まず、最初に少し整理しておこう。

コブラゴルフの「DS-ADAPT」シリーズは、主力のドライバー、フェアウェイウッド、そして「スコア改善型(初・中級者向け)」ハイブリッド(ユーティリティ)をラインナップする、ブランドの中核的シリーズだ。

一方で「KING」ファミリーは、ツアープレーヤーのフィードバックをもとにしたアイアンデザインや、「競技志向者(上級者向け)」ハイブリッドが揃う。

“上級者向け”というのは、「寛容性」よりも「操作性」と「多彩なショット」の打ち分けを重視したモデルのこと。

つまり、“フェアウェイウッドのような高弾道”よりも、“アイアンに近いコントロール性”を求めたハイブリッドと言える。

では、ここからその違いを詳しく掘り下げていこう。


『FF33』からすべてが始まる ─ コブラが描く“新しいフィッティングの形”

コブラゴルフ「KING TEC X ONE Length」ハイブリッド。ワンレングス設計によるスイングの安定性と高MOIヘッドを強調したモデル。

「DS-ADAPT」シリーズを追っている人なら、もう耳にしたはず──『FF33(FutureFit33)』という名を。

もし初めて聞くなら、これはコブラゴルフが新たに導入した「ホーゼルアダプター」で、33通りのロフト・ライ角調整を可能にする仕組みだ。

最大の特徴は、ロフト角とライ角を“独立して”調整できる点。

一部のゴルファーにはややオーバースペックに感じられるかもしれないが、クラブ調整を楽しむタイプにとっては、この上ない“実験場”になるだろう。

ただし本質的には、『FF33』はプレーヤーのためというよりも、熟練フィッターの手に渡るべきプロ仕様のツールだ。

「DS-ADAPT」と同様、フィッティングを主軸に据えたプラットフォーム設計自体が珍しく、そこにコブラらしい革新性がある。

考えてみれば、素材や重心配分をいじるより、フィッティングの進化こそがゴルファーの結果を大きく変える──そんな事実を、コブラは静かに示しているのかもしれない。


「TEC」の真価を掘り下げる ─ 構造が生む安定感とカスタマイズ性

「KING TEC」シリーズのハイブリッド2本を上面から撮影。弾道調整機能と精密な設計が特徴。

今回の「DS-ADAPT」モデルは、12月の初代登場時から続く進化の延長線上にある。

軽量カーボンクラウンを採用することで生まれた余剰重量を再配分し、重心位置をより効果的な位置へ再設計。

その結果、アドレス時にはよりコンパクトに見えながらも、「ボール初速」と「寛容性」を両立する性能へと仕上がっている。

近年のトレンドとして、フェアウェイウッドやハイブリッドでは「余剰重量=設計の自由度」となり、ヘッドサイズを抑えながらもMOI(慣性モーメント)を高める開発が進んでいる。

これにより、シリーズ内の各モデルが性能面でより明確な違いを持つようになった。

そして、コブラゴルフが誇る『H.O.T.フェース』可変フェース設計は、フェース上の15カ所に配置された“ホットゾーン”がオフセンターヒット時のボール初速の低下を最小限に抑える。

さらに、鍛造製法による『PWRSHELLフェースインサート』との連動により、フェース全体のたわみを拡大し、より広い打点エリアで安定した初速を生み出す。

まさに、“軽量化”と“反発力の最適化”によって進化を遂げた、コブラゴルフらしい完成度だ。


「KING TEC」ハイブリッドのクローズアップ。ツアー志向の低スピン性能と重心チューニング機構を採用。

まず補足しておきたい。

「寛容性」とは、ただミスをカバーする機能ではない。本来の理想弾道に近づけるためにクラブが“どれだけ助けてくれるか”──その働きこそが「寛容性」と言える。

そんな考え方を踏まえると、「KING TEC」ハイブリッドの設計には納得がいく。

『FF33』とともに採用されたのが、2つの可変ウエイト(12gと2g)だ。これを入れ替えることで、弾道の高さやスピン量を細かく調整できる。

標準ポジションは12gをヒール側、2gをトウ側。この配置を逆にすれば、右打ちゴルファーにとってドロー傾向の弾道を作り出せる。

さらに、『SMARTPAD』テクノロジーによって、ロフトやライ角をどんな設定にしても、アドレス時のフェースが常にスクエアに構えられるのもポイントだ。

まさに、精密なチューニング性と構えやすさの両立──それが「KING TEC」ハイブリッドの強みだ。


「ONE Length」バージョン ─ 「ONE Length(同じ長さ)設計」がもたらすやさしさと一貫性

「KING TEC」シリーズのハイブリッド2本を上面から撮影。弾道調整機能と精密な設計が特徴。

「KING TEC」ハイブリッドには、「ONE Length」仕様(7番アイアンと同じ37¼インチ)も用意されている。

「ONE Length」とは、すべてのクラブを7番アイアンと同じシャフト長で統一した設計思想のことだ。標準モデルと比べた際の違いは、主にヘッド形状とウエイト設計だ。

「ONE Length」モデルは、やや大きめで丸みを帯びたヘッド形状を採用。

さらに、後方には固定式の12gバックウエイトを搭載し、高弾道と安定した挙動をサポートしている。

つまり、基本構造は「KING TEC」ハイブリッドと共通しながらも、「ONE Length」はより“スコア改善型(初・中級者向け)”の要素を強化したモデル。

「ONE Length」アイアンを使っているゴルファーがセット全体の一貫性を保ちながら、やさしく高く打てるハイブリッドを求めるなら、最適な選択肢となるだろう。


発売情報

コブラゴルフ「KING TEC」ハイブリッドの詳細はコブラホームページより!(現在発売中)


※下記はアメリカの情報

「KING TEC」ハイブリッド(299ドル)は、2H(17°)/3H(19°)/4H(22°)/5H(25°)の4モデル展開。

一方、「KING TEC ONE Length」ハイブリッド(299ドル)は、3H(19°)/4H(21°)/5H(24°)の3モデルが用意されている。

いずれも3月13日発売予定。

詳細は cobragolf.com で確認できる。


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