「反復的」という言葉は、ピンのR&Dチームが取り組む開発プロセスそのものを象徴しているように思える。それほどまでに、ピンは絶え間ない改良と進化を追求している。

他のメーカーももちろん継続的な改善に取り組んでいるが、PINGにおいては一見些細なことが物語の核心となる。

つまり、PING「G440」フェアウェイウッドとユーティリティは「G430」のラインナップと基本的な部分はほとんど変わらないという話なんだが、それぞれのアップデートや変更には明確な目的があり、性能に大いに影響を及ぼしている。

言い換えると、PINGが“何かを変えるとき”は、それに見合った重要な理由とゴルファーが注目すべき背景が必ず存在しているということだ。


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PING「G440」フェアウェイウッド

ちょっと数学的気分なので、定数と変数について語ってみようかな。PING「G440」のラインナップをよく見ると、そのほとんどに見覚えがある。モデル名(「SFT」、「MAX」、「LST」)は引き続き継続されており、各モデルの基本的な素材や構成も変わっていない。

「G440MAX」と「G440 SFT」では、再び高強度「C300」ステンレススチールをフェースに、「17-4」ステンレススチールをボディに採用されている。さらに、PINGは、独自の『スピンシステンシー』と『カーボンフライ・ラップ・テクノロジー』も引き続き搭載している。


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この2つをざっとおさらいすると、『カーボンフライ・ラップ・テクノロジー』は、その名前の通り、フェース素材がソールに繋がるリーディングエッジを包み込んでいる。これにより、フェースの真ん中から下部にかけてたわみ、ボール初速の向上をもたらすというもの。

一方『スピンシステンシー』は、フェースの大部分でパフォーマンスを安定させることができ、適切なスピン量やボール初速の向上を促すものだ。トップ気味のショットでは、スピン量を軽減しつつ、打ち出し角を高めボール初速を向上させる。

一方フェース上部でのミスショットでは、その逆となり、低い打ち出しとスピン量が増加する。

注記:PINGはこの青写真からさらなる性能を引き出せると考えているので、近い将来で完全な再設計がなされる可能性は極めて低い。


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何が新しくなったのか?

「G440」ドライバーと同様、最も重要なアップデートは目に見えない部分にある。それが、PINGの『新フリーホーゼルデザイン』だ。一般的なホーゼルアダプターといえば、円筒形の金属スリーブで構成されたシンプルな構造を思い浮かべるだろう。

しかし、この新デザインでは、スリーブ中央部分の一部を取り除き、上部と下部だけを残している。イメージするなら、ジェンガで遊ぶ様子を思い浮かべるとわかりやすいかもしれない。

この新しい機構に不安を覚えるかもしれないが、心配は無用だ。素材を減らしたところでホーゼルの設計に影響はないとPINGは太鼓判を押している。

繰り返しになるが、新ホーゼルを採用した主な理由は、低重心化に必要な重量(フェアウェイウッドでは11g強)を確保するためだ。

一見簡単そうに聞こえるが、PINGは全フェアウェイウッドモデルのフェース高を3~7%高くしたため、そのままでは重心も高くなり、ヘッド下部に再配置するためのウエイトを新たに確保する必要性が出てくる。

しかし、新ホーゼルを採用したことで、地面からの重心位置は「G430」フェアウェイウッドと同じ高さなのに、フェース高を高めることに成功している。

その結果、重心位置は実質的に低くなり、フェースセンター付近でボールを捉えられる確率が高まった。要するにフェース面の“飛ぶ“エリアを広げることができたということ。

さらに見過ごされがちな細かいことだが、「G440」シリーズではソールウエイトがより深く埋め込まれているので、アドレス時のフェースアングルが安定性するだけでなく、芝とのコンタクトもよりスムーズになっている。

こうした細かな改良が、潜在的に大きな違いをもたらすということだ。


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各モデルをチェック

全モデルに共通するのは、より高いフェース高とより低い重心位置。フェースの高さに関して言えば、「G440 SFT」は主に芝の上から使用されることを想定しており、最もシャローフェースになっている。

また、3モデルの中で最もドローバイアスが強く、全体的に高弾道をもたらすように設計されている。

ご想像通り「G440 MAX」は、弾道、スピン量、フェース高に関して最多層をターゲットとしたモデルだ。

「G430 MAX」と比較すると、ボール初速はほぼ同じだが、打ち出し角がわずかに高く、スピン量は少なめ。PINGのプレーヤーテストでは、ボールのバラツキが8%抑えられる結果が得られている。



一方で、「G440 LST」は、PING本社での試打中に最も高評価だったモデルだ。その理由の一つは『カーボンフライ・ラップ・テクノロジー』を採用した軽量で高性能なクラウンデザインにある。

さらに全体的にディープな形状と新しいフェース素材「HST 220 Ti」の採用により、「LST」がミニドライバーとしても使用可能なポテンシャルを秘めていること。特にドライバーのヘッドスピードが44m/sを超えるゴルファーにとっては、フェアウェイウッドでも十分な性能を発揮する。

また、ディープフェース設計のため、アドレス時に芝からボールを簡単に上げられるようには見えないが、その理由の多くは新しいフェース素材と低重心設計に起因している。

「G440 LST」では、『新フリーホーゼルデザイン』による軽量化に加え、「カーボンクラウン」の接合部を薄くしたことでさらなるウエイト削減を実現。また、「ベータTi 2041」に代わり採用されたフェース素材「HST 220」は、従来より8%薄くなっている。

これらの軽量化で生まれた余剰重量を活用し、85gという重いソールウエイトを搭載しながら、重心をさらに低く設計することが可能となった。


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「G430 LST」と比較すると、「G440 LST」のティーショットでは打ち出し角とバラツキはほぼ同等だが、飛距離はわずかに向上している。

また、芝からのショットでは、打ち出し角がわずかに高くなり、バラツキは変わらず、初速が0.44m/s向上している。このデータもPINGのプレーヤーテストによるものだ。


楽しくためになるPING「G440」情報

PINGは「G440」ドライバーのフェース素材として「HST 220」を検討したが、ひとつちょっとした問題があった。それは「反発が強すぎる」ということだ。

しかし、フェースが小さいフェアウェイウッドに採用するには「HST 220」のほうが適した素材だった。


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自分にぴったりの「G440」フェアウェイウッドは?

PINGのフィッティングに対するアプローチは、バッグに入る他の13本のクラブが果たす役割を考慮し、それぞれのモデルが特定の使用用途を念頭に設計されているという点で、非常に包括的だ。

これに基づいて、PINGは「G440 LST」に5番ウッドを、「G440 MAX」には4番ウッドを追加した。但し、「G440 SFT」のラインナップは「G430」シリーズから変わらない。

また「ARCCOS」やPING独自の3Dモーションキャプチャシステム「FOCAL」など、複数のデータセットを活用し、研究開発チームはいくつかの有意義な結論を導き出している。


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例えば、

・ドライバーのヘッドスピードが38~40m/sの場合、選択すべき最も低ロフトのフェアウェイウッドは4番ウッド

・ドライバーのヘッドスピードが44m/s程度なら、最適なフェアウェイウッドのセットアップは3番ウッド、7番ウッドと4番アイアン

・ドライバーのヘッドスピードが35m/s前後なら、4番ウッドと7番ウッド、5番ユーティリティユーティリティの組み合わせが適切

炎上する前に言っておくが、フィッティングのガイドラインは絶対的な真実ではなく、人によっては別のセットアップでうまくいく可能性があることは重々承知の上だ。

そうは言っても、PINGのデータは非常に包括的かつ説得力がある。


PING「G440」ユーティリティ


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PINGは、個別のユーティリティモデルを開発するのではなく、必要に応じて「LST」「MAX」「SFT」の特徴を組み込んだ6種のロフト(2~7番)で対応するという方法を採用した。

バイアスに関しては、「G440」ユーティリティ2番は「LST (フェードバイアス)」、3番と4番は「MAX(ニュートラル)」、5番、6番、7番は「SFT」で、それぞれ程度の異なるドローバイアスを備えている。

これを実現するために、PINGは重心をトウ側から中間へ、そしてわずかにヒール側にシフトさせたようだ。

ここで興味深い背景を紹介しておこう。LPGAでは、PINGと契約しているプレーヤーの90%がユーティリティの4番を使用し、60%が5番を使用。

LPGAの平均ヘッドスピードが、ターゲット層であるPING「Gシリーズ」の一般男性プレーヤーとそう変わらないことを考えると、ツアープロたちは、フィードバックおよびコース上での研究開発における完璧な情報源となっている。


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「G430」ユーティリティからの変更点としては、「G440」はフェース高が少し低く(よりフェアウェイウッドっぽく)、フェースがわずかに薄く(6%)なっている。

全体的な形状は、(トウバイアスが減り)よりバランスが取れており、「新フリーホーゼルデザイン」により重心は12%低くなっている。

またPINGでは、番手間の飛距離差を適正にするために、ユーティリティにより高い弾道(そしてより止まりやすく)を求めつつ、もう少し飛距離を伸ばす必要もあると考えた。

その結果、薄いフェースと低重心により初速が向上し、さらに静的ロフトを増やすことで飛距離がアップした。つまり、これでミッションは達成できたというわけだ。


私見

PINGのエンジニアたちと会議室で座って新製品について話し合っていると、まるで専門家が集まって議論を深めるフォーラムのような感覚だ。

ひとつ明確なのは、PINGが一部の人から「予想通り」や「地味」と見られる製品発表であっても、彼らは自信を持っているということ。PINGにとっては何の問題もない。

そもそも、多くのゴルファーはこのアプローチに安心感を抱いている。なぜなら、PINGのテクノロジーは確かなR&Dに基づいており、過剰な演出や大げさな主張に頼る必要がないからだ。

これが、我々の毎年のブランド調査で、PINGが消費者からの信頼を得続けている大きな理由の一つでもある。


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もしPINGに対する批判があるとすれば、それはフェアウェイウッドが、標準モデル(PINGではMAX)において、業界トップの競合モデルと比べてパワー不足だと言われてきた点だ。

ただし、最終的な評価は『Most Wantedテスト』に任せるとして、個人的に「G440」シリーズは十分に通用すると思っている。

とはいえ、クラブ1本だけの性能に焦点を当てるだけでは、セッティングの番手間の飛距離と弾道のギャップを最適化するPINGの「Co-Pilot」フィッティングエコシステムの恩恵を受けられなくなる。

要するに、私たちはクラブを個々の特性で評価しがちだが、上達するには、飛距離と弾道、そして弾道特性がそれぞれ最適化された14本のクラブが必要だということだ。


価格と発売時期

PING「G440」フェアウェイウッド

(※標準シャフトスペックは3種フェアウェイウッド共通)

「G440 MAX」:3番/15°、4番/17°、5番/19°、7番/21°、9番/24°

シャフト:「ALTA J CB BLUE (R / SR / S)」/「PING TOUR 2.0 CHROME (R / S / X)」/「PING TOUR 2.0 BLACK(S / X)」/「FUJIKURA SPEEDER NX GREY」

グリップ:「GP360 LITE TOUR VELVET ROUND」バックライン無し

本体価格:¥67,100(税込)


「G440 SFT」:3番/16°、5番/19°、7番/22°

シャフト:「ALTA J CB BLUE (R / SR / S)」/「PING TOUR 2.0 CHROME (R / S / X)」/「PING TOUR 2.0 BLACK(S / X)」/「FUJIKURA SPEEDER NX GREY」

グリップ:「GP360 LITE TOUR VELVET ROUND」バックライン無し

本体価格:¥67,100(税込)


「G440 LST」:3番/15°、5番/19°

シャフト:「ALTA J CB BLUE (R / SR / S)」/「PING TOUR 2.0 CHROME (R / S / X)」/「PING TOUR 2.0 BLACK(S / X)」/「FUJIKURA SPEEDER NX GREY」

グリップ:「GP360 LITE TOUR VELVET ROUND」バックライン無し

本体価格:¥104,500(税込)

2025年2月6日発売(予定)

詳細は、PINGホームページまで


※下記はアメリカのスペック

標準シャフトはPING「Alta CB Blue 65」と「Alta Quick 35/45」、価格は385ドル(MAXとSFT)と600ドル(LST)。


PING「G440」ユーティリティ

2番/17°、3番/20°、4番/23°、5番/26°、6番/30°、7番/34°

・カーボンシャフト:「ALTA J CB BLUE (R / SR / S)」/「PING TOUR 2.0 CHROME 85(R / S / X)」/「PING TOUR 2.0 BLACK 90(S / X)」/「FUJIKURA SPEEDER NX GREY」

グリップ:「GP360 LITE TOUR VELVET ROUND」バックライン無し

本体価格:¥57,200(税込)


・スチールシャフト:「AWT 3.0 LITE(R / S)」/「N.S.PRO 850GH neo(S)」/「N.S.PRO 950GH neo(S)」/「N.S.PRO MODUS³ TOUR 105(S)」/「DG EX TOUR ISSUE(S200)」

本体価格:¥53,900(税込)

2025年2月6日発売(予定)

詳細は、PINGホームページまで。


※下記はアメリカのスペック

純正シャフトはPING「Alta CB Blue 70」と「Alta Quick 35/45」、価格は325ドル。

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