PING(ピン)は、「良いニュースと悪いニュース」で今週をスタートした。「良いニュース」は、新作の「G430」ドライバーシリーズ(またしても「MAX」、「LST」、「SFT」を含む)がUSGAの適合リストに掲載されたこと。

「悪いニュース」は、国によっては(一番顕著なのはオーストラリア)、アメリカよりも数ヶ月前に手にすることができるってことだ。

ところで、「G430」は、なんだかどこかで見たような感じがする。“他が先で、俺たちは後”というやり方は、PINGが「G425」を立ち上げた時の再現で、好きじゃないが理解はできる。

ここアメリカでは、ゴルフシーズンのピークが急速に終わろうとしている一方で、他の国ではこれからシーズンの到来となるってこと。

確かに、サプライチェーンの問題は改善されているけど、新型コロナウイルスから完全に回復したわけではない。ゆえに、1月のグローバルリリースに向けて在庫を蓄えながらも、小規模に発売するのは理にかなっているのだろう。

こうしたことから、新商品の発売における技術とパフォーマンスの詳細の公式発表が地理的問題で制限されるという、やや苦渋なものとなるが、USGAの適合リストから興味深い情報を得ることもできないことはない。今回はそんな話。

前述のとおり、PINGは今回も3モデルを発売する。


「G430 MAX」

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「G430 MAX」が改めて“MOIの限界”に挑戦していることは間違いはず。だって「MAX」っていうくらいなんだから。しかし、前モデルの「G425 MAX」は事実上の限界(5,900 g/cm2)だったから、従来のヒール/トゥの寛容性の指標に関しては、改善の余地はあまりないはずなんだが。

となると、改良の可能性があるとすれば、「フェース上下の安定性」ということになる。

PINGは他のメーカーとは違い派手さはないが、「ドライバーの初速」に関するストーリーでは話題にことかかない。そのため、当然飛距離アップは実現しているだろう。

おそらく「アジャスタブル(調整)機能」も改善されているはずだ。写真だけで伝えるのは難しい(マジで無理)が、PINGが『可変式ウエイト』の重量を増やしたり、ウエイトトラックの幅を若干広げてもおかしくはないだろう。


「G430 LST」

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「MAX」に当てはまることは、「LST」(さらに「SFT」)にも当てはまるので、こちらも「MOI(慣性モーメント)」と「可変式ウエイト」の幅も改善しているはずだ。そこで気になるのが、PINGが「LST」をさらに強烈に“低スピン系”の方向にしたかどうかということだ。

PINGに対しては、テーラーメイドの「ステルスプラス」、タイトリストの「TSR3」、そしてコブラの「LTDx LS」のようなヘッド体積460ccデザインの市場において、「低スピン部門」で本格的な競合となるためには、スピン量をやや軽減する必要があるという声がある。

逆に、PINGはここで競合となるつもりがないという意見も、まあある。つまり、PINGは、同社の低スピンドライバーを「中程度のスピン系の下限に位置させる」ことで満足しているのではないか?

そして、「LST」はまさにPINGにとっては別格と言わざるを得ない。それだけに、競合ドライバーの多くは、「LST」のパフォーマンスを反映させたようなドライバーを開発して市場に投入しているのだ。

PINGの競合が、(試打会などの)打席で、頻繁にそれ以上に良い結果を出すことが難しいとしているドライバーが「LST」なのだ。

今回の「LST」は小さい改良の積み重ねはあってもデザイン哲学に大きな違いはない、というのが私の見立てだ。


「カーボンフライ・ラップ」

とはいえ、「LST」の話の中には興味深い部分もある。USGAの「G430 LST」ドライバーの説明部分に記載されている『カーボンフライ・ラップ』だ。

可能性としてだが、『カーボンフライ』はPINGの『ドラゴンフライ』テクノロジーに似通ったもので、「LST」はカーボンファイバークラウンになっているか、あるいは少なくともカーボンファイバーが部分的に採用されているということなのだろうと推測する。

PING最後のカーボンクラウンと言えば15年前の「Rapture (ラプチャー)」まで遡るが、これはPINGの現状から考えると非常に大きな変化と言える。

我々は、長年に渡りPINGにクラウンの素材として「チタン」を採用することについて問いただしてきたが、同社の答えは常に、「その用途に最適なパフォーマンスを実現する素材を使い続ける」という回答が一貫して送られてきた。

つまり、PINGはカーボンファイバーを使うことを是として、カーボンファイバーを採用することはないということだ。


「G430 SFT」

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PINGでは、ターゲットゴルファーに対して、ドローバイアスにすればそれで良いなどとは思っていない。「SFT」の背景にあるこの考え方は、常にアドレスでドライバーが難しく見えることなく、できるだけ弾道矯正することにある。

アドレスで「LST」を「SFT」と見間違えることはないだろうが、この「SFT」は、あらゆる悩みを抱えるスライサーがアドレスで構えた時に好ましい見た目にするという点で、素晴らしい仕上がりになっている。

結論としては、「SFT」はかなりの「スライス矯正」が実現できるということ。とはいえ、一番分かりやすい点は、「G430 SFT」に『可変式ウエイト』が搭載されたということだ。

ドローとフェードポジションがある「MAX」と「LST」とは異なり、「G430 SFT」は「ドロー」と「ドロー+」の設定がある。「ドロー+」がどの程度のドローなのかはそのうち分かるだろうが、2023年市場で最もスライスを軽減してくれるドライバーになることは間違いないだろう。


発売時期

PINGの「G430」ドライバーは、今月からオーストラリア(またその周辺国)で発売される。それ以外の詳細については、2023年の頭にグローバルでリリースされる他、来年1月まで不明となっている。

価格に関しては、550ドルが今年の最低価格になると予測しており、「G430」シリーズは600ドルというかなりの価格になる可能性がある。

詳細は入手次第、お知らせする予定だ。


発売まで待てない人は検討を

PING「G430」ドライバーは高価格クラブとなる可能性が高いので、節約派のゴルファーには「G425」ドライバーを検討することをおすすめする。

現行モデル(「G425 MAX」、「G425 LST」、そして「G425 SFT」)は優れたクラブで、「G430」のリリースを想定し399ドル(元々549ドル)まで割引されているようだ。