新製品の販売サイクルをチェックしているゴルファーなら、全英オープンの週は常にユーティリティアイアンの週であることはご存知だと思う。

全英オープンは、多くのプレーヤーが特徴的なリンクススタイルのゴルフに対応するために、低弾道が打てるクラブを求めているということもあり、ゴルフメーカーにとっては、チッパーよりもニッチなクラブカテゴリーの新作を発表する最高の舞台だ。

他にも新商品があるのは当然だが、今回、タイトリストが間もなく発売する「U500」「U510」ユーティリティアイアンについて紹介しよう。

だからと言って、このクラブが早く手に入るわけではないが、タイトリストとしては、このユーティリティが全英オープンで使用率No.1になることに自信を持っているようだ。

これは、(チッパーの)スクエアストライク・ウェッジでは達成できないことだ。

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今回の新作は「T-MB」シリーズを刷新すると同時に、ユーティリティシリーズをリセットするモデルになる。

中空ボディのユーティリティである「T-MB」シリーズはこれで終了し、これに代わる後継モデルが発売される予定はない。

そのかわり、このUシリーズによってタイトリストはユーティリティアイアンカテゴリーに集中することができ、そのコンセプトを2番アイアンからPWまで、一切の妥協なく浸透させた。

このことは、「T-MB」が好きなった人にとっては、良い知らせと悪い知らせということになるが、今回の場合は後者だ。

これまでのタイトリストの長い番手のクラブは、今回のUシリーズにも2モデルがラインナップしている。

両モデルとも「T-MB」と似ているが、「U500」は選択の可能性が広がったというよりもより上級者向けで、従来のユーティリティアイアンに近いものとなっているように思う。

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特徴は、よりコンパクトなヘッドでトップラインも薄く、オフセットが少ないこと。

資料では当然ながら、2モデルの中では寛容性が少ないほうとなっているが、タイトリストではそれでもボールを上げやすく、特にMBとCBアイアンには良くマッチするとアピールしている。

一方の「U510」は、アイアン形状でハイブリッドのパフォーマンスを実現。

ご想像の通り、一般的なユーティリティアイアンよりも扱いやすさを求めるゴルファーにとって、よりボールを上げやすく、より易しいモデルと言える。

型にはめるつもりはないが、「U510」はユーティリティアイアンが苦手だけど、セッティングの中にユーティリティタイプのアイアンを入れたいゴルファーに向けたモデルとなっている。

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また、ユーティリティアイアンを使うことを真剣に考えているゴルファーには、今回の新作もユーティリティアイアンと言えるが、フェースはややシャローでブレードも長く、ソールはかなりの幅広となっている。

「U510」は、「U500」よりも確実にハイブリッドのような形状となっており、タイトリストでは様々な弾道が打てる多彩性があるとしているが、打ち出しを高くすることに重きを置いて考えられたクラブだ。

「低弾道も高弾道も自由自在に打てる」―ジョシュ・タルジ氏 (タイトリストのゴルフクラブマーケティング・バイスプレジデント)

機能を妥協せずに、豊富なオプションを用意。信じられないような話だが、ここがポイントだ。

両モデルともフォージドL型フェースを採用。タイトリストによれば、L型フェースにより、特にフェース下部でミスヒットしても初速が落ちないという。

また中空17-4ステンレスボディにしたことで、U500には98グラム、U510には95グラムのタングステンウェイトを装着し、低重心と高打ち出しを実現。

CNCPTのタングステンは別として、タイトリストならではのテクノロジーを搭載している。

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では、このUシリーズはどんなゴルファー向けなのだろうか?

ハイブリッドよりも低スピンで打て、また同タイプのロングアイアンよりも肉厚設定になっているため、ミスヒットに強く飛距離も期待できるが、同じロフト角ならハイブリッドのほうが飛ぶはずだ。

状況に応じてパフォーマンスを最適化させることはできるが、長きに渡るハイブリッドとユーティリティ(アイアン)のどちらが良いかという議論は、考え方や個人の好みに行き着く。

ハイブリッドを打てないゴルファーもいれば、打たないゴルファーもいる。

いずれにしても、タイトリストとしては、フェアウェイウッドとアイアンのギャップを埋める選択肢をゴルファーに持って欲しいと考えているのだ。

そのため、「U500」「U510」には、ロフト角16度の1番から23度の4番までラインナップしている。

これは個人的なことだが、タイトリストでは1番アイアンもすごく易しいと言っている。しかし、それは間違っていると証明してみたいと思う。

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スペック、発売時期、価格

「U500」はロフト角が3度間隔で17度、20度、23度がラインナップ。一方、「U510」は2度刻みで16度、18度、20度、22度の展開となっている。

標準シャフトはプロジェクトX HZRDUS Smoke Black(「U500」は90グラム、「U510」は80グラムを装着)で、両シャフトとも中・低弾道、中・低スピンショットが可能だが、重いほうがスピン量が少なくやや弾道も低い。

上記のSmokeシャフト以外に、370チップの既存シャフトであればUシリーズに装着可能。

カーボン、スチール(細かい指定をしなければ重量差の関係で0.25インチ短くなる)の両シャフトにも対応している。

グリップはゴルフプライドのTour Velvet 360だ。

この夏にリリースされるタイトリストのクラブフィッティングは、8月8日から可能。発売は8月30日。