「アプローチでは左足に体重を乗せる」。このアドバイスのおかげで、ボールをすくい上げようとしていた多くのゴルファーがミスを減らしてきた。だが、何事もやりすぎは禁物だ。
実際、左足のつま先側に体重を乗せすぎ、グリップを目標方向へ強く押し出し、胸まで前に突っ込んでしまうゴルファーをよく見かける。
すると、あるショットではボールが低く強く飛び出し、次のショットではクラブのリーディングエッジが芝に突き刺さってしまう。
通常のアプローチでは、左足にやや多めに体重をかけることが効果的だ。しかし、目標方向へ倒れ込むような構えは逆効果になる。
「左足への荷重」と「上体の前傾」は別物
芝の状態が良い場所から基本的なアプローチを打つなら、まずはスタンスを狭くし、左足にやや多めに体重をかけよう。
目安は左足55〜65%。ただし、これはあくまで出発点であり、数値を厳密に再現する必要はない。
大切なのは、足を踏み出したり、体を左右に揺らしたり、つま先で地面をつかむように踏ん張ったりせず、安定した姿勢でスイングできることだ。
ここでいう「荷重」とは、足裏に感じる圧力のこと。左足に荷重をかけるからといって、上体まで目標方向へ突っ込ませる必要はない。
胸の中心(胸骨)はボールよりやや目標方向にあっても構わない。ただし、体全体のバランスはスタンスの中で保つことが重要だ。
MyGolfSpyが以前公開したアプローチでの左足への荷重に関する記事でも、左足60%・右足40%を実践的な目安として紹介している。
その記事には、大切な注意点もあった。
「だからといって、やりすぎないこと」だ。
ハンドファーストが強すぎると、リーディングエッジが芝に刺さりやすくなる
グリップを目標方向へ押し出しすぎると、クラブの実質的なロフト角が小さくなり、バウンスも効きにくくなる。
バウンスとは、クラブのソール(底面)に設けられた、ヘッドが芝の上を滑ったり、芝の中をスムーズに抜けたりするのを助ける部分のことだ。
このバウンスを十分に使えなくなると、リーディングエッジ(フェース下部の刃)が芝に食い込みやすくなる。特に、柔らかい芝ではその傾向が強くなる。
もちろん、適度なハンドファーストはアプローチに有効だ。問題は、ハンドファーストを強くすることだけに頼ってしまうことにある。
MyGolfSpyが以前公開したウェッジのバウンスが多少の打点のズレをカバーしてくれる仕組みを解説した記事でも、アドレスの構え方とソールの使い方をうまく組み合わせることの重要性が説明されている。
左足に体重をかけすぎていないか?3つのチェックポイント
アプローチを打ったら、フィニッシュの姿勢を1秒ほど保ってみよう。
そのとき、つま先立ちになっていたり、ボールの方向へ一歩踏み出さないとバランスを保てなかったりするなら、体が前に動きすぎていると考えられる。
左足に多めに体重をかけるのは問題ない。しかし、バランスを崩してしまっては意味がない。
次に確認したいのは、打ち出し直後のボールの飛び方だ。
ピッチングウェッジ、ギャップウェッジ、サンドウェッジのどれで打ってもボールが低く飛び出すなら、アドレスを見直してみよう。
ボールを右足寄りに置きすぎているか、グリップを目標方向へ押し出しすぎているか、あるいはその両方が原因かもしれない。
低いアプローチを選ぶこと自体は悪くない。問題は、低い球しか打てなくなっていることだ。
そして、芝に残った跡にも注目しよう。
芝の状態が良い場所からきれいにアプローチできたなら、地面には軽くこすれた跡や浅い跡が残る程度だろう。
一方、ウェッジが芝を深く削り、小さな穴ができたり、リーディングエッジが何度も地面に引っかかったりするなら、ハンドファーストが強すぎないか確認したい。
グリップを前に出しすぎたことで、クラブ本来のバウンスをほとんど使えなくなっている可能性がある。
ただし、芝への当たり方は、アドレスやハンドファーストの強さだけで決まるわけではない。
ウェッジのソール形状(グラインド)やバウンス角によっても、芝への入り方や抜け方は変わってくる。
ハンドファーストを控えめにして、アプローチを改善しよう
まずは平らな芝の上で、ピッチングウェッジかギャップウェッジを用意しよう。
スタンスは狭くし、ボールは両足のほぼ中央にセットする。グリップはクラブヘッドよりも少しだけ目標方向に出す程度でいい。
左足にやや多めに体重をかけても構わないが、両足のかかとが不用意に浮かないようにし、つま先には余計な力を入れないようにしよう。
そこから胸を回して、クラブをバックスイングからフォロースルー(ボールを打った後、クラブを目標方向へ振り抜く動き)へと動かす。腕の力を抜き、下半身の動きはできるだけ抑える。
意識したいのは、クラブのソールが芝の上を軽く滑る感覚だ。
クラブヘッドを無理に地面へ打ち込んだり、ボールをすくい上げたりする必要はない。
さらに、タオルを使えば、2種類のミスを見分けやすくなる。
ボールの約10cm後方にタオルを置き、何球かアプローチを打ってみよう。
タオルにクラブが当たるなら、ヘッドが地面に接触するタイミングが早すぎる。
一方、タオルには当たらないのに芝を深く削ってしまうなら、クラブが鋭角に入りすぎている可能性がある。
その場合は、ハンドファーストを少し緩め、ソールが芝の上を滑りやすい構えに調整しよう。
感覚だけで判断せず、左足体重を変えて比較してみよう
左足にどれくらい体重をかければいいのか、感覚だけで判断するのではなく、実際に打ち比べてみよう。
まずは、左右の足に均等に体重をかける「50対50」の感覚で3球。次に、左足にやや多めに体重をかけて3球。そして最後に、これまでのように極端に左足へ体重を乗せた構えで3球打ってみる。
このとき、ボールの位置と狙う落とし場所は、すべて同じにすることが重要だ。
比較するポイントは、ボールの当たり方、打ち出しの高さ、そして着地後の転がり(ラン)の3つ。
多くのゴルファーに必要なのは、アドレスで最も左足に体重が乗っているように見える構えではない。
大切なのは、スイングの最下点を安定させながら、ライに応じて必要なロフトとバウンスを使える構えを見つけることだ。
アプローチの左足体重は、ライによって調整しよう
アプローチでは、ボールが置かれたライ(芝や地面の状態)によって、適切な構え方も変わってくる。
芝が薄く、地面が硬いライでは、スイングの最下点を通過する範囲が多少狭くなっても対応でき、ハンドファーストを少し強めにしても問題ない場合がある。
一方、柔らかい芝では、リーディングエッジを地面に打ち込んでしまうとミスにつながりやすい。
また、ラフでボールが芝の上に浮いている場合は、フェースの向きやボール位置、ヘッドスピードまで変える必要があるかもしれない。
だからこそ、「アプローチでは左足体重」という考え方は、絶対的なルールではなく、あくまで基本となる目安として捉えたい。
クラブが地面に接する最下点をコントロールできる程度に、左足へ体重をかけること。
同時に、体のバランスを保ち、スイングの最下点付近でクラブが芝の上を滑る余裕を残しておくことも大切だ。
重要なのは、左足にどれだけ体重をかけるかではなく、そのライに合ったクラブの動きを実現できるかどうかだ。
フィニッシュで止まれる構えを見つけよう
最後に確認したいのは、とてもシンプルなことだ。
アプローチを1球打ったら、そのままフィニッシュの姿勢で止まってみよう。
バランスを崩さずに姿勢を保てて、クラブのソールが芝を軽く滑り、ボールも狙いどおりの高さで飛び出したなら、左足への荷重はおそらく適切だったと考えられる。
反対に、左足のつま先側へ倒れ込み、リーディングエッジが芝に深く刺さってしまったなら、さらに左足へ体重をかけることは解決策にならない。
良いアプローチは、左足にできるだけ多くの体重を乗せることで生まれるわけではない。
大切なのは、クラブ本来のロフトとバウンス、そして体のバランスを保ちながら、スイングの最下点を安定してコントロールすることだ。




