・タイトリストの「TSi1」は軽量モデルでヘッドスピードアップによる飛距離アップを実現

・追加モデルの「TSi1」フェアウェイウッドは中程度のヘッドスピードのプレーヤー向けのモデル

・「TSi4」ドライバーは、体積430ccと小ぶりなヘッドで超低スピン設計

・価格はドライバーが549ドル、フェアウェイウッドは299ドルで発売日は2月26日(アメリカ)


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タイトリストが、この春の商品リリースの一環として「TSi1」ドライバーと「TSi1」フェアウェイウッド、そして「TSi4」ドライバーをデビューさせた。

新商品は全て、(ATIフェースを含め)昨年夏の「TSi2」と「TSi3」と同様のテクノロジーが特徴となっているが、今回の新作は、特にドライバーが主力の「TSi2」と「TSi3」に代わるニッチな選択肢となりそうだ。


タイトリスト「TSi1」ドライバー

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まずは本日の面白情報をお届けしよう。それは、「ゴルファーの約1/3のヘッドスピードは約40.23m/s以下」だということ。

もしあなたがこの層に属すなら、タイトリストの「TSi1」ドライバーがオススメと言える。でも、この層に当てはまらなくても気にしないように。タイトリストには、あなたにマッチする選択肢が3つあるからだ。


タイトリスト「TSi1」ドライバーは、業界で「中程度のヘッドスピード」のプレーヤーのニーズに対応するように設計されている。

もしあなたがヘッドスピード約40.23m/sだと、「TSi1」のターゲットとしてはヘッドスピードが高い部類になるだろう。このクラブのメインの対象は「ヘッドスピード約35.76m/s~約37.99m/s」だ。

「TSi1」は、ウェイトを活用(より正確に言うとウェイトを軽減)することで、ヘッドスピードを利用しボールスピードアップを図っているが、これは、年々ヘッドスピードが落ちてきている年配ゴルファーにとっては、特に魅力的な話となるだろう。

確かに言いたいことはわかるが、タイトリストがこれを実現するには「TSi1」ドライバーのヘッド、シャフト、グリップから重量を削減する必要があった。そして今回は、従来の重量のドライバーに比べて合計約40gの軽量化を実現している。

これを、「TSi1」の重心位置を前作よりも深くした再設計と組み合わせることで、全ての条件が同じ場合、ゴルファー、特に中程度のヘッドスピードのゴルファーは前作よりもよりスピードアップできるというわけだ。


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タイトリスト「TSi1」ドライバーのプレーヤーテスト

まず「対象ターゲットに限定」という前置きをしておく。

「TSi1」ドライバーを現在使用中の平均的な重量のドライバーと比較したテストにおいて、プレーヤーのヘッドスピードは約0.89m/s程度アップし、さらにボール初速は約0.5m/s程度、スピンはおおよそ300rpmほど増加した。

最後の部分は注目に値する。ウェッジ以外でスピン量アップが肯定的に見られるなんてまずないわけで、業界が低スピンドライバー開発に舵を切る傾向にあり、ある程度のゴルファー、特に「TSi1」のターゲット層が低スピンの弾道を打つことを蔑ろにしているからだ。

確かにフィッターはスピン量を軽減する必要がある多くのゴルファーと接しているのは事実だが、実際には「スピン量がもっと必要なゴルファー」が多くいるのは間違いないだろう。

タイトリストは、まさにボール初速とスピン量アップを求めている“目が肥えた熱心なゴルファー”に向けて、「TSi1」ドライバーをデザインしたのだ。


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「TSi1」にないこと

ここまでで「TSi1」ドライバーがどんなもので誰向けか分かったが、ここではその逆について明確にしたいと思う。

前回の「TS1」が発表された後、ネット上に多くの“ディスり”が出回っているのを目にした。ゴルファーが細かい情報を得た上で判断できるようにサポートすることに誇りを持つ我がチームのメンバーとして、これはじっとしてはいられないこと。だから今回は先手を打ち、「TSi1」にないことを説明したいと思う。



「TSi1」はタイトリストで一番易しいドライバーではない

「TSi1」ドライバーは、(寛容性は「TS1」よりも向上したとはいえ)「TSi」シリーズで最も易しいドライバーというわけではない。こと「寛容性」について言えば、タイトリストが「MAX(あるいは少なくとも高MOI)カテゴリー」参入クラブと位置付けている「TSi2」に軍配が上がるからだ。

ウェイトとMOIは密接に相関した関係であり、ドライバー、特にヘッド(今回タイトリストは、その他の「TSi」ドライバーと比べ8gを削減)からウェイトを取り除いたという話を聞くと、ある程度の寛容性が常に犠牲になることは理解して欲しいところ。

多くの人にとって8gは少量だが、ドライバーの設計においてこれはパフォーマンス上、大きな影響を及ぼすからだ。


タイトリスト「TSi1」ドライバーのデザインは、「寛容性」よりも「スピード(初速)」を重視している。

これは不確かだが、タイトリストでは、対象ゴルファーが既に妥当な確率でフェアウェイを捉えており、MOIが若干減ったことで失うものよりも、ボール初速アップによって得られるものの方が最終的に大きいと考えているのだ。

これで「TSi1」ドライバーに寛容性がないなんてことはないが、もし寛容性を最大化することが目的であるなら、「TSi2」を方が良い選択肢になるかも知れないということは覚えておいて欲しい。


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「TSi1」でスライスが直る、ってことは多分ない

「TSi1」は、ピンの「G425 SFT」、テーラーメイドの「SIM MAX D」、あるいはコブラの「RADSPEED XD」が採用しているのと同じ手法を用いた「弾道設計(例:スライス矯正)」はしていない。

「TSi1」は“ドローバイアス”のタイトリスト版といったところ。言い換えると、“多少の弾道矯正”にはなっても、“強烈なスライスをフェアウェイに戻すこと”を意図している訳ではないのだ。

上手くマッチすれば、こうしたタイプの設計は間違いなくメリットがあるが、この分野はタイトリストが真剣に設計を競うような分野ではない。

また、ドローバイアスにするにはウェイトをヒール側にシフトさせる必要があることは伝えおきたい。ヒール側に大きな重量を移動させればさせるほど、バイアスの度合いは大きくなる。

従って、繰り返しになるが、設計の第一目的がヘッドからウェイトを取り除くことであるなら、ウェイトで弾道を調整することには限界があるということだ。


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いつものタイトリスト

もちろん、「アップライトなライ角」や「クローズなフェース」という手法を活用することもできるが、タイトリストは伝統的なデザインを好んでいる。「907 D1」以外のタイトリスト全ドライバーに共通する「アドレス時の伝統的なヘッドシェイプ」に関して妥協することはない、ということを具現化したデザインとなっているのだ。

目の肥えたゴルファーなら、「TSi1」は他の「TSi」ドライバーよりもアドレスで開いているように見えないかも知れないが、かといって過度にクローズに見えるということもない。

「TSi1」は、多くのシリアスゴルファーがドライバーを構えたときの好みに収まるようになっているということだ。


タイトリスト「TSi1」のスペック・価格・発売時期

タイトリスト「TSi1」ドライバーはロフト角9度(右利きのみ)、10.5度、そして12度(右利きのみ)がラインナップ。純正シャフトはアルディラの「ASCENT 40g(S、R、R2)」が装着されており、35gバージョンも硬度R3で用意されている。標準の長さは47.75インチだ。

純正グリップはゴルフプライドの「Tour Velvet 350 Flat Cap Lite」。メンズモデルは31gでレディースモデルは26gとなっている。


タイトリスト「TSi1」フェアウェイウッド

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タイトリストのラインナップに新たに加わったのが、ドライバーを補完するためにデザインされた軽量の「TSi1」フェアウェイウッドだ。

データで言うと、「TSi1」フェアウェイウッドは同ブランドの他のフェアウェイウッドより50gも軽量でその10gはヘッドの軽量化から実現している。このフェアウェイウッドが驚きなのは、MOIが「TSi2」フェアウェイウッドと同じということ。

これは、「TSi1」がシャロー形状であることが主な理由だ。

タイトリストでは、この「TSi1」フェアウェイウッドを「パンケーキ型」と形容。つまり、ヘッドは上下に薄く、前後に長くなっており、基本的にリーディングエッジが芝に近い位置にデザインされているのが特徴だ。


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「TSi1」は、スティープ(鋭角)に打つよりもフェアウェイウッドを払うようにショットするゴルファーに向いており、その対象は「中程度のヘッドスピードのプレーヤー」という枠を超えている。

「TSi1」ドライバー同様、ヘッドスピード(タイトリストによると約0.5m/s)とボール初速(タイトリストによると約0.5m/sを若干下回る程度)がアップし、高打ち出し、そして中スピンのパフォーマンスを実現することが期待できる。


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タイトリスト「TSi1」フェアウェイウッド - スペック・価格・発売時期

タイトリストでは、多くのゴルファーが軽量で簡単にボールを上げることができるフェアウェイウッドのメリットを感じられると考えている。

それだけに、「TSi1」フェアウェイウッドはロフト角のラインナップが豊富で3番(15度)、5番(18度)、7番(20度)、9番(23度)まで揃っている。なお9番ウッドはカスタムオーダーのみで、左利き用は3番、5番のみとなっている。

純正シャフトとグリップは(上記の)「TSi1」ドライバーと同じ。

価格は299ドルでプレセールは2月17日から。店頭には2月26日から並ぶ予定となっている。(アメリカ)


タイトリスト「TSi4」ドライバー

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コンパクトな430ccのヘッドともなれば、多くの方がタイトリストの「TSi4」を、上級者、あるいは少なくともヘッドスピードが速いゴルファー向けと考えるだろう。確かにそれも間違いないだろうが、「TSi4」はスピンが多いことに悩んでいるゴルファー向けということが重要なのだ。

過去にも4,000rpm以上のスピンを計測してしまうヘッドスピードが遅いゴルファーを見たのは、一度や二度じゃないわけだし。


ドライバーの残党

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大手メーカー数社が、コンパクトな「ツアー」ヘッドを各社のラインナップに組み込んだのは、それほど昔のことではなかった。

しかし近年、主流のデザインが低スピンにシフトしていく中、タイトリストを除くほとんどのメーカーが、小型ドライバーの代わりにMOIを最大化したり、スライスを矯正するモデルを送り出す傾向にある。

そりゃそうだろう。市場が求めているのはそうしたモデルだし、多くのユーザーがそんなクラブを必要としているのだから。


なのに、なぜタイトリストは430ccヘッドに拘るのだろうか?


「フィッティングを信頼しているから」と話すのはタイトリスト・ゴルフクラブのマーケティングVP、ジョシュ・タルゲ氏。「我々のトップフィッター全員に(430ccを必要とする)ターゲットゴルファーがいる」。このターゲットゴルファーとは、通常サイズの設計では十分にスピンを抑えることができないゴルファーを指す。

これを読んで頷いているフィッターもいることだろう。

「TSi4」は誰にでもマッチするわけじゃない。実際、多数のゴルファー向けではないし、ターゲットは限られる。対象範囲は狭いかも知れないが、タイトリストはそこを追求する価値はあると考えているのだ。


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タイトリスト「TSi4」のパフォーマンス

パフォーマンスをデータで語ってみよう。タイトリストの「TSi4」ドライバーは、同等ロフトだと「TSi3」よりもスピンが250rpmほど少なく、低スピンモデルの「TS4」よりも130rpmかそれ以上に軽減される。後者(「TS4」と比べると、「TSi4」は0.5度ほど打ち出しも高くなるという。

空力的な改良も付加されており、スピンがかかり過ぎてしまうゴルファーが飛距離を稼げるモデルとなっているということだ。


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寛容性は?

ご想像の通り、MOIは他の「TSi」シリーズに比べると若干低いが、対象ゴルファーを考えると、スピン量低減(そして、より前方になった重心位置による秀逸なスピン安定性)による飛距離アップは、理論上での寛容性の損失を相殺するはずだ。

このモデルは「TSi2」ではないし、繰り返すが、そうなるべきでもない。


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タイトリスト「TSi4」ドライバー - スペック・価格・発売時期

中弾道、超低スピンのタイトリスト「TSi4」ドライバーの価格は549ドル。

ロフト角は8度、9度、10.5度があり、9度のみ左利き用がラインナップしている。

純正シャフトはTensei AV White RAWとHZRDUS Smoke Yellow。

グリップはゴルフプライドのTour Velvet 360が装着されている。

プレセールは2月17日からで、店頭販売スタートは2月26日。(アメリカ)