オデッセイの「STROKE LAB」パターはゴルフを変える存在か?

2019年、オデッセイはテクノロジーの新たな波といえる「STROKE LAB パターシャフト」を世に送り出した。当時、この複合素材シャフトは「ゲームを変える」可能性があると言われ、多くの注目を集めた。

他の新テクノロジーと同様、「STROKE LAB」はゴルフの向上を約束するものとして登場した。パッティングでは「一貫性」が重要なポイントだ。

オデッセイ曰く「ストロークラボのシャフト」は、バックスイングの大きさ、フェース角、テンポ、速度など、パッティングの様々な面で一貫性を向上させることができるという。

もちろん、パターシャフトを最新化しているのは「オデッセイ」だけではなく、パッティングの向上を約束しているのもオデッセイだけに限らない。

例えば、「BGT」は複合素材モデルをラインナップし、「LA GOLFシャフト」はコンポジットのゴルフシャフトを発売。また「三菱レイヨン」と「藤倉」も同様だ。

パターとシャフトのメーカーであるオデッセイは、競合よりも有利な状況にあり、アベレージゴルファーのキャディーバッグに入っている複合素材パターシャフトの大半を占めていることは間違いない。

その点、オデッセイを「トップ」と呼ぶことはできるが、「STROKE LABパターシャフト」が本当に良い結果をもたらすか?は当然の疑問でもある。

そこで実際どうなのかをチェックすることにした。


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懐かしさの中にある変化

2021年、オデッセイは定番のホワイトホットのインサートに改良した「STROKE LABシャフト」を装着し、新ラインナップを発表。

改良した「STROKE LABシャフト」の注目すべき点は、スチール部分が短く、そして「ステップレス」になったこと。これにより7gの「軽量化」に成功した。

オデッセイによれば、この変化により、テンポ、スイングアーク、フェースインパクトの「安定性」がさらに向上したという。


『Most Wantedパターテスト』

今年の『Most Wantedマレットパターテスト』では、下記の「STROKE LABシャフト」を装着したオデッセイパターが参加した。


オデッセイ「2-Ball Ten S(2-ボール テンS)」

オデッセイ「Triple Track 2-Ball(トリプルトラック2-ボール)」

オデッセイ「White Hot OG #7 Stroke Lab(ホワイトホットOG #7 ストロークラボ)」

オデッセイ「White Hot OG 2-Ball Stroke Lab(ホワイトホットOG 2-ボール ストロークラボ)」

オデッセイ「White Hot OG #1 Stroke Lab(ホワイトホットOG #1 ストロークラボ)」


下記3モデルは通常のスチールシャフトが装着されていたもの。


・オデッセイ「White Hot OG #7(ホワイトホットOG #7)」

・オデッセイ「White Hot OG 2-Ball(ホワイトホットOG 2-ボール)」

・オデッセイ「White Hot OG #1(ホワイトホットOG #1)」


『Most Wantedテスト』では、各パターのパフォーマンスデータを収集したが、その結果は下記の通りとなっている。





MYGOLFSPY版の「ストロークス・ゲインド」について

ストロークス ゲインド:元々は2011年からPGAツアーで導入されたプレーヤー指標。コースの難易度により大きく変動する「平均パット数」や「パーオン率」等では比較できない、選手の「本当の実力」を比較するために生まれた指標。同じコースでの全選手の平均ストローク数、あるいは同程度の難易度のコースや状況における平均ストローク数と自分のストローク数との「差」で示される。

「スコアを何で稼いでいるか」という観点で、「ドライバーショット」「アイアンショット」「アプローチショット」「パッティング」それぞれのショットが、平均値より何打“少ないか(ゲイン)“を数値化している。

MYGOLFSPYの「MOST WANTED」における製品テストでは、この「ストロークス・ゲインド」の考え方をベースとして、プレーヤーではなく“商品そのものの実力”を見るため、「ドライバー」「アイアン」「パター」等、各カテゴリーの「商品の実力」を比較する指標として用いている。


「ストロークス・ゲインド」の結果(マレットパター)

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我々の「ストロークス・ゲインドの測定方法」において、マレットパターは「性能差」が最も少ないことが分かった。とはいえ、「STROKE LAB」パターの方が結果としては良かった。


・オデッセイ「STROKE LAB」パター – 0.096

・オデッセイ「スチールシャフト」パター – 0.078


「ストロークス・ゲインド差」は0.019となっており、「STROKE LAB」と「スチールシャフト」のマレットパターの差は小さい結果となった。

従来の「スチールシャフト」パターの方が「10フィート」でのパフォーマンスが若干良い結果となったのは特筆すべきことだ。


「ストロークス・ゲインド」の結果(ブレードパター)

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ブレードパター部門においては、「ストロークス・ゲインド差」がより大きくなった。


・「STROKE LAB」パター – 0.255

・「STROKE LAB」ではないパター – 0.049


ブレードタイプの「STROKE LAB」パターは、「スチールシャフト」パターよりも「ストロークス・ゲインド」で0.206上回った。これはマレットパターよりも、差が非常に大きい結果となった。

そしてまたしても、「スチールシャフト」パターの方が「10フィート」でのパフォーマンスが良い結果となった。


ストロークス・ゲインドの結果(合計)

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我々の「ストロークス・ゲインドの測定方法」において、「STROKE LAB」パターシャフトを装着したオデッセイパターは、オデッセイの「じゃない方の」パターシャフトよりもよいパフォーマンスを見せた。以下は2部門の「平均ストロークス・ゲインド」だ。


・「STROKE LAB」パター – 0.128

・「STROKE LAB」ではないパター – 0.068


「ストロークス・ゲインドの差」は0.060で、「STROKE LAB」パターが良い結果となった。


主要結果(オデッセイ「STROKE LABシャフト」パター vs. オデッセイ「スチールシャフト」パター)


1、5フィートでの有効性

「5フィート」からの距離では、「STROKE LAB」パターシャフトの方が、パフォーマンスが良い結果となった。

マレットにおいて、テスターは平均195パットでオデッセイ「STROKE LAB」パターのテストを完了。一方、「スチールシャフト」パターだと平均は199パットだった。

ブレードパター部門では、パフォーマンス差は大きく、「STROKE LAB」パターだと平均パット数は197。

これが「スチールシャフト」パターになると、13パット多い210パットという結果になった。これは「5フィート」という距離を考えるとかなりの差といえる。

差が4パット、7パット、13パットだろうが、データによると「5フィートの距離」では「STROKE LAB」パターの方が、有効性が増す結果となった。


2、10フィートでは拮抗

全体としてオデッセイ「STROKE LABシャフト」とオデッセイ「スチールシャフト」パターは、「10フィート」からの距離で良い数字を残した。

とはいえ、「10フィート」からの距離では、マレット部門、ブレード部門ともに「スチールシャフト」パターの方が2パット良い結果となった。

「10フィート」からの距離で、「スチールシャフト」パターの方がやや有効なのは確かに不思議なことだ。


3、『Most Wanted』勝者は20フィートの距離で圧倒

「STROKE LABシャフト」と「スチールシャフト」パターを比べた際の最大ポイントは、オデッセイ「Triple Track 2-Ball」と「White Hot OG #1 Stroke Lab」のパフォーマンスにある。「20フィート」からの距離において、オデッセイの「STROKE LAB」は他を圧倒していたのだ。


・オデッセイ「Triple Track 2-Ball」マレット – 合計278パット

・オデッセイ「White Hot OG #1 Stroke Lab」ブレード – 合計271パット


「White Hot OG #1 Stroke Lab」の合計271パットは、「スチールシャフト」の「White Hot OG #1」よりも20パットも少ない結果。

一方、マレット部門では「Triple Track 2-Ball」は、オデッセイの「スチールシャフト」パターである「White Hot OG 2-Ball」と「White Hot OG #7」よりも12パット少ない数値となった。

さて、「20フィート」からのパット数が4〜7.5%向上するなら、パターの買い替えを検討するだろうか?


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改めて、「STROKE LAB」パターシャフトは「ゲームを変える」存在なのだろうか?

「パッティング」はゴルフというゲームの一部だが、結局のところスコアの30〜40%はグリーン上で起こる。今年の『Most Wantedテスト』では、「5フィート」と「20フィート」において「STROKE LABシャフト」を使用した方が良い結果となった。

「10フィート」からだと「スチールシャフト」パターの方がややパフォーマンスは良かったが、全体としては「STROKE LAB」パターの方がテストを終えるために必要なパット数は少なくて済み、「ストロークス・ゲインド」の数値も高くなった。

データによると、特に長い距離のパッティングに悩んでいるのなら、「STROKE LAB」パターシャフトを使った方が効果があるということだ。