コブラが、最新モデルの「King Forged Tec」シリーズを発表したのは少し前のこと。

その時、我々は、コブラが進化を続ける飛距離系カテゴリーで存在感を維持したいのなら、同モデルは絶対に必要だったと伝えたと思う。

今回発表された「T-RAIL ユーティリティーアイアンセット」は、そこまでの切迫感を感じさせるものではない。

これはコブラにとって、ユーティリティー型アイアンのカテゴリーをリードする契機となるべく、「僕たちができること、僕たちがやっていること」を示すクラブと言えるだろう。

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大型中空ボディの超初心者向けアイアンセットでこのカテゴリーに参入したのは、コブラが最初というわけではないことは分かっている。

皆さんがこのようなアイアンを、ユーティリティーアイアンと呼ぼうがアイアンタイプのウッドと呼ぼうが、こうした例は過去にもあるのだ。

10年前にはツアーエッジがバズーカで参入し、クリーブランドはランチャーHBを投入、PXGの0311 SGI GEN2もこの部類に十分に入るだろう。

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ユーティリティー市場における競合他社は、ほとんどのゴルファーに知られており信頼されているメーカーだ。

私が思うにコブラと競合他社の違いは、特徴を適正に調和させていることと、価格、そしてデザインにある。

そしてデザインにおいて、コブラは的を得ているし、他メーカーは苦戦しているように思える。

大手メーカー(キャロウェイ、テーラーメイド、タイトリスト、そしてピン)と他社の間にあるブランドとして、コブラは細かいことを気にせず、既成概念にとらわれないクラブ開発が可能と言えるのだ。

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T-RAILは同じで違う

コブラによれば、T-Railユーティリティーアイアンは「上達したい人」に向けたクラブという。

これだと私たち全員向けということになるので、もう少しターゲットを絞り込んで、初心者やシニア、そして寛容性を求めボールを上げることにやや苦戦している人に、ほぼ理想的なスペックとしておくと良いだろう。

コブラは基本的に、超初心者向け大型中空ボディアイアン部門において、競合他社と大きく差別化するようなことはしていない。

寛容性と打ち出しを簡単にすることを最大化させるには、ワイドソールと深重心が必要。そして他社同様、コブラもこれを実践している。そんな中、T-Railは他クラブと異なることが3つある。

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バフラーレール

コブラ独自のフェアウェイウッドとユーティリティーのテクノロジーであるバフラーレールにより、ややダフリ気味なショットにおいても、易しさが増すだけでなくクラブが簡単にターフを滑る。


 

デザイン別コンボセット

T-Railは、デザイン別コンボアイアンセットだ。と言っても、ショートアイアンがマッスルバッグになっているという訳ではなく、全番手とも中空ボディとなっている。

T-Railは、セットの一番大きな番手がユーティリティーという点でコンボセットなのだ。

ユーティリティーは、一般的に他の番手に比べてヘッドがディープで大きいため、ボールをより高く上げることが可能。

その点で、このアイアンセットのターゲットに、簡単にボールを上げたいゴルファーも含まれるということは相違ないが、他社がコブラと同様にしていないことにはやや違和感がある。


 

デザインを改良

美的感覚は本質として主観的なものだが、(カラーリングなど)ディスり覚悟で言うと、このカテゴリーにおけるコブラの競合は細かい部分をハズしている。

全てのゴルファーがユーティリティーアイアンのデザインを気にしているわけではないが、お店で並んだ時のイメージなど取るに足らないということはないし、こうした点がコブラの大きなアドバンテージになっていると言って良いだろう。

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コブラが、ここ数年ゴルフをシンプルにすることに尽力しそれを実現したニッチなブランドとなっていることは特筆すべきこと。

FMAXアイアンは、2019年の超初心者向けアイアン部門で「Most Wanted(一番欲しい)」となったし、F9 Speedbackの評価も悪くなかった。

ワンレングスアイアンは、シンプルという点で完全に成功したクラブと言えるだろう。

コブラには、明らかな方程式があるのだ。

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メタルウッドを含めたコブラの主軸製品が良くないという人はいないだろう。良いクラブだ。

実際、コブラのラインナップは強力だが、平均的ゴルファーの役に立つことにフォーカスしているクラブカテゴリーで特に人気がある。これは、今回のT-RAILにも引き継がれるだろう。

またT-RAILは、万人向けではない。もしあなたがプレーを改善したかったりゴルフを楽しみたいなら、T-RAILはほぼ確実に検討に値する。


 

スペック/価格/発売時期

ブラックとブルーのT-RAIL7本コンボセット(メンズ、カーボンシャフト装着モデル、899ドル)は4番ハイブリッド、5番~PWという組み合わせで左右モデルがラインナップ。

シャフトは50グラムのコブラULTRALITEカーボンシャフト(S、R、Lite)で、グリップはラムキンRELミッドサイズが装着されている。この他、カスタムで5番と6番のユーティリティーがラインナップしている。

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ブラックと薄紫色のT-RAILコンボセット(ウィメンズ、カーボンシャフト装着モデル、899ドル)は5番ハイブリッド、6番~PW、SWという組み合わせで、シャフトは50グラムのコブラULTRALITEカーボンシャフト(L)で、グリップはラムキンRELミッドサイズが装着されている。

またT-RAILアイアンは、メンズ、ウィメンズともに、97グラムのコブラULTRALITEスチールシャフトがカスタムオプションで装着できる。

興味深いのは、超初心者向けのワンレングスアイアンが他カテゴリーほど人気ではないものの、T-RAILにはワンレングスがラインナップしていない。

メンズ、ウィメンズともに、2019年11月1日から発売予定。