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「黒い」代理戦争 ~テーラーメイド P790 BLACK アイアン~

BY JOHN BARBA

July 05, 2018

テーラーメイドがこの「黒いトレンド」に乗らないはずがない。係争中のPXGの製品にほんの少しでも差をつけられるとしたら、なおさらだ。

ローリング・ストーンズには「Paint It Black(黒く塗れ!)」という憂鬱な曲があるが、ゴルフ業界ではライフサイクルの成熟期にさしかかった製品に新しい風を吹き込もうと、アイアンを「黒く塗る」動きが見られる。 キャロウェイ、PXG、ベンホーガンをはじめ、現行品のブラックバージョンを発売しているメーカーはいくつもある。コブラは、最初からKINGフォージドTECアイアンとKing Proアイアンのメインカラーとしてブラックを採用している。 テーラーメイドがこの波に乗らないはずがない。係争中のPXGの製品にほんの少しでも差をつけられるとしたら、なおさらだ。  

アイアンの「ダークサイド」

PXGとの裁判沙汰でデビュー前から話題になったテーラーメイドP790アイアンだが、ついにブラックモデルが登場した。 ブラックPVD処理を施したグロス仕上げのヘッドにオールブラックのTrue Temper DG 105シャフトを組み合わせている。どこをとってもオールブラックのこのモデルは、テーラーメイド曰く「刺激的かつ圧倒的」だという。 P790の特徴であるSpeedFoam(ヘッド内の充填材)についてはここで説明するまでもないと思うが、テーラーメイドはパフォーマンスを高める色として、完全に「ブラックトレンド」に乗ることになった。 「私達がP790に表現したのは、ゴルファーが果敢にコースに挑むためのアグレッシブさを促すルックスや打感だ。そしてこの新しいデザインによってP790の本当の性能を引き出すことに成功した。」テーラーメイド商品開発ディレクターのトモ・バイステット氏はプレスリリースの中でそう語っている。 その大胆さと自信は価格にも表れている。通常のP790は控えめの1,299.99ドルだが、自信を持って「ブラック市場」に侵入するP790ブラックは300ドル高い1,599.99ドルだ。  

それぞれの「黒い」アイアン

「仕上げ」に関して言えば、どこまでも「ブラック」だ。仕上げの耐久性が気になるところだが、テーラーメイドはPVD処理によってローコストで仕上げた。 摩耗試験において、ブラック仕上げでは約100~300回でプラスチックが剥がれ始めるか、摩耗し始めることが分かっている。コブラやベンホーガンが使用するダイアモンド・ブラック・メタルは、スチール部分にまで浸透するので耐久性に優れ、4,800回以上の摩耗試験に耐えるという。 スチール全体に比較的薄くコーティングできるPVDは、摩耗試験では700回までもつと言われている。これが最も安価にブラックに仕上げる方法なのだが、この仕上げによって「テーラーメイドはP790をPXG Lightと同じジャンルに位置付けている」と思われている。 念のために、キャロウェイはRogue Pro BlackアイアンにPVDを使用しているが、PXGは自社のブラックモデルにDLCというダイヤモンドに似たカーボンを使用している。 テーラーメイドはP790を比較的新しいカテゴリーである「上級者向けのディスタンス系アイアン」でNO.1だと主張しており、必ずしも初級者・中級者向けアイアンのようなルックスや打感ではないという。このカテゴリーには、ピンG700、キャロウェイRogue Pro、タイトリストAP3、ウィルソンC300などがある。 アイアン全体で見れば、テーラーメイドはキャロウェイに次ぐ二番手に甘んじている。  

価格と販売状況

先に述べたように、P790 ブラックの小売価格は、1,599.99ドルだ。オールブラックのTrue Temper DG 105シャフトに、ブラックとオレンジの配色のゴルフプライドTour Velvetグリップが標準装備され、本日よりテーラーメイドのホームページで販売が開始される。 確かに「Paint It Black (黒く塗れ!)」は流行からメーカーのトレンドへとシフトしつつあるようだが、実際にはデビュー2年目のアイアンに新しい風を吹き込むためのテクニックであり、それには必ず戦略的な価格上昇が伴う。実に巧妙なトリックだが、マーケットに新商品が溢れるよりはずっといいだろう。   ちょっと待ってほしい。 ブラックアイアンにレッドパターとくれば、まるでタイガー・ウッズの最終日のコーディネートじゃないか!   さて、P790ブラックについてあなたはどう思うだろうか?

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著者情報

JOHN BARBA

ゴルフジャーナリスト
ゴルフ、ゴルフトラベル、そしてゴルフ文化を長年取材してきたジャーナリスト。
ニューハンプシャー州を拠点に活動し、現在も熱心なゴルファーとしてプレーを続けている。競技ゴルフだけでなく、コースの歴史や旅先で出会うゴルフの魅力、人々のストーリーに強い関心を持つ。
特にクラシックなゴルフ用品や伝統的なゴルフカルチャーへの造詣が深く、最新ギアから名器まで幅広い視点でゴルフを語ることができるのが持ち味だ。
ジョンにとってゴルフはスコアだけを競うものではない。人との出会い、旅、そして人生を楽しむための存在でもある。
「ゴルファーに本当に必要なのは、もっと長い日照時間だ。」
― ベン・ホーガン

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