フェアウェイウッドやユーティリティの新製品は、ドライバーの流れを引き継ぐが、特徴や話題性では大抵ドライバーに劣る。

今年のテーラーメイド「Qi35」とキャロウェイ「ELYTE」は、その常識を覆すストーリーを展開している。

しかし、新しいスリクソン「ZXi」フェアウェイウッドとユーティリティは、その例外には当てはまらない。

だからといって、新しいスリクソン「ZXi」フェアウェイウッドとユーティリティが注目に値しないわけではない。見た目だけでも、前作の期待外れだった「ZX Mk II」モデルから間違いなく進化している。

ただし、テクノロジーについて詳しく知りたいなら、先にドライバーの記事をチェックしておくと話が早い。

待ってるよ!


スリクソン「ZXi」フェアウェイウッドのクラブヘッドをクローズアップした画像

スリクソン「ZXi」フェアウェイウッド&ユーティリティ:待望の修正

おかえり!新しいAI設計の『i-Flex可変厚フェース』がもたらすメリットや、『リバウンドフレーム』による反発性能については確認できただろう。

それじゃあ、本題に戻ろう。

新しいスリクソン「ZXi」フェアウェイウッドやユーティリティが自分に合うかどうかを知る唯一の方法は、実際に試して他の候補と比べてみることだ。

あなたに合うかもしれないし、そうでないかもしれない。ただし、今年のモデルには必要不可欠だった改善がしっかりと施されているのは間違いない。


スリクソン『ZXi』フェアウェイウッド3番(15度)のクラブヘッド。精密なデザインとパフォーマンス向上を追求。

2023年のスリクソン「ZX Mk II」フェアウェイウッドとユーティリティは、控えめに言っても平凡な出来だった。

実際、その評価は「平凡」の極みであり、2021年モデルからは大きな後退。ちなみに2021年モデルは、その年の『MyGolfSpyテスト』でトップに輝いている。

しかし2024年の「ZX Mk II」は、29モデル中16位という結果に終わった。「飛距離」も「正確性」もパッとせず、「寛容性」に至っては“元カノレベルで厳しい”と言いたくなるほどだった。

いや“元ヨメレベル”と言った方が近いかな。

ユーティリティに関しては、14位という結果がせめてもの救いだった。

それでも23モデル中14位だった、ということだ。

「我々のユーティリティとフェアウェイウッドは(PGA)ツアーで広く使われているわけではないが、ツアースタッフからのフィードバックをもとに改良を続けている」と、スリクソンのダスティン・ブレッケ氏はMyGolfSpyに語る。


スリクソン「ZXi」フェアウェイウッドを振るプロゴルファー

ツアーからのフィードバックの大半はヘッド形状に関するものだった。形状というと単なる見た目の問題に思えるかもしれないが、実際はダイナミックロフトから芝との接地感まで、あらゆる要素に影響を与える。

「ソール幅、ソールの丸み、そして上から見たときの形状がすべて大きな役割を果たす」と、ブレッケ氏。

だからこそ、「ZXi」シリーズは大幅な形状の見直しが行われた。前作と比べて、見た目が圧倒的に良くなっている。


見た目の良さが性能にもつながるのか?

それがまさに“64,000ドルの疑問(重要な問題)”ってやつだ。

「これが結果に直結する、という特定の特徴を挙げるのは難しい」とブレッケ氏。「だからこそ、形状を含めた重要な部分を常に改良し続けているんだ。」

形状を改良することで、ほかの重要な部分の調整もしやすくなる。ウエイトを移動させて重心位置を調整すれば、慣性モーメント(MOI)が向上するし、『i-Flex』フェーステクノロジーを強化すればボール初速がアップする。


スリクソン『ZXi』フェアウェイウッドの3モデル。プレーヤーのニーズに合わせたバリエーションを展開。

しかし、最大の進化はスリクソンのフェアウェイウッドとユーティリティにロフト・ライ角調整機能が搭載されたことだろう。

なんてこった、トルクレンチの登場だ!

「これは大きな進歩だ」とブレッケ氏。「プレーヤーに素早くフィッティングできて、選択肢も広がる。」

スリクソンがここで取り組んでいるのは、2つのうちどちらかだ。「ようやく追いついた」と言えなくもないが、正直、調整機能の追加はそこまで大きな技術的飛躍ではない。

むしろスリクソンは、非調整式が重量や価格面でのメリットをもたらしていたことを認めつつも、ターゲットとしているゴルファーが「調整機能」を重視していることを理解したのだろう。

スリクソンを検討するプレーヤーは、調整機能を求めているだけでなく、それを実際に活用し、その恩恵を受けるタイプだ。


スリクソン『ZXi』フェアウェイウッドのソール部分。調整可能なウエイトが搭載され、重心位置の調整が可能。

「選択肢は、ほとんどの人が使いこなせないほど豊富にある」とブレッケ氏。「この業界ではそれが当たり前になって久しい。重要なのは、その選択肢を用意すること。それと、調整機能をどう活用するかを理解してもらうための情報を提供することだ。」


調整機能をシンプルに…まあ、ある程度は

新しいスリクソンの『可変ホーゼル』は他の調整機能付きモデルと同様に、ロフト角、ライ角、フェース角を12通りの設定で調整できる。

ロフト角は1.5度まで、0.5度刻みで上下の調整が可能だ。ロフト角を上げるとフェース角はクローズになり、ロフト角を下げるとフェース角はオープンになる。

ロフト調整時にはライ角も同時に変わるが、その変化は「フラット方向」に限られる。

例えば、「ZXi」フェアウェイウッドやユーティリティでロフト角を1.5度上げると、フェースは3度クローズになりライ角は1.5度フラットになる。

逆にロフト角を1.5度下げるとフェースは3度オープンになり、ライ角は同じく1.5度フラットになる。

つまり、ロフト角を調整するとフェース角が開閉するだけでなく、構えたときのソールの接地角度も変わりアドレス時の見え方や打ちやすさに影響してくる。


スリクソン「ZXi」フェアウェイウッドのソールデザインとウエイト配置を強調した画像

それでも十分にフラットに感じない場合は、スリクソンが用意した「FL設定」が役立つ。ホーゼルを「STD FL」にセットすれば、ロフト角とフェース角は標準のままライ角だけが3度フラットになる。

これにより、よりフラットな構えを求めるプレーヤーでも、自分に合ったアドレスが取りやすくなるわけだ。

ユーティリティで左への引っかけが多いなら、フラットなライ角にオープンフェースの組み合わせが効果的かもしれない。

逆に、フェアウェイウッドの直打ちでボールが右に出がちなら、クローズフェースに設定すれば、その不安を少しは和らげられるはずだ。

さらに、ロフト角を調整するとソールバウンスも変わる。フェアウェイウッドやユーティリティで芝との接地感をあまり意識しない人もいるかもしれないが、実は重要なポイントだ。

「ZXi」シリーズではソール形状が刷新され、調整機能と組み合わせることで、ゴルファーが自分に最適なバランスを見つけやすくなっている。


スリクソン『ZXi』フェアウェイウッドのロフト、ライ角、フェース角の調整表。多様な弾道調整が可能。

今回のスリクソンが特別革新的というわけではないが、少なくとももはや競合モデルに遅れをとっているわけではない。


コースでの実際の印象

フェアウェイウッドと私との間には、ある種の「相互理解」があるんだ。私は彼女(FW)に多くを求めないし、向こうもそれで十分だと思っている。 もっと言うと、ユーティリティとの関係は「最悪」だ。使うたびに、ろくな結果にならない。

オフシーズンってことで、「ZXi」の5番ウッドと4番ユーティリティを試してみることにした。3番ウッドはバッグから外した(正直、あいつもホッとしてるはずだ)。

そして5番ウッドのロフト角を16.5度に下げて、実質4番ウッド仕様に調整。このロフト設定でライ角は1.5度フラットになり、フェースはしっかり3度オープンになった。

22度の4番ユーティリティも20.5度にロフト角を下げて、PING i530の5番アイアンと入れ替えてみた。この設定でライ角は58度に(フラット)になり、フェースは3度オープンに。


スリクソン『ZXi』フェアウェイウッドのクラウン部分。ブラック仕上げとシャープなデザインが特徴。

私は多くの普通のゴルファーと同じで、5番アイアンや3番ウッドを打つときは、まるで『ダーティハリー』のワンシーンみたいなんだ。「運が味方してくれるか?」ってね。

そうだろ?どうなんだ、相棒?

もしかすると、単にニューハンプシャーの寒さから数日間逃れられた喜びが影響したのかもしれない。

しかし、その週末にスリクソン「ZXi」の5番ウッドと4番ユーティリティで放った好ショットの数は、ここ半シーズンでキャロウェイの3番ウッドやPINGの5番アイアンを使ったときよりも多かった。

もちろん、もともとの基準はそれほど高くなかったが、それでも印象的だった。

明らかで、おそらく正しい結論は、5番ウッドや4番ユーティリティを使っても似たような結果が得られるということだ。結果が出て初めて、見た目や打感、自信といった要素が重要になる。

スリクソンは、「ZX Mk II」シリーズと比べて見た目や打感をしっかり向上させている。芝との相性やボール初速はコース上で数値化しにくいが、良い結果が出るたびに自信につながった。


「ZXi」フェアウェイウッドのロフト角、長さ、重量などの詳細なスペックを示す表

そして当然のように、それがさらなる好結果を生んだ。

不思議なものだ。

スリクソン「ZXi」フェアウェイウッド&ユーティリティ:スペック、価格、発売情報

※日本では2024年11月に発売されている

詳細はスリクソンの公式サイトをチェックしてみよう。

【フェアウェイウッド】

【ユーティリティ】

※下記はアメリカのスペック

新しいスリクソン「ZXi」フェアウェイウッドは、調整可能な4つのロフト設定が用意されており、13.5度のストロング3番から21度の7番まで展開されている。

ストロング3番と標準の3番にはカーボンファイバークラウンが採用され、5番と7番は高強度マレージング鋼で構成されている。

左利き用モデルは標準の3番と5番のみがラインアップされる。

標準シャフトは『ベンタスTRブルー』、グリップは『ゴルフプライド ツアーベルベット360』が採用されている。

レディースモデルには、軽量の『アルディラ アセントPL 40』シャフトと『ラムキン STソフト』グリップが装着され、番手は5番ウッドと7番ウッドが用意されている。

なお、レフティモデルはカスタム注文のみで対応する。


スリクソン「ZXi」フェアウェイウッドの各ロフト、ライ角、ヘッド体積、クラブ長さ、スイングウェイトのスペック一覧

スリクソン「ZXi」ユーティリティは、17度の2番ユーティリティから28度の6番ユーティリティまで、5つの可変ロフトモデルがラインナップされている。

レフティ向けは3番と4番ユーティリティのみの展開だ。

標準仕様には『ベンタスTRブルーHB』シャフトと『ツアーベルベット360』グリップが採用されている。

レディースモデルには、引き続き『アルディラ アセントPL 40』シャフトと『ラムキン STソフト』グリップが標準装着される。

右打ち用は4番、5番、6番ユーティリティが用意されており、左打ち用は4番ユーティリティのみカスタム注文で対応可能だ。

販売価格はフェアウェイウッドが329.99ドル、ユーティリティが279.99ドル。

発売日は1月24日だ。