MyGolfSpy の『Ball Lab(ボールラボ)』では、市場に出回るゴルフボールの「品質」と「一貫性」の調査、数値化を行っており、無駄のない最適なボール選びに役立てもらいたいと考えている。

今日取り上げるのはブリヂストン「TOUR B X」だ。ラボで使用する機器の概要はここに掲載した。また、テストプロセスや、「不良」ボールの定義、独自の「True Price」測定方法については、MyGolfSpy Ball Labのページにて確認できる。


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「TOUR B X」は、ブリヂストンの中でも私のお気に入りのボールだ。これを言ったところで読者の皆さんがすぐにこのボールに切り替えるとは思えないし、そうであっても困るので、レクシー・トンプソンやブライソン・デシャンボーが愛用するボールだと言っておこう。

タイガーが使用する「B XS」は小売店で人気だが、「B X」はPGAツアーでの使用が多いモデルだ。

そうは言っても、フィッティングの観点から興味深いのは、低弾道・低スピンといった「Tour B X」の特性だ。もし弾道が少し高すぎるとか、スピンが多すぎる傾向があるなら、「B X」が最適かもしれない。

コンプレッションが高い(硬い)ことに納得し、「XS」モデルのようなソフトな打感を求めなくても良いなら、「B X」はボール市場で最も飛ぶボールと言っても過言ではない。


ブリヂストン「TOUR B X」ゴルフボールについて

ブリヂストン「TOUR B X」ゴルフボールについて

ブリヂストン「Tour B X」はジョージア州コヴィントンにある同社の工場で製造される。330個のディンプルを備えた金型注入3ピースウレタンカバーが特徴だ。先に述べたように、このモデルは低弾道・低スピン特性を持つ。

このような表現は、特定のラインナップとの比較によるものが多いため、今回の場合は他の「Tour B」シリーズと比べて低弾道、低スピンという方が正しいかもしれない。



ブリヂストン「TOUR B X」-コンプレッション

ブリヂストン「TOUR B X」-コンプレッション

私たちの測定による「Tour B X」のコンプレッションは98だった。これは、ツアーボールの中で最も柔らかい「Tour B XS」(コンプレッション86)より明らかに硬い。

打感の観点でいうと、前世代の「Pro V1x」と比較できる。「V1x」のコンプレッションは1目盛少ない97を記録している。「B X」の弾道が低いのは容易に想像できるが、打感に関しては「Pro V1x」と比較するのが妥当だ。


ブリヂストン「TOUR B X」-重量と直径サイズ

ブリヂストン「TOUR B X」-重量と直径サイズ

ブリヂストン「Tour B」シリーズ、特に「X」と「XS」は比較的問題が少なかったため、今回のサンプルボールがUSGAの重量制限(1.62オンス)内に収まっていたことは特に驚くべきことではない。

また、測定したボールはすべて真円度の基準を満たしていた。


ブリヂストン「TOUR B X」-インスペクション(検査)

ブリヂストン「TOUR B X」-インスペクション(検査)

中心性と同心性

ブリヂストンの「Tour B」シリーズはスリーピース構造が特徴だが、このような構造のボールは通常マントルやカバーレイヤーが均等でないことが問題として表れる(同心性の問題)。

今回の「B X」では、サンプルの6%にマントルかカバーレイヤーの「同心性」に問題があることが確認された。

これまで多くのボールブランドをテストしてきたが、この数字は良い方だと言える。


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コアの一貫性

ボールを切ると、2種類のコアカラーを確認した。1箱はライトピンクで、違う箱はニュートラルなグレーだった。

これは、昨シーズンの需要が高まった時期に日本の工場から混合コア材料を輸入したためと同社も認めている。ピンク色のコアの方は平均して数目盛コンプレッションが硬かったが、それ以外の点では、2つの間に目に見える違いはなかった。


カバー

ブリヂストンの金型注入カバーは、基本傷がない。重大な問題はなかったが、小さな欠陥(完全に研磨されていないことによる継ぎ目の小さな痕)がボール1個に見られた。


ブリヂストン「TOUR B X」の一貫性

このセクションでは、ブリヂストン「Tour B X」の「一貫性」について詳しく説明する。これは、これまでにテストしたすべてのモデルと比較して、サンプル内のボールが互いにどの程度一貫しているか示す目安だ。

ブリヂストン「TOUR B X」の一貫性

重量の一貫性

・Ball Labデータベース内の他のボールと比較して、「Tour B X」の重量の一貫性はやや高めの平均範囲内だ。


直径サイズの一貫性

・直径の一貫性は、平均以上と優れていた。これまでに測定したボールのうち、「OnCore ELIXR(オンコア エリクサー)」だけが直径の一貫性に劣っていた。


コンプレッションの一貫性

・ブリヂストン「Tour B X」のコンプレッションの一貫性は、平均以下と評価した。


スリクソン「Q-Star Tour」の時と同じように、詳しい説明が必要だろう。

最も単純なコンプレッション測定(ボールの平均コンプレッションを他のボールと比較する)では、「Tour B X」は平均と評価された。

しかし、私達が追求するのは各ボールの「3箇所のコンプレッション差(In Ball Compression RangeまたはIBCRと呼ばれる)」で、「Tour B X」は平均以下の中でもさらに劣るという結果となった。

データを深く掘り下げると、明確なパターンが浮かび上がってきた。IBCR値の平均は3.7ポイント。これは、BallLabデータベースの中でもかなりギャップが広い。

具体的には、「ポール(シームを赤道とした場合の極方向」の測定値は、「シーム(継ぎ目)2箇所の測定値の平均」よりもコンプレッションが3.2ポイントも硬いことがわかった。参考までに、私達のデータベース内のIBCR平均は1.56コンプレッションポイントだ。

簡潔に言うと、「Tour B X」のボールサンプルはシームよりもポールで測定した時の方が、コンプレッションが高いということだ(完全にではないが)。

最終的に、ポールとシームのコンプレッション差に問題が見られた全体の6%を不良品とした。


TRUE PRICE-ボールの真の価格-

『True Price』は、ゴルフボールの品質を独自に数値化した指標だ。これは、「優良ボール1ダース(12個)を得るのに必要な金額」を表す。

『Ture Price』は常に「小売価格以上の金額」になる。「Ture Price」と「小売価格」の差が大きいほど、ボールの品質が懸念される。


ブリヂストン「TOUR B X」-まとめ

詳しいテストプロセスや「不良」ボールの定義、「True Price」の測定については、MyGolfSpy Ball Labページを参照いただきたい。

ブリヂストン「TOUR B X」-まとめ

良かった点

・直径と重量の一貫性が平均以上と優れていた。

・レイヤー(層)の問題がなく、カバーがきれい。


悪かった点

・3箇所のコンプレッション差の問題は、ボールにとっては致命的。


TRUE PRICE-ボールの真の価格-

ブリヂストン「Tour B X」の「TRUE PRICE」は50.61ドル。小売価格の44.99ドルを13%上回る結果となった。