テーラーメイド「P790」ファントムブラックアイアン – 主要ポイント

・ブラックPVD仕上げを施した主力「上級者向け飛び系」アイアン

・シャフトは真っ黒なKBS「Tour Lite」、グリップはゴルフプライド「Z-Grip 360」スタンダードを装着

・価格は1,499.99ドル(7本セット)で既に発売中

日本での価格は、6本セット198,000円(税込)で、5月発売予定。


テーラーメイド「P790」ファントムブラックアイアンは、新カテゴリー構築への決定打となる。

メーカーによる新作発表の狭間の主要アイアンのブラックバージョンリリースは一過性のものだったが、今ではそれがトレンドになっているのだ。「トレンド」の先に何があるかは分からないが、これが“当たり前”のように感じるようになっている。

ここで簡単に言っておくと、テーラーメイド「P790」ファントムブラックアイアンは2021年9月発売の「クローム」仕上げの「P790」アイアンと全く同じ。

もちろん、「ブラックPVD」ではないが、どこのメーカーも同じことをやってる。アイアンセットの製品サイクルの狭間におけるカンフル剤にして、新製品が準備できるまでの売上アップに役立てようっていう魂胆。

ぼったくり、マーケ戦略、あるいは「限定品」でも何でもいい。皆さんがどう思おうが、商品サイクルの狭間に出る真っ黒なアイアンは明らかに常套手段となっている。


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テーラーメイド「P790」ファントムブラックアイアン

初代「P790」アイアンは2017年8月にデビューした。ブラックバージョンが出たのはその一年後。

そして、第二世代の「P790」は2019年8月に発売された。この年のブラックバージョンはコロナの犠牲になり、市場に投入されたのは2021年4月、第3世代の「P790」がリリースされる数ヶ月前のことだった。

新型コロナウイルス感染拡大は、多くのメーカーにとってリリースサイクルを阻むものとなったので、今回の発表が予定通りなのかは分からないが、もしテーラーメイドが「P790」を2年周期に戻したのなら、今年の9月には第4世代がお目見えするだろう。

テーラーメイド「P790」は初の「上級者向け飛び系」アイアンというわけではないと思うが、この部門を特徴づけその基準を決定させたことには間違いない。

「上級者向け飛び系」は、「初・中級者向け」(スコア改善型)アイアンを卒業したスキルアップしたゴルファーから、上級者の見た目を求めているのに昔の飛距離もキープしたい年配の上級者まで、幅広いゴルファーにフィットするカテゴリーとなっている。


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そしてメーカーを問わず、その中身には基準がある。複合素材の中空構造で、ボール初速を向上させるためにインパクトでのフェースのたわみを最大化させる「極薄フェース」が採用されている。

しかし、この構造には課題もあり、金槌で金床を叩いたような「打音」がしてしまうのだ。鍛冶工なら喜ばしいことだが、ゴルファーにとっては勘弁してくれ、というような打音(打感)となってしまうのだ。


打音、打感、充填材「SpeedFoam」

初代「P790」は、PXGとの訴訟と反訴を繰り返しただけでなく、耳障りな「打音」と「打感」を改善した充填材「SpeedFoam(スピードフォーム)」が特徴だった。

「フォーム」、「TPU」、または「グー」でも何でも、打音と打感の改善に大いに役立つが、そこには常にトレードオフがある。今回の場合だと、どのような充填物であれ「極薄フェース」をその陥没から守るものの、フェースのたわみを制限してしまうのだ。

そして、これはボール初速にとってはマイナスとなる。


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「極薄フェース」を採用した中空の「上級者向け飛び系」アイアンの目的は、(ボール初速を向上させるため)フェースを大きくたわますことにあり、このたわみを制限するもの全てはジレンマなのだ。

メーカーは進んでそのトレードオフを生み出し、改善に取り組んでいる。程度の差はあれ、メーカー各社はマイナス(ボール)初速のロス)を最小化する一方で、プラス(良い感じの打音と打感)を最大化することに成功しているわけだ。

テーラーメイドの「P790」ファントムブラックアイアンは、スタンダードの「P790」アイアンと(仕上げを除いて)全て同じなので、「スピードフォーム」充填材も変わりはない。

テーラーメイドによれば、今回の「スピードフォーム」は前作よりも軽くてソフトになっており、打音と打感を改善しボール初速ロスも最小化しているという。


テーラーメイド「P790」ファントムブラック:スペック・価格・発売時期

繰り返しになるが、新しいテーラーメイド「P790」ファントムブラックアイアンは、「ブラックPVD」以外、既存の「P790」アイアンと全く同じだ。

市場にはこれ以上の高級仕上げがあるので、「PVD」仕上げが永久に“摩耗しない”と思わない方が良い。傷はつくけど、数回打ちっぱなしで使ったくらいですり減るわけではないので勘違いしないように。「PVD」は年々改良されており、昔の「PVD」仕上げとは雲泥の差があるのだ。


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というわけで、この「ファントムブラック」は200ドル高くなっている。

純正シャフトは、新しいKBS「Tour Lite」のブラックバージョン。グリップはゴルフプライドの「Z-Grip 360」が装着されている。

セットの価格は7本で1,499.99ドルとなっており店舗とネットで既に発売されている。

日本での価格は、6本セット198,000円(税込)、シャフトはフジクラ MCI 80 for TaylorMade (S)で、5月発売予定。