フェアウェイウッドとユーティリティーに関する話題は、各社のフラッグシップドライバーのどのテクノロジーがゴルファーの心をつかんだか(あるいはつかめなかったか)、その言い訳や正当性を説明する時に出てくることが多い。

その意味で、PXG 0341 X GEN2フェアウェイウッドと0371 X GEN2ユーティリティーのリリースは、「妥協なき革新という目的に忠実に造り上げた、包括的なプロダクトライン」というわかりやすいものだった。

0811 GEN2ドライバーの軸である「ホットロッドテクノロジー」やその基本構造は、GEN2フェアウェイウッド/ユーティリティーの基盤にもなっている。

クラブの詳細を掘り下げる前に、まず価格の話をしよう。

0341X(425ドル)と0317X(375ドル)の価格はGEN 1シリーズより約200ドル安い。

それでもマーケットでは高額なほうだが、他の人気ブランドの価格に徐々に近づいている。ただし、テーラーメイドも400ドルのチタンフェアウェイウッドを発売しようとしており、PXGだけが高いというわけではない。

PXG創設者であるボブ・パーソン氏によると、今回の値下げは主にスケールメリットにより実現したという。

生産量の増加に伴い、1本あたりの製造コストを下げることに成功したそうだ。それでも通常より100ドル位高いPXG商品を購入したいというゴルファーを魅了しながらも、利益が取れる価格が今回の新価格ということだ。

安いクラブには、「飛距離が伸びる、真っ直ぐ飛ぶ、精度が高い」などといった長々とした宣伝文句があることは少ない。

ほとんどのブランドでは、価格を下げると消費者の期待も下がる。しかし、PXGがすでにラグジュアリーブランドとしての地位を確立したことを考えると、今回の値下げが同じような結末を招くとは考えにくい。

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加速したホットロッドテクノロジー

ドライバーを除く他のクラブのキャリーは、「飛距離の空白」が出ないよう適切にセッティングされるべきだが、ボールスピードやエネルギー効率の改善は、フェアウェイウッドやユーティリティーにも大いに関係する話だ。

どんなに飛ぶドライバーを手に入れたとしても、他のクラブの「飛距離の間隔」が適切でなければ望まぬ空白が生まれてしまう。

そのため、「ホットロッド・クラウンテクノロジー」の主な目的は、「ボールスピード」であることには間違いない。

だが、同カテゴリーでNo.1を目指すのであれば、上級者好みのルックスや打感がなければPXGの求める完成形とは言えない。

フェアウェイウッド/ユーティリティーにも搭載した「マルチレベル・カーボンコンポジットクラウン」「高精度な重量配分」「ハニカムTPEソールインサート」「マットブラック仕上げ」は、0811X GEN2ドライバーと同様だ。

つまり、GEN2フェアウェイウッド/ユーティリティーは単にボールスピードが速いだけでなく、ルックスと打感も優れているということだ。

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カーボンクラウンの改良によって空力性能も向上している可能性があるが、主な目的はボディーを強化し意図的に硬くすることだ。

なぜならカーボン素材は非常に軽いため(重さはチタンの1/4、鉄の1/8)、ウェイト配分はエンジニアの裁量によるところが大きくなる。PXGでは、重量はヘッドの低前部に配置された。

カーボン素材の欠点は、その構造にレジン(接着剤)が不可欠であることだ。

レジンにはエネルギーを屈折させず、吸収する特性がある。

ボールスピードを速めるため、PXGの主任技術者であるマイク・ニコレットとブラッド・シュワイガートの両氏はクラウン構造を利用し、エネルギーバリア(トップラインから約1/2インチの部分にカーブしたくぼみをつけた)を造り、インパクトの後すべてのエネルギーがフェース側に戻るように設計した。

その結果、GEN1フェアウェイウッド/ユーティリティーよりもボールスピードが速くなった。さらにラインの意図せぬ恩恵によって、スイートスポットが一列に収束したのだ。

サンプルサイズが小さく、統計的な有意性は確認できていないが、安定的にセンターヒットすることに気づいたツアープロもいた。

ドライバーと同様に、今回使用されたタングステンウェイト(4.1g)とチタンウェイト(0.8g)は前モデルより重いので重心の動きが増し、打ち出しやスピンが改善された。

0341Xフェアウェイウッド/0317Xユーティリティーともに、ヒールに2つ、トゥに2つ、リーディングエッジ下に4つ、合計8つの可動ウェイトが設置されている。

オリジナルの状態では、タングステンウェイト4つが前部に配置され、それによりボールスピードが最大化する。軽めのウェイトはヒールとトゥ部分に設置されている。

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いろいろウェイトを変えてみて自分に合う設定を探すこともできるが、ここは機能に大きな違いが出る部分なので、フィッターに任せたいところだ。

オリジナルウェイトに加え、フィッターはスイングウェイトが実質1ポイント(1.6g)分軽い2.5gのタングステンウェイトを使用することもできる。

私はフックの傾向があるため、フィッターから、前方のヒール部分からトゥ側へ重いウェイト2つを移動するようアドバイスを受けた。他にも調整は必要だろうが、これによってニュートラルな状態に近づいた。

最初のテストでは、17度のハイブリッドの弾道は3番アイアンにかなり近かった。ボールが吹け上がることなく、理想的な弾道を描いた。

結果的に期待通りの性能を持ったハイブリッドに仕上がっているが、明らかにロングアイアンの特性を持ち合わせている。

ドライバーと同様、フェアウェイウッドとユーティリティーには「ハニカムTPEインサート」が組み込まれ、不要な振動を減らし、打音と打感を向上する。

仕上げはマットブラックで、銀色の「X」の文字はアドレスでボールをスクエアにセットするのに役立つ。クラウンにある繊細なラインは、立体構造のカーボンクラウンを際立たせている。

PXGは他のブランドと同じく、差別化を目的としてフェアウェイウッドとユーティリティーを個々のモデルとして発売している。

時には価格帯の区別を目的とする場合もあるが、特定のニーズ(低スピン、スライスの矯正など)に応えるための特別なモデルであることをアピールするためでもある。

0341Xと0317Xは元々低スピンだが、可動ウェイトによる調整を考えると、正しいフィッティングを行えば、これらのモデルは幅広いゴルファーに対応できるとPXGは考えている。

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パフォーマンスデータ

PXG内部テストによると、GEN2フェアウェイウッドとユーティリティーはGEN1と比較して飛距離は長く、正確性も増した。

特に、0341Xフェアウェイウッドのボールスピードは0.45~0.9m/s速くなり、スピン量は300~400rpm減り、7~10ヤード飛距離が伸びた。

同時に、ボールの分散は3%減少している。同様に、0317Xもボールスピードが0.9~1.35m/s上がり、飛距離は4~7ヤード伸びて、ボールの分散は6%減少した。

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マーケットで強気に出るか?

これまで、PXGのメタルウッドはアイアンほど注目されていなかった。

PXGがGEN2に「革新」以上のものを望んでいるのは、そのためだ。ボブ・パーソン氏は、「ウッドに合うアイアンとして認知されつつある」と新モデルの成功についての確信をほのめかしている。

簡単ではないだろうが、低価格帯であることは魅力の一つだろう。

とはいえ、PXGの意図的な排他性は、彼らがビッグ5(キャロウェイ、タイトリスト、ピン、テーラーメイド、コブラ)のシェアに食い込もうとしていることを意味し、それは電撃戦というより、ゆっくりと侵略してくる形になるだろう。

いずれ時間が経てば分かることだが、おそらく0317X GEN2ユーティリティーは、4~6番アイアンを使うのをやめようと考えている上級者(あるいはもっと上手い人)を魅了することになるだろう。

馬鹿げていると思うかもしれないが、多分そうなると思う。

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スペック・価格・発売予定

 0341 X GEN2フェアウェイウッドのロフト角は、13、15、18、21度。ちなみに、13度モデルは分かりやすく「2(2番ウッド)」と表示されている。私の考えだが、「3+」とか「Strong 3」と呼ぶよりも気が利いていると思う。

0317X GEN2ユーティリティーのロフト角は、17、19、22、25、28度。

PXGの他モデルと同様に、オリジナルシャフトはない。PXGの専属フィッターがカタログから探してくれるので、必ず自分に合う1本が見つかるはずだ。

フェアウェイウッドの小売価格は425ドル、ユーティリティーは375ドル。2019年1月15日より販売が開始される。

補足だが、本日PXG 0811 GEN2ドライバーも発表された。