・「Chrome Soft X LS(クロムソフトX LS)」は、キャロウェイにとって実質2番目のツアーボールとなる。

・「Chrome Soft X LS」は高弾道・低スピンボールで、競合にはタイトリスト「ProV1x Left Dash(プロV1xレフトダッシュ)」やテーラーメイド「TP5x」が含まれる。

・価格は$47.99ドル。


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最新の「Chrome Soft」発売から1年以上が経過し、キャロウェイはシリーズの新モデルとして「Chrome Soft X LS」を発表した。ご想像のとおり、「LS」は「Low Spin(ロースピン)」の略で、現在のラインナップの後継ではなく、ツアーボールの中で待望の2番目の選択肢として登場する。


ツアーボールは存在しなかった?

これに関して反論もあるかと思うので、事実を詳しくお話しよう。過去数年の製品サイクルで全くの逆説を唱えてきたと思われるだろうが、キャロウェイは標準の「Chrome Soft」を『ツアーボール』として分類していないと私は考えている。

なぜなら、PGAツアーで使用されるボールよりもコンプレッション(硬さ)が10 kgf柔らかく、この「ソフト」仕様では高ヘッドスピードに耐えられないからだ。

その点、キャロウェイのラインナップは不足していた。すべての本格的なボールブランドには通例2種類のツアーボールがあり、キャロウェイの場合「Chrome Soft X LS」の追加でそれが実現することになる。

デュアルコア構造が特徴の前世代(2018年)の「Chrome Soft X(左)」と、デュアルマントルが特徴の現世代「Chrome Soft X LS(右)」。


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「Chrome Soft X LS(クロムソフトX LS)」はどこから来たのか

「Chrome Soft X LS」の開発ストーリーは、タイトリスト「Pro V1 Left Dash」と似ている。タイトリストの場合、ツアーから小売店へと流れる「ツアー用シークレットボール」(タイトリストは「カスタムパフォーマンスオプション(CPO)」と呼ぶ)がそれであった。

「Chrome Soft X LS」は、同じくツアー用シークレットボールから進化したものだが、今回の最新モデルは小売販売を念頭に設計されている。「X LS」のパフォーマンス特性は以前のツアー向けボールに類似している。

最も顕著な違いは、『4ピースデュアルコア設計』から現在の「Chrome Soft X」にも採用される『4ピースデュアルマントル構造』へ改良を図ったこと。

前世代のボールを使用していた人の多くは、この構造改良を機に新ボールに乗り換えている。


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「Chrome Soft X LS」の特性

「Chrome Soft X LS」は、標準の「Chrome Soft X」と同じく硬めのコンプレッションを特徴とするが、パフォーマンスの差をもたらす要素を噛み砕いてみると、キャロウェイがどのようにしてこのボールに行き着いたのか理解できるだろう。

前に説明したように、「スピン(より正確には、高スピン)」は硬いレイヤー層を柔らかいレイヤー層で包むことで生まれる。逆に、スピン量を減らすには、柔らかいレイヤー層をより硬いレイヤー層で包む。そのために、「Chrome Soft X」と比べて「X LS」のコアは柔らかい。

さらに硬いインナーマントルを活用することで、コンプレッションを維持することができる。その結果、同じスピードでもスピンがかかりにくいため、プレーヤーによっては、多少ボール初速が上がる可能性がある。

「Chrome Soft X LS」の説明としては、「高コンプレッション」、「高弾道」、「低スピン」といったところだろう。

競合のボールとしては、タイトリスト「ProV1x Left Dash」、テーラーメイド「TP 5x」、そしてブリヂストン「ツアーBX」(これはこのグループの中で最も低弾道)も少なからず含まれるはずだ。


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「CHROME SOFT X LS」のターゲット

同社は「Chrome Soft X LS」を、“スピンを攻略し更に飛距離を伸ばしたい上級者向けのボール”だと位置づけている。

高初速、低スピン、飛距離を望むのは決して上級者に限ったことではないが、ここでのメッセージは非常に重要だ。過去数年にわたって、キャロウェイはアベレージゴルファーに対して幅広く対応してきたという功績があるが、おそらく上級者に対しては同等の成功を収めていない。

その理由は、特徴的な六角ディンプルパターンと同じくらい多面的に考えられる。しかし、“選択肢の欠如”が主な理由であることは確かだ。

どんなボールでもたった1モデルで高ヘッドスピードプレーヤーが抱えるすべてのニーズを満たすことはできない現実を「X LS」の存在が訴えており、オプションが増えれば同社スタッフ(およびフィッター)はアイアンとゴルフボールの理想的な組み合わせをより緻密に提案できるようになる。


「CHROME SOFT X LS」 エアロダイナミクス

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以前、ディンプルパターンについて説明したことがある。更にすべてのボールに同じカバーを使用することに“特有の欠点”があることにも触れたと思う。パターンは「Chrome Soft X」や「Chrome Soft X LS」と同じで、これらは同じ六角パターンを有するが、これは理想的とは言えない。

そこでキャロウェイはカット面の形状(同社の六角ディンプルを形成するための6つのバー)を変更して、パフォーマンス特性に関わる「エアロダイナミクスの最適化」を図った。


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40ヤード内の戦い

低スピンボール同士だけでテストした場合、ドライバーの飛距離の差は2〜3ヤード見られることだろう。ゴルファーが気づくか気づかないか分からないレベルだ。しかし顕著な違いは、グリーン周りのスピンや打感(パターの打感)など“40ヤード以内”に現れることが多い。

「Chrome Soft X LS」なら両分野で引けを取らないと同社はいう。キャロウェイは、すべてがプレーヤー次第であることを強調しながら、言葉を慎重に選び、こう答えている。「グリーン周りのスピン特性は同カテゴリーの他のボールと大差がないものの、“彼ら以下”ではない」と。


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「Chrome Soft X LS」のポジション

ゴルフ用品は相対的に表現されることが多いため、「Chrome Soft」3モデルがキャロウェイのラインナップのどこに位置するのか明確にした方が分かりやすいだろう。

「Chrome Soft」は低コンプレッション、高弾道、低スピンが特徴。飛距離に関して、アイアンショットには適しているが、高ヘッドスピードプレーヤーのドライバーショットにおいては、影響を及ぼす可能性がある。ウレタンカバーが採用されているが、これはツアーボールではない。

「Chrome Soft X」は高コンプレッション、「Chrome Softシリーズ」の中で最も低い弾道と最高スピンを備えている。

「Chrome Soft X LS」は、「Chrome Soft X」よりも高弾道、低スピンを備えた高コンプレッションボールだ。

どちらがあなたに適しているかは、最終的にはフィッティングの領域になる。それが同社にはチャンスでもあり挑戦にもなるだろう。


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「CHROME SOFT X LS」-全小売店で展開

タイトリストが「Left Dash」の販売を制限する一方で、「Chrome Soft X LS」を小売全店で購入可能にし、このチャンスを掴みたいと考えている。

現在のツアーボールの中で一番の飛距離を誇るのは間違いなく「Left Dash」だ。市場に余地があることは確かなのに、タイトリストが「Left Dash」という“秘めた最高ボールの存在”をほのめかすことがないことに驚きを隠せない。

そもそも、知られていようがいまいがタイトリストは気にかけていない。

一方の「Chrome Soft X LS」では、キャロウェイはより直接的なアプローチを図ろうとしている。

ニッチであろうとなかろうと、「多くのプレーヤーにとって高性能なボールに変わりはないのだ。」と、キャロウェイブランド及び商品管理部長ジェイソン・フィンリー氏

「ゴルファーは更に飛距離を伸ばそうとしている。それこそが彼らが望んでいることだ。」(フィンリー氏)

それならば、“最長飛距離を誇るゴルフボール”を全小売店に置けば、多くのゴルファーにアピールできるのではないかと考えるのが自然だ。

しかしそれをしないのは、“消費者が自分のプレーに合わない商品を購入するリスクがある”からだ。彼らは敢えてそのように誘導したりしない。

それとは逆に、(合わない商品を購入してしまうのは)ゴルファーの習性だからやむを得ないという意見もあるだろう。

すべてのゴルファーが1つのゴルフボールに合うわけではないが、対策としてキャロウェイは「セレクションガイダンス」と呼ぶものを提供するという。これは、「Chrome Soft X LS」が自分に適しているかどうかをゴルファーに理解してもらうためのものだが、最終的には自分自身で性能を決定してもらうためのツール(ボール情報と決定選択)を提供することが目的だ。


「CHROME SOFT X LS 」カラー・価格・販売予定

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キャロウェイ「Chrome X LS」のカラーは、「ホワイト」、「トリプルトラックホワイト」、「トリプルトラックイエロー」の3種類。

「トリプルトラック」が、すべてのキャロウェイモデルの中でベストセラーであることをご存知だろうか?実はホワイトより売れており、毎週、キャロウェイのPGAツアースタッフの25〜35%が「トリプルトラックボール」を使用しているほどだ。

おそらくこのデザインは直ぐになくなることはなく、今後他のブランドが便乗することだろう。

キャロウェイ「Chrome Soft X LS」ゴルフボールの価格は47.99ドル。3月18日より販売されている。