今の状況は、まさに「ウッドカテゴリーの椅子取りゲーム」だ。椅子に座れないのは、どのメーカーだろう?

 

テーラーメイド、キャロウェイ、ピン、タイトリスト、コブラの椅子はすでに用意されている。ツアーでも使われているし、彼らなら度肝を抜くようなフレーズで宣伝することもできるだろう。一方でウィルソン、ミズノ、スリクソンのようなチャレンジャーはゴルファーの注目を集めるために、残りの椅子を得ようと毎日戦っている。

今日のZ 85シリーズの発売で、スリクソンは単に椅子を得るだけでなく、「主賓席」を奪おうとしている。そして、彼らはそれができると信じているのだ。

リスク&リワード

今月初め、MyGolfSpyのスタッフも出席したゴルフ用品業界の会議で、スリクソンのブランドマネージャーであるザック・オークリー氏はにこう述べた。

「キャロウェイやテーラーメイドからスイッチしたいと思わせる魅力的な理由を消費者に示すか、いくつかのリスクを取るかのどちらかが必要だ。彼らは長い間トップに立ち、素晴らしい製品を作っている」

スリクソンZ 565ドライバは、MyGolfSpyのMost Wanted for 2017であり、その優れたプレーヤに焦点を当てたサイドキック、Z 765は5番目に完成したモデルだ。どちらも小売店で売れている。しかし今年スリクソンは、さらに高い目標を掲げ、現在2つの新しいモデルZ 585とZ 785で注目を集めている。

スリクソンZ 565ドライバーは、MyGolfSpyの「2017 Most Wanted」であり、その上級者向けモデルのZ 765も5位にランクインした。どちらもかなり売れているが、今年スリクソンはさらに高い目標を掲げ、新モデルZ 585とZ 785で注目を集めるために、いくつかの大胆な戦略を準備している。

「これらは、性能面でキャロウェイやテーラーメイドに対抗できる、あるいは上回るもの持っている」とオークリー氏は述べている。

新しいZ 85アイアンは進化しているが、スリクソンは新しいドライバーが3つの特徴においてこれまでのドライバーとは全く異なる、革新的な進化を遂げたという。新しいチタンカップフェース、カーボンファイバークラウン、そして追加料金なしで選べるシャフトのバリエーションの多さだ。

 

スリクソンは、あなたがこの新しいドライバーを気に入ることを文字通り「保証」するという。

 

前置きはこのくらいにして、クラブの性能を見てみよう。

 

チタン・カーボンファイバー

Z 585とZ 785はどちらもチタンカップフェースを採用しているが、Z 65シリーズのドライバーや他社ドライバーにも使われており、これだけでは革新的とは言えない。このため、今回のモデルでスリクソンはTi51AFと呼ばれるより強力で軽いチタンを使用している。

「それは重量に対して非常に高い強度を持つチタンで、これまでゴルフ用品には使われていなかった。これまで我々が使用していたTi 6-4よりも8%強度が高く、1%軽い。」とスリクソンのマーケティングマネージャー、ブライアン・シェルケ氏は話す。

 

 

 

これは、Z 85のカップフェースはZ 65より10%薄いことを意味する。軽くて薄いということは、最新かつ飛距離が出るということだ。

スリクソンによると、Z 85のフェースはテーラーメイドのM4よりも薄く、カップフェースの外周部分もM4やピンのG400より薄いという。スリクソンの社内テストでは、M3、M4、Rogue、G400より0.89m/s~1.34m/sのボールスピードが速かった。あなたはメーカーの社内テストに懐疑的だと思うので、2人のMyGolfSpyの記者からの情報を少しシェアしよう。きっとあなたは驚くに違いない。

計測器のデータでボールスピードはもちろんZ 65に勝ち、ツアープロの注目を浴びた。 スリクソンの契約プロは誰もZ 65ドライバーを使っていなかったが、Z 85は彼らに強烈な印象を与えたはずだ。

「前モデルはまったく使われなかったが、現在すでに5人がZ 85を試合で使っている。キーガン・ブラッドリーは彼のM2を上回るボールスピードを記録した。GMac(グレーム・マクドウェル)やウィリアム・マクガートも同様だ。アイルランドオープンのプレーオフで惜しくも敗れたライアン・フォックスもZ 85を使っている。」とシェルケ氏は語る。

Z 585とZ 785ドライバーには、新しいカーボンファイバークラウンが採用された。これは他社ドライバーには使われたことがあるが、スリクソンでは初めてのことだ。

「クラウンの重さはある意味でネックだ。 クラウンを軽くすることができれば、重心は低く深くなる。これによって重量を外周部分に移動できるので、結果的にやさしいクラブになる。」とオークリー氏は言う。

スリクソンは三菱化学から炭素繊維を調達している。ミヤザキシャフトの工場が日本にあることもあって、同社の主要な取引先の一つだ。Z 85に使用されているカーボン配合は、ヒール/トゥMOI(慣性モーメント)だけでなく、打音と打感に貢献している。

Z 65モデルは、性能はソリッドだが少し金属音を発し、これが打感に影響する。しかしZ 85は、ボールがほんの少しだけ長くフェースに乗っているかのような、抑えられた打音と打感が特徴だ。

 

アジャスタブル VS ノンアジャスタブル

Z 785とZ 585はともに460ccで、ヘッド形状も似ている。 Z 785はスクエアフェースで突き刺すような弾道だが、Z 585はわずかにドローバイアスで球は高く上がる。もう1つの重要な違いは、Z 785にはアジャスタブルホーゼルがあり、Z 585にはそれがないことだ。

「より多くのゴルファーにフィットするZ 785のほうが売れると予想している。フェイスアングルやロフト角、ライ角を微調整するのが好きな上級者ならZ 785、真っ直ぐ、高く、遠くに飛ばしたいだけならZ 585だ。」(シェルケ氏)

Z 585はホーゼルが軽い分、MOIがわずかに高い。

ほとんどメーカーはドライバーを2モデル提供している。1つが調整機能を最大限に盛り込んだモデルで、もう1つがそれがほとんどないモデル、というのが最近のトレンドだ。 テーラーメイドのM3/M4とミズノのGT/STがいい例だろう。 今回のZ 85シリーズもそれに似てはいるが、他社ほど様々な調整機能はZ 785には意図的につけていない。

「もちろん私たちも可変ウェイトについては熟考したが、それには長所と短所がある。可変ウェイトにはコストがかかり、重心が最も性能を発揮するエリアから離れてしまう。」とシェルケ氏は言う。

「可変ウェイトは確かに微調整に役立つ」とオークリー氏は補足する。

「打ち出し角が1~2度高くなることやスピン量がほんの少し増減することに気づくゴルファーにとって、可変ウェイトはより意味を持つ。とはいえマーケット全体を見ても、ほとんどのゴルファーは何らかの方法で文字通り微調整をしている。」

「M3にはもっと多くの選択肢があるかもしれないが、それはもっと悪い選択肢という意味だ。ウェイトトラッキングシステム(ソールでウェイトをスライドできる仕組み)はどちらかと言えばマーケティング用の宣伝文句だ。」とシェルケ氏は話す。

しかし、シャフトは違う。

 

上がる「標準」のレベル

Z 785ドライバーの標準シャフトは半端じゃない。正真正銘、ハンドメイドのHZRDUS ブラックだ。

「ツアーの本格的なコンポーネントをサンディエゴにあるProject X Labから確実に提供したいと考えている。 そこではツアー用のすべての部品を製造している。」(オークリー氏)

Z 585の標準シャフトはHZRDUSレッドだが、希望すればZ 585用のハンドメイドバージョンに変えることもできる。実際、Handcrafted ブラック、イエロー、レッドは、アップチャージなしで交換できる。 HZRDUS Handcraftedを標準シャフトに設定しているメーカーはスリクソンだけだ。

 

ところで、数段落前の予告を覚えているだろうか?

 

スリクソンはあなたにZ 85シリーズを気に入ってもらえると確信しており、メーカーとしては未曽有の「60日間返金保証」を提供するという。

「ウッドカテゴリーではスリクソンはビッグブランドではないので、買うのをためらうかもしれない。だからノーリスクで試してもらうのだ。」(シェルケ氏)

もはや「不屈の精神」と言っていいだろう。

 

「テスト結果があまり良くなければ、我々はそれをやろうとはしなかっただろう。つまりこの返金保証は我々が製品を信頼していることを示しており、マーケティングにおいて最注力する部分でもある。私たちは最初に性能について説くつもりだ。『これはあなたのドライバーよりも遠くに飛びます』と。私たちは、返金保証を付けることでそれを証明できると信じている。」(シェルケ氏)

 

ところで、本当に飛ぶのだろうか?今月初めに MyGolfSpyの2人のヤングガン(新人)、サム・ロビンソンとハリー・ドッドウェルは、Z 785を彼らのエースドライバーと対決させた。2人のクラブはともにPING G400(サムはMAX、ハリーはLST)、2人とも大学のゴルフ部出身でヘッドスピードは49.2m/sを超えるパワーヒッターだ。

まずサムが彼のG400で計測すると、ボールスピードは平均72.4m/s、飛距離は290ヤードだった。スリクソンに変えると始めは数値に変化はなかったが、ロフト調整後ボールスピードは74.6m/sまで上がった。スピン量と打ち出し角はそれほど変わらなかったが、飛距離は約10ヤード伸びて平均303ヤードになった。

スリクソンはハリーに素晴らしくフィットした。彼のG400では、ボールスピードは77.3m/s、飛距離は平均300ヤードだった。彼もスリクソンでは、始めは数値がほとんど変わらなかった。しかしG400のシャフトをスリクソンに差したところ、ボールスピードは79.1m/sに、飛距離は312~318ヤードに跳ね上がった。

フェアウェイウッド・ユーティリティー

ウッド類のリリースにおいて、ユーティリティーやフェアウェイウッドはドライバーの陰に隠れがちだ。しかしこのスリクソンなら、あなたも試打リストに入れたいと思うはずだ。

Z F85フェアウェイウッドはドライバーのDNAを受け継いでいる。最新のHT 1770スチールカップフェースとカーボンファイバーのクラウンがボールスピードを上げる。カップフェースには文字通り「ひねり」が施されていて興味深い。

「テイラーメイドは、ゴルファーにバルジとロールについて興味を持たせた。しかし我々はフェースに3段階のバルジ、2段階のロールを施している。しかも我々は、これをずっと前からやっているのだ。」(シェルケ氏)

「ツイストフェイス」と同じだと思うが、どうだろうか?

今回のユーティリティーはスリクソンの秘密兵器になるかもしれない。H85モデルはH65モデルよりも明らかに大きい。これはスリクソンがより多くのゴルファーに合わせようと、打ちやすく、球が上がりやすくしていることを表している。

「少し大きいが、かなり飛ぶ。反発係数は以前のモデルより約20ポイント高い。つまりローグよりも飛ぶということだ。」(シェルケ氏)

ローグよりも飛ぶ?「ジェイルブレイク」なしで?

そんなことがあるだろうか?

「仕組みは単純だ。フェースが大きくなれば、より飛ぶようになる。大きなトランポリンと小さなトランポリン、どちらがより跳ねるかを考えればわかりやすい。」(シェルケ氏)

価格・販売状況

スリクソンZ 785ドライバーはアジャスタブルホーゼル装備で、ロフトは9.5度と10.5度、価格は499ドルだ。前述のとおり、標準シャフトは「Project X HZRDUS Black 65 Handcrafted」だ。

Z 585ドライバーにはアジャスタブルホーゼルはなく、ロフトは9.5度と10.5度、標準シャフトは「HZRDUS Red 65」で価格は399ドルだ。

HZRDUS Handcraftedシャフトへは、追加料金なしで交換可能だ。「Even Flow Handcrafted Blue 65」、「Mitsubishi Tensei CK Pro Blue and Orange」、「Fujikura Atmos Tour Spec Black」、「UST Mamiya Helium 4」に交換する場合は、別途100ドルかかる。

F85フェアウェイウッドにはHZRDUS Red 65標準装備され、価格は249ドル。

H85ユーティリティーは16度、19度、22度の3ロフトで、標準シャフトは「HZRDUS Hybrid Black 85」だ。

先行販売は今日、ウェブサイトと特定の小売店で始まる。店頭販売は9月14日の予定だ。

 

※製品の価格・仕様はアメリカのものであり、日本のものとは異なる場合がある。詳しくは日本のスリクソンのウェブサイトを参照してもらいたい。