メーカーが新製品をリリースするとき、相対的に見て前作から“わずかな進化”にとどまる場合もあれば、“劇的な変異”を遂げることもある。しかし、たいていはその中間のどこかだ。

では、2024年のブリヂストン「TOUR B(ツアーB)」シリーズ(「TOUR B X」、「XS」、「RX」、「RXS」)はどうなのか?というと…。

2022年の「TOUR B」シリーズとは十分に異なる一方で、2020年版と比較した場合、それはほぼ突然変異レベルだと言っていいだろう。


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ブリヂストン「TOUR B」ゴルフボール:衝撃吸収剤と接点の化学

ブリヂストンの「TOUR B」ゴルフボールは2020年に大きな飛躍を遂げた。この年ブリヂストンが新しい『リアクティブ・ウレタンカバー』テクノロジーを導入し、スピンを犠牲にすることなく、ドライバーではしっかりした打感を、そしてアイアンとウェッジでは柔らかい打感をそれぞれもたらすというものだった。

「ウレタンカバーに『衝撃吸収材』を加えたことにより、ボールがフェースに吸い付き乗り感がより長く感じられ、さらに多くのスピンがかかるようになった」とブリヂストンゴルフボールマーケティングマネージャーのエリオット・メロー氏は語る。

この「衝撃吸収材」は、ブリヂストンがゴルフにおけるさまざまな“接点”として、同社のタイヤ開発で培った技術を活かした「接点の化学」により生み出されたものの1つ。


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「ドライバーで激しくボールを叩くと、衝撃吸収材が固まり、ドライバーを押し返すことで初速を生み出す」。

2020年に初代『リアクティブ・ウレタンカバー』が採用された時、ブリヂストンは「TOUR B」の4モデルすべてに同じ比率で「ウレタン」と「衝撃吸収材」を使用した。2022年版では、この2年間の経験をもとに衝撃吸収材とウレタンの配合を変更し、それぞれのボールの性能を最大限に引き出すためにカスタマイズした。これを同社は『リアクティブiQ』と名付けた。

そして2024年モデルでは、「ウレタン」と「衝撃吸収材」のレシピをさらに改良し、それを『XCLRNT』と呼ぶ全く新しいミッドレイヤーと組み合わせている。これらを連携したものが『リアクティブ X システム』だ。

『XCLRNT』は新時代のマーケティング用語で、加速を引き起こす『反応促進剤』を意味する。ブリヂストンによれば、これは二重の役割を果たす、新しい硬めのミッドレイヤーだという。


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「より硬いということは、ドライバーのボール初速が速くなるということ」とメロー氏。「その一方で、より硬い『XCLRNT』レイヤーは柔らかいカバーに対して優れたバックボードとして機能し、アプローチショットでより多くのスピンをもたらす」。


「TOUR B」優れた4つの選択肢

ブリヂストンは、「TOUR B」の4つのモデルを「X」と「RX」の2シリーズに分けて引き続き提供し続ける。「B X」は最も硬くて最速、柔らかい「B XS」はスピンが効く(これはタイガーのボールだったが、詳しくは追々)。「B RX」と「B RXS」も同じパターンだが、いずれも「X」や「XS」に比べてコンプレッション(硬度)が低くなる。

ブリヂストンはこれまでドライバーのヘッドスピードによって2つのシリーズに分けてきた。ヘッドスピード47m/sを超えると「X」または「XS」、47m/s未満は「RX」または「RXS」。

しかしこれは絶対厳守のルールではない。対面でのボールフィッティングにおいて、10年以上47m/s以上のヘッドスピードなんて見たことがなかったのに、ブリヂストンは私に「TOUR B X」が合うと勧めてきた。


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そして最終的な判断基準は性能上の数値だが、ブリヂストンはパーセンテージにも重きを置く。

「ゴルファーの75%が47m/s未満のカテゴリーに当てはまることがわかっている」とメロー氏。「彼らは、初速と飛距離を追求して設計された、よりコンプレッションの高いボールを求める。47m/s未満のカテゴリーにおいて、『RX』は飛距離重視かつ寛容性が高い製品で、「RXS」はより柔らかく、よりスピンがかかる」。


ブリヂストンとタイガー効果

ブリヂストンは研究開発のプロセスにおいてツアースタッフ、特にタイガーに大きく依存している。なぜって、タイガーだから。2020年モデルから、ブリヂストンはブライソン・デシャンボーのために「TOUR B X」を、ショートゲームで果敢に攻めるスタイルでスピンの効くボールを好むタイガーのために「TOUR B XS」をデザインした。


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ブライソンはもうブリヂストンの一員ではない。偶然かもしれないし、そうではないかもしれないが、タイガーがジェイソン・デイやマット・クーチャーと同じく「B X」を使用しているため、新しい2024年の「TOUR B」ボールは興味深い進化を遂げている。

「新しい『X』は、ショートゲームでのコントロール性が 2、3、4世代前に比べて大幅に向上しているが、飛距離も犠牲にはしていない」とメロー氏。「タイガーはボールにスピンをかけることで知られている。素材が劇的に進化したおかげで、我々は彼にティーショットで飛距離を出しながら、ショートゲームのコントロールもできるボールを提供することができるのだ」。

具体的にメロー氏によると、2024年版「TOUR B X」は2020版の「B XS」並にスピンがかかるとのこと。新しい「XS」のスピンは「とてつもないものだ」と言う。


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そしてブリヂストンの契約プロは誰も新作の「XS」を使用していないが、メロー氏によると、数人の契約外プロが使用する予定だという。


ブリヂストン「TOUR B」ゴルフボール:以前よりも良くなった?

次回の「MyGolfSpyボールテスト」までは確かなことはわからないが、経験に基づいた推測は可能だ。

まず、2022年版のブリヂストン「TOUR B」シリーズの4モデルすべてが、2023年のボールテストで好成績を収めた。「TOUR B X」は高ヘッドスピードのドライバー部門で飛距離7位となり、同部門トップのタイトリスト「Pro V1 Left Dash(プロv1レフトダッシュ)」とは約4ヤードの差だった。

これが高ヘッドスピードのアイアン部門では逆となり、「TOUR B X」と「TOUR B RX」が飛距離で1位と2位を獲得。飛距離7位の「Pro V1 Left Dash(プロv1レフトダッシュ)」とは、それぞれ3.68ヤードと2.26ヤードの差だった。そして、4モデルすべてが中ヘッドスピードのアイアン部門においてボール初速でトップ6に入り、「XS」、「X」、「RXS」がそれぞれ金、銀、銅を獲得した。


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だから、そう、彼らはうまくやっているってわけだ。

「ウレタン」と「衝撃吸収材」のレシピをさらに改良し、新たなより硬い『XCLRNT』(母音はいずこに)を中間のレイヤー層に採用したことで、性能の向上は期待できる。ただ、現場で実際はどうなのかはまだ何とも言えない。しかし、テストから学んだように、不良ボールなどというものは(ほとんど)存在しないはずだ。

ブリヂストンは2024年モデルでコンプレッション(硬度)をあまり変えてはいない。以前のモデルの測定値は、「B X」が94、「B XS」が84、「B RX」が79、「B RXS」が65だった。ブリヂストン曰く、新モデルはすべてこれらの測定値の1ポイント程度以内に収まるはずとしている。


価格トレンドに逆らう

これまで見てきたように、タイトリスト、キャロウェイ、ウィルソン、そしておそらく他のメーカーも、自社の最高級ツアーボールの価格を、1ダース54.99ドルという新たな基準に設定している。しかしブリヂストンはその傾向に逆らい、新しい「TOUR B」シリーズの価格を49.99ドルとした。厳密には割引ではなく、2022 年モデルと同じということだ。

この価格決定は恣意的に行われたものではない。実際、データに基づいたものだ。

「我々はいわゆる『価格の壁』に注目している」とメロー氏。「消費者調査を行い、製品を見せ、ストーリーを伝え、最後に価格を伝える。それから、その価格で購入するかどうか一連の質問に答えてもらう」。


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ブリヂストンはそれから、他のグループや他の価格水準でも同じプロセスを繰り返す。

「最終的には購入意欲がガタ落ちする壁にぶち当たることになる」とメロー氏。「その手前で踏みとどまりたいが、方程式には下限というものがある。主力製品を値引きしてブランドの低下を招くことは望ましくない」。

最終的にブリヂストンは、価格の壁や利益率、必要な数量を検討した上でちょうどいいバランスを見つけているのだ。数を売るために価格を下げるのは簡単だが、ほとんどの場合、企業の収益に悲惨な結果をもたらす。

「人々が苦労して稼いだお金をこの製品に費やしていることを我々は認識している」とメロー氏は続ける。 「財政的な責任を果たしつつ、リーズナブルな価格で提供するつもりだ」。


ブリヂストン「TOUR B」ゴルフボール:価格と発売時期(日本)

日本では、ブリヂストン「TOUR B」シリーズから「TOUR B X」と「TOUR B XS」の2種類が発売される。

カラーはどちらとも、ホワイト、パールホワイト、ホワイトコーポレート、そしてイエローの4種類。

価格は¥6,930(税込)で、発売は2024年2月9日となっている。


残念なことに、現時点で日本での“タイガーバージョン”の発売は予定されていないようだ。

ブリヂストンのボール担当者がこれを見ていたら、ユーザーを代表して伝えたい。数量限定でも構わない。是非とも発売して欲しい。

もちろん「B」を信じているよ!


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ブリヂストン「TOUR B」ゴルフボール:価格と発売時期(アメリカ)

価格は1ダースあたり49.99ドル。ブリヂストン「TOUR B」ボールの2024年モデルでは、おなじみのパッケージを継続する。「B X」は白地に黒のボックス、「B XS」は白地に青だ。「RX」のボックスは白地に赤、「RXS」は白地に緑だ。

新しいブリヂストンの「TOUR B」ボールは、まずホワイトのみが発売される。しかし、過去の例から察するに、いずれは4モデルすべてでイエローバージョンが出てくるだろう。

さらに、標準の「TOUR B X」の他に、ブリヂストンは“Tigerバージョン”も発売する。同じボールで、秘密のタイガーソースは入っていない。唯一の違いは「Tiger」の刻印と、すべてに「1」という数字が入っていることだ。

そして当然ながら、ブリヂストンでは、みなさんが店舗で購入するボールは、タイガーやデイ、クーチャーらがプレーするボールと同じであるとアピールしている。

「我々の施設の組立ラインでボールが流れているのを見ているとわくわくする」とメロー氏。「そこにあるボールは地元のお店に行き着くかもしれないし、タイガーのロッカーに行き着くかもしれないんだからね。あるいはその間のどこか別のところに行き着くかもしれないけれど」。

新しいブリヂストンの2024年版「TOUR B」ボールは2月16日発売(アメリカ)。

詳細および自分に最適な「TOUR B」モデルの選択については、ブリヂストンのウェブサイトにアクセスすれば、オンラインゴルフボール選択ツールが利用可能だ。