アイアンフィッティング講座にようこそ。

MyGolfSpyは、これまでも繰り返し「フィッティングの重要性」について説いてきた。自分に合ったゴルフ用品を見つけたいなら、「フィッティング」は必要不可欠だ。

これまでの経験を踏まえ、「フィッティングを最大限に活用」するためのアドバイスをここにまとめた。


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他のガイド同様に、「フィッティングの活用法」も実際のプレーに役立つことだろう。

詳細に入る前に、当たり前のことをおさらいする。第一に、あなたは顧客である。フィッターはサービスを提供するが、多くのゴルファーを対応するが故に、受け身になりすぎて“不完全”で“不正確”な情報のもと「決定」を下すこともある。

一方で消費者の中には、知識が豊富で自分の求めるものを理解している人がいる。彼らは、自分の(ゴルフに関する)長所と短所について、明確な目的と考えを持っている。決して自分のプレーの全てを把握すべきと言っているわけではなく、このようなレベルの人は既製品をオンラインで注文すればいい。


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一般的なアドバイス

一般的に「フィッティング」は2種類あり、どちらかを検討する前に次のことを考えてみてほしい。

・アイアンセットはクラブの集まりで、それぞれに固有の目的がある。だから異なるモデルを組み合わせる「コンボセット」について、もっと多くの人に関心を持ってほしい

・自分のフィッティング目的を知ること。ボールの弾道を変えたい?もっとやさしさが欲しい?飛距離を伸ばしたい?4つ以上の目標がある場合、何も目標設定していないも同然だ。1つ(または2つ)を選んで、そこに焦点を当てよう

・飛距離を伸ばせばアドバンテージになる。その通りだが、これが常に当てはまるとは限らない

・打ち出し角、スピン量、落下角度、弾道に注意を払っていただきたい。可能であれば、これらの情報を含むフィッティングデータをフィッターからもらうこと

・トータル飛距離よりもキャリーの方が重要

・フィッティング結果は全て、実際にコースでクラブを使うまでは“机上のデータ”に過ぎない。必要に応じて、スペックの再調整または微調整にどんな選択肢があるのか確認しよう


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2つのフィッティング方法

一般的に、「フィッティング」には2種類(2.5種類ともいう)存在する。

1つ目は、メーカーを代表するフィッターと1対1で行うブランドによるフィッティング。

2つ目は、固有のブランドを持たず、各社(True Spec、Club Championなど)がさまざまなメーカーの在庫を扱い、ゴルファーと最適なヘッド/シャフトの組み合わせを見つけるというタイプのフィッティング。

その他の「半分」のやり方は、ゴルフ練習場に設置されるデモデー体験だ。ゴルファー自身が見て回り、各メーカークラブを試打するというフィッティング方法。フィッティング方法は、基本的なガイド付きのショッピング旅行のようなものだ。やみくもに既製品を購入するよりはましだが、デモデーのメリットは、試打のボール代を払わずに、1度に複数のブランドを試すことができる点でもある。


特定ブランドによる「フィッティング」

特定ブランドによるフィッティングの主なメリットは、フィッターが自社クラブの機能、スペック、カスタムオプションに精通していること。また、フィッティング、購入から配送までより細かく管理できる点でも優れている。

当たり前だが、(フィッティングを行う)自社ブランドのクラブが選ばれることになる。

当然ながら、フィッティングしたクラブがその他すべてのブランドより確実に適している、ということにはならない。絶対的に信頼できるものでなければ、一旦立ち止まろう。これが、2つあるフィッティング方法の大きな違いだ。

これは次の議論にもつながる。ひとつのブランドがそれぞれのゴルファーにベストマッチする14本のクラブを作ることはほとんど出来ない。実際、特定のブランドのクラブで溢れかえったバッグを見かけたら、主な理由は「性能」ではなく(ブランドの)「利益」であると考えられる。


本間ゴルフの場合

私はさまざまな環境下でアイアンフィッティングを経験してきたが、ブランドや状況に関係なく、フィッティングの質は主にフィッターの専門知識によって決まると考えている。

また、コーチと同様にフィッターは、時代と共にフィッティング哲学を発展させ、洗練させるべきことも、頭に入れておくべきだ。


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例えば、私は最近本間ゴルフのレップであるカイルとアイアンフィッティングを行った。本間ゴルフでは、まるでツアーレベルのようなフィッティング体験ができる「モバイルフィッティング」を提供している(ホームコースでだが)。残念なことに、2020年にかけて同社はモバイルプラットフォームを優先したため、従来のような小売販売を控えることになった。

特に小売業界にとって2020年初めは忘れられないものだった。パンデミックによりプレーする機会がなくなり、新しいゴルフ用品が必要とされなくなったのだ。実店舗には十分な在庫があったにもかかわらず、消費者に届ける術がなかった。

後にコースは再オープンしたが、大型小売店の存在がなければ、本間ゴルフはシーズン後半に多くのメーカーが直面した「特需」に便乗することはできなかっただろう。「モバイルフィッティング」は当初の計画通りとはいかなかったものの、2021年には良い結果をもたらすと同社は期待しているに違いない。

これらの話が、カイルとのフィッティングに直接影響するわけではないが、特に固有ブランドによるフィッティングを行う場合は、そのブランドの背景を知っておくことも大切だ。


フィッティングスタート

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では、本題のアイアンフィッティングに戻ろう。

カイルが最初に尋ねた質問は、「何を改善させたいか?」だった。

私は「飛距離」を追い求めたいわけではなく、「弾道」と「方向性の向上」につながるシャフトの重量/フレックスを追求したいと答えた。

セットメイクに関しては、ウェッジが50度、56度、60度。さらに私は5番ウッドを使うので、7本の空きが残る。私は当初、5番アイアンからPWを選び、ドライビングアイアンかユーティリティーを追加することを考えていた。

ところで、本間ゴルフは「TR」ラインに4つのアイアンモデル(「TR21 X」、「TR20 P」、「TR20 V」、「TR20 B」)を揃えている。「TR21 X」は、中空ボディの中・上級者向け飛び系アイアン。カテゴリーとしては反対に位置する「TR20 B」は、一体型のフォージドマッスルバックアイアンだ。同社が無数のカスタムコンビネーションが可能なラインを開発したことを考えると、カイルが最終的に「TR21 X」と「TR20 V」の組み合わせを提案したことは頷ける。





7番アイアン

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ドライバーフィッティングとは対照的に、アイアンフィッティングは通常は7番アイアンを中心に行われる。

セットのすべてのロフトに対して、全シャフト/ヘッドの組み合わせを試すことは、コスト(および在庫)的に無理がある。それでも、これを行うことによりロフト毎のルックスや性能を想像するのには役立つ。

試行錯誤の末、最終的に私達は「フォーサイト GC Quad」弾道測定器からのデータによる適切なシャフト選びに行き着いた。カイルのプロセスは単純なものだった。異なるシャフトで数球打ち、データを評価する。私たちの目標は、「精度の向上」だったため、許容できる範囲のキャリー飛距離を維持しながら、高いショットの方向性を示すシャフトを見つけるに至った。


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私の数字が他の人に当てはまるわけではないが、最高のシャフト/ヘッドの組み合わせでは、6,000〜6,500 rpmのバックスピン、18〜20度の打ち出し角、+ /-45度の降下角を記録。トータルキャリーは、標高5,000フィート(約1,524メートル)の場所で約180〜185ヤード前後を推移した。はっきり言って、これらの数字は私の信頼するミズノ「MP-20」とそれほど変わらない。

しかし、ロングアイアンを「TR21 X」に切り替えるのが有益だと感じたので、これがパフォーマンスにどのように影響するかは推測の域だった。ゴルファーに「この7番アイアンを4番アイアンだと思って打ってみて」と言うのは得策ではない。そのため、フィッティングの目的がデータ上での異常な数字を排除することなら、クラブを受け取った後に、「フォローアップフィッティング」を提供するというのは合点がいく。


自社ブランドによるフィッティングの限界

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各メーカーは、優先順位に基づいてフィッティングを行う。しかし、結局のところ、どの企業もクラブを売りたいと考えており、フィッターは通常、販売目標に基づいてインセンティブが与えられる。

違う点といえば、各企業(および各フィッター)が取引を成立させる方法にある。

自社クラブを販売できれば数字的には嬉しいが、ゴルファーのニーズを完璧に満たすわけではないことを、トップフィッターなら誰もが知っている。それこそが、本間ゴルフのようなメーカーによるフィッティングの限界だと言える。最も賢い方法は、現在のクラブよりもパフォーマンスの向上が期待できる場合にのみ、新しいクラブを購入することだ。

テイラー・ハル氏(ブリティッシュコロンビア州バンクーバーにいる本間ゴルフのマスターフィッター)も同様の意見を持っていた。

テイラーとカイルの両者の話から、同社はかなり打ち解けた顧客でさえ、1回のフィッティングで本間のクラブをフルセット購入する可能性が低いことをしっかり理解しているようだ。

実際、明確なパフォーマンスの違いを体験できる「小さな成功」から信頼を築く方が簡単かもしれない。それは、ウェッジまたはフェアウェイウッドなど、1本単位からの販売を意味する。だからと言って微々たる売上げはいらないとは言わないだろう。


独自のシャフト

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本間ゴルフでは、アイアンとメタルウッド用に独自のグラファイトシャフト(Vizard)を製造している。「UST Mamiya」などとシャフトを共同設計しているピン社を除けば、これは業界では異例だ。

そこから得られるのは、基本的に本間のモバイルフィッティング体験と同じだ。独自のシャフトがあることで、競合製品が選ばれる機会を減らす。本間ゴルフの場合、「Vizard」シャフトが多いほど、ハイエンドのフジクラや三菱、Graphite Designシャフトのオプションが減るという仕組みだ。

また、製品の「品質」とスペックの「許容誤差」についても言及する必要がある。最適なフィッティング結果が、ロフト角34度、ライ角が62度の7番アイアン、バランスD3、振動数が300CPMのシャフトだった場合、これらのスペックから誤差があれば全体的なパフォーマンスに影響を与える可能性があるのは当然だ。

この考えを理解するために、これらのスペックの詳細を必ずしも正確に知る必要はない。

例えば、家の窓を入れ替えるのに数ミリのずれなら問題ないが、数センチずれているのは問題だという程度の話だ。

各メーカーには独自の「品質管理方法」と「許容誤差」がある。したがって、購入を決定した段階で誤差が存在することを理解しなければならない。


ブランドにとらわれない「フィッティング」

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いわゆるブランドにとらわれないフィッティングは、各社メーカーから選択肢が構成されるため、ゴルファーに最適なパフォーマンスを提供することが可能だ。

「Club Champion」や「True Spec」は、この業界では最大のフィッターと言われる。どちらもアメリカ全土で運営しており、「True Spec」の場合はヨーロッパにも拡大している。とはいえ、マンハッタンにある「New York Golf Center」のように同様のサービスを1回きりで提供するローカルショップもたくさんある。

机上だけの話なら、「コンボセット」は非常に理にかなっている。なぜなら、特定ブランドが全てのゴルファーに最適なクラブを作ることは不可能だからだ。さらに、特定ブランドを無理に押し付けられているように感じることもない。しかし、これがすべて正しいわけではない。この件については後にもう少し詳しく説明しよう。

最終的に、アイアンフィッティングの基本は、環境、哲学、企業構造に関係なく、3つの要素を中心に展開する必要がある。

1)ゴルファーの目的

2)フィッターの製品知識と専門知識

3)ゴルファーの目的に基づいてクラブを選ぶフィッターの能力

簡単そうに聞こえるがそうではない。

単独メーカーによるフィッティングと比べて、ブランドにとらわれないフィッターは、選択可能な在庫がはるかに多い。それは、紛れもないアドバンテージだ。また、ほとんどが「フォーサイト GC Quad」や「Trackman」などの一流弾道測定器を装備しており、ヘッドおよびクラブデータを記録してくれる。では、何が問題なのか?


欠点

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フィッティングのメリットは明らかであり、商業目的やマーケティングの良いネタにもなる。予算に余裕のある真剣なゴルファーがなぜ「フィッティング」という手を使うのか明らかな気もする。

それでも、曖昧になりがちな“欠点”についても議論する必要があると思う。フィッティング場に一歩足を踏み入れると、壁一面のシャフト、たくさんのヘッドが入った引き出しが目に入る。しかし、フィッターが頭をフル回転させ、最適なヘッドとシャフトの組み合わせをその場で比較することは、宝くじに当選するより難しいことだ。

別の可能性としては、フィッターがいくつかのブランドにとりわけ精通していて、そのブランドの情報を駆使すること。

さらに、フィッティングのソフトウェアを使って、選択した測定値に基づいて選択肢を絞り込むことあり得る。例えるなら225チャンネルのケーブルテレビと契約しながら、10チャンネルしか視聴しないようなものだ。

また、コスト抜きでは考えられない。私がコストを取り上げるのは、“価値のある投資”をしてもらいたいからだ。

高価なアフターマーケットシャフトや、「SST PURE」シャフトアライメントなどのサービスのマージンは、フィッターに入る可能性が高い。ヘッド/シャフトの組み合わせまたはサービスが「価値があるか」どうかは、「機会費用」の問題だ。突き詰めれば、それぞれコストが異なる3つのヘッド/シャフトの組み合わせがあるとすると、「価格の違いがパフォーマンスの違いと一致するのか」という問題になる。

最終的には、顧客であるあなたが、フィッターが勧める商品に「価値」を見出せるかどうかにかかってくる。わずかな数字のばらつきさえ許さず費用を惜しまない者もいるし、許容範囲が比較的広い人もいるからだ。


どちらのフィッティング方法を選ぶか

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では、完璧といえる方法はあるのか?明らかなのは、すべての選択肢にはメリットとデメリットがあるということ。そうは言っても、ある程度のフィッティングならやみくもに既製品を購入するよりもはるかにメリットがある。

フィッティングは、ゴルフ業界で特にこれから進化する分野だ。弾道測定器が出る前の一般的なフィッティングは、「ボールの弾道」、「ターフ跡」、「ライボード」などで測っていた。現在、データ自体はどこでも手に入るため、腕の良いフィッターは各ゴルファーのスイング特性を考慮することが求められる。

「知は力なり」とよく言うが、私たちが今分かっていることは、「ストロークス・ゲインド分析」によりフェアウェイヒット率や、パーオン率、パット数などの一般的な統計よりもはるかに優れたパフォーマンスの数値化ができるようになったということ。

ここの知識の変化は、フィッティングにおいても次なる開拓の時代を表しているかもしれない。言ってしまえばゴルファーに特化したデータ収集が昔より簡単になっているだけの話だが、実際のコース上でのパフォーマンスを評価し、これらの情報をうまく利用してクラブ選びに役立てる。これは大きな飛躍ではないだろうか。

さあ、あなたなりに「フィッティング」について考えてみる時代が来たのではないだろうか。