2021年キャロウェイ財務報告−重要ポイント

・キャロウェイの2021年年間売上高は31億ドルを超え、前年のほぼ2倍を達成

・トップゴルフの収益は10億ドル超

・ゴルフ用品の売上高は12億ドル超

・2021年の純利益は3億2,200万ドル

・2022年の売上は38億ドルに達すると予想される


このような財務報告はまさに予想通りだが、それでも実際に数字を見ると驚く。

売上31億ドル。

“ビリオン(10億)”だ。

これは、同社2020年のほぼ2倍の数字。「コロナのおかげ」という声もあるだろうが、2019年と比べても82%増となっている。

過去に取り上げたキャロウェイ(及びアクシネット)の財務報告では、見出しは素晴らしくても詳細(内訳)は「ゴルフ用品以外」でバランスを取っていると話した。しかし今回は違う。見出しこそがストーリーだ。

売上こそ驚くべき31億ドルだが、利益も3億2,200万ドルにのぼる。

キャロウェイのジョニー・ロドリゲスが昨日ツイッターに投稿したように…


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ジョン・バーバ

たった今キャロウェイ2021年の財務報告がリリースされた。年間売上が30億ドルを超え、2020年の倍を記録した。「トップゴルフ」の売上は10億ドルを超え、全体の35%を占める。

ジョニー・ロドリゲス


2021年キャロウェイ財務報告:「トップゴルフ」の功績

たとえ同社がクラブ、ボール、アパレル事業を停止しても、10億ドル規模の事業が残ることになる。この数字を見れば、昨年の「トップゴルフ」合併/買収が会社にとってどれほど重要だったかお分かりいただけるだろう。

合併が正式に行われたのは昨年3月8日。キャロウェイ傘下になってからの10か月で、「トップゴルフ」は10億ドル強の収益を上げたことになる。ゴルフゲームだけでなく、食事やアルコールの売上も大きく貢献したようだ。

「今年の初めに『トップゴルフ』と『キャロウェイ』がタッグを組んだことが変革をもたらした。当初の期待を大きく上回り、力強い成長と収益に感激している。」とキャロウェイのCEOチップ・ブリューワー氏は声明で述べている。


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また、トップゴルフは予約なしの客が多いものの、実際の売上の多くは予想を上回るソーシャルイベントや企業イベントの予約によってもたらされたという。

オミクロンの影響によりややスローになったが、ブリューワー氏が投資家説明した話では、イギリスがアメリカより1ヶ月早く落ち込んだがすぐに回復したという。

売上高10億ドルによる利益が驚異的な数字であることは容易に想像できるが、実際5.3%に値する5,800万ドルの利益を報告している。

合併による約3,000万ドルの利息の増加や、トップゴルフにあるキャロウェイの既存の合併前株式を市場価値に引き上げるための評価増など、いくつかの要因が利益に影響を与えている。

2021年には新たに9箇所がオープンした。これには、11月にフロリダ州フォートマイヤーズにオープンした72打席の複合施設も含まれる。


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ゴルフ用品の行方

トップゴルフが見出しを飾っている間も、同社はゴルフ用品を販売している。売上にして12億ドル以上。2020年12月に新製品がいくつかリリースされたにもかかわらず、前年比25%の増加だ。

また、第4四半期のゴルフ用品の売上が前年比で減少した理由もここにある。もう1つの理由は、同社が第4四半期の生産分を2022年1月上旬にシフトしたことだ。

内訳を見ると、2021年のゴルフクラブの売上高は10億ドル近くで、2020年に比べて26%、2019年に比べて30%増加している。年間のボール売上高は2020年に比べて20%増の2億3,500万ドル、2019年と比較すると11%アップだ。


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偶然ではなく、ゴルフに参加した人の数が2012年以来最高に達したと「National Golf Foundation」は報告している。2021年キャロウェイは30万人の新しいゴルファーを迎え入れ、アメリカではゴルファーと呼ぶ人の総数が2,510万人に達した。4年連続で増加し続けている。

もちろん、すべての新参ゴルファーが着るもの(ウェア)を必要とする。それに伴いアパレルの売上高は40%増加し4億9,100万ドルを達成、ギア、アクセサリー、その他(バッグ、手袋、Tシャツなど)の売上高は26%増の3億2,600万ドルだった。

ゴルフ用品もキャロウェイの収益に貢献しており、キャロウェイの純利益3億3,100万ドルのほぼ3分の2を占めている。2021年の財務報告によると、クラブとボールの利益率は約16.6%だ。

アパレル、ギア、アクセサリー、その他における売上は8億1,700万ドルの売上、利益率は8.4%で6,900万ドルの利益を計上した。


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2022年の展望

他の上場企業と同様に、同社は2020年、2021年共に投資家に対してガイダンスを提供しなかった。ポストコロナの状況が少し見えてきたため、キャロウェイはより力をつけ2022年にはかなり強気な業績を見せることが予想される。

同社は2022年の収益が38億ドルに達すると予測しており、トップゴルフからは15億ドル以上を見込む。また、トップゴルフの年間調整EBITDA(利息、税金、減価償却および償却前の収益)に2億1,000万ドルから2億2,000万ドルが追加されると予想している。

全体としては、2022年のEBITDAが4億9,000万ドルから5億1,500万ドルに達すると見込む。ちなみに、2021年の最終的なEBIDTAは4億4,500万ドルだった。


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また、トップゴルフの売上15億ドルを達成するにあたり、南カリフォルニアにオープンする2箇所を含め、今年10〜11箇所でトップゴルフをオープンさせる予定だ。新たにオープンしたエル・セグンドの施設は、SoFiスタジアムの近くにある。従来の楽しみ方に加え、10ホールの照明付きゴルフコースも併設されている。

シアトルとボルチモアで計画されている新しい施設には、キャロウェイクラブフィッティングベイも設置される。新施設のほとんどは、2022年の後半にオープンする予定だ。

「National Golf Foundation」によると、昨今トップゴルフのようなゴルフエンターテインメントへの欲求が高まり続けているという。昨年は約2,500万人がこのような従来のゴルフにとらわれないゴルフ施設を体験している。それらのほぼ半数はコースでゴルフをしたことのない人たちだ。

キャロウェイはまた、2022年に全国8,000以上のゴルフ練習場に『Toptracer(トップトレサー)』テクノロジーを設置することを計画している。2021年には7,000近くの新しい打席を増やし、そのうち1,700は第4四半期に設置している。


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その他の情報として、成長し続けるゴルフ帝国をさらに拡大させるため、ゴルフ関連のビデオゲームでゲーマーにアプローチしようとしているとも聞く。詳細はまだ分からないが、「ワールドゴルフツアー」が「ワールドオブウォークラフト(オンラインゲーム)」に出会うようなもの、だという。


キャロウェイ2021年財務報告−最終考察

2021年キャロウェイが叩き出した記録、31億ドルという数字は規格外に他ならない。

同社は過去に「OGIO(オジオ)」、「TravisMathew(トラビスマシュー)」、「Jack Wolfskin(ジャックウルフスキン)」を買収したことで、事業の多様化に舵を切ったように見えた。別の見方をすれば「ゴルフクラブを補強するための戦略」だ。

ゴルフ自体への参加が減少していたため、多様化は賢明な選択だと思われていた。しかし、過去5年間これを逆転させ、コロナはさらにこのトレンドを加速させた。

「トップゴルフ」が加わったことで、キャロウェイは「ゴルフ」を基本とした「ライフスタイル」と「エンターテインメント」の巨大企業に生まれ変わった。

さらに、ゴルフシミュレーターを軸とした飲食チェーンである「Five Iron Golf(ファイブアイアンゴルフ)」への投資を忘れてはいけない。

その取引には、キャロウェイがトップゴルフを始めたきっかけである限定所有権が含まれている。さらに、「Five Iron Golf」はキャロウェイクラブのデモ、フィッティング、購入の場を提供する。


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それが「トップゴルフ」でのフィッティングや購入の機会につながるのだ。今後キャロウェイが運命の手綱を握り放さないことは明らかだ。そして、これらの売上は完全に同社の小売につながり利益を独占できるという仕組みになる。