・PINGが新しい「G440」シリーズでスコア改善型(初・中級者向け)アイアンをアップデート

・PING「G440」アイアンは、前作「G430」よりもさらにコンパクト

・ロフトセッティングは同じだが、「G440」アイアンは「G430」よりも平均で飛距離がアップ

・発売は1月30日で価格はスチールシャフトが1本170ドル、カーボンは1本185ドル


PINGは、スコア改善型(初・中級者向け)アイアンの新しい「G440」で離れ業をやってのけた。さらに小ぶりになったのに、パフォーマンスを上げてきたのだ。

スコア改善型(初・中級者向け)アイアン市場では「ヘッドは大きく」というのが性能向上の“既定路線”だったが、PINGは“小さくしつつ、さらに優れたアイアンに仕上げた”となれば興味がわかないだろうか?

新しいPING「G440」は、「G430」アイアンと比べて、ボール初速、打ち出し角、最高到達点が向上。これらが同じロフト設定ということを考えれば、PINGがどんな方法を使ったのか気になってくる。

これでもまだ「G440」にワクワクしないっていうあなた、さらにショットのバラツキが20%も減少したって言われたらどうだい?


PING純正シャフトと「G440」アイアンの接続部分。しっかりとした装着でスイングの安定性向上

「G430」アイアンは、昨年の『Most Wantedテスト』で堂々のトップ10入り(8位)。特に「正確性」と「寛容性」では高評価を獲得。

やさしくてスコアを縮めてくれるアイアンを探しているなら、このアイアンに熱くならずにはいられないはずだ。


PING「G440」アイアンが新境地を切り開いた

PING「G440」アイアンフルセット。4番から56度までの番手が揃った最新モデル

PINGは、前作「G430」と同じロフト設定でどうやって飛距離アップさせたのか?

この答えはシンプルで、重心位置をシフトさせて高打ち出しにし、キャリーを伸ばしたから。そして、この重心移動を可能にしたのが「G430」から「G440」へのヘッドの形状変更というわけだ。

この変化の一部は目に見えるけど、多くは目に見えない内部で起きている。

「G440」の形状が、「G430」から劇的に変わったってことはないが、ややコンパクトになっていることは重要。中でもフェース高が低くなっていることが最大の変更点だ。

この新たなフェース高は、アドレスした瞬間にすぐわかる。このお陰でスコア改善型(初・中級者向け)アイアンっぽい“いかにも”な見た目になっておらず、これまでGシリーズにあまり興味を示さなかった競技志向者(上級者)の目にも止まるんじゃないかと思う。


PING「G440」8番アイアンのトウ側からの視点でフェースとトップラインを強調

そして、見た目以上に重要なのが、この低くなったフェースにより「17-4ステンレススチール」を9%薄くできたこと。

フェースが薄くなったことでボール初速が上り、フェースの軽量化によりウエイトを再配分したことで各番手の重心とMOI(慣性モーメント)も最適化できたというわけだ。

実際のところ、「G440」の驚異的なテクノロジーをあれこれと綿密に知る必要なんてない。大切なことは、4番から9番までのロフト角が「G430」と同じなのに、「G440」は飛距離がアップしてバラツキも抑えられているという「成果」だろう。


「新ピュアフレックス」

PING「G440」アイアンのバックフェース全体像。ブルーアクセントとキャビティデザインが際立つ

フェースが薄くなったことで、「G440」のキャビティには新バッジが搭載されている。4ピースで成形された『新ピュアフレックス』バッジは、フェースのたわみを損なうことなく、薄いフェースを支える役割がある。

また、「G440」シリーズの見た目にマッチするように、ブルーのアクセントが施されていることも特徴。「G430」に比べ、このバッチによりキャビティっぽさが薄れている印象もある。

これもまた、キャビティバックアイアンを(必要とはいえ)敬遠するゴルファーがより魅力的に感じる要素となりそうだ。


PING「G440」と前作「G430」アイアンのキャビティ比較。デザインとテクノロジーの進化が一目瞭然

PINGの調査によると、調査対象者の多くが「G430」よりも新しい「G440」の方が興味深いという結果になっている。確かにそうだろう。「G440」は、この新しいバッジのおかげで一段と魅力的なアイアンになっているのだ。


PING「G440」ロングアイアン(4番〜6番)

PING「G440」4番アイアンのバックフェースとソールのデザイン

「G440」のロングアイアンはロフト角が変わっていない一方、一番飛距離がアップしている。「G440」の5番アイアンは、「G430」と比べボール初速で約0.54m/s、キャリーは4ヤードも伸びているのだ。

「G440」のシャフトが1/8インチ長くなっていることが、飛距離アップの一因と考えられるが、実際は重心が低くなったことと薄くなったフェースが、打ち出しの高さと飛距離アップの要因。1/8インチで平均キャリーが4ヤード伸びることは考えにくいからね。


PING「G440」4番アイアンのフェース部分のクローズアップ画像

個人的には、プロを含めたゴルファーが、大きな番手の「寛容性」を向上させるために「G440」のロングアイアンでコンボセットを組む姿が目に浮かぶ。


PING「G440」ショートアイアン(7番〜9番)

PING「G440」8番アイアンのバックフェースクローズアップ。新デザインと「PURE FLEX」バッジが目立つ

ロングアイアンほどではないが、「G440」のショートアイアンも「G430」と同ロフトにも関わらず「G430」以上のパフォーマンスを発揮している。

「G430」に比べ、「G440」7番アイアンのボール初速は約 0.27m/s、キャリーは1.4ヤードしかアップしていないのに、バラツキは20%も縮まっているのだ。

これはとんでもない進化だ。今回のショートアイアンは、グリーンを狙いたい時に活躍しそう。4番アイアンで乗れば良いけど、9番アイアンならオンできそうだし、ショットのバラツキが20%縮まれば、目標に向かって打てる可能性も高くなるだろう。

また、「G440」は「飛距離」の「安定性」がさらに向上している。「G430」では「飛距離」にバラつきが見られ、着弾範囲が楕円形になりがちだった。

特に、長い方の端に飛んだショットと飛ばないショットの差が顕著だったが、「G440」ではその差が縮まり、より安定した結果を得られるようになっている。


PING「G440」8番アイアンのフェース部分の拡大画像

一方、「G440」だとバラツキの形は円に近い。つまりグリーンオーバーしたり、ショートしてしまうショットが少ないということ。

グリーンオンを狙う場面で、狙った飛距離を出すのはとっても大切。「G440」なら、それが実現できるってことだ。


PING「G440」ウェッジ

PING「G440」ウェッジシリーズ(52度、56度、W、C)のクラブヘッドが並んでいる様子

PINGは「G440」アイアンの下の番手をかなり見直した。「G430」は41度のPWから、45度、50度、54度、58度と5本のウェッジがあったが、新しい「G440」では4本で42度のPW、47度、52度、56度となっている。

こうしたのは、7番アイアンで約135ヤード飛ばすプレーヤー向けに、番手間の飛距離差を10ヤードにしたから。PINGが思う一般的な「Gシリーズ」アイアンユーザー像に合わせたという。

ショートアイアンでのバラツキが少なくなったこともそうだが、番手間ギャップが統一化されたことで、ゴルファーがグリーンを狙う上で適切なウェッジを選びやすくなっている。


PING「G440」52度と56度ウェッジのツーショット。バックフェースと番手表示が強調されている

この変更は別の理由でも好都合だ。PINGアイアンの昔からのお気に入りポイントは、ウェッジの表記が数字ではなくアルファベットになっていること。

PWに「P」と刻印しようが「42」としようが基本的に何も変わらないけど、個人的には「42度のウェッジ」であることより、自分のPWの飛距離を知りいところ。

50度を境にそうしてくれた方がしっくりくる。


PING「G440」ウェッジの新しい56度

PING「G440」56度ウェッジのバックフェースクローズアップ。キャビティバックと「PURE FLEX」バッジが特徴的

ついでだが、アイアンには独特なこだわりが他にもある。それは「セットウェッジが好き」ということだ。ゴルフを始めた時からそうだった。

初めてフィッティングをしたクラブセットはキャロウェイの「Razr X」で、4番アイアンからLWまでのセットのウェッジだった。

当時、フルスイングでのウェッジショットは、セットウェッジの方が遥かに安定していて、今ではウェッジも上達したが、それでもセットウェッジが試せる時があれば必ず試打しているほどだ。

ここで重要なのは「G440」の56度は単なるセットウェッジの付け足しじゃない、ということ。PINGはこのウェッジを、一般的な「Gアイアン」ユーザーが使いやすくなるよう設計に時間を費やしたのだ。


PING「G440」56度ウェッジのフェース面。スピン性能とコントロール性を高めたデザインが特徴

「G440」の56度のデザインは「Eye 2」の形状を基にしている。ホーゼルサイズも小さい。

PINGの調査によると、このデザインにしたことで対象ゴルファーのバンカーショットが向上して方向性が向上しただけでなく、わずかではあるがバンカーから脱出する確率もアップするようだ。

「単なるセットウェッジの一つ」なんて言えないってことだ。

52度と56度のウェッジが「S」とか「L」って刻印されていたら良かったが、数字表記の方が、他のウェッジに代える際に番手間ギャップをイメージしやすいとは思う。


PING最新「PING AWT 3.0」シャフト

PING AWT 3.0スチールシャフトのデザインとロゴが見える画像

「G440」は、PINGの最新スチールシャフト「AWT 3.0」を採用した初のアイアンだ。前のバージョンの同様、『AWT』とは「Ascending Weight Technology」の略。

番手の数字が大きくなると、シャフトが重くなっており、つまりはロングアイアン用シャフトよりもショートアイアン用シャフトの方が重くなっている。

PINGは、今回の「AWT 3.0」シャフトにおいて日本シャフトと組み「進化系の非直線プログレッシブウエイト」を採用。改めてとなるが、この結果としてロングアイアンとミドルアイアンは軽く、ウェッジは重くなっているのだ。

特に注目がこのシャフトのRフレックス。SやXより先端部分が柔らかくなっており、ヘッドスピードが遅いRフレックスユーザーでも、ロングアイアンで簡単にボールを上げることができるとしている。

また、PINGはスチール、カーボンともに純正シャフトが豊富にラインナップしていることも覚えておこう。


PING「G440」対 PING「G730」

PING「G440」と「G730」アイアンのヘッド比較。コンパクトなヘッドで扱いやすさが向上

私が去年、「G730」アイアンを使っていたことがあるのを覚えている人もいるはず。では「G440」と「G730」を比べてどうだったのか?「G440」の使用回数はまだ少ないけど、個人的には「G440」がお気に入りだ。

「G440」のコンパクトな見た目の方が良いし、当たった時のフィードバックも「G440」に軍配が上がる。

限られたラウンド回数と打ちっぱなしのデータが基になるけど、これは比較が難しい。果物売り場に例えると、「G440」はお気に入りの“ふじりんご”で、もし“ふじりんご”が売り切れなら“「G730」りんご”でも良いかなった感じだ。


PING 2025年の「G」は「Gain(ゲイン)」

PING「G440」アイアンが円形に配置された美しいディスプレイショット

自分がスコア改善型(初・中級者向け)アイアンを使う理由は簡単。「G440」だとゴルフが上達するからだ。

4番アイアンをユーティリティの4番に代える予定だけど、「G440」のロングアイアンはそれども打ちやすい。またスコアメイクする番手はグリーンを狙えるようになっていて、ウェッジも単なるウェッジではなく完成度が高い。

打感は「鍛造のバターナイフ」ほどではないけど、(少なくともしっかり当てれば)十分だし、酷いなんてことはない。

そして、ミスショットが分かりやすいので、使えばスイング改善のヒントにもなるかも知れないだろう。


PING「G440」アイアンセット。各番手のソールデザインと番手表示が並ぶ

異論もあるだろうが、「G440」の見た目は「G430」より明らかに改善されている。結局のところ、アイアンの見た目なんて地面を叩き続けていたらいつかは傷だらけになる。

とはいえ、気に入った見た目のアイアンにお金を使った方が良いのはもちろんだ。

このアイアンが、今年の『Most Wanted』(と自分が使う時)でどんなパフォーマンスを見せるのか待ち遠しいところだ。

なお「G430」の見た目の方が好きなら今がチャンス!お得な価格で購入可能だ。


PING「G440」アイアンのスペック

・番手: 4I(19度)、5I(22度)、6I(25.5度)、7I(29度)、8I(33度)、9I(37度)、PW(42度)、UW(47度)、52(52度)、56(56度)

・カーボンシャフト:「ALTA J CB BLUE(R / SR / S)」「PING TOUR 2.0 CHROME I(S)」「FUJIKURA SPEEDER NX GREY35/45」

・価格:¥31,900(税込)

・スチールシャフト:「AWT 3.0 LITE(R / S)」「N.S.PRO 850GH neo(S)」「N.S.PRO 950GH neo(S)」「N.S.PRO MODUS³ TOUR 105(S)」「DG EX TOUR ISSUE(S200)」

・グリップ:ゴルフプライド「360 LITE TOUR VELVET ROUND」バックライン無し

・価格:¥29,700(税込)


※下記はアメリカのスペック

番手: 4番から9番、PW (42度)、UW (47度)、52度、56度。カラーコードは10種類(ライ角)。ブラックが標準

ロフト:スタンダード、パワースペック、レトロスペック

・純正シャフト:PING AWT 3.0スチールシャフト(R、S、X)、PING Alta CB Blueカーボンシャフト(SR、R、S)、PING Alta Quick 35/45(HL)

・オプションの純正シャフト:ダイナミックゴールド(S300、X100)、ダイナミックゴールド・ミッド100(R300、S100)、ダイナミックゴールド105(R300、S300)、ダイナミックゴールド・ミッド115(S300、X100)、ダイナミックゴールド120(S300、X100)、KBS Tour(R、S、X)、N.S. Pro Modus 3 105(R、S、X)、Elevate MPH 95(R、S)

・純正グリップ:ゴルフプライド「360 Tour Velvet」で6サイズ。

Blue(-1/16インチ)、Red(-1/32インチ)、Aqua(-1/64インチ)、White(標準)、Gold(+1/32インチ)、Orange(+1/16インチ)

・米国価格:純正スチールシャフト1本170ドル、純正カーボンシャフト185ドル