「やって見た」こと

タイトリストの新「Tシリーズ」で一番大きなヘッドであるタイトリスト「T350」アイアンは、どの程度使えるのか?


タイトリスト「T350」アイアンのテスター


トニー・コビー(MyGolfSpyの論説員)。長年ゴルフ製品をテストし続け得たデータと、あらゆる情報を元に製品の中身までをも知り尽くした男。だが、いちアベレージゴルファー。そのレベルはさて置き、大型ヘッドのアイアンを嫌う一面が…。


基本背景

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長い間、私はどの番手で打っても弾道が高くてスピン量も多いプレーヤーだった。鋭い弾道でボールを飛ばせる人がうらやましくて、弾道を抑えようと努力してきた。

だが、明らかにやり過ぎてしまったらしい。

今日まで「Tシリーズ」のラインナップは「打感」が注目されてきた。その点については後で触れるが、今回私が注力する課題は、『タイトリストの3D(「飛距離の精度」、「適切な落下角度」、「ばらつきの抑制」)はフィッティングアプローチに直結する』ということだ。私の場合、弾道が高くスピン量が多くなった原因は、この3Dのうちの「適切な落下角度」に問題があった。

私の弾道の高さ(頂点)は、最高でも約25m程度で十分な高さを出せていなかったのだ。

そこで私の担当フィッターは、この高さの数値を約30mに近づけようとしていた。弾道が高ければより落下角度が鋭角になる。それを可能にするヘッドとシャフトの組み合わせを見つけ、この問題解決を目指した。

そう、もうお分かりだと思うが、そこで行き着いたのが私の好みではない大型ヘッドの「T350」(毎度のことならが日本シャフトの『Modus 120(X)』を装着)というわけだ。

では、いくつかポイントも抑えておこう。

まず、「T350」はシリーズで一番ストロングロフトだが、シャフトが同じケースで他3つの「Tシリーズ」よりも弾道が高いということ。

もう一つは、純正ロフトは単なる始まりに過ぎないということ。結局、ロフト角は1度寝かせた(2度フラット)。そこまでではないが、これでもまだストロングロフトだ。


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タイトリスト「T350」アイアンについて

「T350」は、現行の「Tシリーズ」の中で最も大型化されている初・中級者向け(スコア改善型)アイアンだ。

ソールにタングステンを搭載した中空ボディ構造で、タイトリストの『マックスインパクトテクノロジー』によりボール初速アップとさらなる高弾道を実現する。

「T350」はフェース高があり、ブレードも大きくなっているが、デザインと技術的要素は「T200」を継承している。

言い方を変えると、「Tシリーズ」の他ラインナップがもたらす以上のサポートを必要とするゴルファーに向けた「T200」の大型版ということだ。


初見

正直な話、大型ヘッドの「T350」アイアンなんて論外だった。自分では「T150」か「T200」を選択すると考えていたからだ。

だが、「T350」の見た目は、他の「Tシリーズ」とそこまでかけ離れておらず、オフセットも大きくないし、うまいこと“誤魔化して”いる。トップブレードは厚いが傾斜がつけられているので薄く見えるのも重要な特徴だ。ブレードの長さを隠すことはできないが、市場の「大型アイアン」カテゴリーの中では決して悪くない。

もっとヤバいのがあったからね。


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ゴルフを楽しむという目的のためだけに、好きなクラブ選択するというのも有りだが、本来のクラブフィッティングの目的は、自分に合ったクラブを見つけること。そしてコースでの結果を向上させること…、少なくともそうであるべきだと思う。

そういう意味で私は、フィッティングを受ける際はフィッターに任せ、自分のフィーリングはあまり出さないよう成り行きに任せるようにしている。

今回の場合も、フィッターが選んだ「T350」で、一貫性の高さとかなりの弾道の高さを目の当たりすることができた。つまり、私の「適切な落下角度」の問題は、この「T350」アイアンで解決できたというわけだ。

では、次に「T350」のパフォーマンスを見てみよう。


タイトリスト「T350」アイアンのパフォーマンス

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今回の「T350」アイアンと、以前フィッティングを受けてからずっと愛用し続けているPXG「0311 T GEN5」と比べてみた。

やはりPXG「0311 T GEN5」の見た目が好き(大きすぎない)だし、「打感」と結果も基本的に申し分ない。正直に言って、手にした時から気に入っていた。ただし特にロングアイアンで弾道がやや低いことも事実として挙げられる。


インドア

PXG「0311 T GEN5」は、典型的なツアーアイアンではない(決して飛ばないわけではない)ので、大体の部分で性能差はそこまでにならないと思っていた。フィッティングしたアイアン同士で実際のロフト角の差が1度以内であることを考えれば、当然だろう。

フォーサイトの「GCクワッド」で計測したところ、「T350」の方がやや初速があり(約1.67m/s)、飛距離も3ヤードほど伸びていることが分かった。

そしてフィッティングで最もフォーカスした「弾道の高さ」については、「T350」の方が約2.13m高かったが、打ち出しがやや左に出たことが一番目についたものの、「T350」の方が高さをキープしていた。


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コース上

私がみなさんに、タイトリスト「T350」が“史上最高のアイアン”だと以前お伝えしたのは、10打もスコアアップしたことが要因だったが、ここで現実的な予測をしてみよう。

私のゴルフはドライバーに左右される。ホームコースは狭くて(各ホールにOBがあり、ホールによっては両サイドがOB)、「T350」に移行するメリットに間違いはない場合もあるが、アイアンでナイスショットすることによる「ストロークス・ゲインド」の向上は10分の1に過ぎない。

明らかなこともある。打ち出しが高くなり、インドアのデータが示したよりも更に遠くまで飛ぶようになっている。アイアンで飛距離を優先することは愚行であると伝えてはおきたいものの、他のパフォーマンスを犠牲にせずに飛距離アップするなら、それも悪くないということだ。

“一片の悔いなし”で言える。

突出した細かいこともある。8番でのトゥに当たる(自分のスイートスポット)ショットだ。何年もの間に、同じショットを50回は打っており、バンカー超えはマジでノーチャンスなのだが…、今回は超えた。

(長いOBゾーンのある、硬くて、ほぼ砂のないバンカーという)コースで最も恐ろしい場所の一つから打つのではなく、ボールはフリンジまで届いたんだ。2パットバーディとなり、まぁ確証はないけど、これがスコアメイクって奴なのかなって思ったんだ。

また5番アイアンも明らかに高く上がっている。

左へのミスはまだあるが、大きく左に曲げるミス(白杭の向こう側)はほとんどなくなった。多分これは、ブレードが長くなっていることで、手が少し速く出てしまってもフェースが閉じないことが要因となっている可能性がある。

こんな利点があるとは言え、毎度ピンに向かってきっちり打てているというわけではない。確かに素晴らしいショットもあるが、他のアイアンでもそれは経験済み。他のモデルと「T350」を使った時の本当の差は、ナイスショットがもう少し増えて、ウッドの調子が悪い日にも、どうにかできるチャンスが生まれるということにある。

つまり「T350」でプレーしたラウンドが、さらなるラウンドにつながり、日没が早くなって葉が落ち始めた頃になっても、私はいまだにタイトリスト「T350」アイアンをバッグに入れている。それだけ、この「T350」を愛用しているということだ。


「T350」の打感

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「打感」はタイトリストの「Tシリーズ」を語る上で大きな部分を占めているので触れないわけにはいかない。「打感」に関して言うと、「T350」は先代「T300」より明らかに進歩していると言える。フィッティングでは両方を打つ機会に恵まれたが、もしあなたが「T300」を使用中なら、すぐに改善点に気がつくはずだ。

開発チームが最善の努力をしたからと言って、中空ボディで鍛造アイアンの「打感」を再現できるとは思えないが、この「T350」の「打感」はそれなりに良く、他の同クラスのアイアンよりも素晴らしい。

「T100」や「T150」ほどソフトということはなく、どちらかというと、自分は愛用していたPXG「0311 T GEN5」の方が好みだが、特別不満が残るということもない。

むしろ、ミスした時の「打感」は先代のクラブよりもずっと良いフィーリングが得られるようになっている。


結論

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タイトリスト「T350」は、私がここ数シーズンで出会った驚異的なクラブの一つと言える。タイトリストのアイアンの性能が優れていることに驚きはない。このアドバンテージは私の大型アイアン嫌いを克服するのに十分ということだ。

私は今でも大型アイアンが好きというわけではないが、高弾道とさらなる「寛容性」、そしてさらなる「飛距離」を否定することは難しい。当然、最後の部分はおまけだが、改めてこのモデルをバッグに入れ続けることは想像もしていなかった。

そして「T350」は、(普段自分が望む以上のものに加え)「寛容性」という観点で必要以上のものになる可能性がある。また新シーズンごとに新作の誘惑があるのも事実だけど、個人的には新たなハードルを設定した。キャディバッグに入れるクラブについて、気分ではなく冷静でいられる限り、「T350」は次のシーズンも使える可能性は十分だろう。


タイトリスト「T350」アイアンのメーカー希望小売価格は1,399ドル(アメリカ)。

日本価格は、

6本セット(#6-#9、P、W(48)) ¥165,000(税込)

別売り #4、#5、W(53) 1本 ¥27,500(税込)

右用:#6/#7/#8/#9/P/W(48)

左用:#4/#5/#6/#7/#8/#9/P/W(48)/W(53)

※左用は全てカスタムモデル、また右用の#4/#5/W(53)もカスタムモデルとなっている。