コブラ「RADSPEED」ドライバー:重要ポイント

・2021年、コブラから「RADSPEED」ドライバー3モデルが発売される。

・3モデルに共通する特徴は、「低スピン」かつ「やさしい」。

・価格は449ドルで、2021年1月29日より販売開始。

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新コブラ「RADSPEED」ドライバーの背景にあるストーリーを知りたいなら、まずは名前の由来を掘り下げる必要がある。

「SPEED」というくらいだから、スピードをアピールしているに違いないが、ドライバーであればスピードがあって当たり前。それでも、慣例に習うしかないのだろう。

一方の「RAD」とは“最高”いう意味のスラングで1980年代に流行った。今回の場合は、「Radical(ラジカル)」の略で、「RADSPEED」に採用した「ウェイト戦略」を示すが、それだけではない。

「RADSPEED」の名前自体は、「Rocketballz (ロケットボールズ)」や「Big Bertha(ビッグバーサ)」のように、記憶に残る楽しい響きを意識しているとも見える。ただ、これですべてかと聞かれればそうではない。

実際には、コブラの「RAD」は「Radius of Gyration」の略で「回転半径」を意味する。


何の半径?

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通常ならPGAショーの時期なので、オーランドへ行く予定だった人は、「Radius of Gyration」と聞いて「Rachel’s Men’s Club and Steakhouse」を思い浮かべるかもしれない。

今年は中止が決定し残念だが、ところで、「Radius of Gyration」を辞書で調べるとこのように出てくる。

回転半径:物体の回転軸を伴う同軸の円柱面の半径のことで、物体の質量全体がその表面に集中している場合、慣性モーメントと回転エネルギーは変化しない。

なるほど…

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誰にでも分かる「回転半径」

では、簡単に説明しよう。

ここでいう「回転半径」とは、実際に性能の向上に寄与するウェイト配置での、「シャフト軸から重心までの最大距離」と考えることができる。

つまり、重心からかなりの量のウェイトを押しのけることで、「RADSPEED」モデル間で明確な「パフォーマンスの違い」を生み出すことを目的としている。

確かに、この「回転半径」の考えは、エンジニアが何年にも渡り研究してきたことを実に“新しい言葉”で表したものだ。

ウェイトを周囲に移動させること自体は、まったくの新しい考え方ではない。その点で、「RADSPEED」は革新的モデルであると同時に、“低重心設計の先駆者”としてのコブラの立場をより強いものにするだろう。

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ピンが“後方重心、高MOI”メーカーだとすると、コブラは“低重心ブランド”だといえる。

これはコブラのすべてのドライバー設計哲学の中核であり、商品に忠実に反映されている。

少なくとも「FLY-Z」の頃から、コブラは「低重心」について語っている。「LTD」や「LTD Pro」では、低重心設計を未知の領域まで広げた。

目指すのは、やさしさとのバランスを取りながら、スピードを向上させスピン量を抑えること。

「FS 6」から「FS 9」、「SpeedZone」、そして現在の「RADSPEED」までの数年間の改良を経ても、コブラの設計哲学は変わっていない。それがコブラなのだ。

「RADSPEED」ラインナップでの最大の目的は、3つのパフォーマンスオプションを提供することだったのだが、「低重心設計(競合他社と比較して)」は今回も欠かせない要素だった。

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コブラ「RADSPEED」ドライバー:3モデルの共通点

新作3モデル「RADSPEED」、「RADSPEED XB」、「RADSPEED XD」の違いを説明する前に、全モデル共通する機能を簡単に見ていこう。


「T-BAR シャーシ」

「RADSPEED」ドライバーには、「SpeedZone」設計に不可欠だった「T-Bar シャーシ」(トランザムのT-top を想像してみて欲しい)の改良バージョンが搭載されている。

これは、前バージョンよりも7グラム軽くなっている。さらに、2ピース構造の「薄肉カーボンラップボディ」と「クラウンピース」も改良されたため、「SpeedZone」に比べてさらに6グラムの軽量化に成功した。

その節約した13グラムをどう活用したのかについても少し触れたいと思う。


「CNC ミルド・インフィニティフェース」

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「CNCミルドフェース」は、コブラドライバーを象徴する機能になった。これは、「RADSPEED」でももちろん健在だ。同社によると、ミーリング(削り出し)により、より正確な許容範囲が可能になるという。

最終的には、それがパーツ間の一貫性の向上にもつながる。これにより、CT(スピード)の信頼性が高まるだけでなく、ハンドポリッシュ(研磨)よりも実際のデザインスペックに近い「バルジ・ロール半径」(精度と打ち出し、スピンの一貫性に寄与する)が得られる。

※バルジ(フェースの水平方向の湾曲)、ロール(垂直方向の湾曲)

繰り返すが、「ポリッシュ(研磨)」とは「グラインド(研削)」とほぼ同じ表現だ。

更には、フェースミーリングのパターンも改良されている。見た目がかっこいいかどうかは議論の余地があるが、今回の変更は意図的なものだった。

微調整を加えたことで、スイートエリアの水分が流れやすくなり、水分管理により役立つようになったようだ。



「ラジアル・ウェイトパッド」

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コブラが行ったのは、3モデルの“ヘッド底部”に「固定ウェイトパッド」を搭載し、節約したウェイトを割り当てるというもの。

ウェイトの量と位置はモデルによって異なるが、いずれの場合もパッドは重心を低くするために設置されている。


新カラー配色

「SpeedBack」と「SpeedZone」の特徴だったブラック×イエローの配色が新しくなった。

新しいターボイエロー/ブラックの組み合わせは、従来のイエローを思い出させるが、よりネオンっぽい雰囲気がある。ナイキ「Volt」を彷彿とさせると思ったあなた、私も同意見だ。

色の価値は人それぞれだが、私には「ターボイエロー」や「アバランチホワイト」などはアクセントカラーだと思っている。

ブラック仕上げは、ドライバーモデルによって異なる。標準「RADSPEED」ドライバーはマットブラック、「RADXB」と「RADXD」はグロスブラックだ。

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「RADSPEED」の2つ目の配色はマットピーコート/アーセナルレッド。これは、限定版「US OPEN 4th of July SpeedZone」モデルを連想させる配色だ。

コブラがブルーを出したのは数世代前になるので、ラインナップに戻ってきてくれて非常に嬉しい。

因みに、私はネイビーブルーのピーコートシャツ(パンツやジャケットも)をたくさん持っているので、コーディネートに一役買ってくれそうだ。

それでは、「RADSPEED」の3モデルが、それぞれとのような特徴を持つのか見ていこう。


コブラ「RADSPEED」ドライバー

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しばらくコブラのドライバーに触れていなかった人に知ってもらいたいのは、標準「RADSPEED」は、かつては「プラス(Plus)モデル」と呼ばれていたものであるということ。

前方と後方に交換可能なウェイトが搭載されており、「RADSPEED」ラインナップの中で最も調整が可能なモデルだが、どのモデルであっても「RADSPEED」が2021年発売される商品の中でも“低スピン”を誇ることは間違いない。

前方には、2組の8グラム「ラジアル・ウェイトパッド」と交換可能な「フリップウェイト」が備わっている。

「RADSPEED」の注目すべき点は、工場の時点で重い方の12グラムウェイトを前方に取り付け、軽量の2グラムウェイトを後方に設置していることだ。

これにより、コブラがどれほど真剣に「RADSPEED」を“低スピンドライバー”として位置付けようとしているか分かるはずだ。

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コブラによると、他のすべての条件が同じであれば、「RADSPEED」は「SpeedZone」よりも300rpmスピンが少ないという。

8グラムのウェイトが後方に固定されているため、前方ウェイトをある程度相殺するが、重心を大幅に上げることなく、ある程度のやさしさを取り戻すことができる。


コブラ「RADSPEED」ドライバー 「弾道」と「やさしさ」

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物理法則は不変であり、ウェイトを反転したときに起こる法則は変わることがない。

前方のウェイト配置は、より速いスピードや、低スピン、フラットな弾道を生み出すはずだ。一方の後方ウェイト配置は、弾道がもう少し高く、わずかにスピンが増し、やさしさをもたらす。

後部に重いウェイトが搭載されているため、ボールの飛びはニュートラルなはずだ。前方ウェイトならわずかにフェードバイアスになる。

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「SpeedZone」と比較すると、両位置での重心はやや低/後部になる。「F6+」(打音はどれくらい悪かった?)と「LTD」でいうと、それらの間でもやや前方といえる。

もし、「ある程度のやさしさを保持しながら、低スピン」を求めるなら、「RADSPEED」はビンゴだ。

「RADSPEED」ドライバーのロフト角は9度と10.5度で、ホーゼルでさらに1.5度の調整が可能。

オリジナルの長さは45.5インチで、44.5インチの「Tour Length」はカスタムオーダーで入手可能だ。


コブラ「RADSPEED XB」ドライバー

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「RADSPEED XB」は、「SpeedZone Xtreme」の後継にあたる。「Xtreme」は最初の年こそスローだったが、時が経つにつれて、「今年のドライバー」候補に上がるまで話題になった。

要するに、コブラは基準を高く設定し、「RADSPEED XB」ではさらに高次元のレベルまで引き上げようとした。

「XB」は「Xtreme Back」(ウェイト)の略であり、コブラの中でもMOIが高いドライバーだ。とはいっても、ピン「G400MAX」や「PXG 0811XF」のような“超高MOI”でもない。

『低重心』はコブラのドライバー設計哲学の原動力であるため、同社のMOI値は競合他社ほど高くなることはない。

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実際、「RADSPEEDXB」のMOIは「SpeedZone Xtreme」よりもやや低い設定だ。ネガティブに聞こえるかもしれないが、ある程度(MOIが)低いのは低重心によって相殺される。

重心の深さとMOIは同じスケールでは動かないので、重心が1 mm低い場合、数百ポイント程度のMOIを犠牲にすべきかどうかという議論ならば、検討する価値がある。




コブラ「RADSPEED XB」ウェイト配置

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「RADSPEED XB」のラジアルウェイトは、前方に4グラムのウェイトを配置、後部に20グラムの固定ウェイトが付いているが、スイングウェイトを調節する6グラムのウェイトも付随する。

これらすべてによって、中立軸線の約1.5mm上に重心が設定され、MOI値は5400前後になる。

別の言い方をすれば、「RADSPEED XB」は3モデルの中で最も『やさしい』ドライバーになるというわけだ。

多くの人も述べているが、「RADSPEED XB」は、正真正銘「低スピン」と「やさしさ」の両方を実現する稀なドライバーであることにも言及しておかなければならない。

コブラのデータによると、「XB」のスピン量は「SpeedZone Xtreme」よりも約150rpm少なく、他のすべての要素と併せれば最大4ヤード飛距離が伸びるという。

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「RADSPEED XB」のロフト角は、9度、10.5度、12度が揃う。ホーゼルにより、さらに1.5度の調整が可能。オリジナルの長さは46インチだが、44.5インチの「Tour Length」はカスタムオーダーで入手可能だ。

「XB」モデルは、レディース用10.5度と12度も用意される。


コブラ「RADSPEED XD」ドライバー

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大手メーカーが主力ラインナップに3種類のモデルを揃えることは珍しくない。もはやエントリーレベルのモデルではなく、唯一モデルを区別するのは各々の性能にかかっている。

特にフィッティングを好むゴルファーには非常にメリットがあるといっても良い。

多くの主流ブランドは、スライス防止やドローバイアス専門のドライバーを揃え、幅広いゴルファーにアピールする。

ピンは「G410 SFT」、テーラーメイドとキャロウェイはそれぞれ「SIM」と「Mavrik Max」を発売した。

これまでのところ、タイトリストだけは頑固に“スライス防止組合”には参加しようとしないが、コブラも足並みを揃えようとするに違いない。

コブラには、すでに「F MAX」というドローバイアスのモデルがあるが、「RADSPEED XD」は、同社の主力ラインナップで初めてのドローバイアス専用だ(ただし、「F7」のウェイトがドローバイアス設定だったのは言うまでもないが)。

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コブラ「RADSPEED XD」のウェイト配置

「RADSPEED XB」と同様に、「RADSPEED XD」には前方に4グラムのペアのウェイトが固定されている。固定式後方ウェイトパッドは8グラム。

「XB」と同様に、スイングウェイト調整可能ポートには6グラムのウェイトが装備されている。

ウェイト構成で異なるのは、ヒールに固定した10グラムのウェイトパッドだ。これが、「XD」モデルだけに装備される「スライス補正機能」だということは、もうお分かりだろう。

コブラが行った消費者テストでは、「RADSPEED XD」が「F-MAX」と比較してさらに9ヤードの「ドロー」を提供することが分かった。

一方でピンの「G410SFT(まもなく「G425」になる)」とどう比較できるかは今後見ていきたい。私達は、これらがスライス補正カテゴリーでの“基準”だと考える。

そういう意味では、少なくとも、スライス防止モデルの話題に「RADSPEED XB」を持ち出すことももちろん可能だ。

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スライス補正+やさしさ?

よくドローバイアスドライバーは、標準(ニュートラルバイアス)ドライバーよりも「やさしい」と未だに誤解されることがある。ほとんどの場合、そうではない。

ドローバイアスにするには、ヒールにウェイトを移動する必要がある。ヒールはドライバーの後部よりも前方にあるため、ドローバイアスのドライバーではMOIの数値が低くなる。

究極にやさしいドライバー(高MOI)を得ることもできるし、究極にドローバイアス(スライス補正)を追求することもできるが、残念ながら両方は手に入らない。

繰り返しになるが…物理法則は不変なのだ。

かといって、全くやさしくないと言っているわけではない。「MOI」に関しては、「RADSPEED XD」は前側に重いウェイトがある「RADSPEED」と「RADSPEED XB」のちょうど間に位置している。

一般的なスライス補正ドライバーより低い重心にするとどうなるか…机上では、“深刻なスライス問題を抱えるゴルファーのための上級者向けクラブ”になってしまう。

「RADSPEED XD」のロフト角は、10.5度と12度。ホーゼルにより、さらに1.5度調整可能だ。オリジナルの長さは46インチ。

レディース向けも利用可能。


コブラ「RADSPEED」シャフト

コブラ「RADSPEED」のシャフトは以下の通り。

・高弾道/ミッドスピン:Project X 「EvenFlow Riptide Blue」

・中弾道/ミッドスピン:フジクラ「Motore F3」

・中弾道/ロースピン:ProjectX 「HZRDUS RDX Smoke」

・低弾道/ロースピン:フジクラ「Motore F1」

オプションは、ヘッドモデルやシャフトフレックスによって異なる。詳細は以下の通り。

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コブラ「RADSPEED」価格と販売予定

「RADSPEED」ドライバーの先行販売は、2021年1月15日から。その2週間後に、小売店での販売がスタートする。

価格は449ドル。449ドルがお手頃なのかどうかは分からないが、今回も他の競合他社の製品よりも50ドル安い価格をキープしているのは素晴らしい。

この価格は主流ブランドの中では最安値だが、「SpeedZone」ドライバーが349ドルまで値下がりしていることも伝えておきたい。

「RADSPEED」にはジュニアモデルもあり、価格は349ドル。

「RADSPEED」フェアウェイウッドとユーティリティー、アイアンも発売される。