キャロウェイのこの話題を取り上げることになるとは思ってもみなかった。(決してキャロウェイから嫌われているからというわけではないが)。Epicが今後6か月はキャロウェイのフラッグシップドライバーとしてのポジションをキープして、そこに新しいXRが登場するのだろうと考えていたからだ。

では、私の知っていることをお伝えする。

キャロウェイによると、XRはEpicほど高性能なドライバーにはならないという。

コストの問題があるからだ。Epicと同じ性能にするには、異なる素材(チタンではなく3軸カーボン)や、より複雑な製造工程(ジェイルブレイク)が必要で、XRの価格でこれを実現しようとすると利益が得られないからだ。よって、さしあたりXRのポジションは現行のままで、代わりにRogueを登場させた。マーケットリーダーであるEpicの代替品としてだ。

ちなみに、アルディアのシャフト「Rogue」とは関係ない。

Rogueは定量化の面では一歩前進しているが、基本的な違いはない。少なくとも私はそう思っている。

キャロウェイがどのようにEpicを進化させたかという話題に入る前に、リリースの頻度が高いことについて簡単に説明しておきたい。

Epicのリリースから12か月だが、タイミングは不合理ではない。Epicの最低小売価格(MAP)はリリース以来一度も下げらたことがない(新品同様の中古品を400ドル以下で手に入れることは可能だが)。だからといってキャロウェイは、購入者が無知だとか、Rogueを買ったほうがいいなどとは言っていない。この点に関して、キャロウェイのマーケティング部シニアヴァイスプレジデント(OGIOの社長でもある)ハリー・アーネット氏がツイッターでコメントし、ヒートアップして話題となった。すべてのゴルファーに、自分にピッタリのクラブがあると主張するつもりはないが、ハリーの考えでは、もしドライバーに500ドルも投資するならば、選択肢は、、、

「ゴルファーの皆さん、プロにフィッティングしてもらい自分に合うクラブを探してください。だがもしそれが、今使っているクラブや他のブランドの商品に勝っていなければ買うべきではない。」とハリー・アーネット氏は語った。

他者からのツイートのように、ハリーも自分の考えを伝えるのに必死だった。

要点はこうだろう。Rogueをフィッティングしてもらい、もし他のクラブに勝ってなければ買うべきでない。だとすれば説得力のがある意見だ。

 

Rogueは必要か?

もしEpicを購入し、自分に合っていると思ったなら問題ない。きっとあなたに向いているのだろう。誰もRogueで飛距離が10ヤード伸びると約束してくれているわけではない。あと数ヤード伸びることが数回あるかもしれないが、キャロウェイのプレス用資料の宣伝文句は実にさっぱりしたものだ。

正直なところ、これには驚かされた。定量化することに頼らないメーカーにしては、RogueのMOI(慣性モーメント)の数値に関して、これまでになく積極的に公表している。そこに本当の進化があるからだと思う。空力特性とフェース製作技術の改良に伴いMOI が向上し、平均飛距離(ミスショットを含めた平均値)を伸ばすことができる。常にフェースの芯にあてられるならばの話だ。もしそうでないのなら話は別だ。

それでは、キャロウェイが言うRogueの改良点を詳しく見てみよう。

 

ROGUE - Epicのアップグレード

キャロウェイがEpicをここまで改良できたのは、突如現れたジェイルブレイクテクノロジーによるところが大きい。Epicのジェイルブレイクのバーがチタン製で直線なのに対し、Rogueのバーは洗練された砂時計の形をしている。バーの中心部分を削って細くすることで、ジェイルブレイク構造の重量を25%ほど減らすことができたとキャロウェイは説明している。

他には何があるかお分かりだろうか。

 

高いMOI(慣性モーメント)

軽量化に関してはこれまでにもさまざまな話があったが、キャロウェイは他の部分のパフォーマンスを上げるためにジェイルブレイクの重みを少しだけ減らした。つまりRogueの形状と重量配分を改良してMOIを向上させたということだ。キャロウェイが公表した数値は、トゥ・ヒール(最も一般的に使われる数値)とトップ・ボトムのMOIの両方を合わせたMOIを基本としている。後者は、フェースセンターの上下のインパクトに対して、より安定したスピンを発生させるために特に重要だ。

キャロウェイが考える判断基準としては、7,000以上は非常に寛容性が高い。マーケットは前方に重心を置いた設計から遠のいているので、基準値はもう少し高くあるべきだとう意見もあるが、7,000という値は今でも寛容な部類に入る。

キャロウェイによると、EpicのトータルMOIは8,000で、見たところチャート上でも、おおよその範囲に収まっている。しかし、多くの人が気づいていないのは、後方に配置したウェイトにより、Sub Zeroのトゥ・ヒールMOIはさらに高くなったということだ。しかし今回はあてはまらないようだ。キャロウェイによると、スタンダードRogueのトータルMOI は約8,600で、2つのモデルの中でより寛容性がある。キャロウェイは トゥ・ヒールの数値を別々に開示していないので、PINGやPXG、コブラなど高MOI を競うブランドにどれくらい匹敵するかはまだ分からない。

 

MOIに関する余談

ここでは、高いMOIに関する誤解をクリアにして、バルジやロールとどう 違うのかを話したいと思う。

基本的にMOI はボールスピードを保持してくれるものである。MOI が高いほど、芯から外れたショット時にボールスピードを失いにくい。MOI は右左への分散や、正確さと呼ばれるものではなく、その点に関してはバルジ(フェースの水平方向の湾曲)とロール(垂直方向の湾曲)の範疇である。バルジとロールは(理想的には)芯に当たらなかったショットをフェアウェイに戻す力があるのに対し、高いMOI は最長飛距離 と 最短飛距離の差を縮める効果がある。

要するに、キャロウェイのMOI 値からわかることは、RogueはEpicと変わらないが、MOI 値はより高く、ミスショット時でも飛距離の伸びが期待できるとうことだ。キャロウェイによれば、ミスショット時の飛距離の差は16%縮まるという。

 

 

X FACE VFT テクノロジー

キャロウェイはスピード維持の一環としてX Face VFT と呼ぶフェース製作技術を採用した。進化したVFT(可変フェイス厚)がジェイルブレイクの効果を高めると主張している。そして新しいバーのデザインによる重量削減効果により、「インパクト確率分布」と呼ばれるデータを基に、よりフェースの部分を薄くすることに積極的に取り組んだ。高いトゥや低いヒールがミスショットを引き起こすことに関係すると考えられるがが、これに関しての新情報はない。

X Face VFTは、これまでとは全く違うフェース技術ではなく、結局のところは、MOI を補完するものであり、オフセンターショット時のボールスピードを維持するのに役立つ。

 

改良されたエアロダイナミクス

キャロウェイがボーイングと提携し、SpeedStep Crownテクノロジーを開発したことは聞いたことがあるかもしれない。確かキャロウェイは1度か2度、それについて言及したと記憶している。PINGのタービュレーターとは異なり、空力設計はクラウン上の気流の分離を遅らせて空気抵抗を減らし、ヘッドスピードを上げるのが特徴だ。Rogueの開発において、キャロウェイは再びボーイングと手を組み、今回はクラブ全体に対して総括的なアプローチを試みた。微妙な変化のみだが、フェースとクラウンの間を移行しホーゼル周辺をスリム化した。ここでも目新しい宣伝文句はない。キャロウェイによれば、ヘッドスピードの改良というのは0.26~0.3m/sほどの向上で一般的には十分とされる。

おそらくこの数字は、44m/sのヘッドスピードに対し2ヤード弱だが、ヘッドスピードが速ければより効果が得られ、遅ければそれほどの効果は得られない。

最期に、Rogueドライバーのラインナップ全てに採用されているテクノロジーを紹介する。FusionやEpicにも搭載のトライアクシャル・カーボンクラウンだ。

 

ではRogueドライバーの各モデルを詳し見ていこう。

スタンダードモデルのRogueには、これまで説明した全ての機能が採用されている。Epicからの目につく変更点は、キャロウェイの調整可能なペリメーターウェイト(スライド式のウェイト調整機能)や、その他のウェイト調節機能が搭載されていないことである。Rogueには1か所だけ交換可能なウェイトポートが設置されているが、その機能はヘッドの加重に限定されている。

OptiFit ホーゼルを除いては、Rogueスタンダードはまさに見たままのクラブだ。もう少し説明するが、それにはちゃんとした理由がある。

調整可能なペリメーターウェイトを求めるゴルファーのために、キャロウェイは引き続きEpic(スタンダード)をフィッター向けに製造する。販売も広告もされないが、フィッターが自由に使うことができる独特なオプションをなくすことは考えていないため、Epicはキャロウェイのラインナップに残ることになった。

Rogueスタンダードモデルのロフト角は、9度、10.5度、13.5度(HT)の3種類で、ニュートラルポジションのライ角は58度である。

 

ROGUE SUB ZERO

Sub Zeroはゴルファーを驚かせたのではないかと思う。誰もがスタンダードモデルとSub Zeroの明確な違いを理解していないとしても、Epic Sub Zeroは、いまだにキャロウェイの一般的なプロスタイルドライバーの4倍売れているのは確かだ。Sub ZeroはEpic Proのようにはデザインされていないことは理にかなっている。実際のターゲット層は、寛容性と低スピンの両方を必要とするゴルファーである。一般的には低スピンと低MOI(主に460㏄以下)はセットである。Sub Zeroは、低スピンと高MOI(特に後方にウェイトをおいた)を合わせた、市場でもあまり見ない例である。

Rogue Sub Zeroも同様である。スタンダードRougeほどの寛容性はないが、それでもまだ寛容性と低スピンを兼ね備えている。また、Epic Sub Zeroの調整機能が12g/2gの組み合わせから、14g/2gへアップグレードされ、さらに調節が可能になった。2gの差は小さいものだが、何度も述べているように、少しの差が大きな違いをもたらすのだ。

交換式ウェイトの効果としては、キャロウェイの数値では、前方に14gのウェイトを配置することで、0.2度低い打ち出しと約200RPMの低スピンが可能になるという。後方に14gのウェートを置く場合、Sub ZeroはRogueスタンダードモデルに比べて300-400RPM低いスピンが期待できる。

 Rogue Sub Zeroは、ロフト角9度と10度の展開だ。ライ角は56度で、2度フラットになっているので、左フックバイアスに抵抗するはずだ。

 

ROGUE DRAW

キャロウェイの新しいフラッグシップモデルはRogue Drawだ。名前が示すとおり、ドローバイアス効果があり、極端にヒール側にウェイトを置いたEpicスタンダードに似ている。MOIに関してはRogueスタンダードモデルほど高くはないが、弾道を補正する代償である。

キャロウェイは、デザインの観点ではアドレス時のルックスの良さがあり、しかも望むような弾道をもたすドライバーを造ろうとしていた。著しいフェースの閉じ、オフセット、立ったライ角は感じられないが、実際のライ角は59度で、Rogue Drawはスタンダードモデルより1度垂直に近いことは注目点だ。弾道の補正のため、ウェイトをかなりヒール側に配置している。

キャロウェイによれば、数値に関してはRogue DrawはドローポジションでEpicに比べて左バイアスが7.8ヤード、Rogueスタンダードと比べて左バイアスが17ヤード伸びるという。

余談だが、キャロウェイはRogue Drawのテストは実に楽しかったという。テストへの参加者を社外から雇い、自分のクラブとRogue Drawを比べてもらうやり方で実施した。大きく個人差がでたことは確かだが、平均的にはボールの分散が約21ヤード改善され、サイドスピンの減少により、飛距離が6~7ヤード伸びた。

Rogue Drawは、ロフト角9度、10度、13度(HT)の3種類、ニュートラルポジションでのライ角は59度にて販売される。

 

シャフト

2018年のラインナップでは、異なる特徴や重量の4種類のシャフトが選択可能となっている。

 

アルディア・クアランタ:Epicのディアマナグリーンの代わりに採用。軽量で、Rogueストックシャフトのラインナップ中で最も高い打ち出しを実現する。ゆっくりと控えめなスイングのゴルファー向けである。

アルディア・シナジー:HZRDUS T800の代替品。シナジーはスタンダードRogueの主要なシャフトであり、中程度の打ち出しが特徴。50gと60gがある。

プロジェクトX  イーブンフロー  ブルー:Rogue Sub Zeroの主要シャフト。中~低程度の打ち出しを特徴とする。

プロジェクトX  ハザーダス  イエロー:ラインナップの中でも最も低いスピン量が特徴。バランスのとれた、低トルク、かつ独特なしなりのあるシャフトである。万人向けではないことは保証する。

 

キャロウェイによれば、Rogueラインナップのシャフトは従来と同じ視点では造られていない。シナジーシャフトはTXでは取り扱いがないが、グラフェンが含まれていて、クアランタとともにアルディアのウェブサイトでスペックが確認できる。

2つのプロジェクトXは、Epic レッドのシャフトと同じ特徴である。イエローとブラックは、PINGとコブラの各ラインアップにも使用されている。素材と特徴は、手作業で造られるアフターマーケット版と全く同じと言われている。ただし、メーカーバージョンは機械で造られている。

最終的な判断

立派なことに、キャロウェイはRogueを誇大宣伝しようとしていない。今回発売されるのは、誰もが認めるマイルストーン製品として、すでに発売されたプロダクトのリピート商品の一種である。つまりEpicの改良版であって、新しく誕生した商品ではない。Epicよりもさらに打ちやすく、空気力学を活かしたことでヘッドスピードと安定した飛距離を可能にした。青緑というかアクアマリンのような色のアクセントも悪くない。

キャロウェイの見解では、Rogueは今使用しているクラブや競合クラブと比べて、飛距離が伸びる傾向にあるということだが、ハリー・アーネット氏の言葉どおり、フィッティングに行って自分のクラブとRogueを比べてみて欲しい(できれば他の競合クラブとも比べることをお勧めする)。もし飛距離が出ず、真っ直ぐ飛ばず、あなた自身やフィッターが適切だと思う基準に達していない場合は、買わないほうがいい。

キャロウェイのRogueドライバーシリーズは、2月9日より499.99ドルにて販売予定。3種類のRogueモデルは、3月よりキャロウェイカスタムを通して購入可能となる。

詳細については、キャロウェイのウェブサイトを参照してほしい。