「ER11 VX」と「ZERO」は2022年イーブンロールの新モデルだ。

しかし、イーブンロールの場合、新しい設計についての話はせいぜい全体の半分に過ぎない。イーブンロールパター全種の基盤となる独自の放物線状の溝『スイートフェイステクノロジー』が、他社との差別化を決定的なものにしている。

もしもクラブにおいて性能を最も重要だとするならば、イーブンロールはいまだ伝説的な存在であると示唆する証拠は山ほどある。


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一部の批評家は、パターの溝が「距離」および「方向の調整」に役立つという概念を理解できないようだ。だが、パッティング解析の「Quintic(クインティック)」および総合的なプレーヤーテストのデータが、まさにその通りであることを示唆している。

この話はまた別の日に改めてしよう。


イーブンロール「ER11 VX」

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イーブンロールは2021年初頭に「ER11 V」を発表した。お察しの通り「ER11 VX」はその後継となる。視覚的には「ER VX」の全体像はピンの「KETSCH(ケッチ)」を彷彿とさせるものだ。

ただし、重量配分や形状は、テーラーメイドの「SPIDER(スパイダー)」やオデッセイ「TEN(テン)」といった人気の高いウイングマレットタイプに近い。

「ER11 VX」では突起した形状ではなく2つの交換可能な『ペリメーター・ウエイト』を搭載している。ちなみに、重量はわずかに増しており、その分形状にも若干の変化が見られる。

そしてここで「X」の登場。初代の「ER11」が確固たる「MOI(慣性モーメント)」を有しているとするならば、「ER11 VX」は“究極のMOI”という領域に突入しようとしている。私自身は大袈裟な誇大広告に踊らされはしないし、どちらかというと徹底的に避けたい方だ。

とはいえ、特定の機能や利点を正確に表現することは重要だと思っている。今回について言えば、後方のヒール/トゥに位置する調整可能な「303ステンレススチール」の『可変ウエイト』は、「ER11」よりも重くなっている。

これらはより大きな「MOI」とヒール/トゥの「安定性」の向上に役立つ。とにかく、究極でも常識外れでも好きなように表現すればいいが、笑っちゃうくらいたっぷりあると言えば十分だろう。


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重量特性については、「ER11」も「ER11 VX」も基本的な意図は同じ、低深重心により「MOI(寛容性)」を高めること。そのために、ボディ素材は軽量な航空機グレードの「6061アルミニウム」を使用している。

ここで言う「寛容性」とは、つまりゴルファーがより安定性の高いパッティングストロークを得られるということだ。そして理論上、より安定性の高いパターが導き出すのは、フェースパスの偏差を減らすこと。

また、ほとんどのアマチュアゴルファーは狙ったライン上にパットを転がすことができないでいる。それは主に、インパクトでフェースをスクエア(真っ直ぐ)に戻すのに苦労しているからだ。

イーブンロールは新しいVシリーズのネック形状(インラインショートスラント)と高いMOI、修正テープとほぼ同じ幅のフルレングスアライメントエイドが連動して、“パッティングで最も一般的なミスである引っかけを事実上なくす”と断言している。

いつも通り、最終的な評価は『Most Wantedランキング』の結果を待つこととしよう。


イーブンロール「ZERO」

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イーブンロール「ZERO」の見た目が好きかどうかは、おそらく見た瞬間に判断できたはずだ。第一印象を決めるにはそれだけあれば十分。そしてその一瞬で、「ZERO」がトルクやバランスに特化している可能性に気づいたはずだ。

様々なパターブランドが、低トルク、トルクバランス、パーフェクトバランス、トルクフリー等々といった表現をしている。これらの形容詞はすべて、言うなれば回転しないように設計されたパターの恩恵を受けるゴルファーがいるという前提に基づいている。

具体的には、パターの特性により、ストローク中の不要なフェースローテーションを排除する。

例えば、負けるわけにはいかないお金のかかった10フィート(3m)のパッティングに臨むとしよう。そして、ラインを正しく読み、最適なラインを選択できたと仮定する。あとはカップに届かせるのに十分な力と、インパクト時にフェースをその方向に向けられるかどうか。

イーブンロール「ZERO」のコンセプトは、これを阻むあらゆる要因を排除することにある。





イーブンロール「ZERO」詳細

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「ZERO」の第一の特徴は、イーブンロールが『フェイスフォワードテクノロジー』と呼ぶものだ。これは、シャフトをヘッドの幾何学的な重心位置(あるいはその周辺)に挿すことによる。

結果として、フェースはシャフト前方に位置し、ターゲットラインをほぼ“見下ろす”ことになる。無理矢理“ゼロ”という言葉を使うなら、アドレス時に曖昧さゼロの状態でボールを見ることができる、となるだろうか?わかってもらえるといいのだが。

視覚的に最もわかりやすい“ゼロ”はパターの真ん中にある白い線で描かれたものだ。ブラックアルマイトのボディは「6061アルミニウム」から削り出され、フェースに垂直に走る白いアライメントエイドの両端に繋がる白い円によってオフセットされている。「ZERO」に開いた穴の目的は2つ。

まず、パターの中心から重さを取り去ること。これによりイーブンロールは四隅にそれぞれ30gのウエイトを配置した。次に、「ER11 VX」と同じく、ゴルフボールを拾い上げるのにちょうどいいサイズであること。せっかくパターの真ん中に穴を開けるなら、機能的にしたほうがいいというものだろう。

最後に、イーブンロール「ZERO」には、シャフトの0.5インチ下のグリップに挿入された70gのスチールロッドを利用した特許取得済みの「GRAVITY GRIP(グラビティグリップ)」が搭載されている。

イーブンロールによると、「グラビティグリップ」はゴルファーの手とパターヘッドを結びつけ、正確なフェースコントロールを可能にするという。


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女性ゴルファーに朗報

やり過ぎることなく特定の層に対応するにはどうすべきなのだろうか。ジュニアゴルファーやそれぞれの腕前に応じたクラブとなると容易に対応可能だが、これが“女性用”となると少々趣旨が変わってくる。正解を知っているとうそぶくつもりはない。

もし正解があると仮定しての話だが。“小型化してピンク色に塗っておけばいい”という方向に行くことなく、適度な女性らしさのバランスを保ったゴルフ用品市場が存在することは確かだ。

そこで2022年、イーブンロールは「カスタムアクアブルーペイントフィル」と「TourTac」グリップ、ヘッドカバーを備えた「ER2」ブレードと「ER5」マレットパターをリリースすることになった。両モデルとも、長さは32インチと33インチが用意される。


左利きゴルファーにも朗報

わかってる…我々も絶え間なく不満を聞き続けているのだ。ことクラブのリリースに関して、左利きのゴルファーは貧乏くじを引かされやすい、というか引けるくじそのものがない。

もちろん理由はいくつもある。にもかかわらず、イーブンロールは左利き用の「ER2B」ブレードと「ER5B」マレットパターを用意するという。しかも“全部真っ黒”なブラック仕様にブラックシャフト、ヘッドカバーもブラックだ。


最後に

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イーブンロール「ZERO」については賛否が分かれるだろう。しかし究極的には、それこそがこのようなパターを市場に送り出す目的のひとつなのだ。実証済の設計に固執して冒険をしないパターメーカーには大いに不満だ。安全策なのはわかるが“安全”が革新的であった試しはない。

もしも消費者が本当に良いクラブを求めるなら、それが型破りな考え方や設計の結果だとしても受け入れなければならない。そう考えると、「ZERO」はなによりもまず大量生産されるパターであるのだ。

しかしこれはまた、ゲーリン・ライフ(イーブンロール創始者)が、性能上の利点を引き出すためなら設計上のリスクをとり続けることを示す指標にもなっている。

2021年の新作である「ER11 V」は、小さめでハーフキャビティの兄弟パター「ER8」ほどランキングの成績は振るわなかった。本年、さらなる安定性とクレストホワイトのサイトラインによって性能の向上が見られるかどうか、期待しようではないか。


価格・発売時期

全モデル、3月中旬より順次発売予定。「ZERO」は449ドル。TourTacグリップ装着の「ER11 VX」は429ドル。女性用モデル「ER2」は359ドル、「ER5」は379ドル。左利き用モデルは399ドル(ER2)と379ドル(ER5)。