最近テーラーメイドが投資会社KPSファイナンシャルに買収されたが、どんな変化が起きるか楽しみだ。そのかたわらでテーラーメイドはアイアンを何本も熱心に試作しては世間を焦らし続けている。

私は、数年前にテーラーメイドのアイアン部門を引き継いだTomo Bystedyの仕事を尊敬している。美しさという意味でもテーラーメイドのアイアンは最も素晴らしい。しかし、買収以来無意味な試作期間が長い気がする。

 

2本のアイアンが今日お披露目されたように(念のため述べておくが、ゴルフメーカーは試作品を公表したがらない)、商品が販売開始になると、もはや試作品ではなくなる。

以前テーラーメイドが、SLDRドライバーは試作品だったと主張したのを覚えているだろうか?老犬は芸を覚えないとも言うが・・・安心してほしい。アイアン発売の準備は出来ている。モニターに映る数字を見て息をのんだり、打感が良いと熱く語ったりするツアープロたち映像を見たり、彼らにYouTubeでヒットしたクラブを貸してほしいと頼まれたりする日は遠くないはずだ。

さて、いつも通り脇道にそれてしまうが・・・・

 

P730 – 必須のブレードアイアン

ずっと言い続けていることだが、アイアンに本気で力を入れているメーカーは、商品ラインナップにブレードが必要だ。小売店を潤す商品ではないが、ツアー向けのかっこいいブレードともなれば、ブランドの評判や会社としての価値を押し上げてくれるチャンスにもなる。

ここ数年間、ツアープロの成果を上げるためのクラブ造りに熱心に取り組む中で、テーラーメイドはブレードタイプから、もっと打ちやすくやさしいコンパクトタイプのキャビティ―バックデザインへ何度も人員をシフトしようとしていた。しかし習慣はなかなか消えないもので、相当な努力にもかかわらず、ツアー向けキャビティ―バックの設計は成功には結びつかなかった。テーラーメイドが最後に販売したツアー系マッスルバックがかなり古びてしまったことや、ローリーやタイガーなどのプロゴルファーが加わったという事実を考えれば、P730が間もなく世に出ることは容易に想像できる。

前作P7シリーズと同様に、「730」の名称はブレードの長さに由来する。730は750より短く(コンパクト)、また750は770より短いことが簡単にイメージできるだろう。工業製品のような型番を名前にすることで、緻密に設計されたアイアンというイメージを植え付けようとしているのは間違いない。

性能の全てに関しては話すことはできないが、恐らくブレードタイプということは予測がつくし、平均もしくはそれ以上のプレーヤー向けではないだろう。先に述べたとおり、本気で今後の市場を開拓しようとするメーカーは、本気でマッスルバックをライナップに入れる必要があることをテーラーメイドは理解している。

ブレードがキャビティーバックに比べて簡単に造れるからといって、P730が安く買えると期待しない方がいい。テーラーメイドの競合がすでにプレミアムライン(P750と競合)に進出していて、1600ドルが最低ラインなのは確実だ。もし、それより高くても不思議ではない。

 

P790 – コンパクトなドライビングアイアン?

幅広い層から支持があるというだけでも、P790は潜在的な競争力のあるクラブだ。最近ツアーで広く認められたこともあって、P790は古いUDI(アルティメット ドライビング アイアン)に取って代わるのはほぼ確実だ。写真を見ると、中空構造のボディーで、トゥにタングステン製のウェイトを配置、さらにテーラーメイド独自の溝構造技術を特徴とした、驚くほどコンパクトなドライビングアイアンである。

実物が写真と同じなら、これまでで最もしなやかなドライビングアイアンになることは間違いないだろう。たったそれだけでも、多くのゴルファーを引き付けるに違いない。

最近PXG 0311Xがリリースされ、また新たなTMBアイアンの発売が近いせいか、ドライビングアイアンが再燃するのではと期待するゴルファーもいる。しかしこれまでに、ドライビングアイアンが消えたことは一度もない。単に販売サイクルが長い、ニッチなカテゴリーというだけだ。

ほとんどのメーカーは、ドライビングアイアンを発売すべき時期を迎えており、キャロウェイ、コブラ、ミズノ、もしくは他メーカーがこのカテゴリーで新製品を出しても不思議ではない。つまり、ほぼ全メーカーがドライビングアイアンを一新すべき時期にある中で、たまたまテーラーメイドが最初だったというだけの話だ。