ゴルフをするなら、ボールが必要だ。

一旦立ち止まって、この素晴らしい「真理」をじっくり味わってみよう。

ニーズがあるところには必ず多くのメーカーがいて、そのニーズを満たすために機械を使って製品を作り、マーケター集団が「この製品を使わない手はない」と消費者を説得し、営業部隊が消費者に購入を促す。これもまた真理だ。

PGA Tour SuperStoreのウェブサイトにアクセスすると、バラエティーに富んだ321種類ものボール製品が揃っている。

単なる「カラバリ」の場合もあるが、ここにはSnellやVice、CutなどのD2C(消費者直販型)ブランドや、ゴルフボール界の革命児であるKirkland Signature(コストコのプライベートブランド)は含まれていない。

消費者にとっては、製品の選択肢は少ないくらいがちょうどいい。選択肢が多いと、消費者はトップブランド(例えばProV1)を盲目的に選ぶか、今まで使ってきたものをまた選ぶ(つまり現状維持)ことになる。

したがって市場シェアが一晩でひっくり返ることはなく、消費者の購買習慣を変えるのにも長い時間(と多くの場合高いコスト)がかかることになる。

このような背景を確認した上で、この記事で検討する問題は「ツアーレベルのボールはこれ以上必要か?」というシンプルなものだ。

ミズノは、「必要である」と考えているようだ。

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鍛造ウレタン?

ミズノのゴルフブランドマネージャーを務めるクリス・ヴォシャル氏は、「私たちは独自の、これまでとまったく異なるストーリーを持つ製品ができるまで待っていて、それまで発表しないということが重要なポイントだった」と我々に語った。

そして生まれたのが、北米市場に新しく登場したミズノの2つのゴルフボール、RB TourとRB Tour Xだ。あらかじめ言っておくが、これらは「グレインフローフォージド製法」で作られたものではない。

北米では知らない人もいるかもしれないが、ミズノがゴルフボールを手がけるのはこれが初めてではない。日本では15年以上にわたって、そして最近ではヨーロッパでも、ゴルフボールの設計と販売を行っている。

しかしミズノの北米市場への参入は、ナイキの撤退の結果と言っても過言ではない。

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ヴォシャル氏は語る。「これらのボールを作っているのは、台湾の豊泰だ。この会社は優れたウレタンボールを製造するノウハウを持ち、過去にはナイキのプレミアムボールをすべて生産していた」

だからと言って、「古いナイキのボールにミズノの名前を付けて再販するだけか」と思ってこの記事を読むのをここでやめないでもらいたい。

「私たちは豊泰の金型製作技術と生産能力に、ミズノの研究開発能力を組み合わせようと考えた。これらはすべて、素材に関する豊泰のノウハウを活用してミズノが開発したものだ」

こうしてミズノはようやくプレミアムボールを扱うことになったのだが、RB Tourはどんな特徴を持っているのだろうか。

もちろん、コーンディンプル(円錐台形ディンプル構造)だ。

 

空気抵抗について

ゴルフボールの基礎的な話をすると、ボールにディンプルがあるのは空気抵抗を減らすためで、これによってボールは空気を切り裂くように飛び、飛んでいる間の減速を遅れさせることができる。

揚力、あるいはボールがどれほど高く飛べるかを決めるのもディンプルだ。ディンプルが浅いほど高く、深いほど低く飛ぶ。

空気抵抗と揚力の間には大きな相関関係があり、そこに適切なバランスを見つけることが、飛距離を決める要素の一つなのだ。

RB Tour/RB Tour X用に、ミズノは独自のディンプル形状を開発した。コーンディンプル(またはCディンプル)と呼ばれ、必要な揚力を維持しながら空気抵抗を最小化するものだ。

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「私たちはさまざまなディンプルを作り、実験を行った。空気抵抗と揚力は密接に関係しているので、『空気抵抗を最小化しつつ、極めて高い揚力を維持している』というのは嘘だ」

コーンディンプルそのものは、先端を切り取ったピラミッドを逆さにしたような形をしている。従来の底が丸いディンプルと比べると、コーンディンプルの底は急に平らになっている。

このような鋭角は、空気の流れに剥離を発生させ、さらなる気流を発生させるトリガー(きっかけ)を新たに作る。

気流が速いほど空気抵抗が低減されるため、ボールの減速を遅らせることができる。ボール速度を維持できる時間が長くなれば、当然滞空時間も長くなる。

「どうすれば実際の揚力になるべく影響を与えずに、空気抵抗を最小化できるかが課題だった。さまざまなスピードやスピン量を試した結果、コーンディンプルを持つボールの空気抵抗の減少は、揚力の減少よりも若干大きいことが分かった」とヴォシャル氏は言う。

簡単に言えば、「ボールスピードをより長い間維持できることで、高い飛距離性能と、より低く力強い弾道を実現できるボール」ということだ。

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飛距離は伸びる?

ではこのボールをティーから打つと、飛距離は大きく伸びるのだろうか。

「ドライバーでは、飛距離に大きな変化は出ない。それは、スピン量が比較的少ないからだ。私たちが目指したのは弾道を低くすることだったが、そうすると必然的にピークの位置も低くなるため、飛距離の面ではプラスマイナスゼロということになる」ヴォシャル氏は、驚くほど率直に答えた。

実際、ミズノが主な他社製品(ProV1、ChromeSoft、Tour B、Srixonなど)との比較テストや3Dシミュレーションを実施した結果、弾道は低いながらも飛距離はほぼ同じだった。

ミズノによると、初速は他社製品と同程度だが、ピーク時および下降時においてはRB Tourのほうがスピードが速かった。実際にパフォーマンスに差が出るのは、アイアン(特にミッドアイアンとロングアイアン)を使った場合だという。

「アイアンはドライバーよりも真っ直ぐな弾道を描くため、空気抵抗が低減されて飛距離が伸びる傾向がある。テストでは空気抵抗が低減されて、ボールスピードと飛距離が若干向上していた。空気抵抗の低減は、スピン量が多くなるほど影響が大きくなるからだ」

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ITR Launcherテスト(R&AとUSGAも同じテスト方法とテスト設備を使用)を実施した結果、ミズノのRB Tourボールは他社製品と比べてスピン量が多く、これによって飛距離もやや伸びることが確認されている。

「プレミアムボールに関わり始めると話が非常に細かくなってくるが、私たちが強調したいのはコーンディンプルによるトリガーで今まで以上の剥離を発生させ、さらなる気流を発生させることで目に見える違いが生まれるということだ」

何度も書いてきたことだが、その価値は何度繰り返しても損なわれるものではない。

ゴルフ用品メーカーは社内テストの結果を公表するものだが、そのメーカーの製品の性能が他社製品の性能を上回らないテスト結果は、これまで見たことがない。

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事実、そして数値と価格

RB TourとRB Tour Xはほぼ同じボールで、唯一の違いはコンプレッションだ。

どちらも同じディンプルパターンとコーンディンプルであり、ウレタンカバーを用いた同じ4ピース構造、アイオノマーのマントル層、そして層別に異なる硬さのブタジエンゴムで作られたデュアルコア構造だ。

比較するとRB Tourのほうが柔らかく、コンプレッションは93、一方RB Tour Xのコンプレッションは110である。

標準モデルとXモデルの両方を提供しているメーカーのほとんどは、同じコンプレッションのレシピを使用している。

簡単に言うと、コンプレッションが大きいほどボールスピードが速く、コンプレッションが小さければドライバーのスピン量が少なくなる。

ヴォシャル氏にお勧めを聞くと、「もしあなたが低スピンのゴルファーで、入射角がプラスであり、スピン量が増えても問題ない場合は間違いなくXを勧める」と答えた。

「コンプレッションが高いので、ボールスピードが上がる。吹け上がりを抑えたい、あるいは元々スピン量が多く、これ以上スピン量が増えると飛距離が短くなってしまう場合は、RB Tourのほうが向いている。コンプレッションが低いとボールスピードは落ちるが、その分ドライバーのスピン量を抑えられる」

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外観の話をすると、RB Tourにはブラック、RB Tour Xにはミズノブルーのナンバーとロゴがプリントされている。

ミズノはPGAショーでRB Tour Xを発表し、今月上旬に小売店への出荷を開始した。ヴォシャル氏は「ツアーレベルのボールはこれ以上必要か?」という問いが、これらのボールの販売予測に大きく影響したことを認めている。

「私たちは国内の小売会社の60%、海外の小売会社の30%程度がこれらのボールを扱うと見積もっていたが、まったくの見当違いだった。国内のすべての小売会社が扱ってくれたのだ。これは大変な驚きであり、すでに取り寄せ注文も入っていて、嬉しい悲鳴を上げている」

RB TourとRB Tour Xはどちらも1ダース42.95ドルで、小売店やミズノのウェブサイトで購入できる。


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