ミズノがパターを発表!!

今日の発表に驚いた方は多いはずだ。そう思うのには、二つの理由がある。まず、皆さんの中には若い人も多く、ミズノパターの前作を知らないほどゴルフ歴が浅いということだ。

実際のところ、ミズノには素晴らしいパターを生み出してきた長い歴史があり、パタービジネスの超有名人たちとコラボしたこともある。TPミルズ、ベティナルディ、さらにはスコッティ・キャメロンですら、一度はミズノブランドでパターを製造したことがあるのだ。

そうしたパターは、単にミズノの名前がついているギアではない。素晴らしいパターだ。eBayで「Mizuno Putters」を検索すると、ミズノの昔のパターが見つかるはず。

パターコレクターたちは、未だにこうした知る人ぞ知るクラシック品を高く評価しており、それに相応しい値付けもされている。

私も2ヶ月に一回くらいは、コンディションの良いミズノ・ベティナルディ「BLCK CARBON BC4」を検索しているところだ。


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ミズノがこれまでパターを製造したことがないと感じてしまう二つ目の理由は、最近のミズノパターは米国外でしか手に入らないということ。とても残念なことだ。

何せ、ミズノのパターの中には傑出したものがある。私は、これまでにも欧州市場の「MP Aシリーズ」と「LINE 90」パターを紹介するために最善を尽くしたこともあった。

このパターには有名デザイナーの名前はつけられていなかったが、素晴らしいギアだったと言える。また「MP A302」を、史上最高のワイドボディブレードパターの一つと評価しない人がいるなら、とんでもないことだ。

素晴らしいパターは裏腹に、米国での流通経路が乏しかったことが、そうした事実がほとんどベールに包まれたままだった理由だ。



ミズノM•CRAFTパタースペック

・モデル:3種(1、2、3)

・素材:鍛造1025カーボンスチール

・仕上げ:3つ

・構造:100%ミルド

・長さ:34インチ

・ライ角:70度

・ロフト角:4度

・グリップ:ラムキンDeep Etched Full BLUEコード

・価格:299.95ドル

・左利き用:なし

・発売日:1月21日プレセール、2月24日発売


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M•CRAFTはミズノの職人技を指す

職人技。ミズノが「M•Craft」パターでゴルファーに伝えたいことは、この言葉に尽きるだろう。知名度があれば、有利に展開できるというもの。

確かにMyGolfSpyで行った消費者調査を見ると、毎回、ミズノを連想するものとして、ゴルファーがどの指標よりも品質を挙げていることがわかる。

私はミズノの考え方を大筋で分かっている一方、ここで高評価を与えることには(ユーザーに対する)それ相応の責任が伴うということも理解しているつもりだ。

ゴルフ用品界では、業界の巨人が、決して良いとは言えない製品を数回リリースした後にスーパーで販売されるようなブランドに成り下がることが繰り返されている。

ゴルフ業界は、情けとは無縁の世界。あっという間に蚊帳の外だ。

だからこそ、ミズノは、今回のニュー「M•Craft」パターには同社の伝統的な職人技が継承されているとぶち上げているのだ。

では、みなさんもそう思うかチェックしていくとしよう。


ミルド1025カーボンスチールを採用

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今回の「M•Craft」パターは、ミズノが鍛造アイアンで使っているものと同じ「鍛造1025カーボンスチール」を採用している。

ミズノといえば“鍛造技術”というわけで、パターをアイアンと結びつけるのはさすがと言えるだろう。

また、一般的なステンレススチールではなくカーボンスチール製にしているのも賢いところ。

今回のモデルにはメジャーなパターブランドの名前がついていないので、何か他のパターよりも際立つものが必要というわけだ。

ミズノ2パターがあれば、きっとそれはスコッティ・キャメロンの「ニューポート2」よりもソフトなインパクトを実現するはず。打感の違いは、ユーザーに対する魅力にもなる。


3モデルそれぞれに3つの仕上げ

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今回の「M•Craft」は3モデルのみの展開だが、それぞれ3つの仕上げをラインナップしている。これで選択肢は9つ。

「ブラックイオン」と「サテンフィニッシュ」が売れ筋となるだろうが、「ブルーイオン」も店頭で目を引くはずだ。パターのカラーリングでここまでアガったのは、キャロウェイの「ツアーブルー」以来だろう。

各モデルに注目すると、それぞれクラシカルで伝統的な形状となっている。

種類は多くないが、各モデルともに全てのストロークタイプに対応しており、#1はストロングアーク、#2はスライトアーク、#3はフェースバランスで真っ直ぐ引いて真っ直ぐ打ち出すゴルファーに合うだろう。


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M•シリーズのパターがMPシリーズ「A」のような多様性がないことはちょっと残念だが、ミズノの今回のリリースは理にかなっていると思う。

ミズノのパターがお店にあることだけでも驚くのに、何種類の中から選ぶのは物事を複雑にするだけだからだ。

ストロークタイプで選ぶ。好きな色で選ぶ。これだけで十分だ。


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購入層は?

ミズノが米国市場にパターを再投入すると決めた時に、この疑問が最大の論点になったことは間違いないだろう。

前回は、販売不振(そして使用したスターがいないということ)がミズノのパター市場における立ち位置に影響を与えていたように思う。

ビジネス視点でいえば、良いパターとは、人気があってこそ良いパターと言える。では、このパターは誰が買うのだろうか?

明らかにレフティは買わないだろう。辛辣なのは申し訳ないが、右利き用しかないと分かったら遺伝的に購入を諦める人もいるからだ。

これはマーケットシェアの問題。シェアがないのに直ぐに左利き用を大量投入することは、慎重に進めていきたいという販売戦略にはマッチしていない。

販売が好調になれば、レフティーモデルがいずれ出てくることもあるだろう。

しかし真面目な話、ターゲットはどこなのだろうか?見込み客として考えられるのは、300ドルのパターでこれを言うのは馬鹿げているが、価格に敏感な層だろう。

どうしてもと言うなら批判すれば良いが、財布の紐は堅いのにトゥーロンやキャメロン、あるいはベティナルディに興味を持つゴルファーに対して、100%ミルドのパターを競合よりも100ドル(あるいはそれ以上)安い価格設定にしたのは賢明な判断だと言える。


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価格に影響を与えることで、上記で伝えていなかったことがある。ミズノの「M•Craft」パターにはウェイトキットが付属しているのだ。

これによりヘッドの重量を可変できるし、ストロークの速度を変えることも可能。調整機能はフィッティングする上でとても有益だ。

特に追加料金を払う必要がないならよりメリットがある。他社のウェイトキットは、25ドルから50ドル以上の追加となる場合もあるのだ。

最後にターゲットとなる層で最大となりそうなのはミズノの支持者だろう。

私たちの「Most Wanted」のテストでは、みんながそれぞれのブランドを確立することを目指すべきとしているが、一方で他のブランドよりも特定のブランドを理由なく好むことも理解している。

過去にミズノのアイアンを使ったことがあったり、今現在ミズノのアイアンを使用していたり、将来ミズノのアイアンを購入する可能性があるかと質問してみたら、多くの人が手を挙げるだろう。

ブランド信仰とはそういうこと。今回のパターがミズノというだけで購入する人もいるだろうが、とは言え、ミズノの基準を満たしていなければ、ミズノ愛好家が離れていくリスクもあるのだ。


ミズノはアイアンだけじゃない

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今回の「M•Craft」パターは、ミズノが単なるアイアンだけのメーカーでないことを裏付ける可能性がある。

ここ数年のミズノに注目している人なら、ミズノがアイアン以外で素晴らしいギアをリリースしていることは知っているはずだ。

ウェッジはまさにそうだし、ウッドも当然ながら「添え物」ということはない。

昨年、「TruegolfFit」で「ST190」ドライバーを勧められても特に驚きはなかった。ミズノは、どのカテゴリーでも「本物」のクラブを製造しているのだ。

一方で、ミズノが高品質のゴルフギアを製造しているのは皆さんも認めているだろうし、ミズノが最高級の品質に対する評価に誇りを持っていることは確かだが、そうした評価は毎年の積み重ねで得られるものであることも理解しているはずだ。

そう考えると、久々のアメリカでのパター発売にリスクがないと言うわけではない。

ユーザーのイメージはなかなか変わらないし、多くの人が、ミズノをアイアンだけのメーカーではないとなかなか受け入れられないでいる。もし今回のパターがイマイチだったら…。

とはいえ、リスクには見返りもある。「あの青いパターって何?」というシンプルな疑問には、ミズノのイメージを大きく打ち破る可能性がある。


価格と発売時期

ミズノの「M•Craft」パターの価格は299.99ドル。店頭には2020年2月14日から並ぶ予定だ。