新しさの次元が違う。それがクリーブランドの新しい「RTZ」ウェッジだ。

「新しいって言っても、結局ウェッジでしょ?」と思ったかもしれない。確かに見た目はウェッジそのもの。グルーブ(溝)も形状も、これまでのウェッジと変わらないように見えるだろう。でも新しいところはそこじゃない。

「RTZ」は、その中身が驚くほど新しい。これまでの常識を覆すほどに。ピンとこない?無理もない。でも、一度詳しく見れば、その“本当の新しさ”がわかるはずだ。


4本のCleveland RTXウェッジが斜めに並ぶ。手前はFULL-FACEモデル。

クリーブランド「RTZ」ウェッジ:まさに“新しさ”の極み

ご存知のように、私は辞書が大好きだ。言葉は重要で、具体性はさらに重要だ。私の古くからの愛用辞書、「メリアム・ウェブスター辞書」では、「新しい」を次のように定義している。

「最近存在するようになったもの、短時間見られたり、使われたり、知られたりしたもの」

クリーブランド「RTZ」ウェッジは、まさにその定義通り。正確には、「Z」がそれだ。

そう、「Z-ALLOY(ゼットアロイ)」の「Z」だ。


ブラックフィニッシュのCleveland RTXウェッジ。ブランドロゴと「RTX」の文字が美しく刻まれている。

クリーブランドによれば、「Z-ALLOY」はゴルフ史において(また他分野でも然り)これまで使われたことのない、まったく新しい素材だという。特別にこのウェッジのためにサプライヤーと共同開発したものだという。

「当社のエンジニアリングチームは、ウェッジ設計の常識を打ち破るべく常に試行錯誤しているが」と、クリーブランドゴルフのプロダクト・マネージャー、ケイシー・シュルツ氏はMyGolfSpyに語った。「毎回必ず『8620』の壁に阻まれる」。

シングルピースウェッジのほとんどは『8620スチール』で鋳造されている。強度、信頼性、安定性そして耐久性に優れているからだ。

「PGAツアーでは長い間、ウェッジのスタンダードとして受け入れられてきた」とシュルツ氏。「いくつか欠陥があることはわかっていたが、事足りていたわけだから、使い続けない手はなかった」。

しかし12年が経ち、「RTX」ウェッジが6世代続いた今、クリーブランドは状況を変える必要があった。ウェッジ市場は競争が激化しており、これまでと同じやり方では通用しなくなっていたのだ。


黒仕上げのCleveland RTXウェッジ。ソールの刻印とマットな質感が高級感を演出。

「Z-ALLOY(ゼットアロイ)」の誕生

「『8620』よりもはるかに設計の自由度が高い素材が必要だった」とシュルツ氏。「さまざまな研究所と話し合い、ゴルフ業界に馴染みの深い航空宇宙産業など他の業界も検討した」。

最終的に、クリーブランドは博士レベルの冶金学者を雇い入れた。しかし、共に考え抜いた結果、「8620」より優れたものは存在しないことがわかった。

「でも、そこで諦めるのではなく、『8620』を超えるものを自分たちで作れないか?と考えたんだ」とシュルツ氏。「そこで研究所やサプライヤーと協力し、我々の掲げた設定条件をすべて満たす新しいソリューションを創り上げた」。


溶けた金属を鋳型に流し込む鋳造シーン。ウェッジヘッドの形成が始まる瞬間。

クリーブランドにはこの新しい素材に求める条件がいくつかあった。まず、クラブヘッドのセンター方向に質量を移動させるということ。

ウェッジメーカーがよく使う表現ではあるが、単に“質量を移動”させただけではツアーレベルのウェッジの見た目や形状にはならない。

次に、前世代のウェッジよりも優れた打感であること。そして3つ目は、契約プロにとって重要な条件、より優れた耐久性と性能を備えたノーメッキウェッジであることだった。

新しい「Z-ALLOY」素材は、これらすべての要件を満たしている。


真っ赤に焼けたウェッジ用鋳型のアップ写真。高温で加熱された鋳型が製造の始まりを示す。

密度と打感

「Z-ALLOY」は「8620」よりも低密度の素材だ。これにより6gの余剰重量が生まれ、クリーブランドはウェッジの形状を大幅に変更することなく重心をセンターに近づけることができた。

しかし、「寛容性」は依然課題として残る。ウェッジといえども「寛容性」は重要な要素だからだ。

「重心位置をセンターに近づけると、どうしても重心の高さや慣性モーメントが犠牲になる。そんな“膠着状態”から目を逸らして耳障りの良いストーリーだけを語りたいわけではなかった」とシュルツ氏。「『Z-ALLOY』のおかげで重心位置をセンターに近づけつつ、慣性モーメントも高めることが可能になった」。

クリーブランドの過去数世代のウェッジがごちゃごちゃした見た目になっていたと思ったのは、あなただけじゃない。

施された突起や膨らみ、段差は「8620」という素材の制約の中で質量を移動させ、なんとかその形状をまともに見せようとした結果だった。その努力は残念ながら失敗に終わったんだ。


黒仕上げのCleveland RTXウェッジ。ソールの刻印とマットな質感が高級感を演出。

しかしクリーブランドは、「Z-ALLOY」によって簡単に質量を移動できただけでなく、余剰重量を周辺に再配置することができた。慣性モーメントも向上させることができた。

その結果、見た目もスッキリした美しいウェッジが完成した。

さらに、打感も向上。クリーブランドによると、ビッカース硬度テストで測定したところ、「Z-ALLOY」のおかげでこの新しいウェッジは前作「RTX 6」よりも10%もソフトになったという。

「現在使用しているウェッジよりも間違いなくソフトに打てると感じるはず」とシュルツ氏。


RTXウェッジのフェース全体を写したショット。スピン性能を支える精密なグルーブが際立つ。

しかし、ここで尋ねずにはいられなかった。「ソフトな打感を求めるなら、なぜ鍛造にしないのか」と。

「もちろん鍛造は素晴らしいが、耐久性が大幅に低下するし時間が経つにつれ性能も落ちてしまう」とシュルツ氏。「しかし『Z-ALLOY』なら、よりソフトな素材でありながら、他の素材と同等かそれ以上の耐久性を維持できる」。

MyGolfSpyでは、打感は実際の性能とは相関しないという考えを貫いているが、性能が良く打感も優れたウェッジが、性能が良く打感の悪いウェッジより何千倍も優れているのも確かだ。


Cleveland RTXウェッジのソール。ロフト52度、MIDグラインド、バウンス10°の刻印が確認できる。

錆は避けられないとは限らない?

何度も言われ続けて聞き飽きているかもしれないが、錆びてもウェッジのスピン量は増えない。むしろその逆だ。

「ウェッジのフェースにはレーザーミルドやマシンミルド加工が施されている」とシュルツ氏。「フェースに錆が出ると、そのテクノロジーが台無しになってしまうから、錆はエンジニアにとっては本当に厄介なんだ」。

しかし、「Z-ALLOY」ならエンジニアの涙も乾く。錆びないからだ。


Cleveland RTXウェッジの「TOUR RACK」刻印のアップ。ツアープレーヤー向けの本格仕上げ。

「なぜ競合他社のようにノーメッキ仕上げのウェッジを作らないのかとよく聞かれる」とシュルツ氏。「錆びると製品の品質は確実に低下する。メッキが施されたウェッジよりもスピン性能と安定性の低下ははるかに早いんだ」。


芝生の上に並ぶ3本のCleveland RTXウェッジ。ソール形状やロフト角が確認できる。

クリーブランドは数年前からノーメッキの「TOUR RACK」ウェッジを販売してきたが、錆び知らずの「Z-ALLOY」は正真正銘ゲームチェンジャーとなり得る。

「ツアープロがノーメッキのウェッジに求める条件のナンバーワンはギラつかないこと」とシュルツ氏。「次に、グラインドが容易であること。また、打感が良く自分の好みのスピン性能に調整できること。彼らは錆びが何の役にも立たないことは百も承知だ」。


Cleveland RTXウェッジのシリーズが横一列に並ぶ。ソールの仕上げとロゴが際立つ構図。

クリーブランドによれば、「Z-ALLOY」は「8620」と比較するとグルーブ(溝)の摩耗を97%削減し、経年変化によるスピン保持力も向上するという。

この摩耗は、プラスハンデのプレーヤーが80回以上のバンカーショットを打った結果得られたデータだ。

「契約プロたちは、これまでで最も早いペースでこのウェッジに乗り換えている」とシュルツ氏。「彼らは何年も『8620』ウェッジを使い続けてきたため、新しい技術を取り入れることには慎重だった。しかし、受け入れられてポジティブなフィードバックが得られたことで、この選択の正しかったことが証明された」。


3つのソールグラインドともうひとつの選択肢

クリーブランド「RTZ」ウェッジでは、略語だらけのグラインド名は登場しない。クリーブランドは基本に忠実に「LOW、MID、FULL」表記を用いている。

「我々が受け取るフィードバックで最も多いのは『わかりやすい』という声だ」とシュルツ氏。「ほとんどのゴルファーはこの3つのグラインドのいずれかに当てはまるはずだし、そもそも略語で表すよりもはるかに理解しやすい」。

(どこかに、傷ついた感情を抱えたKグラインドが存在するはず)

クリーブランドは数世代にわたって3つのグラインドオプションを採用してきたが、毎年そこに“もうひとつの”選択肢が加わる。今年はそれが、フェース全面にグルーブ(溝)を施した「ADAPT」グラインドだ。

「『ADAPT』は、以前の『LOW PLUS』グラインドよりもエキサイティングだ」とシュルツ氏。「もう少し操作性を高めて、フェースをオープンにして打ちたいプレーヤーに適している」。

「ADAPT」グラインドでは、オープンフェースのショットを容易にするために、リーディングエッジバウンスに面取りが施されている。

また、ヒール、トウ、リーディングエッジが削られたC形状のソール、フェース全体にグルーブ(溝)が施された「ハイ・トウ」デザインも採用されている。


Cleveland RTXウェッジのソールアップ。ロフト54度、ADAPTグラインド、バウンス8°仕様。

「ADAPT」グラインドのロフト角は54度〜60度、また64度がある。

「遊び心に満ちたクリエイティブなショットを打ちたい数少ないプレーヤーにとって、これ以上の選択肢はない」とシュルツ氏。

「トウまでグルーブ(溝)が施されているので、フェースを開いて大胆なショットを打ってもスピンをしっかりかけることができる」。


Cleveland RTXウェッジのフェース全面。細かく刻まれたグルーブがスピン性能を物語る。

クリーブランド「RTZ」ウェッジ:ZのリスクとZの報酬

熱心なマニアの皆さんにシンプルな質問をしたい。クリーブランドゴルフは革新的であるか否か?

正直に話そう。皆と同じく私もそうは思ってなかった。「適正な価格の信頼が置ける道具か?」と聞かれれば、それはその通り。

「最高級のウェッジか?」であるかと聞かれても、もちろんその通り。だけど、「革新的か?」と聞かれると…どうだろうか。

市場での認識と現実はまた別の話だ。


RTXウェッジのフェース面クローズアップ。高精度なグルーブとミーリングが確認できる。

たとえば、「ZipCore」は極めて革新的だ。ネック部で内部コアを形成する、まったく新しい低密度素材で、打感を劇的に改善し、質量をセンター方向にシフトさせた。

さらに「HydraZip」と「UltiZip」は、濡れた状況におけるウェッジの性能を大幅に向上させた、クリーブランドの最近生み出したイノベーションとなっている。

ウェッジ以外でも、以前に三角形のような形状のドライバーはあったが、クリーブランドの今回の「ハイボアXL」は、2025年度で最も革新的なドライバーになるかもしれない。

いいものはいい。結局、そういうことだ。


Cleveland RTXウェッジのヘッドが並ぶ構図。中央には「FULL-FACE」の刻印があるモデルが配置されている。

問題は、イノベーションが目に見えないと「マーケティングのナンセンス」として片付けられがちだということだ。しかし、これは短絡的な見方だ。

レーザービーム級のティーショットを打ったり、フワっと浮かせたボールをピタっと止められなかったとしても、テクノロジーが影響力や意義を持たないわけではない。

我々のテストで新しい「Z-ALLOY」がクリーブランドにとってどのような役割を果たすかが明らかになりつつある。

しかし実際には、ゴルファーの評価以上に革新的であると認識している同社にとって、これは大胆な前進を意味する。

「ここで働き始めてから、これほどワクワクさせられた製品はなかった」とシュルツ氏。「まさに革命的なこの素材のおかげで必要な部分に重量を再配置しつつ、すっきりとしたモダンな外観をした過去最高のウェッジが完成したんだ」。


Cleveland RTXウェッジの全体ビュー。艶やかなブラック仕上げと54度・ADAPTソールの刻印が際立つ。

仕様とカスタマイズ

「LOW、MID、FULL」バウンスのクリーブランド「RTZ」ウェッジは、「RTX」の後継モデル。「LOW」のロフト角は59〜62度。ソールはC形状で、レベルブローやグリーン周りでフェースを開いた技巧的なショットに適している。

「MID」グラインドは、あらゆる芝の状態に適した万能ソールだ。ロフト角は46〜60度。「FULL」グラインドは12度と最もハイバウンスで、ダウンブローや柔らかい地面に最適。ロフト角は54〜60度になっている。


Cleveland RTXウェッジのフルフェースモデル。ロゴと「FULL-FACE」刻印が目立つ。

「ADAPT」グラインドはフェース全体にグルーブ(溝)が施されており、ヒール、トウ、リーディングエッジが削られていることで操作性を高めている。

クリーブランドによると、このグラインドはあらゆる芝のコンディションに適しており、入射角はニュートラルでバウンス角は8度。ロフト角は54〜60度、また前述した64度もある。

クリーブランド「RTZ」ウェッジの仕上げは、ツアーサテンとツアーブラックに、ノーメッキの「TOUR RACK」。クリーブランドは、「TOUR RACK」のカスタムオプションを再びラインナップしている。

また必要に応じて、リーディングエッジとソールグラインドをカスタマイズして、トウとヒールを削ることもできる。


芝生の上に並ぶ3本のCleveland RTXウェッジ。ソール形状やロフト角が確認できる。

本当にクレイジーになりたいなら、クリーブランドはウェブサイトでいくつかのパーソナライズオプションを提供している。ヘッドの5ヶ所にベーシックペイントを施し、下部のグルーブ(溝)をアライメントラインにすることもできる。

また、3ヶ所にそれぞれカスタムでエングレービングしたり、5ドル紙幣やシャムロック、米国旗など7種類のレーザースキンを選ぶことも可能だ。

よりクールにするなら、7種のカラフルなカスタムのフェリールオプションもある。カスタマイズにはそれぞれ多少の追加料金がかかる。


Cleveland RTXウェッジのブラック仕上げモデル。赤い治具の前で撮影されたシャープなソールビュー。

クリーブランド「RTZ」ウェッジ:価格と発売時期、グリップ

※下記はアメリカのスペックと価格のため、日本とは異なる。 詳細は、クリーブランドの公式サイトにてチェックしてほしい。

ツアーサテンとブラックサテンのクリーブランド「RTZ」ウェッジの標準は、トゥルーテンパー「Gold Spinner Tour Issue」とゴルフプライド「Tour Velvet 360」グリップ。

ノーメッキの「TOUR RACK」モデルは、トゥルーテンパー「Dynamic Gold Tour Issue S400」シャフト(やや低スピン/低打ち出し)と「The Tour Velvet 360」グリップが標準だ。

ツアーサテンとブラックサテンモデルの小売価格は169.99ドル、ノーメッキの「TOUR RACK」は189.99ドル。

ノーメッキのウェッジがメッキされたものより20ドル高く売られているというのは奇妙に思えたので、その理由を尋ねてみた。そして実際、そこには理由があった。


Cleveland RTX TOUR RACKウェッジの側面ビュー。シャープなラインとロゴが高級感を醸し出す。

クリーブランドによると、ノーメッキモデルには専用の金型が必要だという。メッキウェッジは、ノーメッキウェッジよりも少し小さい金型で形成される。それをミーリング加工し不適合溝を形成した後で、USGA基準を満たすメッキを施している。

一方、ノーメッキウェッジは仕上がりサイズの金型で形成され、USGA基準を満たすミーリング加工を施してできあがり。

この工程の違いで別のツールが必要になること、そして「TOUR RACK」がクリーブランドの標準ウェッジよりもはるかに少ない数で生産されるという事実が、価格差の原因となっている。


Cleveland RTXウェッジのヘッドが連なる構図。FULL-FACEモデルが中央に並ぶ。

新作クリーブランド「RTZ」ウェッジは1月17日に店頭とウェブで発売開始。