スリクソン「ZX」アイアン-重要ポイント

・スリクソンの新作「ZX」ラインは、大成功を収めた「Z85」シリーズの後継モデル。

・「ZX7」は、上級プレーヤーのためのワンピースフォージドキャビティバック。「ZX5」は、距離とやさしさ重視のマルチピースアイアンだ。

・最新「ZX」ユーティリティーは、重心を低く保ちながら、前作「Z85」よりも他の番手との組み合わせが良くなった(合理的になった)。

・コンピューターを駆使した『Mainframe(メインフレーム)テクノロジー』により、「ZX5」や「ZX」ユーティリティーのフェースは多様な厚さに設計されている。

「ZX」アイアンを開発するにあたり、スリクソンには明確な課題があった。

「Z85」シリーズのような強固なアイアンラインナップがすでに存在する場合、いかにアップグレードするのか?過去5年で、中級者向け、上級者向けアイアン、さらにユーティリティーアイアンで最高と評されたクラブを超えることができるのか?

結局のところ、直す必要がないなら直さなくて良いということだろう。

「Z85」ラインは2年間のミッションを終えた。結果として、「Z585」は2018年Most Wanted中級者向けアイアンテストを制覇し、2020年でも2位という好成績だったが、「ルックス」の評価は振るわなかった。

「Z785」キャビティバックもMyGolfSpyのテストではトップパフォーマーだったが、多くのゴルファーは “ルックス”と「打感」を重視し、昔の「Z765」を好む傾向があった。

些細なことかもしれないが、些細なことこそが彼らのアイアン開発の肝となる。

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「私達は世代から世代へと大きく飛躍させることはない。」とは、スリクソン設計部門長ダスティン・ブレッケ氏。

「世代交代には2つの側面がある。ひとつは、マーケットに大きな影響を与えるような真新しい、斬新な商品。しかし同時に、本当に必要なものを微調整しただけの商品も求められるはずだ。それによって、大幅なデザインチェンジというより、世代ごとにデザインを改善することができる。」

今作の「ZX5」は「Z585」の、「ZX7」は「Z785」の後継モデルにあたる。また、「ZXユーティリティー」では、非常に人気のあった「Z85」シリーズがさらにアップグレードされた。そして、新機能の多くは、「Mainframe(メインフレーム)」と呼ばれるテクノロジーに集約される。


スリクソン「ZX」アイアン:AI+HI = MF

AI(人工知能)は急速にゴルフ研究開発の基盤になっている。強力なコンピューターと有能なソフトウェアにより、設計者は何千もの異なる設計を繰り返すことができるようになった。さらにAIが予想する結果は、エンジニアチームの予想を超えることもよくある。

しかし、AIが全てを乗っ取ったわけではない。

「私達が“非効率”を重視するほど、強力なコンピューターでさえ望む最終地点には到達できない。そこで登場するのが、“ヒューマン・インターフェイス(HI)”だ。コンピューターを使いすぎると、“カチ”というひどい打音しか出せないことが分かっているためだ。」(ブレッケ氏)

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「私たちは、コンピューターに目標通りのクラブヘッドを作らせ、スピードを最大化させることはしない。重視するのは、『人工知能』と『人間の知能』を組み合わせること。目指すのは、クリーンな『ルックス』と素晴らしい『打音』と『打感』なのだ。コンピューターに暴走させて、全く解決策にならない解決策を得たいとは思わない。」とブレッケ氏は述べる。

「ZX」アイアンの場合、AI(人口知能)とHI(ヒューマン・インテリジェンス)のコラボレーションを『Mainframe(メインフレーム)』と呼ぶ。これは独自にフェースの厚さを変えたデザインで、フェースのどこに打ってもボールスピードの最大化が図れるという。

つまり、芯を外した時のボールスピードの損失を最小限に抑えることを意味するが、おそらく意味はお分かりいただけると思う。



スリクソン「ZX5」アイアン

スリクソンの「ZX」アイアンラインナップの中で、「ZX5」は中級者向けカテゴリーの中でも上級プレーヤーサイドに近い。「ZX5」は、「Z585」と多くの共通点があるが、重要な違いもある。

最大の違いは、「Mainframe(メインフレーム)」でデザインされたフェースだ。

具体的には、スリクソンのAI / HIチームの共同設計により、グルーブの厚さや、番手、キャビティのパターンに変化を持たせ、フェース裏面をデザインする。目的は、芯部分でボールスピードを最大化するようにパターンを最適化しながら、フェースをできるだけ薄く、できるだけスピードが出せるようにすることだ。

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「例えば、ヒールよりもトゥ方向にヒットしやすいプレーヤーがいる場合、より賢くそれを設計に組み込まなければならない。スリクソンの最適化モデルでは、多様なインパクトを考慮し、中心面のアベレージだけでなく、全体のアベレージを最適化できるようデザインを調整している。」(ブレッケ氏)

「Z585」やそれ以前の「Z565」と同様に、「ZX5」は高強度「SUP10」鋼で作られた『鍛造1020カーボンスチールフレーム』を備えている。

「私たちは何世代にもわたってそれを使用し、改良し続けている。新たな素材を追い求めると、製造上の問題が発生し、性能が発揮できないことや、机上では得られるはずだったものが得られなくなることがある。」(ブレッケ氏)

「SUP10」の強度と厚さの比率は、「Mainframe(メインフレーム)」には最適だ。

『1020カーボン』では、『Mainframe』を使うことができなかった。非常に厚いフェースが必要になる」(ブレッケ氏)

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つまり、ボディーは「フォージド」だが、ボールを打つ芯はフォージドではない。

「密度は似ているが、目的は異なる。フェースには高い強度が必要であり、ホーゼルには曲げ性と振動吸収が必要だ。ツーピース構造により、両者の最適化を可能にした。」


プログレッシブ・グルーブとソールパワー

スリクソンは、「ZXシリーズ」に『プログレッシブ・グルーブ』を導入している。フルショットに適した幅の広いグルーブを備えた46度から52度と、ハーフショットに適した幅の狭いグルーブを備えた54度以上のウェッジといったような、“過去にもウェッジの設計として”で耳にしたことがある手法だ。

スリクソンは、同様の技術を採用しているが、唯一異なるのは「ZXアイアン」に採用したことだ。

「ロングアイアンでは、距離と一貫性を追求する。ショートアイアンでは、距離やフェースの性能を最大化することはそれほど心配していない。むしろ、ラフやウェットな状態からでも一貫したスピンを出したい。」(ブレッケ氏)

具体的には、3番から7番のアイアンのグルーブは、幅が広く、浅く、互いに離れている。これにより、「Mainframe(メインフレーム)」が耐久性を損なうことなく、フェースを可能な限り薄くすることができる。

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8番アイアンからピッチングウェッジのグルーブはより深く、狭く、多く設計されている。ブレッケ氏によると、スピン性能を高めるのはウェッジの「グルーブの仕様」だという。

加えて、「Tour V.T.ソール」が戻ってきた。「Z65」や「Z85」モデルにはなく、「Z25」や「Z45」では搭載されたV形状のヒール/トゥが、「ZX」シリーズで戻ってきたようだ。

「ソールのV形状は主にダフり対策だ。プレーヤーの手がインパクト時に少し低くなったとき、またはクラブが完全に下がりきってない場合に、特にヒールで起こりやすい。Vソールのリーディングエッジにかけて少しバウンスを加えたが、ヒールとトゥまでは入れていない。」

ひとつ言えるのは、ナイスショットだと思ったショットが、実はダフったまま飛んだ可能性もあるということ(Ⅴ形状により芝のすべりが良いので)。

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「リーディングエッジに少しバウンスを加えた。ダフってスピードを失うことはない。『Tour V.T. Sole』のトレーリングエッジは、芝の抜けを良くしてくれる。」(ブレッケ氏)


スリクソン「ZX7」アイアン

ワンピースの鍛造キャビティバックに大きな変更を加えることは難しい。目の肥えたゴルファーでなければ、新「ZX7」と前作「Z785」の実質的な違いには気付かないはずだ。

まず、「ZX7」には「Mainframe(メインフレーム)」テクノロジーがない。これはワンピースの「鍛造1020カーボンスチール」であり、前述のように、「1020カーボンスチール」は「Mainframe」プロセスと互換性がないからだ。

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「ZX7は、上級プレーヤーのためにセンターフェイスインパクトに重点を置いている。ボール背後にウェイトを追加し、そのインパクト位置でより優れた、安定した打感を与える。これらのメリットは、ツーピースデザインの性能をはるかに上回る。」(ブレッケ氏)

ただし、インパクト位置にウェイトを加えるのは、その分他の部分から取り除く必要があるため、労力がかかる。通常、周辺からウェイトを取り除くのだが、やさしさが犠牲になる。そこで、登場するのがトゥ側に配した「タングステン」だ。

「タングステンはよく使われるものだ。「ZX7」では、(「Z785」と比較して)ブレードの長さをほんの少し短くしたが、これはツアープレーヤーが望んでいたことだ。しかし、ヒール/トゥのMOIを犠牲にするので、性能を維持するためトゥにタングステンを加えた。」(ブレッケ氏)

スリクソン「ZX7」は、「Z785」と比べて明らかにボトムが重く、一番下がまるで橋のように見える。

「フェースの高い位置で打つと、クラブが後方に回転してしまい、結果ロフトが寝てしまう。そこで可能な限り遠い位置にウェイトを配置したいと考えたのだ。」(ブレッケ氏)

「変えるにも限度がある。小さなフェース内で調整する方法を見つけなければならないため、すべてが慎重にならざるを得ない。」

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「ZX7」は、「ZX5」と同様に新『Tour V.T. ソール』と、『プログレッシブ・グルーブ』が採用されている。


スリクソン「ZXユーティリティーアイアン」

スリクソン「ZXユーティリティー」は、おそらく「Z85」から最大のアップグレードモデルだと思う。新作「ZXユーティリティー」は、完全な「Mainframe(メインフレーム)」フェースに進化しているが、最も明らかなのは、無駄がなくすっきりしていることだ。

「特に2番または3番アイアンでバック(フェース後方)に気を取られ過ぎないように、フェースからバックフェースまでをコンパクトに仕上げた。つまりソールとシャーシ幅を狭くするという意味だが、そうすることでアドレス時にトップラインの裏側が見えない。」(ブレッケ氏)

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クラブの基本的な構造を変更するときは、意図しない結果に対処しなければならない。シャーシを狭くすることで、CG(重心位置)が上がり、MOI、ギア効果、および全体的なパフォーマンスに影響を与える。

そこで、重心を十分に低く保つために、ユーティリティソールに加えたのが『タングステンウェイト』だ。

さらに、トップラインのスリム化に成功したため、厚さは「ZX5」や「ZX7」よりわずか2mm厚いだけだ。

「設計では、いかにウェイトを目に見えないように隠すかと、ウェイトをいかにコントロールするかが肝となる。これはプレーヤーの観点であり、トップラインにはアドレスでは実際には見えない面取り部分に、視覚的なトリックがある。」

スリクソンは、自身のゲームに合う「ZX5」か「ZX7」アイアンを、ユーティリティーと組み合わせることを推奨している。ただし、ユーティリティーのソール幅とオフセットから、組み合わせとしては「ZX7」を勧めている。

「これこそ理想のコンボだ。両者とも似ているが、私達としてはユーティリティーアイアンと「ZX7」のペアに注目しており、4番または5番アイアンの後にユーティリティーアイアンを入れればスムーズな移行ができる。「ZX5」は、どちらかと言うとハイブリッド(ユーティリティーウッド)と相性が良いと考えている。」(ブレッケ氏)

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スペック、価格、最終考察

スリクソン「ZX」アイアンは、オリジナルシャフトに日本シャフト「NS PRO Modus3 Tour」を採用する唯一のメーカーだ。

「ZX5」は、上級プレーヤーのための中級者向けアイアンであり、軽量シャフト「NS PRO Modus3 Tour 105」のR(103グラム)とS(106.5グラム)の両方が揃う。「UST Miyama Recoil 95」はグラファイトシャフトのオプションだ。

どちらの打ち出し特性も「中」に分類される。また、グリップは「Golf Pride Tour Velvet 360」。

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「ZX7」は、より重く、低い打ち出しの「NS PRO Modus3 120」シャフトがオリジナルシャフトとして用意され、S(114グラム)とX(120グラム)が揃う。グラファイトオプションはない。グリップは、「Golf Pride Velvet 360」。

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「ZX5」と「ZX7」のロフト構造は従来とは異なるが、トレンドの「ストロングロフトとも違う。実際、「Z85」から変わっていない。

「ZXユーティリティーアイアン」は、2、3、4番アイアンの代わりとして使用でき、ロフトは18度、20度、23度。シャフトは、「UST Mamiya Recoil(R、S、Xフレックス)」。

また、「ZXシリーズ」のオリジナルグラファイトシャフトは「Miyazaki」製ではない。スリクソンの親会社は「Miyazaki」を子会社に抱えるが、小売に関しては店頭での反応を重視する。

これは、「Z85」ドライバーのシャフトに「Project XHZRDUS Black and Red」を採用した2018年にも見られた。

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レフティーには朗報だ!「ZXアイアン」の全ラインナップに、右利き、左利き用が用意される。

「ZX5」と「ZX7」アイアンは、スチールで1,299.99ドル(8本セット)、また1本あたり162.49ドル。グラファイトの「ZX5」は1,399.99ドル(8本セット)。「ZXユーティリティーアイアン」はそれぞれ219.99ドルで発売される。


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