前方だろうが後方だろうが、側面にウエイトが固定されていようが周辺重量配分が好ましい。なぜなら「安定性(MOI)」につながるからだ。重量が中央に集中することは、実際のパフォーマンス上のメリットがない。

あるモデルのパフォーマンス目標が高MOI、低スピン、初速の最大化のどれであっても重量を真ん中にする開発者などいない。

タイトリストがどのように重量配分したのかは、「GT3」の「SureFit CGトラック」の前方配置と「GT4」の前後のウエイトに顕著に表れているがそれだけではない。

タイトリストによる「GT」ドライバーのバランス調整方法で最も注目すべきことは次の項目にある。


シームレス サーモフォーム クラウン

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タイトリスト史上初めてドライバーシリーズ全体で「コンポジットクラウン」が採用されることになった。実際のところ、タイトリストのドライバーのどこにでもコンポジットが使われるのは「909 D Comp」以来のこととなる。

そして念の為にお伝えすると、タイトリスト「GT」ドライバーは決して「909 D Comp」の“焼き回し”というわけではない。

さて、皆さんが言いたいことは分かっている。「コンポジットクラウン」は世代を超えたテクノロジーとは言い難いってことだろう。その通りだが、タイトリストがやったことはいくつかの点で異なっている。

まず、大抵のドライバークラウンはドライバーの上にある単なるファイバーシートに過ぎない。もちろん例外もあり、コブラでは複雑なカーボン構造が採用されたこともある。同様にキャロウェイの「360度カーボンシャーシ」も通常とは異なると言っても良いだろう。

一方、タイトリスト「GT」ドライバーでは、『ラップアラウンドデザイン』が採用され、ドライバーの前後と下部でチタンボディに繋がっている。


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タイトリスト「GT」ドライバーの「シームレス サーモフォーム クラウン」の配置と形状を表すグラフィック。


カーボンとチタンの接合部は比較的薄くて軽量だが、それより大切なことは接合部の配置を最前方と最後方、さらにソール部にしたことにある。これにより、タイトリストでは、全てを繋ぐ接着剤とともに支持構造のウエイトを有効活用できるようになった。

タイトリストでは、クラウンによる総重量の軽量化とこの接合方法により、ヘッド後部が盛り上がることで生じる可能性がある高重心化を避けつつ、これまでのモデルと同様の慣性モーメントを維持することに成功したのだ。


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タイトリスト「GT4」ドライバー


このテクノロジーの『サーモフォーム』」部分を見ると、クラウン素材の成形の複雑さが分かる。

タイトリスト「GT」ドライバーのクラウンは、加熱されたカーボンファイバー素材が一連の工程を経て最終形状に徐々に成形されている。これは細かく入念に練られた精密作業となっており、タイトリスト曰く、パーツから次のパーツにかけても非常に形状が一貫したものになるという。

通常各メーカーは可能な限りパーツを一貫したものにしたいと考えているが、まったく不要とは思わないものの、これが今回のクラウンのシームレスな部分(つなぎ目のない外観と美しいフォルム)となると特にメリットを感じるのは私だけではないはず。

外から見ると、タイトリスト「GT」ドライバーの3モデルのどれもが複合クラウンを採用しているとは思えない。繰り返しになるが“いつも通りのタイトリスト”に見えるのかも知れないが、同じものではないということが分かったと思う。

ほとんどのコンポジットデザイン(テーラーメイド「Qi10」は例外)には、チタンが終わる部分とカーボンのスタート部分を示す視認可能なラインがある。多分だが、これはメーカーがみなさんにカーボンファイバーを見て欲しいからなのかも知れないし、このラインを隠すことが高価だからなのかも知れない。

いずれにしても、タイトリストのクラウンは完全にシームレスで、カーボンファイバーの織りが完全に見えないようになっている。

カーボンとチタンが繋がる部分を充填して滑らかにするにはさらなる尽力が必要だが、これはコンポジットクラウンのドライバーを“いつも通りのタイトリスト”のように見せるためには欠かせないということ。


PMPの採用

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タイトリスト「GT3」ドライバー


これまで話してきたことは、(同じではないものの)過去にもあったが、クラウンの話の最後の部分は業界の常識から一番外れている。

カーボンファイバーのメリットは良く知られていることだ。軽量だから、開発チームが重量を望む場所に再配分できること。

一方、多くのゴルファーがカーボンファイバーの「音」に物足りなさを感じている。カーボンの音を好む人もいるだろうが、我々の記憶の中で音が最悪だったドライバーのいくつかはカーボンがその原因になっていたということに異論を唱える人はいないだろう。

一般的に、カーボンファイバーはレジンやグルーで含浸されることで剛性が高まり構造的完全性を実現している。

音の違いの大部分は、クラウンに使用されるレジン素材に起因する。一方、グルーは音をあまり通さないのでインパクト時の音はより静かになるのだ。

カーボンが好きでも嫌いでも、皆さんはカーボンの音がチタンとは違うということには同意できるはずだ。


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タイトリスト使用者の「打感」に対する期待に(何も変えずに)応えることがデザイン目標の一つだとするなら、カーボンファイバーに対する業界標準の手法ではその目的を達成できない。

そこで、タイトリストは3モデルある「GT」ドライバーにおいて、通常のレジンの代わりに「PMP(独自のマトリックスポリマー)」と言われるものを採用。構造的完全性だけでなく“音響特性”も調整した。

業界初のケースだと良くある話だが、タイトリストではその素材が何なのかを正確には明かしていない(多分これが独自という部分なのだろう)。このポリマー自体は他の業界でも使われているが、面白いことに音響特性用ではない。そしてタイトリストが、この素材で何を実現しているのかは、「PMP」を注入したカーボンファイバーを何らか硬いものに落としてインパクト時に発生する音を聞けば分かる。

従来のカーボンファイバーが、カーボンファイバーのように聞こえるのに対して、「PMP」クラウン素材だとメタルのような音がする。この記事を読んでいる人なら誰でもPMPクラウンはメタルだと思うはず。

そして、これはドライバーそのものの「音」と「打感」にも通じるのだ。

私は、事前にカーボンクラウンが採用されていることを知らなかったので、「GT2」と「GT4」はチタンと見分けがつかなかった。「GT3」を試打した時、我々が思ったことは、“カーボン感が少しあるな”ということだけ。試打したスタッフの1人は、チタンよりやや「安っぽい」、あるいは「澄んでいない」と表現していた。

これは素材のせいかも知れないし、前方にある『ウエイトトラック』のせいかも知れない。

まとめると、「GT2」と「GT4」には親近感があるということ。個人的に「GT3」は“コンポジット”というよりも“メタル感”があると思うが、「打音」は他の2モデルで体験したほど澄んではいなかった。


低く、さらに浅くなった重心

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タイトリスト「GT2」ドライバー


このクラウンや軽量化の施策の全ては、見せかけだけではない。目的があって遂行されている。

ドライバーにおける今年の話題の一つは最大MOI(10K)だが、これはタイトリストのアプローチの一つになることはなかった。

「私たちが目指すことと哲学は、適度な『安定性』と『慣性モーメント』に優れた重心特性を組み合わせることにある」と語るのはタイトリストのメタルウッド開発ディレクターのステファニー・ラトレル氏。「この組み合わせで、より一貫して飛ぶドライバーができる」。

「MOI(慣性モーメント)」が大きくなると収穫逓減が起こることは、誰もが認めるところだろう。また多くの人が「寛容性」を増す方法(例えばフェーステクノロジー)は他にもあると主張していることもある。

広い視野で見るとタイトリストは、必要な「MOI」には上限がありそれを大きく逸脱すると他のパフォーマンスが犠牲になると考えるブランドの一つだ。例えば、ゴルファーが高MOIデザインをゆっくりスイングしてしまうことは珍しいことではない。その結果ボール初速が落ち、ロフト角を立てる設計になっていない限り、スピン量の増加は避けられないのだ。

こうなってしまうと、「飛距離」を最大化することはできない。


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タイトリスト「GT2」、「GT3」、そして「GT4」における目的は、重心を浅く下に動かしニュートラル軸に近づけると同時に、『スプリット マス コンストラクション』によりMOIの数値をタイトリストが最適と感じられる範囲内にすることにある。

「TSR」シリーズに比べ、この「GT」シリーズは全3モデルが低重心、そしてさらに浅重心になっている。

重心の変動が最も大きいのは「GT4」だ。重たいウエイトが浅い位置にあるとスピンキラーになることには変わりないが、重たいウエイトを後方にすると、重心は「GT2」と「GT3」の中間に位置する。中間モデルが合う人、特に小ぶりなヘッド(430cc)の見た目が好みの人にとっては興味深い選択肢となるだろう。

タイトリストが重視しているのは、「MOI」を新たな高みに押し上げることではない。浅重心になるとスピン量が安定するので、ナイスショットとそうでないときの差が縮まるのだ。

また「MOI」ではなく、機能的な「寛容性(一貫性)」が大切だと言う人もいるかも知れない。

タイトリストが例に挙げているのがキャメロン・ヤングだ。「TSR」において、ヤングのコントロールショットであるヒールカットのスピン量は2,800〜3,200。これが「GT」だと同様のショットで、2,400〜2,600程度のスピン量となる。ヤングは望むコントロール性をキープしたまま、「飛距離」も伸ばしているのだ。


スピードリング VFTフェース

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タイトリスト「GT2」ドライバーのフェース


「GT」ドライバーにおいて、タイトリストは「TSR3」の『ATIスピードリングフェース』を採用し、「VFT(バリアブルフェースシックネス)」を追加。これをドライバー3モデル全てに搭載している。

簡単に言うと、「VFT(可変フェース厚)」搭載のスピードリングは、フェース全体を初速アップさせるためにある。

ここで、“ドライバーはこれ以上初速アップできないし、USGAのルールが…”とあれこれ言う連中が冷静でいられなくなる前に、再度「CT(スピードを規制するためのUSGAの現在の取り組み)」と「COR(旧来の手法)」は別物であることを指摘させて欲しい。

「COR」の方が「CT」よりも実際のボール初速との相関が強いため、USGAがテスト指標をCT値に変更したことで、規定の範囲内でさらに初速アップするチャンスが生まれたのだ。


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タイトリスト「GT2」ドライバー


大げさに言うつもりはない。大幅に初速アップするということではなく、“規則の抜け穴”とでも言える部分を突くことで、メーカーは「CT」を規定内に収めた上で「高COR」を実現することができるというわけだ。これにより、タイトリストもフェース中央でさらに初速アップすることが可能になっている。

そして『VFTフェース(可変フェース厚)』は、センターから外側に向かうにつれ徐々にフェース厚が薄くなっている。これにより、スイートエリアが拡大。肝心なことはタイトリスト「GT」ドライバーのオフセンター時の初速は「TSR」よりも速いのか?ということだろう。

この『スピードリング VFTフェース』テクノロジーはラインナップ全体で一貫したものだが、実際の形状は各モデルに必要なパフォーマンスによって異なっている。


新しいフェースのグラフィック

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新しいフェースグラフィックは「ゲームチェンジャー」だとか、「世代を超えたテクノロジー」などと言うつもりはない。

とはいえ、「GT」ドライバーシリーズのフェースに縦のライン(決して縦方向の溝ではない)が入っていることには触れておきたい。このアップデートは、タイトリストの契約プロ数名がシルバーのマジックでフェースにマークをつけたことが要因だった。

こういったことに関して、USGAには非常に明確な規制があることは分かるが、とにかく同社デザインチームは、このラインがあることで、よりスクエアに構えることができるのではと感じ、純正の「GT」デザインの一部として採用することになった。

まぁ悪くはないだろうね。


タイトリスト「GT」ドライバー – 3モデル

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では、ここからタイトリスト「GT」ドライバーの3モデルを深掘りしていこう!まず、タイトリストが各モデルをどのような人向けだと言っているのか、一字一句お届けしていく。

タイトリストの実際の公式文言は「どうかフィッティングを受けてください」というものだが、フィッティングを受ける、受けないに関わらず、各「GT」ドライバーがどのようなタイプのゴルファーに向いているのか知りたいところだろう。

やっぱりフィッティングは受けるべきだけどね。


タイトリスト「GT2」ドライバー

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「オフセンターヒットすることが多くボール初速を犠牲にしているプレーヤー向けに、高MOI(慣性モーメント)ドライバーの安定性を提供する」。

言い方を変えてみよう。「GT2」は無難なモデルだ。他の2モデル(「GT3」・「GT4」)のような調整機能はないが、フェース全面がヒットポイントになる傾向があるなら、「GT2」がおすすめだろう。

「GT2」はミスヒットに強くフェースのどこに当たっても安定した飛びを実現してくれる。また、「GT2」は「GT3」とヘッド体積は460ccと同じだが、3モデルの中では一番大きく見え、構えた時の安心感もある。

タイトリスト「GT2」のロフト角は、8度、9度、10度、11度がラインナップ。


タイトリスト「GT3」ドライバー

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「打点が比較的安定しているプレーヤー向けに、さらに正確に調整可能な『SureFit CGトラック』を採用することで飛距離を最大化し、あなたが望むコントロール性を確約する」。

ここで理解すべき大切なことは、インパクト位置の安定は、必ずしもセンターヒットだけではないということ。

例えば、センターではなくもしヒール寄りに当てていることが多いなら、「SureFit CGトラック」をヒール寄りに近づける。トウ側寄りならトウ側へ近づける。自身の打点が集中するエリアにヘッド重心を合わせることで、さらなる初速アップが実現できる。

また、他の弾道矯正も可能なため、ウエイトを使いスライスやフックも軽減することができるのだ。

「GT2」に比べ「GT3」が低スピンモデルとなっているが、極端に低スピンヘッドというわけではない。

タイトリスト「GT3」のロフト角は、8度、9度、10度、11度がラインナップ。


タイトリスト「GT4」ドライバー

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「スピン量が3,000rpmを超えると飛距離ロスするプレーヤーに向けて、『GT4』はタイトリストで最もアグレッシブにスピン軽減を実現。よりコンパクトなドライバーの中に計り知れないパワーが詰まっている」

上記の通り。このモデルは小ぶりだが、簡単にスピン量を抑えることができる。重めのウエイトを前方に配置すれば、他の低スピンモデルと比較しても、一番の低スピンモデルだと言っても良いだろう。

軽量ウエイトを前方に配置すると安定性を損なう可能性はあるが、弾道とスピン量は「GT2」と「GT3」の中間に位置するはずだ。

また「GT4」は「GT2」と「GT3」のような「エアロダイナミクス(空力特性)」を考慮した形状にはないっていない。これによりスピン量をかなり抑えられることになるが、ヘッドが小さいことである程度のヘッドスピードは得られる。


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タイトリスト「GT4」ドライバー


魅力的ではあるかも知れないが、タイトリストではこの「GT4」にマッチするゴルファーはたったの6%から8%と想定している。あなたもそのうちの一人という可能性もある。

自分は対象外だった。

😭

タイトリスト「GT4」のロフト角は、8度、9度、10度がラインナップ。


実体験

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今回、私に合っていたのは「GT3」だった。フィッティングを受け、過去に使用してきたモデルは「TSR3」、「TSi3」、「TS3」だったことを考えると、そこまで驚くこともなかった。

とはいえ、前作のフィッティング結果で選んだモデルと、今回の結果がそれと同じタイプのモデルになるという確証はない。ツアープロが以前使っていたモデルから別のタイプのモデルに乗り換えるなんていうことは珍しいことではないからね。

フィッティングの結果が「GT2」になるのではないか…と思った時もあったし、以前の話だが、「Fグラインド」ウェッジと「Pro V1」ボールが合っていると言われた時は、正直タイトリストが自分のことをゴルフ版“グルーピー”(熱狂的ファン)にしようとしているのではと本当に心配したが、今回の結果がマイドライバーに似たドライバーになったことで、少なからず安心した(笑)。


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また自分の場合だが、「GT3」の低スピンと「SureFit CGトラック」が良かった。ヒールにウエイトを配置することは恥ずかしいことなんかじゃないし(自分に言い聞かせれば良心にも恥じない)、バランスポイントが低い短めのシャフトにすることで、右へのミスも減らすことができた。

つまり、明確な目的を持ってフィッティングを受ける上で、以下を念の為の留意事項と思って欲しい。

ドライバーフィッティング(そして新しいドライバーの購入)は、飛距離アップの手段と考えがちだが、私はとんでもないミスを減らすことが目的だった。飛距離は出ると信じ、ミスをなくしてベストショットと最悪のミスの差を縮めることができれば、さらに良い状況になるはずだ。


結論

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全部まとめると、タイトリスト「GT」ドライバーシリーズから期待できることは、初速と「一貫性」の向上で、これら全てがシリーズを通じて実現しているということだ。

もちろん、「TSR」と「GT」では大きく変化している。新作は、多くのゴルファーにとってはパフォーマンスが向上するだろうが、「見た目」、「打音」、そして「打感」は想定通りとなっている。

このことを“物事は変われば変わるほど、実は変わらない”と言うこともできるだろうし、これが“いつもと同じタイトリスト”と同じようなら、ほとんどのゴルファーはこれで十分満足するはずだ。


スペック・価格・発売時期

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※ここより下記はアメリカのスペックと価格である。

モデルのスペック・価格などの詳細は、タイトリストホームページより。

発売日は、2024年8月23日。


タイトリスト「GT」ドライバーシリーズの純正シャフトは、「PX Denali Red(高弾道)」、三菱ケミカル「Tensei 1K Blue(中弾道)」、「PX HZRDUS Black(低/中弾道)」、そして三菱ケミカル「Tensei 1K Black(低弾道)」となっている。

また今年はグラファイトデザインのプレミアムラインナップには「Tour AD VF」、「Tour AD DI」、「Tour AD UB」が追加された。

カタログ掲載のその他のシャフトはカスタムで装着可能。

タイトリスト「GT」ドライバーの小売価格は純正シャフト装着で649ドル、プレミアムオプション装着なら849ドルとなっている。

これだとちょっと高いというなら、「TSR」ドライバーシリーズが「GT」発売に先駆けて449.98ドルまで値引きされている。

先行発売とフィッティングがすでにスタート。店頭発売は8月23日からだ。