伝説の「カークランドシグネチャー」ボールが復活!

実際にはもうないことを除けば、見出しはこうなるだろう。

2ダースで30ドルだったこのボールは、全在庫がまたもや瞬時に完売。この辺りはコストコらしいが、今回は話が変わるかもしれない。

詳細は後で伝えるが、ボールが発売され(売り切れて、また販売されるだろう)カークランドパターも登場(本当の話だ)し、ウェッジもデビューする。業界は、「カークランドシグネチャー」狂騒曲に対応すべきだろう。

それでは新作ボールのテストと中身のチェックといきたいところだが、取り敢えず、すでに何度か聞かれている質問に答えることから始めたいと思う。

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前作ボールと同じなのか?

答えは全然違う。

その理由は、新作の「カークランドシグネチャー」は、別の国の別の工場で製造されている。

ディンプルパターンも違えば、カバーも異なる。刻印も新しいものだ。だいぶ違うボールであると断言できるだろう。

しかし、これは重要なポイントではあるが、箱に表示されている原産国(今回は韓国ではなく中国になった)が変わったことなど実際あまり気づかない。

少なくとも実際にボールを使うまでは分からないだろう。

結論から言うと、ニューボールは前作の性能には及ばないはずだ。ダース15ドルのボールとしては悪くない。

むしろ良い方だろうが、今回はティーショットからパッティングまで、ツアーレベルと言えるような出来にはなっていないということだ。

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そして、それは「カークランドシグネチャー」ボールの歴史を紐解くことで解明できる。

オリジナルの「カークランドシグネチャー」は、ボール市場における新参者だった。

価格はダース15ドルながら、薄いウレタンカバーの4ピースボールで、正にツアーレベルの構造を持ち性能もツアーレベルと言えるものだった。

この価格でこの設計は不可能だろうし、持続性がなかったのはご承知の通りだ。

「カークランドシグネチャー」については、ここ数年でいくつかの話(過剰生産や余ったコアで一杯の収納棚)を耳にした。

全てに共通していたのは、その伝説となった設計のほとんどか全てが、ナッソー(オリジナルの「カークランドシグネチャー」を製造していた韓国メーカー)によりコストコに売られる(あるいは少なくともリース)前はテーラーメイド用のものだったという話だ。

皆さんが知っている「カークランドシグネチャー」ボールは、今でもナッソークアトロとして欧州で手に入れることができるのだ。

では、なぜコストコは定着しないのだろうか。

特に大手ボールメーカーは、コストコがボール市場全体にとってマイナスとなるようなことをするのが気に入らなかったようだ。

従来のゴルフメーカーの考えが重要視されるのは、生産工場がない各メーカー(ウィルソンやVolvikなど)のボールの多くが、ナッソーやOEM数社によって製造されていることを知ると理解できる。

こうしたOEMは、テーラーメイドやキャロウェイなど他社の2ピース/アイオノマーボールの大部分も製造しており、Snell、Vice、Oncoreなど有名直販ブランドが出てくる前は、市場はこうしたボールがシェアの大部分を占めていたのだ。

早い話が、ナッソーは、長年に渡る信頼性のあるOEMビジネスを失うリスクよりも、コストコを見限るというビジネスとして賢い選択をしたということ。

これにより大手メーカーの望む形になる一方、コストコは廉価で販売できるボールを製造してくれる工場を新たに探す羽目になった。

想像はしていたが、これがオリジナルの4ピース「カークランドシグネチャー」が姿を消したカラクリだ。

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今回の新作ボールで確かなこと

今回のボールは何度か試打(そしてカット)することができるが、手元の資料からも十分にわかることがある。

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新作を生産しているのは、現在のカークランドの3ピースボールも製造している中国の工場だ。以前はファントムとして知られていたこの工場は売却され、現在は青島SMパーカーゴルフCoが運営している。

ボール業界の情報では、SMパーカーはその名の通り、倉庫管理業とロジスティックスなどを手掛けるSMグローバルと深い関係にある企業だ。

ここで重要なのが、コストコはSMグローバルにとって主要クライアントの一つであるということ。

SMグローバルはしばらくの間、USGAのルール適合ボールリストにおけるカークランドゴルフのボール製造業者として掲載されていた。

これは、コストコがSMグローバルとより親密になったということ。

小売の巨人であるコストコは、オリジナルの「カークランドシグネチャー」を製造していたナッソーにとっては優先顧客ではなかったが、今回はそういうことはなく、在庫の課題は軽減されると考える方が理にかなっているだろう。(コストコのウェブサイトには、ボールが10月15日に発売されると発表されている)

また、製造工場とUSGAに掲載されているスペックを理解することで、さらなる情報を知ることができる。

新作ボールのディンプルは、現在の3ピースボールと同じで338個ある。ちなみにオリジナルの4ピース「カークランドシグネチャー」は360個だった。

ここで知っておくべきことは、ディンプルパターンの設計はメチャクチャ難しいということ。

特別な空気力学の知識が必要なため、機能する設計が完成したら、製造業者はそれを何度も繰り返して使い回す傾向にある。

カバーのデザインは各製造業者特有なため、そのボールがどの業者によって生産されたかを知るにはディンプル数が重要な手掛かりとなるのだ。

つまり、「カークランドシグネチャー」の3ピースボールと4ピースボールのカバーは、全く同じと考えた方が確かだろう。

そして、もしそうなら新作に、前作と同様の性能を期待している人にとっては大きな問題となる。

理由はこうだ。

コストコが使用しているカバーは厚い(3ピースボールの画像で確認できる)。

厚いと必ず硬くなるわけで、新作ボールのカバーを、オリジナルのナッソーボールで採用されたキャストウレタンカバーと同じような柔らかさにすることは不可能だからだ。(ナッソーは、薄いウレタンカバーの製造に強みがある)

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それと比べて、SMパーカーは射出成形技術を採用しており、これによりソフトで薄いカバーを製造することは可能だが、市場にあるその他の同社製ウレタンボールはこの技術が用いられていない。

我々のボールテストで判明したように、カークランドの3ピースボールは、中間層に影響を及ぼすのに十分なヘッドスピードがあれば、フルスイング時のスピン量が多くなる。

しかしグリーンに近づくにつれて、スピンはカバーの柔らかさが影響する。もっと正確に言えば、スピンはカバーと外層の硬さの差によって変化する。

グリーン周りでは、硬い外層を包む硬いカバーでは、ソフトで薄いカバーほどスピンはかからない。

これは私見ではなく。硬いカバーに作用するスピンの物理的特性だ。また一般的に、厚いウレタンカバーは薄いものよりも耐久性がない。

さらに付け加えると、現行の3ピースボールは特に風に弱い。

的確に伝えるとするなら、弾道がやや不安定になり予測がつかない。今回のカバーが前作と同じだとすると、4ピースも同様の結果になるだろう。


 

期待できること

新作に警戒心があるバイヤーは多いだろうが、今回の「カークランドシグネチャー」が悪いボールだとは思っていない。

SMパーカー(元ファントム)は、評判の高いボール製造業者の一つ。3ピースの評価が「良」なら、4ピースも同様だと思う。

しかし、ティーヨットからグリーンまで完璧なパフォーマンスをボールに求めている上級者ゴルファーは、「非常に良い」「素晴らしい」と評価したボールだけを使うはず。

となると、このボールが彼らのお眼鏡に適うことはないだろう。

とは言え、誰もがボール1ダースに50ドルも費やすとは思えないし、20ドルでも買わないこともある。

そう考えると、コストコがこの4層ウレタンボールをダース15ドルくらいで販売する可能性はあるだろう。

これまでコスパが悪いボールを手にしてきたかも知れないが、このボールはお値打ちではあるだろう。


 

シグネチャーパターとウェッジも登場

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今秋のカークランドゴルフはボールだけじゃない。コストコによる4ピースボールの画像のよく見ると、「カークランドシグネチャー」パターがチラ見えしていることが分かる。

コストコ内部の情報によると、価格は149.99ドルで、「スコッティキャメロン・ニューポートのような」なパターだという。

またカークランドのウェッジもラインナップの予定で、価格は2本(3本の可能性もある)で99ドルとのこと。ボーケイウェッジに似たものらしい。

タイトリストからインスピレーションを得たということは、オリジナルの「カークランドシグネチャー」4ピースボールを巡って訴訟を起こしたタイトリストに対する当てつけにも見える。

あるいは、ボーケイもキャメロンパターもそれぞれのカテゴリーでトップに君臨しているだけに、参考にするのは当たり前なのかも知れない。

どちらにしても、コストコのラインナップにウェッジとパターが加わったことは、同社が、従来のゴルフ市場における大手メーカーによる止めどない価格上昇に嫌気がさしている価格重視ゴルファーにリーチできると踏んでいることの表れだ。

まぁまぁ良ければ十分ということもある。

コストコのゴルフ用品ラインナップの詳細が分かり次第お伝えする。


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