「TGL」は、テレビ視聴率の面で、25年1月7日の開幕以来、最初の3週間で確実に成功を収めたと言える。

テクノロジーを融合させたこのシミュレーターリーグは、先週タイガー・ウッズが「TGL」でデビューを果たした際、平均視聴者数が100万人を超えた。初戦と比較すると、平均視聴率は約9%上昇している。

スポーツTV視聴率の専門家によると、「TGL」は開幕夜の視聴者数を約75万人と予想していた。しかし、ESPNでの放送はその予想を大きく上回る結果を記録している。

「TGL」は、ゴルフ放送の前後に行われたデューク大学男子バスケットボールの試合2本の視聴率をも上回っている。

※男子大学バスケットボールはESPNの大人気コンテンツ

この成果を正しく評価するためには、その背景を考慮することが重要だ。2024年のPGAツアー(メジャー大会を除く)の日曜放送では、平均視聴者数が220万人に達していた。

しかし、ゴルフ全体のテレビ視聴率が低迷している中で、この数字は実は前年比で19%減少している。それでも、週末のネットワークテレビで放送される価値は依然として大きい。

「TGL」は、平日の夜に行われるものの、ゴールデンタイムにESPNで放送されるという利点がある。ただし、実際のゴルフコースでの試合ではないという特性から、それだけで視聴を避ける人も少なくないだろうと予測される。

一方で、「TGL」の視聴者数は、過去3年間に「LIV」が記録したどの試合の視聴率も圧倒的に上回っている。LIVの最高視聴者数でさえ、現在のTGLの視聴者数の約3分の1にとどまる。

この差が大きい理由の一つは、「TGL」がESPNで放送されているのに対し「LIV」はCWネットワーク(まもなくFox Sportsに移行予定)で放送されている点だ。

しかし、それだけではなく、「TGL」に対する純粋な興味や好奇心が多くの視聴者を引きつけているのも事実だ。

では、この成功は持続可能なのだろうか?

この新なフォーマットに期待を込めつつも、マイゴルフスパイ的意地の悪い考察をしてみよう。


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「TGL」の新鮮さが早々に薄れてしまう危険性がある

先週、「TGL」の開幕夜が自分の期待を超える結果を残したことについて書いたが、今後その勢いを維持できるかどうかが課題だ。

ポジティブな点としては、テンポの良さや選手たちが楽しんでいる様子が伝わる独特の雰囲気が挙げられる。一方で、ネガティブな点として、放送が2時間目に入ると急激に勢いを失ったことも指摘した。

初回の夜は十分に楽しめたものの、この興味深いコンセプトの可能性を最大限に引き出すには、さらなる調整が必要だと感じた。しかし、こうした新しい試みでは、こうした課題が出てくるのは当然のことだ。

第2戦、第3戦を見た後、正直なところ「TGL」の長期的な持続可能性について、より深い懸念を抱くようになった。期待していた調整は見られず、むしろ初日の放送から後退しているように感じられた。

完全に失敗する可能性は低いだろう――ESPN、タイガー・ウッズ、ローリー・マキロイ、そして注ぎ込まれている莫大な資金がそれを許さない。

しかし、「TGL」が早々に新鮮味を失うことを避けるためには、しっかりとした改善と丁寧な対応が必要になるだろう。

最初の試合では、「どんなものなのか」を確かめるために多くの人が集まった。

そして、第2戦では、タイガーが煙の中から登場し、バックで『Eye of the Tiger』が流れるという演出(少し狙いすぎ感はあったが、これぞT-Dub)を見ようと、再び多くの視聴者が画面に釘付けになった。

6週目、7週目、8週目と進む中で、人々を再び引きつけるものは何だろうか?それが、「TGL」の成功を左右する鍵になるだろう。

正直なところ、これに対する明確な答えはまだ見つからない。

「TGL」へ提言しよう。もっと遊び心やユーモアが必要だ。ホールの設定を大胆でふざけたものにして、選手たちにクレイジーなショットを求めるスキルコンペのような要素を加えたらどうだろうか。

むしろ、少しカオスで馬鹿げた雰囲気があったほうが面白い。まるで「サタデー・ナイト・ライブ」のスキットのようなノリで。

結局のところ、ゴルファーが画面に向かって同じようなショットを繰り返しているだけでは、あまり面白さを感じられない。さらに、シミュレーターに明らかな誤差があると、興ざめ感は一層増してしまう。

例えば、タイガーが100ヤードのウェッジショットを打ったはずなのに、30ヤードもオーバーするなんて、8歳の頃以来あり得ない話だ。「アドレナリンの影響」と説明されても、さすがに納得しがたい。

試合自体も、もっと接戦になれば魅力が増すかもしれないが、これまでの3試合では接戦らしい展開はほとんど見られなかった。いずれも大差での決着となっており、この結果はフォーマットそのものに問題がある可能性を示唆している。

しかし、競争性の欠如以外にも失望する点はいくつかある。これほど莫大な資金が投入されているにもかかわらず、技術的なエラーが目立つのは理解に苦しむ。また、すでに見たホールが何度も繰り返されるのも非常に残念だ。

「TGL」のデザイナーたちが、このバーチャルな世界の荒唐無稽さをもっと大胆に活かしてくれることを期待していた。例えば、極端に硬いコンディションや、突飛なホールデザインなどが考えられるだろう。

しかし、実際に用意されたのは、ほとんどが平凡で、確かに見た目はクールではあるものの、あまりドラマを生まない、似たようなホールばかりだ。

さらに不可解なのは、これらのホールに空っぽのバーチャル観客席が設置されている点だ。何でも作れるはずのバーチャルな世界で、わざわざ空席の観客席を映し続けているのは理解に苦しむ。

選手たちにもっとクレイジーなショットを要求すべきだ。例えば、コースをビルが立ち並ぶ都会のど真ん中に配置したり、ぶっ飛んだ演出を加えて、完全に常識外れな体験を作り出してみたらどうだろう?

せっかくバーチャルの世界なのだから、やれることは無限大のはず。やらない理由なんてどこにもない。

「TGL」の最大の課題の一つは、15ホールという設定が多すぎることだ。さらに、2時間という放送時間枠も長すぎて、視聴者の集中力が続かず、テンポが失われてしまう。

このマッチの2時間目は、正直退屈だった(唯一の見どころは、ケビン・キスナーがバンカーショットをトップしてピンに直撃させたシーン。それを見たタイガーが笑ったのが救いだった)。選手紹介や休憩時間が無駄に長く、試合のテンポを大きく損なっている。

さらに、選手たちのキャラクターも際立っているわけではない。昨夜のキャメロン・ヤングは、2時間の間に10語以上発したかすら怪しいほど。だからこそ、制限時間の導入でテンポを改善し、試合をもっとダイナミックに進める工夫が必要だ。

それだけではない。もっと「カオス」が欲しい。

観客の存在感は薄く、会場全体の雰囲気も死んでいる。ショットに緊張感が欠けており、解説にもユーモアが不足しているのが現状だ。

こうした要素があれば、たとえ試合そのものが白熱していなくても、観る側を楽しませることができるはずだ。

残念ながら、現時点ではそのエンターテインメント性がまったく足りていない。


TGLを引き続き(または新たに)観る?

正直なところ、興味本位でもう数試合は観るつもりだ。今後どんな改善があるのか気になるし、もし接戦になればどれくらい面白くなるのかも見届けたい。

ぶっちゃけ、これは冬の火曜の夜の出来事。多くの人にとって、他にやることもあまりない(少なくとも俺にはない)。それに、ゴルフTwitterがこの試合をネタにして大盛り上がりしているのもポイント。オンラインで楽しむ分には、意外と悪くないかもしれない。

「TGL」の視聴率が急落することはないだろう。何といっても“プライムタイムのESPN”だし、タイガーやローリーが出場すればカジュアル層も自然と観るはずだ。

ただし、熱狂は次第に落ち着いていくと予想している。視聴率は一定の水準に収まり、「TGL」自体は十分な収益を上げるだろうが、ゴルフ界全体を変えるような“ゲームチェンジャー”にはならないと思う。

「TGL」は、火曜の夜に流しておくちょうどいい“BGM”にはなるだろう。それだけでも、何もないよりはマシだ。

そもそも“YouTubeゴルフ”が人気なのには理由がある。視聴者が好きなときに見られるオンデマンド、無駄を省いた編集済みコンテンツ、ユニークなフォーマット、そして個性的なキャラクターたち。「TGL」は、この“YouTubeゴルフの魅力”を取り入れようとしているが、2時間の“生中継”という形では、その魔法が薄れてしまう。

そこで聞きたい。「あなたは『TGL』を観続ける?」 もし、まだ観ていないなら、どんな要素があれば観てみようと思う?

トップ写真キャプション:

タイガー・ウッズがTGL第2戦でウェッジショットをウォーターに打ち込んだ瞬間のリアクション(GETTY IMAGES/Brennan Asplen)